124 / 385
ラジン国編
176.凹凸を刻む爪は
しおりを挟む
魔法ギルド総帥の執務室に戻ったディランは、自分の席に座り、右手親指の爪を噛み続けていた。
歪に凹凸を刻む爪は、彼の苛立ちを現しているようだ。
敬愛する主が、数年ぶりに帰還したと聞いたときは、歓喜に震えた。だが浮き足立つ気持ちのままに、挨拶に赴こうとしたディランを、受付を任していたベクターが止める。
自分よりも先に主を迎え、言葉を交わしたというだけでも苛立たしいのに、さらに邪魔をするのかと、苛立ちが込み上げてきた。
しかしベクターの報告に、その苛立ちさえ吹き飛んだ。
「ノムル様は、養子をお迎えしたいと仰っておられました」
ディランは苦々しく顔をゆがめた。
ノムル・クラウの名は、世界中に知れ渡っている。彼と交友を持とうと、各国の貴族や商人のみならず、王族達までもが、魔法ギルドに申し入れてきていた。
国を挙げてノムルを招きたいと言い出す、不遜な者までいる。
それら全てを、ディランは断わり続けてきたのだ。
魔法使いの頂点たるノムル・クラウを、下らぬ権力争いに利用されるわけにはいかない。
それはディランのみならず、多くの魔法使いに共通する思いであった。
ノムル・クラウ自身も権力を嫌っているのだから、群がる蛾どもを振り合うことに、何の問題もない。
権力を振りかざし、強行しようとする愚者もいたが、すぐにその国から魔法使い全員を撤退させた。
未だに魔法使いの存在を軽視している国はあるが、それでも魔法が無ければ国は成り立たないほどに、この世界は魔法に依存している。
そこまでしても理解できぬものには、力でもって知らしめた。
現在では魔法使いを侮る国は、国際社会から爪弾きにされるほどに、魔法使いは地位を確立している。
だがそのために、ノムル・クラウに擦り寄ろうとするものは、後を絶たないとも言える。
子も妻も持たぬから、余計に隙を狙って潜り込もうとしてくる。
もっとも、ハニートラップに引っかかるようなノムル・クラウではない。子供もどちらかといえば苦手としていたので、全て失敗に終わっている。
それなのに、ここにきて突然の養子ときた。
髪をかき上げるようにこめかみを押さえ、ディランは大きく息を吐き出す。その間に、ヒートしかけていた思考回路が冷却される。
「緘口令を敷け。ノムル様のことです、何かお考えがあるのでしょう」
そう、あのノムル・クラウが、下らない策略に篭絡されるはずがない。
旅の途中から子供を連れ歩いているという報告はあったが、何か意図があるはずだ。ディランがすべきことは、彼の口から真実を聞くことだ。
そう考えて、昨日はヴォーリオと共にノムルの部屋へと赴いた。
だがそこでディランが目にした光景は、予想に反して、子供と仲よさげにしているノムルの姿だった。
「いったい、どうなっている? どうしてノムル様は、あの子供に良いように操られているのだ? いったい何者なんだ?」
部下達から送られてきていた資料を、ディランは睨みつける。昨日から何度読み返しただろうか?
あのユキノという子供の正体は、一向に分からぬままだ。いや、と、ディランは一枚の報告書を抜き取る。
外見に似合わぬ言葉使いと作法、知性は、この内容を裏付けるものだろう。
ドューワ国とアイス国に潜む魔法使いからの報告書には、ノムルと同行している子供は、どこかの国の王女であろうと書かれていた。
「いったい、どこの国が? あんな幼女でノムル様に取り入ろうなどと」
歯が爪を噛む。じわりと、鉄の味が口に広がる。ふと、彼の歯から力が抜けた。
「待て。人間の子供の足って、あんなだったか?」
顔面にヒットした足は、何か違和感があった。ノムルが傷付けられたと聞き、パニックを起こしていたために流してしまったが、あれは人間の足とは明らかに異なる。
「なんだったんだ? まさか、人間ではない?」
ディランの頭に、先ほどまでとは異なる混乱が渦を巻いた。
ぽてぽてと、雪乃は白い廊下を歩いていく。
やっぱり病院みたいだなーっと、大理石のような床から白い壁へと視線を移した。
森に埋めた樽が熟成するまで、特にすることはない。念のため、もう二樽漬け込み、一樽はこのまま森に残していく予定だ。
九日は最低限の日数。漬け込めば漬け込むほど、効果は高くなる。
漬け込む間、雪乃は魔法ギルドに留め置かれている。ノムルは仕事があると、ディランに引きずっていかれた。
部屋でおとなしくしていようかとも考えたのだが、森に残しているランタの様子が気になったため、ぴー助を連れて部屋から出てきたのだった。
ぽてぽてと階段まで来た雪乃は、ぴー助の背中によじ上る。
階段を上ることは難しくないが、下りるのは大変なのだ。
一段一段飛び降りていると、うっかり着地に失敗して、落ちてしまうことがある。かといって後ろ向きに一段一段下りていくと、時間が掛かった。
ぴー助がいるのに、無理にその苦労と時間を掛ける必要はない。
「よし。ぴー助、階段を下りてください」
「ぴー」
小さな雪乃が子竜に乗って移動する光景は、アイス国やドューワ国では、大人たちから愛でられていた。
しかしこの魔法ギルド内においては、冷たい視線が突き刺さる。
雪乃はノムルをたぶらかす、悪幼女として知れ渡っているのだから。
もちろん、雪乃はそんなことは露知らず、出口に向かって進んで行く。
「お待ちなさい!」
声を掛けられて、雪乃は振り向く。ぴー助もユキノの動きを敏感に察知し、床に下りた。
現れたのは、ヴィヴィだ。前回同様、二人の護衛を引き連れている。
「えーっと、今度は何の御用でしょうか?」
下手に関わると、またノムルの暴走を引き起こしかねない。
注意深く尋ねる雪乃を上から下まで見たヴィヴィは、ふんっと鼻を鳴らして胸を反る。両手は腰に当てて、綺麗な仁王立ちだ。
「あなた、ノムル様の研究を邪魔しているそうね?」
「ん?」
雪乃はぽてんと幹を傾げる。
「とぼけないでちょうだい! 知っているのよ? ノムル様の調合室に、あなたが入り浸っているって。ノムル様がお優しいからって、調子に乗らないでちょうだい」
どうやらノムルと共に融筋病の薬を調合していたことが、誤解されているようだ。
考えてみれば、雪乃のような小さな子供が、薬の製造に関われるはずがない。
ヴィヴィの言うとおり、くっ付いていって邪魔をしていると考えるのは、自然のことだろう。
とはいえ調合レシピを持っているのは、雪乃のほうなのである。
歪に凹凸を刻む爪は、彼の苛立ちを現しているようだ。
敬愛する主が、数年ぶりに帰還したと聞いたときは、歓喜に震えた。だが浮き足立つ気持ちのままに、挨拶に赴こうとしたディランを、受付を任していたベクターが止める。
自分よりも先に主を迎え、言葉を交わしたというだけでも苛立たしいのに、さらに邪魔をするのかと、苛立ちが込み上げてきた。
しかしベクターの報告に、その苛立ちさえ吹き飛んだ。
「ノムル様は、養子をお迎えしたいと仰っておられました」
ディランは苦々しく顔をゆがめた。
ノムル・クラウの名は、世界中に知れ渡っている。彼と交友を持とうと、各国の貴族や商人のみならず、王族達までもが、魔法ギルドに申し入れてきていた。
国を挙げてノムルを招きたいと言い出す、不遜な者までいる。
それら全てを、ディランは断わり続けてきたのだ。
魔法使いの頂点たるノムル・クラウを、下らぬ権力争いに利用されるわけにはいかない。
それはディランのみならず、多くの魔法使いに共通する思いであった。
ノムル・クラウ自身も権力を嫌っているのだから、群がる蛾どもを振り合うことに、何の問題もない。
権力を振りかざし、強行しようとする愚者もいたが、すぐにその国から魔法使い全員を撤退させた。
未だに魔法使いの存在を軽視している国はあるが、それでも魔法が無ければ国は成り立たないほどに、この世界は魔法に依存している。
そこまでしても理解できぬものには、力でもって知らしめた。
現在では魔法使いを侮る国は、国際社会から爪弾きにされるほどに、魔法使いは地位を確立している。
だがそのために、ノムル・クラウに擦り寄ろうとするものは、後を絶たないとも言える。
子も妻も持たぬから、余計に隙を狙って潜り込もうとしてくる。
もっとも、ハニートラップに引っかかるようなノムル・クラウではない。子供もどちらかといえば苦手としていたので、全て失敗に終わっている。
それなのに、ここにきて突然の養子ときた。
髪をかき上げるようにこめかみを押さえ、ディランは大きく息を吐き出す。その間に、ヒートしかけていた思考回路が冷却される。
「緘口令を敷け。ノムル様のことです、何かお考えがあるのでしょう」
そう、あのノムル・クラウが、下らない策略に篭絡されるはずがない。
旅の途中から子供を連れ歩いているという報告はあったが、何か意図があるはずだ。ディランがすべきことは、彼の口から真実を聞くことだ。
そう考えて、昨日はヴォーリオと共にノムルの部屋へと赴いた。
だがそこでディランが目にした光景は、予想に反して、子供と仲よさげにしているノムルの姿だった。
「いったい、どうなっている? どうしてノムル様は、あの子供に良いように操られているのだ? いったい何者なんだ?」
部下達から送られてきていた資料を、ディランは睨みつける。昨日から何度読み返しただろうか?
