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2 魔力鑑定
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初めて父と対面し言葉を交わし、継母と妹に会い、馬車にのって街へ出た。
「あまり外を見るな。外から見えてしまうではないか。ほら、これを被っていなさい」
そう言って公爵は娘にフードのついた外套を着せる。
「あつい……」
「がまんしなさい。いいか、馬車から降りたらまっすぐ階段を上がって、そこにいる人達の言うとおりに大人しくしているのだ。鑑定が終わる頃には迎えに来るからな」
そうしてアディーナは鑑定が行われる神殿の前に置き去りにされた。
周りの子どもたちは皆、親たちに付き添われて階段を登っていく中を、アディーナはとことこと一人登っていく。
主要な都市だけでなく、国内のどこにでもある創造神ガーナを祀る神殿は一部がなぜか工事中だった。
「あら、まだ終わっていなかったのね」
「昨年だろ?第一王子の鑑定で壊れたらしいな」
「ものすごい魔力量で建物が吹き飛んだらしい」
アディーナよりひとつ上のこの国の第一王子アシェルの鑑定で余りの魔力量で鑑定場が爆発したことは有名だった。
その後修復作業が始まったが、何しろ歴史的建造物でもある大神殿のためなかなか進まない。
それでも今年の鑑定式のために、何とか主要な部分は間に合ったようだ。
「ここからは鑑定を受ける者だけとなります」
普段人々が祈りを捧げる礼拝堂の更に奥、鑑定が行われる場所の入り口で親たちと子どもは別々になる。
「おや、おじょうちゃんのお家の人は?」
一人でやってきたアディーナに神官が訊ねる。
「おわったら迎えに来てくれます」
「そうか……悪いがここでは帽子や外套は被っちゃいけないから、それ外してくれるかな」
神聖な場所に被り物は禁止だと言われ、アディーナは仕方なく外套を脱いだ。
「あ」
「まあ」
真っ直ぐに伸びた黒髪が姿を現すと、誰もがそこに目を止めた。
黒髪や黒い瞳は珍しくないが、両方を持つ者は稀で、不吉の象徴と言われ田舎の方の迷信が強く残る土地では忌み嫌われる。
中には髪を染めさせたりする親もいて、ひどい場合は捨てたりもする。
「おじょうちゃんのお名前は?」
「アディーナです。アディーナ・ヴォルカティーニ」
「ええっと……アディーナ、アディーナ……あ、あった。どうぞ」
「ありがとうございます」
礼をして中に入ると既に大半の子どもたちが来ており、賑やかだった。
アディーナは他の子達と仲間に入ることも出来ず、端の方で順番が来るのを待った。
鑑定は中央に置かれた十二の石を使う。
時計の文字盤のように置かれた石の中央には魔方陣が描かれ、そこに立つと魔力が流されて、その魔力に反応した自らの魔力で石を輝かせる。
そうしていくつ石が輝くかで魔力量がわかる。
そう説明を受けて次々と皆が名前を呼ばれて歩いていく。
多くは半分くらいの石を光らせ、中には十個まで光らせた子がいた。それが今日の一番らしい。
淡い金髪の可愛い女の子だった。アディーナは名前を聞き逃したが、着ているものを見てもどこかの貴族の子のようだった。
「次、アディーナ・ヴォルカティーニ」
「はい」
アディーナの名が呼ばれ、彼女はすたすたと歩いていく。周りからは彼女の髪色と瞳の色に特異さにざわめきが起きる。
その様子を彼女は気にする様子もなく魔方陣へと歩いていった。
他の子達と同様、立つやいなや魔方陣が光って彼女を包み込む。
だがその次に当然起こるべき事象が、アディーナには現れなかった。
「え、ば、ばかな……」
神官が慌てて駆け寄り、魔方陣を確認するがどこにも異常は見当たらない。
「何てことだ」
アディーナにはひと欠片の魔力もなかった。
「あまり外を見るな。外から見えてしまうではないか。ほら、これを被っていなさい」
そう言って公爵は娘にフードのついた外套を着せる。
「あつい……」
「がまんしなさい。いいか、馬車から降りたらまっすぐ階段を上がって、そこにいる人達の言うとおりに大人しくしているのだ。鑑定が終わる頃には迎えに来るからな」
そうしてアディーナは鑑定が行われる神殿の前に置き去りにされた。
周りの子どもたちは皆、親たちに付き添われて階段を登っていく中を、アディーナはとことこと一人登っていく。
主要な都市だけでなく、国内のどこにでもある創造神ガーナを祀る神殿は一部がなぜか工事中だった。
「あら、まだ終わっていなかったのね」
「昨年だろ?第一王子の鑑定で壊れたらしいな」
「ものすごい魔力量で建物が吹き飛んだらしい」
アディーナよりひとつ上のこの国の第一王子アシェルの鑑定で余りの魔力量で鑑定場が爆発したことは有名だった。
その後修復作業が始まったが、何しろ歴史的建造物でもある大神殿のためなかなか進まない。
それでも今年の鑑定式のために、何とか主要な部分は間に合ったようだ。
「ここからは鑑定を受ける者だけとなります」
普段人々が祈りを捧げる礼拝堂の更に奥、鑑定が行われる場所の入り口で親たちと子どもは別々になる。
「おや、おじょうちゃんのお家の人は?」
一人でやってきたアディーナに神官が訊ねる。
「おわったら迎えに来てくれます」
「そうか……悪いがここでは帽子や外套は被っちゃいけないから、それ外してくれるかな」
神聖な場所に被り物は禁止だと言われ、アディーナは仕方なく外套を脱いだ。
「あ」
「まあ」
真っ直ぐに伸びた黒髪が姿を現すと、誰もがそこに目を止めた。
黒髪や黒い瞳は珍しくないが、両方を持つ者は稀で、不吉の象徴と言われ田舎の方の迷信が強く残る土地では忌み嫌われる。
中には髪を染めさせたりする親もいて、ひどい場合は捨てたりもする。
「おじょうちゃんのお名前は?」
「アディーナです。アディーナ・ヴォルカティーニ」
「ええっと……アディーナ、アディーナ……あ、あった。どうぞ」
「ありがとうございます」
礼をして中に入ると既に大半の子どもたちが来ており、賑やかだった。
アディーナは他の子達と仲間に入ることも出来ず、端の方で順番が来るのを待った。
鑑定は中央に置かれた十二の石を使う。
時計の文字盤のように置かれた石の中央には魔方陣が描かれ、そこに立つと魔力が流されて、その魔力に反応した自らの魔力で石を輝かせる。
そうしていくつ石が輝くかで魔力量がわかる。
そう説明を受けて次々と皆が名前を呼ばれて歩いていく。
多くは半分くらいの石を光らせ、中には十個まで光らせた子がいた。それが今日の一番らしい。
淡い金髪の可愛い女の子だった。アディーナは名前を聞き逃したが、着ているものを見てもどこかの貴族の子のようだった。
「次、アディーナ・ヴォルカティーニ」
「はい」
アディーナの名が呼ばれ、彼女はすたすたと歩いていく。周りからは彼女の髪色と瞳の色に特異さにざわめきが起きる。
その様子を彼女は気にする様子もなく魔方陣へと歩いていった。
他の子達と同様、立つやいなや魔方陣が光って彼女を包み込む。
だがその次に当然起こるべき事象が、アディーナには現れなかった。
「え、ば、ばかな……」
神官が慌てて駆け寄り、魔方陣を確認するがどこにも異常は見当たらない。
「何てことだ」
アディーナにはひと欠片の魔力もなかった。
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