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新しい男2
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「これからいくところの資料です。我々と1年前から取引があったのですが、ここにきて海外との交流が目立ち始めていて、私たちの生命線とも言える情報を得る疑いがあるとのことです。グレーがブラックに変わってからでは遅いので先手を打って殲滅してしまおうというのが上の考えです。」
移動中の車内。雪音から渡された15枚ほどの紙束をペラペラめくる。雪音は運転しながら任務の概要を説明していく。
「規模的には中の下、情報網の錯乱が間も無くおこると思います。それが確認できたら乗り込みましょう。優先順位は倉庫、幹部室、武装している人間の掃討、ボス、ですかね。自分のやり方があるとは思いますが、今日はとりあえず私に合わせてもらいます。」
「情報の錯乱はなんで予想できるんですか。」
「私がセッティングしているので。さっき本部出る前に仕掛けておいたんです。」
「・・・そんなことが。」
「私は力技だけでは確実に負けます。頭を使うしかないんですよ。」
雪音は車を停めた。
「さぁ行きましょう。」
雪音はそう行って車を降り、トランクから黒いコートを取り出して羽織った。
「コート、暑くないんですか。」
「暑いけど商売道具だから。」
長澤の雪音に対する印象はこの数分で変わってしまった。噂には何一つ正解なんかなかったのだ。
敵地に忍び込むと、雪音は迷うことなく倉庫へ向かう。
暗証番号も一発で当て、解錠し中に侵入した。雪音の左手にあるスマホにはハッキングで得た情報が入っている。
「ここは武器庫ですね。誰かが取りに来る前に使えなくしましょう。」
倉庫にある大量の木箱の一つを開く。中には大量のダイナマイト。雪音はその辺りの木箱を全て開き、大量のダイナマイトを見つけ出すとそれを倉庫中にばらまいた。
「雪音さん?」
「外出てください。30秒後にこっちに人が大量に来ますから、まとめて吹き飛ばします。」
あまりにも迷いなく冷静に動く雪音に、長澤は恐怖さえ覚えていた。
長澤とともに外へ出た雪音はコートの内側からマッチを取り出した。雪音の言った通り30秒経つと、10人ほど敵の人間が現れる。武器庫の中に入っていったのを見届けると、雪音はドアの前に立った。敵がそれに気づいたのと同時に、火のついたマッチ棒は中へ放り込まれた。
雪音の情報戦で、その後も相手は雪音の思い通りに動き続け、わずか40分で壊滅することとなった。
帰りの車の中、雪音は長澤に言った。
「情報は私たちの生命線です。それは相手にとってもそう。それをちょっといじるだけで、彼らは私の台本通り動いてくれるんですよ。」
長澤は黙ったまま雪音を見ている。雪音はその視線の意味がわからなかったが、こう続けた。
「あ、できれば私がハッカーであることは他言しないでもらえますか。」
「はい・・・。」
長澤はわずか1時間前まで疑っていた人間に恐怖と信頼を同時に抱くこととなり、混乱していた。
移動中の車内。雪音から渡された15枚ほどの紙束をペラペラめくる。雪音は運転しながら任務の概要を説明していく。
「規模的には中の下、情報網の錯乱が間も無くおこると思います。それが確認できたら乗り込みましょう。優先順位は倉庫、幹部室、武装している人間の掃討、ボス、ですかね。自分のやり方があるとは思いますが、今日はとりあえず私に合わせてもらいます。」
「情報の錯乱はなんで予想できるんですか。」
「私がセッティングしているので。さっき本部出る前に仕掛けておいたんです。」
「・・・そんなことが。」
「私は力技だけでは確実に負けます。頭を使うしかないんですよ。」
雪音は車を停めた。
「さぁ行きましょう。」
雪音はそう行って車を降り、トランクから黒いコートを取り出して羽織った。
「コート、暑くないんですか。」
「暑いけど商売道具だから。」
長澤の雪音に対する印象はこの数分で変わってしまった。噂には何一つ正解なんかなかったのだ。
敵地に忍び込むと、雪音は迷うことなく倉庫へ向かう。
暗証番号も一発で当て、解錠し中に侵入した。雪音の左手にあるスマホにはハッキングで得た情報が入っている。
「ここは武器庫ですね。誰かが取りに来る前に使えなくしましょう。」
倉庫にある大量の木箱の一つを開く。中には大量のダイナマイト。雪音はその辺りの木箱を全て開き、大量のダイナマイトを見つけ出すとそれを倉庫中にばらまいた。
「雪音さん?」
「外出てください。30秒後にこっちに人が大量に来ますから、まとめて吹き飛ばします。」
あまりにも迷いなく冷静に動く雪音に、長澤は恐怖さえ覚えていた。
長澤とともに外へ出た雪音はコートの内側からマッチを取り出した。雪音の言った通り30秒経つと、10人ほど敵の人間が現れる。武器庫の中に入っていったのを見届けると、雪音はドアの前に立った。敵がそれに気づいたのと同時に、火のついたマッチ棒は中へ放り込まれた。
雪音の情報戦で、その後も相手は雪音の思い通りに動き続け、わずか40分で壊滅することとなった。
帰りの車の中、雪音は長澤に言った。
「情報は私たちの生命線です。それは相手にとってもそう。それをちょっといじるだけで、彼らは私の台本通り動いてくれるんですよ。」
長澤は黙ったまま雪音を見ている。雪音はその視線の意味がわからなかったが、こう続けた。
「あ、できれば私がハッカーであることは他言しないでもらえますか。」
「はい・・・。」
長澤はわずか1時間前まで疑っていた人間に恐怖と信頼を同時に抱くこととなり、混乱していた。
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