175 / 385
魔王の遺跡編
227.空気を読まなさ過ぎる
しおりを挟む
「雪乃ちゃん、お父さん好き?」
「お父様も嫌い」
「ぐほっ!」
胸を抑えて吐血するおっさん魔法使い。そこへマンドラゴラは、「今だ!」とばかりに駆け寄った。草色のローブによじ登り、登頂に成功する。
「わー!」
「「……」」
虫の息で倒れているノムルも、人類滅亡を阻止していたムダイも、言葉を失った。
「ま、マンドラゴラ? 空気を読まなさ過ぎる」
ムダイは半目で遠くを眺める。だがSランクに認定されるほどの冒険者が、予想外の出来事に気を取られて、それを見逃すはずはなかった。
「あれ? 手紙がある」
「わー」
気付いたムダイに、マンドラゴラは頭を向けて手紙をアピールした。
ムダイはノムルの上で跳ねるマンドラゴラから手紙を外すと、中を確認する。
「えーっと、何々?」
中の文章を読もうとしたムダイは固まった。
この世界とあの世界では、文字が違う。
簡単な読み書きはできるようになっていたムダイだが、それを知らないカイからの手紙は、ムダイには理解できない単語が使われていた。
そんなムダイの様子を、じいっと見つめる視線。
目線を手紙から下げたムダイは、誤魔化すようににこりと微笑んだ。
「よく持ってきてくれたね。ありがとう」
そうマンドラゴラを褒めてから、
「はい、ノムルさん。手紙ですよ?」
と、流れるようにノムルの顔の前に差し出した。
マンドラゴラは、じいっとじいいーっと、ムダイを観察している。ムダイの心に、何かがちくちくと刺さり続ける。
「くっ、マンドラゴラにダメージを加えられるとか! さすがは樹人、恐るべし」
「わー!」
項垂れるムダイを確認したマンドラゴラは、満足そうに飛び跳ねた。
倒れていたおっさん魔法使いは、死んだ魚のような目を動かし、手紙の文面を読む。その目が徐々に光を取り戻していく。
がばりと起き上がったノムルの頭から、マンドラゴラが吹き飛ばされる。
「わー」
くるくると後方伸身三回宙返り一回半捻りを見事に決めて着地すると、ムダイに向けて、きらりーんと根を輝かせてみせるマンドラゴラ。
「マンドラゴラって、こういう植物なの? 植物の域を超えてるよね? え? 魔物だっけ?」
ムダイは混乱に打ち勝てず、見開いた目にマンドラゴラ選手を映したまま、頭を抱えた。
そんなノリの悪いムダイに、マンドラゴラは不満そうだ。「やれやれ、若造が」とでも言いたげに、葉を左右にふるふると振る。
「うわっ。なんか立ち直れそうに無いダメージが。なにこの心理攻撃?!」
Sランク冒険者、竜殺しのムダイは、マンドラゴラに敗北を喫したのだった。
「んな馬鹿なことしてないで行くぞ、マンドラゴラ! ムダイ、お前はユキノちゃんの体を守れ!」
むんずっとマンドラゴラをつかみ上げたノムルは、そのまま謁見の間から走り去った。
「わー」
廊下から聞こえるマンドラゴラの声は、すぐに小さくなって消えていく。
「え? あの、説明が……。雪乃ちゃんの体って、え? 中身は別人なの?」
理解が追いつかぬままに、ムダイは置いていかれたのであった。
廊下を駆け抜け、ノムルはカイの待つ部屋へと到着する。
ノムルの気配を感じたカイは本を仕舞い、紅色の球体が置かれた棚の前で待ち受けた。
「これだ。この中に雪乃の精神が閉じ込められているようだ」
紅色の球体を示すと、ノムルはすぐさまそれに向き合う。ぽいっと投げられたマンドラゴラを、カイは掌で受け止めた。
「わー?」
すとんとカイの掌に座ったマンドラゴラは、首を傾げてカイを見上げた。カイはよくやったとばかりに、マンドラゴラの頭を撫でてやる。
「わー」
マンドラゴラも満足そうに、カイの手に葉を摺り寄せた。けれどカイの顔は、難しそうに渋くなっていった。
カイの視線の先では、紅色の球体に向き合ったノムルが、顔をしかめている。紅色の球体を確かめるように指先で触れると、苦痛に顔を歪めた。
「くそっ! どこのどいつだ?! こんな趣味の悪いもんを、俺のユキノちゃんに使いやがったのは!」
怒りに魔力があふれ出し、部屋の中がびりびり揺れている。カイの体の周りにも、ぴりぴりと微量の雷撃が走り、尾や耳が毛羽立っていた。
マンドラゴラもふるふると震えている。
「わ゛ー」
まるで扇風機に向かって声を発する子供のように、楽しそうだ。
「それが何か分かるのか?」
「ああ。悪意の塊だ。これを使われた人間は、大抵すぐに気が狂う。お前が触れなかったのは正解だ。触ればお前の精神もやられていただろう。もし狂って壊しでもしてたら、中のユキノちゃんはどうなっていたか……くっ!」
がしがしと頭を掻き毟りながら、ノムルは球体を調べ続ける。
カイの顔が青ざめた。
本能的に触れることを避けたが、下手をすれば自分だけでなく、雪乃まで巻き込むところだったのだ。
「お前は体のほうに行ってろ。ユキノちゃんが戻ったら、すぐに連れて脱出しろ。俺のことは放っておけ」
「だが」
ノムルが自分を犠牲にして雪乃を救うつもりだと察したカイは、止めようとしたが飲み込んだ。
「雪乃はあなたがいなくなったら、悲しむと思う。無事に戻ってきてくれ」
「死にはしない。ただ、暴走する可能性があるだけだ」
弾かれるようにカイはノムルを見る。この男が暴走するなど、死ぬより性質が悪いかもしれない。
サアッと、血の気が引いた。
「時間が無いんだ。とっとと行け!」
「分かった。雪乃を頼む」
「お前に頼まれる筋合いは無い!」
マンドラゴラを連れてカイが出て行くと、ぱたりと扉が閉まった。
「さてと、ユキノちゃん、無事でいてくれよ?」
ノムルは魔法を発動させる。
まずはこの部屋に外から入れないように結界を施す。更には室内の空間を世界から隔離した。
自分の記憶と魔力にも干渉し、条件が満たされなければ元の世界に戻れないように、鍵を掛ける。
そうして自身を封じてから、ようやく紅色の球体への介入を始めた。
悪意がノムルの精神を侵食していく。
『憎い』
『許さない』
『お前のせいで』
次々と頭に流れ込んでくる、怨嗟の言葉。
「ああ、知ってるさ。けど、ユキノは返してもらう」
ノムルの体が黒いタールに包まれ、まぶたが閉じた。
「お父様も嫌い」
「ぐほっ!」
胸を抑えて吐血するおっさん魔法使い。そこへマンドラゴラは、「今だ!」とばかりに駆け寄った。草色のローブによじ登り、登頂に成功する。
「わー!」
「「……」」
虫の息で倒れているノムルも、人類滅亡を阻止していたムダイも、言葉を失った。
「ま、マンドラゴラ? 空気を読まなさ過ぎる」
ムダイは半目で遠くを眺める。だがSランクに認定されるほどの冒険者が、予想外の出来事に気を取られて、それを見逃すはずはなかった。
「あれ? 手紙がある」
「わー」
気付いたムダイに、マンドラゴラは頭を向けて手紙をアピールした。
ムダイはノムルの上で跳ねるマンドラゴラから手紙を外すと、中を確認する。
「えーっと、何々?」
中の文章を読もうとしたムダイは固まった。
この世界とあの世界では、文字が違う。
簡単な読み書きはできるようになっていたムダイだが、それを知らないカイからの手紙は、ムダイには理解できない単語が使われていた。
そんなムダイの様子を、じいっと見つめる視線。
目線を手紙から下げたムダイは、誤魔化すようににこりと微笑んだ。
「よく持ってきてくれたね。ありがとう」
そうマンドラゴラを褒めてから、
「はい、ノムルさん。手紙ですよ?」
と、流れるようにノムルの顔の前に差し出した。
マンドラゴラは、じいっとじいいーっと、ムダイを観察している。ムダイの心に、何かがちくちくと刺さり続ける。
「くっ、マンドラゴラにダメージを加えられるとか! さすがは樹人、恐るべし」
「わー!」
項垂れるムダイを確認したマンドラゴラは、満足そうに飛び跳ねた。
倒れていたおっさん魔法使いは、死んだ魚のような目を動かし、手紙の文面を読む。その目が徐々に光を取り戻していく。
がばりと起き上がったノムルの頭から、マンドラゴラが吹き飛ばされる。
「わー」
くるくると後方伸身三回宙返り一回半捻りを見事に決めて着地すると、ムダイに向けて、きらりーんと根を輝かせてみせるマンドラゴラ。
「マンドラゴラって、こういう植物なの? 植物の域を超えてるよね? え? 魔物だっけ?」
ムダイは混乱に打ち勝てず、見開いた目にマンドラゴラ選手を映したまま、頭を抱えた。
そんなノリの悪いムダイに、マンドラゴラは不満そうだ。「やれやれ、若造が」とでも言いたげに、葉を左右にふるふると振る。
「うわっ。なんか立ち直れそうに無いダメージが。なにこの心理攻撃?!」
Sランク冒険者、竜殺しのムダイは、マンドラゴラに敗北を喫したのだった。
「んな馬鹿なことしてないで行くぞ、マンドラゴラ! ムダイ、お前はユキノちゃんの体を守れ!」
むんずっとマンドラゴラをつかみ上げたノムルは、そのまま謁見の間から走り去った。
「わー」
廊下から聞こえるマンドラゴラの声は、すぐに小さくなって消えていく。
「え? あの、説明が……。雪乃ちゃんの体って、え? 中身は別人なの?」
理解が追いつかぬままに、ムダイは置いていかれたのであった。
廊下を駆け抜け、ノムルはカイの待つ部屋へと到着する。
ノムルの気配を感じたカイは本を仕舞い、紅色の球体が置かれた棚の前で待ち受けた。
「これだ。この中に雪乃の精神が閉じ込められているようだ」
紅色の球体を示すと、ノムルはすぐさまそれに向き合う。ぽいっと投げられたマンドラゴラを、カイは掌で受け止めた。
「わー?」
すとんとカイの掌に座ったマンドラゴラは、首を傾げてカイを見上げた。カイはよくやったとばかりに、マンドラゴラの頭を撫でてやる。
「わー」
マンドラゴラも満足そうに、カイの手に葉を摺り寄せた。けれどカイの顔は、難しそうに渋くなっていった。
カイの視線の先では、紅色の球体に向き合ったノムルが、顔をしかめている。紅色の球体を確かめるように指先で触れると、苦痛に顔を歪めた。
「くそっ! どこのどいつだ?! こんな趣味の悪いもんを、俺のユキノちゃんに使いやがったのは!」
怒りに魔力があふれ出し、部屋の中がびりびり揺れている。カイの体の周りにも、ぴりぴりと微量の雷撃が走り、尾や耳が毛羽立っていた。
マンドラゴラもふるふると震えている。
「わ゛ー」
まるで扇風機に向かって声を発する子供のように、楽しそうだ。
「それが何か分かるのか?」
「ああ。悪意の塊だ。これを使われた人間は、大抵すぐに気が狂う。お前が触れなかったのは正解だ。触ればお前の精神もやられていただろう。もし狂って壊しでもしてたら、中のユキノちゃんはどうなっていたか……くっ!」
がしがしと頭を掻き毟りながら、ノムルは球体を調べ続ける。
カイの顔が青ざめた。
本能的に触れることを避けたが、下手をすれば自分だけでなく、雪乃まで巻き込むところだったのだ。
「お前は体のほうに行ってろ。ユキノちゃんが戻ったら、すぐに連れて脱出しろ。俺のことは放っておけ」
「だが」
ノムルが自分を犠牲にして雪乃を救うつもりだと察したカイは、止めようとしたが飲み込んだ。
「雪乃はあなたがいなくなったら、悲しむと思う。無事に戻ってきてくれ」
「死にはしない。ただ、暴走する可能性があるだけだ」
弾かれるようにカイはノムルを見る。この男が暴走するなど、死ぬより性質が悪いかもしれない。
サアッと、血の気が引いた。
「時間が無いんだ。とっとと行け!」
「分かった。雪乃を頼む」
「お前に頼まれる筋合いは無い!」
マンドラゴラを連れてカイが出て行くと、ぱたりと扉が閉まった。
「さてと、ユキノちゃん、無事でいてくれよ?」
ノムルは魔法を発動させる。
まずはこの部屋に外から入れないように結界を施す。更には室内の空間を世界から隔離した。
自分の記憶と魔力にも干渉し、条件が満たされなければ元の世界に戻れないように、鍵を掛ける。
そうして自身を封じてから、ようやく紅色の球体への介入を始めた。
悪意がノムルの精神を侵食していく。
『憎い』
『許さない』
『お前のせいで』
次々と頭に流れ込んでくる、怨嗟の言葉。
「ああ、知ってるさ。けど、ユキノは返してもらう」
ノムルの体が黒いタールに包まれ、まぶたが閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる