百合好き転生令嬢は、黒髪に生まれたことで親族たちから疎まれていますが、念願通り百合に囲まれ今日も幸せです

tataku

文字の大きさ
3 / 42

第3話 教会騎士はエロくて困る

しおりを挟む
 シスターサラが魔法で私の身体を確認し、問題ないが今日は絶対安静、とのことで――再びベットの上に戻された。
 
「今日は誕生日で、まだ日が傾いてませんけど?」

 本当、ありえない。まじでありえないと思いますよ! 私はベットの上で抗議をした。そう――それはまるで、圧政から立ち上がるヒーローのように。

 しかし――妹に睨みつけられ、振り上げた拳を下ろすことになる。だが皆さん、どうか勘違いしないで欲しい。これは私が情けないからではない、そう――これは、私が優しいからだ! 本当――姉の鏡だよ、私は。
 
「レナ様は今日、15 歳になられましたのよね?」
「そうだけど、よく知ってるね」
「それはもう、次期ブロード家の領主となるかもしれない御方ですもの。皆が知っていて当然のことですわ」
 
 なんか嫌だな、それ。
 
 私と妹は全く似ていない。だが、この世界ではすごく珍しい双子。それもよく知られているひとつの要因だろうと思う。
 
「明日が楽しみですわね」

 と、シスターサラは言った。
 
 この国の人間は、15歳の誕生日の翌日に、教会でひとつの儀式を行われる。

 体の中に眠る魔力を目覚めさせ、その子の魔力適性を見極める日。

 この世界は魔力至上主義。結果次第で私か妹、どちらかが次期領主候補となる――はずだ。魔力の質によっては、どちらもなれない可能性がある。
 
 正直な話、私は領主になりたいとは思わない。のんびりな百合スローライフ生活こそが、私の夢だからだ。
 
「先ほど、レナ様の身体の中を隅々まで見させて頂きましたが――」
 
 言い方までいちいちエロイなぁ、こいつは!
 
「明日は凄い結果になるかもしれませんわね」
 
 何故か小声で、私の耳元に話しかけてくる。息が耳たぶに触れ、少し身震いした。
 
 私から体を離し、妖艶な笑みを浮かべやがる。
 
 本当――エロイなぁ、こいつは!
 
「それでは、失礼致しますわ」
 
 シスターサラはカーテンシーで挨拶をした。
 
 つい、下の方をガン見してしまう。でも、見えなかった!
 
 私が感謝の言葉を告げると、シスターサラは軽く頷き、妹とメイド長に挨拶をした。

 部屋の扉を開けると、シスターが数人ほどお見えになった。彼女たちは重々しく頭を下げる。家のメイド数人も私の方を見て頭を下げ、一緒に部屋を出ていった。

 私、本当に色んな人間に迷惑をかけたらしい。反省はするけど、きっとすぐに忘れてしまうだろう。それが私なのだ!

 ――そう、ありたい。

 そういう私でありたいのだ。私は意外と気にしぃで、色々考えて、中々寝付けなくなる傾向がある。
 
 前世の私は違う。辛いことだってあったのに、挫けず、前ばかりを見ていた。周りから馬鹿にされようとも、必死に生きた彼女の人生は――私には眩し過ぎる。だけどどこか悔しくて、馬鹿だ間抜けだと――揶揄したくなる。

 彼女は――この屋敷の中でしか騒げない、今の私とは違う。正直、別人の記憶だと言われたほうが、まだ納得するし、そうであって欲しいと思う。彼女はあの世界で、今も元気に生きている。そう――あるべきなんだ。
 
「それでは姉様、絶対安静にしていてくださいよ。せめて、今日ぐらいは」
 
 刺々しい言葉を残して、妹は自分のメイドを引き連れて部屋から出ていった。
 
 メイド長が頭を下げる。彼女と共に他のメイドたちも部屋から出ていこうとしたため、私がいたずらをし――迷惑をかけたカトレアだけは、残るように伝えた。
 
 みんなが出ていったのを確認した後、カトレアの方に視線を向ける。私はベットの上で、上体を起こした状態で彼女を眺めた。

 頭が項垂れており、顔がよく見えない。距離がいつもと比べてかなり離れている。
 
「カトレア、いつものように――近づいて貰ってもいいかな?」
「は、はい」
 
 声が震えている。今にも倒れてしまいそうな歩き方で、すぐに足が止まった。やはりいつもよりかなり距離がある。

 失礼だとは思いつつも、少しだけ顔を覗いた。カトレアの目はまだ赤く、鼻水が垂れる。カトレアは顔も赤くし、ハンカチで慌てて鼻を拭った。
 
 私が笑うと、カトレアは頭をさらに項垂れさせた。いつもなら子犬のように怒って、私を萌えさせるのに。
 
 彼女は私より2つ年上で、背は私より小さく、150cm。しかし胸は中々に大きく、体の線は細い。人によっては、最高にえろい身体。だけど、子犬感が全体的に漂っており、シスターサラのような色気はまったくない。それなのに、無性に触りたくなってしまう。そんな不思議な魅力があり、ついついチョメチョメないたずらをしてしまう。
 
 あ、別にエロい感情からではなく、親愛の感情による行動です!
 
 カトレアは、二重の大きな目をしており、瞳がいつもうるうるしている感じで、犬っぽくてついついいじめたくなってしまう。薄いピンク色のくせ毛を、私がプレゼントした黒い大きなリボンでポニーテールにしている。それは私の趣味だ。まるで犬の尻尾のようで、かなり可愛い。だけど、今日はそのしっぽが小刻みに震えている。
 
 私はカトレアのことが大好きだ。妹は何人ものメイドに世話をさせているが、私は数年前からカトレアただ一人だけ。彼女以外に身の回りの世話をさせたいとは絶対に思わない。
 
 他のメイドは下級貴族の出だが、カトレアは元々奴隷の身であり、私の気まぐれで買った存在。

 ふふふ。

 私は――認めよう、私は最低な奴だと!

 奴隷の子を、気まぐれで買うとか――本当、屑ですね!

 だけど私は――彼女を家族として大事に思っているし、対等の立場だと考えている。しかし、実際はそうじゃないのかもしれない。

 本当――私のせいで迷惑をかけた。もう私の世話はしたくないと思われても仕方がない。私はよく、カトレアを怒らせてしまうから。

 だから、きっと妹のほうがいいだろうし、妹なら私なんかよりもカトレアのことを大事にしてくれる。次期領主になるのも妹なわけだし――全てのメイドが、私なんかより妹の方がいいと、そう思っているはずだ。
 
 ブロード家は皆赤い髪で生まれ、赤みが強ければ強いほど、精霊に愛された証となる。そんな中、私1人が黒髪で生まれた。親類から疎まれる私なんかより、妹を選ぶのは当然の話。
 
 私はベットから起き上がり、彼女の前に立つと、カトレアは顔を上げてくれた。

 今にも、泣き出してしまいそうだ。
 
「ごめん」
 
 私はカトレアに頭を下げた。それで許されると感じたからじゃない――そんなの、自分のためだ。
 
「な、なんでレナ様が謝るんですか!? 謝るのはわたしのほうです! 私が追いかけなければ、こんなことには――」
「追いかけられるようなことをしたのは、私の方だよ」
 
 私は顔を上げ、カトレアを見つめる。彼女の目に涙が溢れかけた。
 
「いつだって私は、カトレアを困らしてばっかりだ。もしカトレアも、妹のほうがいいって言うのなら、私の担当を外れてくれてもいい」
 
 カトレアの目に溜まった涙が溢れてしまう。

 又、泣かした。

 言い方が卑怯だったか? 外れてもいい、ではなく、外れてくれと言うべきだった。私がそう言えば、カトレアはなんの憂いもなく、妹のために働けるのだから。

 カトレアは、震える足で私の方へと近づき、震える手で――私の服を掴んだ。
 
「レ、レナ様、ごめんなさい……。な、何でもしますから。だ、だから……私を、捨てないで、ください」
 
 カトレアは私の服を引っ張り、わんわん泣き出してしまった。そのため、私はかなり戸惑ってしまう。

 ど、どうしたらいい!?
 
「ち、違うよ。捨てるんじゃないよ? 妹にまかせるんだよ? そっちのほうが全然待遇いいし、仕事だって楽になるんだよ?」
「捨てるんじゃないですかぁ! 私なんてもういらないんだぁ!」
 
 余計ひどくなった。自分の両手が空中に彷徨い、行き場を見失った。

 誰か――。
 
 誰か、助けてくれ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

俺は美少女をやめたい!

マライヤ・ムー
ファンタジー
美少女になってしまった俺が男に戻る方法は、100人の女の子のくちびるを奪うこと!   けがれなき乙女の園、ささやく魔導書、うなるチェーンソー、そして咲き乱れる百合の花。

処理中です...