394 / 401
番外編
番外編:とあるエルフの嘆き
しおりを挟む
東の果てにある島国の北側には、エルフの森が広がっている。そこには精霊を生み出す樹人の王が住んでいるという。
「お父様、どうかお願いいたします」
エルフのラスエルは、樹人の王に懇願していた。
「そもそもそれって精霊たちが選ぶことで、僕がどうこうすることじゃないでしょ?」
樹人の王は面倒臭そうに答える。
顔色を悪くしてしょげたラスエルは、恨めしそうに周囲でくつろぐ者たちを見る。
「わー」
「わー?」
「わー」
エルフの森で自由に遊びくつろぐマンドラゴラたち。
「なぜ? なぜなのです?」
ラスエルは両手で顔を覆いうなだれる。
当代樹人の王は、多くの精霊を生み出した。しかしエルフは未だに一人も生まれていない。
精霊たちが肉体を求めることで、エルフは生まれる。新たな樹人の王から生まれた精霊たちの中にも、肉体を求める者たちはいた。だが誰一人として、エルフとはならなかった。
精霊たちは、他の体を選んだのだ。
「誇り高きエルフにならず、なぜマンドラゴラなどに?!」
「わー?」
「わー?」
「わー!」
そう、マンドラゴラという肉体を。
「言葉も喋れぬではありませんか」
「わー?」
「わー!」
「わー!」
マンドラゴラたちは抗議の声を上げる。
「魔法も使えぬ」
「「「わわわわ~」」」
「幻覚だけではお父様を守れぬわ!」
「「「わー……」」」
かんしゃくを起こすラスエルを、マンドラゴラたちは面倒臭そうに見上げた。
「仲良くしなよ。マンドラゴラの体も楽しいよ? ラスエルもマンドラゴラになってみれば?」
「お断りします!」
きゃらきゃらと笑う樹人の王に、ラスエルは今日もこめかみを抑えて大きなため息を吐くのだった。
「お父様、どうかお願いいたします」
エルフのラスエルは、樹人の王に懇願していた。
「そもそもそれって精霊たちが選ぶことで、僕がどうこうすることじゃないでしょ?」
樹人の王は面倒臭そうに答える。
顔色を悪くしてしょげたラスエルは、恨めしそうに周囲でくつろぐ者たちを見る。
「わー」
「わー?」
「わー」
エルフの森で自由に遊びくつろぐマンドラゴラたち。
「なぜ? なぜなのです?」
ラスエルは両手で顔を覆いうなだれる。
当代樹人の王は、多くの精霊を生み出した。しかしエルフは未だに一人も生まれていない。
精霊たちが肉体を求めることで、エルフは生まれる。新たな樹人の王から生まれた精霊たちの中にも、肉体を求める者たちはいた。だが誰一人として、エルフとはならなかった。
精霊たちは、他の体を選んだのだ。
「誇り高きエルフにならず、なぜマンドラゴラなどに?!」
「わー?」
「わー?」
「わー!」
そう、マンドラゴラという肉体を。
「言葉も喋れぬではありませんか」
「わー?」
「わー!」
「わー!」
マンドラゴラたちは抗議の声を上げる。
「魔法も使えぬ」
「「「わわわわ~」」」
「幻覚だけではお父様を守れぬわ!」
「「「わー……」」」
かんしゃくを起こすラスエルを、マンドラゴラたちは面倒臭そうに見上げた。
「仲良くしなよ。マンドラゴラの体も楽しいよ? ラスエルもマンドラゴラになってみれば?」
「お断りします!」
きゃらきゃらと笑う樹人の王に、ラスエルは今日もこめかみを抑えて大きなため息を吐くのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3,546
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。