250 / 385
ヒイヅル編
302.マンドラゴラたちは四方八方へと
しおりを挟む
さて、巧く店に侵入したノムルのドレスから床へと下り、そのまま店内を探索し始めたマンドラゴラたち。彼らには念のため、ノムルに認識阻害の魔法を掛けてもらっている。
これで少し見られた程度では、気付かれる心配は無い。マンドラゴラたちが悪戯心さえ起こさなければ。
マンドラゴラたちは四方八方へと散っていく。
一階を隅々まで探検するマンドラゴラ。階段を上る店員のズボンにしがみ付き、上階へと上るマンドラゴラ。目に付いた店員のズボンにぶら下がって遊んでいるマンドラゴラ。
それぞれが、人魚を探すために店の中を徘徊した。
しかし人魚は中々見つからない。
店内を一通り確認したところで、マンドラゴラたちは葉を萎らせる。
「わー……」
「わー?」
「わー!」
一所に集まったマンドラゴラたちは、なにやら会議をした後、揃って動き出した。
「わー」
「わー?」
「わー」
じいっと見つめる先には、一人の男。燕尾服を着た、雪乃たちが最初に見た店員だ。
「わー!」
一匹の合図を皮切りに、マンドラゴラたちは駆け出す。
「うん? 何だ? マンドラゴラ?!」
認識阻害の魔法は、あくまで認識し辛くするだけで、完全に姿を消すわけではない。声を出したり激しい動きをしたりすれば、気付かれることもある。
とはいえ、ノムルほどの魔法使いだ。一般人にはよほどのことがなければ気付かれることはない。裏を返せば、この男がただの一般人では無いということか。
否。目の前で騒がれれば、誰でも気付く。
マンドラゴラの姿を見止めた男の口元に、弧が描かれる。
動く薬草マンドラゴラ。未だに人工繁殖の成功例はなく、魔力回復薬として高額で取引される薬草である。それがなぜか店に迷い込んできた。
こんな幸運に遭遇した人間が、どのような行動に出るか。考えるまでも無いだろう。
男の手がマンドラゴラに伸びる。
「わー……」
一匹のマンドラゴラが男の手に捕まり、静かになった。
さらに男の手が伸びる。
「わー……」
然して早くもない足で逃げるマンドラゴラを捕まえるのは、難しくも無い。しかも手の中に収まるなり、抵抗することもなくおとなしくなる。
男は目に映ったマンドラゴラ三匹を握り締め、しげしげと観察する。すでに動かなくなっているが、鮮度も色艶や形も、素人が見ても上物と判断できた。
これは高く売れるだろうと、男はほくほくと笑みこぼれる。
その油断しきった男の表情を見たマンドラゴラたちの根が、きらりーんっと光る。一斉に根を上げて男のほうを向くと、
「「「わわわわ~」」」
と、歌うような声を上げた。
とたんに、男の目がとろりと緩む。そして、
「こちらです」
と、案内するようにふらふらと歩きだした。
男は三階へと上がり、廊下を奥へと進んで行く。扉を開けて部屋に入ると、鍵を掛けた。
本棚に近付き、青、赤、青、黄、青、紫、青と見せかけて黄の背表紙の本を引っこ抜く。すると、すうっと本棚が動き、隠し通路が現れた。
男はその通路に入ると、階段を下っていく。後ろの本棚は、勝手に戻って出口は閉じた。
マンドラゴラたちは予想以上の冒険に、わくわくが止まらない。
根をきらめかせて、階段の下を覗きこんでいる。
「わー!」
「わー!」
「わー!」
階段を下り切ると、男は先ほどの黄色い本を開き、中の詩を朗読し始めた。
「嗚呼、あなたはポポテプ。この世の何よりも美しき女神」
「「「……」」」
マンドラゴラたちは振り返り、男を凝視した。
「わー?」
「わぁー?」
「わー……」
互いの顔を見やり、ありえないとばかりに葉を左右に振る。
男の嗜好にどん引きのマンドラゴラたちを連れて、男は開いた扉の先へと入っていく。ぱしゃりと、水を弾く音が響いた。
「わー!」
「わー!」
「わー」
マンドラゴラたちの前には、捜し求めていた人魚がいた。
さっそくマンドラゴラたちは、雪乃へと言伝を送るのだった。
「わー!」
「人魚を見つけたようです」
連絡を受けた雪乃は、カイに伝える。
カイの目がぎろりと光り、窓の外を睨む。
「雪乃はここにいろ」
「だめです。一人では行かせません」
立ち上がったカイに続いて雪乃も立ち上がるが、カイは苦い顔だ。事前のノムルを交えた作戦会議では、ノムルが戻ってくるまでは二人とも部屋で待っておくように言われていた。
けれどカイは居ても立ってもいられないようで、雪乃を置いて出て行こうとする。
「カイさん」
呼び止める雪乃に、カイは振り向き片膝を突く。雪乃の頭に優しく手を乗せると、顔を覗きこんだ。
「雪乃に見せられる状態ではないかもしれない。ここで待っていてくれ」
「でもっ!」
「すぐに戻ってくる」
微笑んで頭を撫でると、カイは立ち上がり、扉を開けようと手を掛けた。
「カイさん……」
雪乃はカイの背中を切なげに見つめる。
見つめる。見つめた。
「カイさん?」
肩をふるふると震わせていたカイは、踵を返して窓へと向かう。そして開けようとしたのだが、
「……。閉じ込められた……」
がくりと窓に手を当てて、項垂れてしまった。
どうやらノムルが出かけ際に魔法を掛けてから行ったのだと気付いた雪乃は、彼のファインプレーに感謝しつつ、項垂れるカイを気の毒そうに見つめた。
「ふうん。見つかったんだー」
美しい貴婦人に鼻の下を伸ばしながら接待をしていた若い男の店員は、ふいに彼女が漏らした言葉に、訝しげに眉根を寄せた。
「なんでもありませんわ。ふふ」
淑やかに微笑む貴婦人に、店員は頬を染める。
「ですから」
と、貴婦人は女性にしては少し太い指で店員の顎を上げ、顔を近づける。美しい貴婦人に迫られて、店員の表情がによによとだらしなく崩れた。
「やれ」
「え?」
微笑を浮かべたまま貴婦人が口にした言葉に、店員が真顔に戻ったのは一瞬のことだった。
「わわわわ~」
歌うようなマンドラゴラの声を聞き、店員はとろりと目を虚ろにする。
声を発したのは、仲間が人魚を見つけたためノムルの下に戻ってきたマンドラゴラだ。
「いやあ、便利便利。さ、そのままそいつに先導させろ」
「わー」
ノムルが命じると、マンドラゴラの声に従って店員が動き出す。
店員に先を歩かせたノムルは、案内されている風を装って移動を開始した。
これで少し見られた程度では、気付かれる心配は無い。マンドラゴラたちが悪戯心さえ起こさなければ。
マンドラゴラたちは四方八方へと散っていく。
一階を隅々まで探検するマンドラゴラ。階段を上る店員のズボンにしがみ付き、上階へと上るマンドラゴラ。目に付いた店員のズボンにぶら下がって遊んでいるマンドラゴラ。
それぞれが、人魚を探すために店の中を徘徊した。
しかし人魚は中々見つからない。
店内を一通り確認したところで、マンドラゴラたちは葉を萎らせる。
「わー……」
「わー?」
「わー!」
一所に集まったマンドラゴラたちは、なにやら会議をした後、揃って動き出した。
「わー」
「わー?」
「わー」
じいっと見つめる先には、一人の男。燕尾服を着た、雪乃たちが最初に見た店員だ。
「わー!」
一匹の合図を皮切りに、マンドラゴラたちは駆け出す。
「うん? 何だ? マンドラゴラ?!」
認識阻害の魔法は、あくまで認識し辛くするだけで、完全に姿を消すわけではない。声を出したり激しい動きをしたりすれば、気付かれることもある。
とはいえ、ノムルほどの魔法使いだ。一般人にはよほどのことがなければ気付かれることはない。裏を返せば、この男がただの一般人では無いということか。
否。目の前で騒がれれば、誰でも気付く。
マンドラゴラの姿を見止めた男の口元に、弧が描かれる。
動く薬草マンドラゴラ。未だに人工繁殖の成功例はなく、魔力回復薬として高額で取引される薬草である。それがなぜか店に迷い込んできた。
こんな幸運に遭遇した人間が、どのような行動に出るか。考えるまでも無いだろう。
男の手がマンドラゴラに伸びる。
「わー……」
一匹のマンドラゴラが男の手に捕まり、静かになった。
さらに男の手が伸びる。
「わー……」
然して早くもない足で逃げるマンドラゴラを捕まえるのは、難しくも無い。しかも手の中に収まるなり、抵抗することもなくおとなしくなる。
男は目に映ったマンドラゴラ三匹を握り締め、しげしげと観察する。すでに動かなくなっているが、鮮度も色艶や形も、素人が見ても上物と判断できた。
これは高く売れるだろうと、男はほくほくと笑みこぼれる。
その油断しきった男の表情を見たマンドラゴラたちの根が、きらりーんっと光る。一斉に根を上げて男のほうを向くと、
「「「わわわわ~」」」
と、歌うような声を上げた。
とたんに、男の目がとろりと緩む。そして、
「こちらです」
と、案内するようにふらふらと歩きだした。
男は三階へと上がり、廊下を奥へと進んで行く。扉を開けて部屋に入ると、鍵を掛けた。
本棚に近付き、青、赤、青、黄、青、紫、青と見せかけて黄の背表紙の本を引っこ抜く。すると、すうっと本棚が動き、隠し通路が現れた。
男はその通路に入ると、階段を下っていく。後ろの本棚は、勝手に戻って出口は閉じた。
マンドラゴラたちは予想以上の冒険に、わくわくが止まらない。
根をきらめかせて、階段の下を覗きこんでいる。
「わー!」
「わー!」
「わー!」
階段を下り切ると、男は先ほどの黄色い本を開き、中の詩を朗読し始めた。
「嗚呼、あなたはポポテプ。この世の何よりも美しき女神」
「「「……」」」
マンドラゴラたちは振り返り、男を凝視した。
「わー?」
「わぁー?」
「わー……」
互いの顔を見やり、ありえないとばかりに葉を左右に振る。
男の嗜好にどん引きのマンドラゴラたちを連れて、男は開いた扉の先へと入っていく。ぱしゃりと、水を弾く音が響いた。
「わー!」
「わー!」
「わー」
マンドラゴラたちの前には、捜し求めていた人魚がいた。
さっそくマンドラゴラたちは、雪乃へと言伝を送るのだった。
「わー!」
「人魚を見つけたようです」
連絡を受けた雪乃は、カイに伝える。
カイの目がぎろりと光り、窓の外を睨む。
「雪乃はここにいろ」
「だめです。一人では行かせません」
立ち上がったカイに続いて雪乃も立ち上がるが、カイは苦い顔だ。事前のノムルを交えた作戦会議では、ノムルが戻ってくるまでは二人とも部屋で待っておくように言われていた。
けれどカイは居ても立ってもいられないようで、雪乃を置いて出て行こうとする。
「カイさん」
呼び止める雪乃に、カイは振り向き片膝を突く。雪乃の頭に優しく手を乗せると、顔を覗きこんだ。
「雪乃に見せられる状態ではないかもしれない。ここで待っていてくれ」
「でもっ!」
「すぐに戻ってくる」
微笑んで頭を撫でると、カイは立ち上がり、扉を開けようと手を掛けた。
「カイさん……」
雪乃はカイの背中を切なげに見つめる。
見つめる。見つめた。
「カイさん?」
肩をふるふると震わせていたカイは、踵を返して窓へと向かう。そして開けようとしたのだが、
「……。閉じ込められた……」
がくりと窓に手を当てて、項垂れてしまった。
どうやらノムルが出かけ際に魔法を掛けてから行ったのだと気付いた雪乃は、彼のファインプレーに感謝しつつ、項垂れるカイを気の毒そうに見つめた。
「ふうん。見つかったんだー」
美しい貴婦人に鼻の下を伸ばしながら接待をしていた若い男の店員は、ふいに彼女が漏らした言葉に、訝しげに眉根を寄せた。
「なんでもありませんわ。ふふ」
淑やかに微笑む貴婦人に、店員は頬を染める。
「ですから」
と、貴婦人は女性にしては少し太い指で店員の顎を上げ、顔を近づける。美しい貴婦人に迫られて、店員の表情がによによとだらしなく崩れた。
「やれ」
「え?」
微笑を浮かべたまま貴婦人が口にした言葉に、店員が真顔に戻ったのは一瞬のことだった。
「わわわわ~」
歌うようなマンドラゴラの声を聞き、店員はとろりと目を虚ろにする。
声を発したのは、仲間が人魚を見つけたためノムルの下に戻ってきたマンドラゴラだ。
「いやあ、便利便利。さ、そのままそいつに先導させろ」
「わー」
ノムルが命じると、マンドラゴラの声に従って店員が動き出す。
店員に先を歩かせたノムルは、案内されている風を装って移動を開始した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる