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ヒイヅル編
338.父は父だから
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「別に自立したからって嫌っているわけじゃないでしょう? 私は今も父のことは尊敬しているもの。でも抱きつかれたりは御免ね」
「それは好きじゃなくなったからじゃないのか?」
ノムルの疑問に、シナノはうーんっと首を捻る。
「父は父だからじゃないかしら? 成長すると、異性との接触に対して神経質になるのよ。番の男以外に触られると、正直嫌悪感が湧いてくるわ」
「ああ」
シナノの答えに、なぜかカイが頷いた。
三人の疑問を含んだ視線が、カイに向かう。
「シナノはもてるからな。だが男が触れると、満面の笑みでぶちのめす」
さらりと、シナノの暴挙が暴露された。
「カイ、あんた、デリカシーってものを学びなさい」
角を生やした般若が、満面の笑みでカイを威圧し始めた。カイの膝の上に座っていた雪乃は、その恐ろしさを正面から見てしまったのだった。
身を縮めてふるふると震える雪乃は、カイの袖をきゅっと握っている。そんな雪乃の機嫌を取ろうと、ノムルとシナノが笑顔を作って、猫なで声で優しい言葉を掛ける。
その内に、
「お前、ユキノちゃんを怖がらせるとか、どういうつもりだ?!」
「あなたに言われたくないわよ! 昨日からどれだけ暴走しているの?!」
「なんだとっ?!」
「何よ?!」
なぜか口論へと発展し、揃って家から飛び出していった。
外から男女の罵りあう声と、爆発音にも似た音が地響きと共に届く。
「シナノさん、凄いです」
「ああ。強い女だとは思っていたが、思っていた以上だったようだ」
ぽふぽふと頭を叩かれながら、雪乃はカイと頷きあった。これは上手くいけば、ノムルの矯正に成功するかもしれないと、期待を寄せる。
半刻ほどして戻ってきた二人は、なぜか意気投合していた。
「これはどうだ?」
「せっかくなら、これを足して」
「じゃあついでにこれも……」
襖を隔てた隣の六畳間から、ノムルとシナノの真剣な声が聞こえてくる。時折歓声が上がったりと、なんだか和気藹々としていた。
それはともかく、
「なんだか嫌な予感がします」
「俺もだ」
今までの経験から察してしまった雪乃は額を押さえ、カイも眉間にしわを集める。
意見の一致した二人は、すっくと立ち上がる。しかし一歩遅かった。
襖がすぱーんっと良い音を立てて開け放たれる。現れたのは、満面の笑みを輝かせる、ノムルとシナノ。その手には、振袖が掲げられていた。
「ユキノちゃん、お着替えしよう?」
「きっと似合うわよー」
桜が描かれた萌葱色の振袖に、薄桃色の帯。初夏には季節外れの絵柄だが、そんなことを気にするようなノムルとシナノではないだろう。
ちなみに振袖は、まだ体が出来上がっていない子供の体温を調節するためや、袖を多く取ることで成長しても反物を使いまわされるようにと工夫されてできた、子供用の着物である。
そのため結婚したり成人を迎えたりすると、子供を卒業したという意味で袖を短くした。
それはさておき、目の前の振袖である。
「私のお古なんだけど、着てみてー」
状況判断が追いつかず固まっていた雪乃は、あれよあれよと言う間に振袖姿に変身していた。
雪乃の細い幹では帯など結べないはずなのだが、ノムルとシナノが魔法やら小道具やらを使い、しっかりと着付けた。
「可愛いわよ、雪乃ちゃん」
「ユキノちゃん、こっち向いてー」
シナノが騒ぎ、ノムルは自作した水晶玉のようなビデオもどきの魔法道具で、雪乃を撮影する。
「それいいわね。私にもちょうだい」
「仕方ないな。今回はユキノちゃんを可愛くしてくれたからな、特別だぞ」
「ありがとう。さ、雪乃ちゃん、こっちも向いてー」
雪乃は剥きだしの梁を見上げる。太い梁は日々しっかり燻されて煤けているが、磨けば艶やかに輝くことだろう。
そんな現実逃避をしている間に撮影会は進み、気付けば雪乃は、大勢の獣人たちから注目を浴びながら花畑で踊らされていた。
「シナノさんに期待をしていたはずが、ノムルさんが増殖しました」
がくりと、肩を落とす小さな樹人の子供。
やんややんやと盛り上がる獣人たちの中で、カイだけが心配そうに雪乃を見つめていた。
「雪乃、頑張ったな」
「あい」
ようやく解放された雪乃は、カイに抱っこされて慰められたのだった。
狼獣人の里に到着してから数日、なぜか時々皇子たちに言い寄られたりしながら、雪乃はカイと共に里の中を歩いて過ごしていた。
基本的には雪乃と共に行動していたノムルだが、時々別行動を取るなど、ここにきて少し子離れを身に付けたようだ。
とはいえ夜は相変わらず、夜露に濡れることも厭わず、雪乃の姿が見られる屋外で眠っていたが。
魔法で雨風を防ぐだけでなく、周囲の温度まで調整できるとはいえ、人間の体には良くないだろう。雪乃は何度かやめるように言ったのだが、ノムルは慣れているからと、聞き入れようとはしなかった。
「御子様、エルフ領に向かう準備が整いました」
そうヒミコから告げられた翌日、雪乃は薬草と新たな情報を得るために、狼獣人の里から旅立った。
雪乃が乗せられた輿に同行しているのは、カイの他に拝殿で紹介されてその後も何度か雪乃に声を掛けてきた第二皇子のムサシと第四皇子のスオウ、それに来るときにも同行したビゼンと高位貴族らしき獣人の二名だ。
他にも輿を担ぐ力者たちや、エルフへの貢物が詰め込まれた行李などの荷を運ぶ者を含めると、総勢十四名にもなった。
エルフは獣人たち以上に人間を警戒しているということで、ヒミコたちはノムルの同行を許さなかった。
以前ならば決して同意しなかっただろうノムルは、雪乃の身を案じながらも受け入れた。
「エルフは樹人の王をお世話する役割を担っております。エルフたちのお蔭で、人々は精霊の恩恵を得ることができるのです。そのお礼に、我等獣人は衣服などをエルフに捧げます」
道すがら、ビゼンはエルフについて雪乃に説明してくれた。
エルフたちは植物の世話を得意とし、知識も豊富だが、衣服や道具といったものを作ることは苦手なのだという。そのため、獣人たちは定期的にエルフに届けているそうだ。その際に、薬草などを分けてもらう。
今回はエルフ領に行くには早い時期なのだが、雪乃がいるため、特別に向かうことになったらしい。
「それは好きじゃなくなったからじゃないのか?」
ノムルの疑問に、シナノはうーんっと首を捻る。
「父は父だからじゃないかしら? 成長すると、異性との接触に対して神経質になるのよ。番の男以外に触られると、正直嫌悪感が湧いてくるわ」
「ああ」
シナノの答えに、なぜかカイが頷いた。
三人の疑問を含んだ視線が、カイに向かう。
「シナノはもてるからな。だが男が触れると、満面の笑みでぶちのめす」
さらりと、シナノの暴挙が暴露された。
「カイ、あんた、デリカシーってものを学びなさい」
角を生やした般若が、満面の笑みでカイを威圧し始めた。カイの膝の上に座っていた雪乃は、その恐ろしさを正面から見てしまったのだった。
身を縮めてふるふると震える雪乃は、カイの袖をきゅっと握っている。そんな雪乃の機嫌を取ろうと、ノムルとシナノが笑顔を作って、猫なで声で優しい言葉を掛ける。
その内に、
「お前、ユキノちゃんを怖がらせるとか、どういうつもりだ?!」
「あなたに言われたくないわよ! 昨日からどれだけ暴走しているの?!」
「なんだとっ?!」
「何よ?!」
なぜか口論へと発展し、揃って家から飛び出していった。
外から男女の罵りあう声と、爆発音にも似た音が地響きと共に届く。
「シナノさん、凄いです」
「ああ。強い女だとは思っていたが、思っていた以上だったようだ」
ぽふぽふと頭を叩かれながら、雪乃はカイと頷きあった。これは上手くいけば、ノムルの矯正に成功するかもしれないと、期待を寄せる。
半刻ほどして戻ってきた二人は、なぜか意気投合していた。
「これはどうだ?」
「せっかくなら、これを足して」
「じゃあついでにこれも……」
襖を隔てた隣の六畳間から、ノムルとシナノの真剣な声が聞こえてくる。時折歓声が上がったりと、なんだか和気藹々としていた。
それはともかく、
「なんだか嫌な予感がします」
「俺もだ」
今までの経験から察してしまった雪乃は額を押さえ、カイも眉間にしわを集める。
意見の一致した二人は、すっくと立ち上がる。しかし一歩遅かった。
襖がすぱーんっと良い音を立てて開け放たれる。現れたのは、満面の笑みを輝かせる、ノムルとシナノ。その手には、振袖が掲げられていた。
「ユキノちゃん、お着替えしよう?」
「きっと似合うわよー」
桜が描かれた萌葱色の振袖に、薄桃色の帯。初夏には季節外れの絵柄だが、そんなことを気にするようなノムルとシナノではないだろう。
ちなみに振袖は、まだ体が出来上がっていない子供の体温を調節するためや、袖を多く取ることで成長しても反物を使いまわされるようにと工夫されてできた、子供用の着物である。
そのため結婚したり成人を迎えたりすると、子供を卒業したという意味で袖を短くした。
それはさておき、目の前の振袖である。
「私のお古なんだけど、着てみてー」
状況判断が追いつかず固まっていた雪乃は、あれよあれよと言う間に振袖姿に変身していた。
雪乃の細い幹では帯など結べないはずなのだが、ノムルとシナノが魔法やら小道具やらを使い、しっかりと着付けた。
「可愛いわよ、雪乃ちゃん」
「ユキノちゃん、こっち向いてー」
シナノが騒ぎ、ノムルは自作した水晶玉のようなビデオもどきの魔法道具で、雪乃を撮影する。
「それいいわね。私にもちょうだい」
「仕方ないな。今回はユキノちゃんを可愛くしてくれたからな、特別だぞ」
「ありがとう。さ、雪乃ちゃん、こっちも向いてー」
雪乃は剥きだしの梁を見上げる。太い梁は日々しっかり燻されて煤けているが、磨けば艶やかに輝くことだろう。
そんな現実逃避をしている間に撮影会は進み、気付けば雪乃は、大勢の獣人たちから注目を浴びながら花畑で踊らされていた。
「シナノさんに期待をしていたはずが、ノムルさんが増殖しました」
がくりと、肩を落とす小さな樹人の子供。
やんややんやと盛り上がる獣人たちの中で、カイだけが心配そうに雪乃を見つめていた。
「雪乃、頑張ったな」
「あい」
ようやく解放された雪乃は、カイに抱っこされて慰められたのだった。
狼獣人の里に到着してから数日、なぜか時々皇子たちに言い寄られたりしながら、雪乃はカイと共に里の中を歩いて過ごしていた。
基本的には雪乃と共に行動していたノムルだが、時々別行動を取るなど、ここにきて少し子離れを身に付けたようだ。
とはいえ夜は相変わらず、夜露に濡れることも厭わず、雪乃の姿が見られる屋外で眠っていたが。
魔法で雨風を防ぐだけでなく、周囲の温度まで調整できるとはいえ、人間の体には良くないだろう。雪乃は何度かやめるように言ったのだが、ノムルは慣れているからと、聞き入れようとはしなかった。
「御子様、エルフ領に向かう準備が整いました」
そうヒミコから告げられた翌日、雪乃は薬草と新たな情報を得るために、狼獣人の里から旅立った。
雪乃が乗せられた輿に同行しているのは、カイの他に拝殿で紹介されてその後も何度か雪乃に声を掛けてきた第二皇子のムサシと第四皇子のスオウ、それに来るときにも同行したビゼンと高位貴族らしき獣人の二名だ。
他にも輿を担ぐ力者たちや、エルフへの貢物が詰め込まれた行李などの荷を運ぶ者を含めると、総勢十四名にもなった。
エルフは獣人たち以上に人間を警戒しているということで、ヒミコたちはノムルの同行を許さなかった。
以前ならば決して同意しなかっただろうノムルは、雪乃の身を案じながらも受け入れた。
「エルフは樹人の王をお世話する役割を担っております。エルフたちのお蔭で、人々は精霊の恩恵を得ることができるのです。そのお礼に、我等獣人は衣服などをエルフに捧げます」
道すがら、ビゼンはエルフについて雪乃に説明してくれた。
エルフたちは植物の世話を得意とし、知識も豊富だが、衣服や道具といったものを作ることは苦手なのだという。そのため、獣人たちは定期的にエルフに届けているそうだ。その際に、薬草などを分けてもらう。
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