あのユキノという子供の正体は、一向に分からぬままだ。いや、と、ディランは一枚の報告書を抜き取る。
外見に似合わぬ言葉使いと作法、知性は、この内容を裏付けるものだろう。
ドューワ国とアイス国に潜む魔法使いからの報告書には、ノムルと同行している子供は、どこかの国の王女であろうと書かれていた。
「いったい、どこの国が? あんな幼女でノムル様に取り入ろうなどと」
歯が爪を噛む。じわりと、鉄の味が口に広がる。ふと、彼の歯から力が抜けた。
「待て。人間の子供の足って、あんなだったか?」
顔面にヒットした足は、何か違和感があった。ノムルが傷付けられたと聞き、パニックを起こしていたために流してしまったが、あれは人間の足とは明らかに異なる。
「なんだったんだ? まさか、人間ではない?」
ディランの頭に、先ほどまでとは異なる混乱が渦を巻いた。
ぽてぽてと、雪乃は白い廊下を歩いていく。
やっぱり病院みたいだなーっと、大理石のような床から白い壁へと視線を移した。
森に埋めた樽が熟成するまで、特にすることはない。念のため、もう二樽漬け込み、一樽はこのまま森に残していく予定だ。
九日は最低限の日数。漬け込めば漬け込むほど、効果は高くなる。
漬け込む間、雪乃は魔法ギルドに留め置かれている。ノムルは仕事があると、ディランに引きずっていかれた。
部屋でおとなしくしていようかとも考えたのだが、森に残しているランタの様子が気になったため、ぴー助を連れて部屋から出てきたのだった。
ぽてぽてと階段まで来た雪乃は、ぴー助の背中によじ上る。
階段を上ることは難しくないが、下りるのは大変なのだ。
一段一段飛び降りていると、うっかり着地に失敗して、落ちてしまうことがある。かといって後ろ向きに一段一段下りていくと、時間が掛かった。
ぴー助がいるのに、無理にその苦労と時間を掛ける必要はない。
「よし。ぴー助、階段を下りてください」
「ぴー」
小さな雪乃が子竜に乗って移動する光景は、アイス国やドューワ国では、大人たちから愛でられていた。
しかしこの魔法ギルド内においては、冷たい視線が突き刺さる。
雪乃はノムルをたぶらかす、悪幼女として知れ渡っているのだから。
もちろん、雪乃はそんなことは露知らず、出口に向かって進んで行く。
「お待ちなさい!」
声を掛けられて、雪乃は振り向く。ぴー助もユキノの動きを敏感に察知し、床に下りた。
現れたのは、ヴィヴィだ。前回同様、二人の護衛を引き連れている。
「えーっと、今度は何の御用でしょうか?」
下手に関わると、またノムルの暴走を引き起こしかねない。
注意深く尋ねる雪乃を上から下まで見たヴィヴィは、ふんっと鼻を鳴らして胸を反る。両手は腰に当てて、綺麗な仁王立ちだ。
「あなた、ノムル様の研究を邪魔しているそうね?」
「ん?」
雪乃はぽてんと幹を傾げる。
「とぼけないでちょうだい! 知っているのよ? ノムル様の調合室に、あなたが入り浸っているって。ノムル様がお優しいからって、調子に乗らないでちょうだい」
どうやらノムルと共に融筋病の薬を調合していたことが、誤解されているようだ。
考えてみれば、雪乃のような小さな子供が、薬の製造に関われるはずがない。
ヴィヴィの言うとおり、くっ付いていって邪魔をしていると考えるのは、自然のことだろう。
とはいえ調合レシピを持っているのは、雪乃のほうなのである。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる