160 / 385
ゴリン国編
212.寝台で寝ないの?
しおりを挟む
「マンドラゴラって、こういう生態なの? たしか、薬草として使われてるんだよね? え? これを飲むの? え?」
困惑するムダイに向き直ったマンドラゴラたちは、身を寄せ合って、ふるふると震えた。
「違う! 僕はマンドラゴラを飲んだりしないから! さすがにこれは無理!」
わたわたと両手を振るムダイを、マンドラゴラたちは疑わしそうに、じいっと見つめる。
「いや、本当に、絶対に採取とかしないって。無理でしょう? これは」
ようやく安心したのか、机の上を駆け回るマンドラゴラたち。おそらく初めから、ムダイをからかっていただけなのだろうが。
そんなことをしているうちに、日も翳ってきた。そろそろ寝床を探したほうが良いだろう。
雪乃が考えていると、カイも察してくれたようだ。
「奥に森がある。あそこを借りて休めばいい」
そう言うと、雪乃を膝から下ろす。雪乃は机に枝を差し出し、マンドラゴラたちを回収した。
「森? 寝台で寝ないの?」
二人の様子を、ムダイは訝しげに見る。
雪乃とカイは目を見合わせた。
雪乃は単純に、なぜ自分の正体を知るムダイがそんな質問をするのかと、不思議に思ったのだ。
一方のカイは、ムダイは雪乃と親しいようだが、樹人だとは知らなかったのかと、わずかに警戒を強めた。
「眠る時は、根を張りますから」
そんなカイの心配を、あっさり雪乃は打ち砕く。
答えを貰ったムダイは、固まった。一点を見つめたまま、何度か瞬きを繰り返し、
「ああ、そうか。そうだよね。……え? そうなの? あれ?」
と、挙動不審になった。
混乱の海に沈んでいったムダイは放っておいて、雪乃はカイと手をつなぎ、部屋を出て行く。
森に入った雪乃は根を張ると、目立たないようにポシェットとローブを外す。
そこでカイは目を丸くし、雪乃の枝に手を伸ばした。腕代わりの枝より下に幾つかある、短く細い枝だ。
視線を落とした雪乃は、ぽんっと紅葉する。
そこにはニューデレラの町で買った、ガラスの人形が掛けてあった。
一つはノムルに似た、魔法使いの人形。そしてもう一つは、黒い服を着た、狼獣人の人形だ。
「ええっと」
うつむき口ごもる雪乃には構わず、カイは人形を指先でつまみ、じいっと見つめる。その表情が、ふっと和らいだ。
けれど、どこか自嘲めいていて、悲しそうな微笑みだった。
「本当は、雪乃にはもう会えないと思っていた」
カイの大きな手が、雪乃の頭を撫でる。
「俺たち獣人ですら、人間たちが支配する大陸を旅することは、危険を伴う。一歩間違えれば狩られて奴隷落ち、最悪、命を奪われることもある」
黒いカイの目は、哀しみと苦しみに染まっていた。
「そんな世界に、俺たち以上に危険な状態である雪乃を残して帰ったことを、ずっと悔やんでいた。無理矢理にでも連れ帰るべきだったのではないかと」
「カイさん……」
雪乃は胸が苦しくなった。
樹人が旅をすることの危険は、何度も言い聞かせられた。一緒にカイたちの国へ来ないかと、誘ってももらった。
だが雪乃がそれを断わったのだ。
この世界に来て間もなかった雪乃は、まだどこか現実感が乏しかった。人間に追いかけられたことはあったが、そこまで切迫した気持ちは持っていなかった。
ノムルと出会って受け入れられ、護られてきたことで、ここまで無事に旅を続けてこられた。
しかしそれは、本当に幸運なことで、実際はいつ人間に討伐されても、おかしくない状況だったのだ。
「本当に、無事でよかった」
小さな樹人の体を、カイは優しく包み込む。その体は、小刻みに震えていた。
どれほど心配を掛けたのか、雪乃は嫌と言うほど気付かされた。
「ごめ、なさい」
息が詰まって、美味く言葉を紡げなかった。
カイの頭が左右に振れる。良いのだと、全てを許すように。
「カイさん、助けてくれて、ありがとうございました。心配してくれて、ありがとうございました」
雪乃もまた、枝を伸ばし、カイを抱きしめた。
その瞬間だった。
世界が真っ白に染まり、直後に森を揺るがすほどの、雷鳴が轟く。
「人の娘に何してんのさ? 破廉恥だ! 即刻離れろ。成敗してくれる!」
「「……」」
雪乃もカイも、一瞬で醒めた。むしろ冷め切った。
仁王立ちになり、右手の人差し指を突き出している、クロネコ耳を付けた魔法使い。
いつも以上に威厳も何もあったものではない。むしろ何のお笑いだ? と呆れるより他なかった。
「ノムルさん、いい加減に空気を読むということを、少しは学んでください」
怒りや羞恥にふるふる震えながら、雪乃は何とか声を絞り出したのだった。
騒ぎのせいで人が集まってきたため、雪乃はすぐさまカイに抱えられて、その場を離れた。
人目に付かない木の上でローブを着せてもらい、さらに場所を変える。
「こらー! ユキノちゃんを返せー!」
後ろからは変態魔法使いが追ってくる。
しっかりフードも被って正体を隠した雪乃は、ようやくノムルに向かい合った。
「ノム……」
「どういうつもりだ?」
雪乃が声を張り上げるより先に、怒りを含んだカイの声がノムルへ向かう。
「それは俺の台詞だっての。何勝手にユキノちゃんを連れまわしてるのさ? おまけに裸にして抱きつくとか、死ぬ覚悟はできてるんだろうな?」
魔王が降臨し、暗黒オーラが漂っている。
それはともかく、
「誤解を招くような言い方をしないでください!」
雪乃は真っ赤に紅葉して、訂正を求めた。カイもわずかに頬を赤らめている。
「ユキノちゃんの裸を見て良いのは、おとーさんだけなの!」
ノムルはぷんすか怒っている。
視線をそらして考えるようにうつむいていたカイは、意を決したように口を開く。
「すまない。言われてみれば、確かに女の子の服を家族でもない俺が脱がせるのは、問題だったかもしれない。最初に出会ったときの雪乃は何も着ていなかったから、つい、そういう意識を失っていた」
理不尽な八つ当たりであるのに、カイは神妙な顔で謝罪した。
勝ち誇ったように、ノムルが胸を張る。
「しかし先ほどの行動は許容できない。下手をすれば雪乃の正体が露見していた。よりによって、この冒険者ギルドの本部で。この危険性が分からぬノムル殿ではないと思うが?」
目を細めて、カイはノムルを射るように見る。
困惑するムダイに向き直ったマンドラゴラたちは、身を寄せ合って、ふるふると震えた。
「違う! 僕はマンドラゴラを飲んだりしないから! さすがにこれは無理!」
わたわたと両手を振るムダイを、マンドラゴラたちは疑わしそうに、じいっと見つめる。
「いや、本当に、絶対に採取とかしないって。無理でしょう? これは」
ようやく安心したのか、机の上を駆け回るマンドラゴラたち。おそらく初めから、ムダイをからかっていただけなのだろうが。
そんなことをしているうちに、日も翳ってきた。そろそろ寝床を探したほうが良いだろう。
雪乃が考えていると、カイも察してくれたようだ。
「奥に森がある。あそこを借りて休めばいい」
そう言うと、雪乃を膝から下ろす。雪乃は机に枝を差し出し、マンドラゴラたちを回収した。
「森? 寝台で寝ないの?」
二人の様子を、ムダイは訝しげに見る。
雪乃とカイは目を見合わせた。
雪乃は単純に、なぜ自分の正体を知るムダイがそんな質問をするのかと、不思議に思ったのだ。
一方のカイは、ムダイは雪乃と親しいようだが、樹人だとは知らなかったのかと、わずかに警戒を強めた。
「眠る時は、根を張りますから」
そんなカイの心配を、あっさり雪乃は打ち砕く。
答えを貰ったムダイは、固まった。一点を見つめたまま、何度か瞬きを繰り返し、
「ああ、そうか。そうだよね。……え? そうなの? あれ?」
と、挙動不審になった。
混乱の海に沈んでいったムダイは放っておいて、雪乃はカイと手をつなぎ、部屋を出て行く。
森に入った雪乃は根を張ると、目立たないようにポシェットとローブを外す。
そこでカイは目を丸くし、雪乃の枝に手を伸ばした。腕代わりの枝より下に幾つかある、短く細い枝だ。
視線を落とした雪乃は、ぽんっと紅葉する。
そこにはニューデレラの町で買った、ガラスの人形が掛けてあった。
一つはノムルに似た、魔法使いの人形。そしてもう一つは、黒い服を着た、狼獣人の人形だ。
「ええっと」
うつむき口ごもる雪乃には構わず、カイは人形を指先でつまみ、じいっと見つめる。その表情が、ふっと和らいだ。
けれど、どこか自嘲めいていて、悲しそうな微笑みだった。
「本当は、雪乃にはもう会えないと思っていた」
カイの大きな手が、雪乃の頭を撫でる。
「俺たち獣人ですら、人間たちが支配する大陸を旅することは、危険を伴う。一歩間違えれば狩られて奴隷落ち、最悪、命を奪われることもある」
黒いカイの目は、哀しみと苦しみに染まっていた。
「そんな世界に、俺たち以上に危険な状態である雪乃を残して帰ったことを、ずっと悔やんでいた。無理矢理にでも連れ帰るべきだったのではないかと」
「カイさん……」
雪乃は胸が苦しくなった。
樹人が旅をすることの危険は、何度も言い聞かせられた。一緒にカイたちの国へ来ないかと、誘ってももらった。
だが雪乃がそれを断わったのだ。
この世界に来て間もなかった雪乃は、まだどこか現実感が乏しかった。人間に追いかけられたことはあったが、そこまで切迫した気持ちは持っていなかった。
ノムルと出会って受け入れられ、護られてきたことで、ここまで無事に旅を続けてこられた。
しかしそれは、本当に幸運なことで、実際はいつ人間に討伐されても、おかしくない状況だったのだ。
「本当に、無事でよかった」
小さな樹人の体を、カイは優しく包み込む。その体は、小刻みに震えていた。
どれほど心配を掛けたのか、雪乃は嫌と言うほど気付かされた。
「ごめ、なさい」
息が詰まって、美味く言葉を紡げなかった。
カイの頭が左右に振れる。良いのだと、全てを許すように。
「カイさん、助けてくれて、ありがとうございました。心配してくれて、ありがとうございました」
雪乃もまた、枝を伸ばし、カイを抱きしめた。
その瞬間だった。
世界が真っ白に染まり、直後に森を揺るがすほどの、雷鳴が轟く。
「人の娘に何してんのさ? 破廉恥だ! 即刻離れろ。成敗してくれる!」
「「……」」
雪乃もカイも、一瞬で醒めた。むしろ冷め切った。
仁王立ちになり、右手の人差し指を突き出している、クロネコ耳を付けた魔法使い。
いつも以上に威厳も何もあったものではない。むしろ何のお笑いだ? と呆れるより他なかった。
「ノムルさん、いい加減に空気を読むということを、少しは学んでください」
怒りや羞恥にふるふる震えながら、雪乃は何とか声を絞り出したのだった。
騒ぎのせいで人が集まってきたため、雪乃はすぐさまカイに抱えられて、その場を離れた。
人目に付かない木の上でローブを着せてもらい、さらに場所を変える。
「こらー! ユキノちゃんを返せー!」
後ろからは変態魔法使いが追ってくる。
しっかりフードも被って正体を隠した雪乃は、ようやくノムルに向かい合った。
「ノム……」
「どういうつもりだ?」
雪乃が声を張り上げるより先に、怒りを含んだカイの声がノムルへ向かう。
「それは俺の台詞だっての。何勝手にユキノちゃんを連れまわしてるのさ? おまけに裸にして抱きつくとか、死ぬ覚悟はできてるんだろうな?」
魔王が降臨し、暗黒オーラが漂っている。
それはともかく、
「誤解を招くような言い方をしないでください!」
雪乃は真っ赤に紅葉して、訂正を求めた。カイもわずかに頬を赤らめている。
「ユキノちゃんの裸を見て良いのは、おとーさんだけなの!」
ノムルはぷんすか怒っている。
視線をそらして考えるようにうつむいていたカイは、意を決したように口を開く。
「すまない。言われてみれば、確かに女の子の服を家族でもない俺が脱がせるのは、問題だったかもしれない。最初に出会ったときの雪乃は何も着ていなかったから、つい、そういう意識を失っていた」
理不尽な八つ当たりであるのに、カイは神妙な顔で謝罪した。
勝ち誇ったように、ノムルが胸を張る。
「しかし先ほどの行動は許容できない。下手をすれば雪乃の正体が露見していた。よりによって、この冒険者ギルドの本部で。この危険性が分からぬノムル殿ではないと思うが?」
目を細めて、カイはノムルを射るように見る。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる