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12 敵襲?
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「これをどうして持っている。これを作った者は先日殺された。そしてこれはそこから持ち出されたものだ。お前が犯人か」
「違うと言ったら信じるのか?」
「言い訳なら聞いてやる」
「それはさっき犯人から奪ってきた。それを作った人に取ってきて本来の持ち主に渡して欲しいと頼まれた」
殿下の隣でハンスがうんうんと頷く。
その隣では何とも言えない美しい女性と同じくらい整った顔の屈強な男性が見えていた。
殿下を守護する霊は美と勇を兼ね備え、明らかに格のある霊だとわかる。
『お願いします助けてください。この人は悪い人ではありません。あなたたちのことも見えている筈です』
『本当に?』
二人はハンスの言葉に半信半疑でこちらを見返す。
私はそれが真実だと目で合図した。
『まあ、そんな人もいるのねぇ』
『だが、肝心のアシェルに我らの声が聞こえないのだからどうすることもできないぞ』
男性の霊がもっともなことを言う。
「それが嘘でないとどうして言いきれる」
「信じてもらうしかない」
「貴様がどこの、誰かもわからないのに?今わかっているのは貴様が殺されたハンスの所から無くなった指輪を持っていたということだ」
「ハンスに頼まれた。ジャクソンの所から指輪を取り戻し、指輪の持ち主となる人に渡して欲しいと。あなたから渡してくれるならそれは差し上げよう」
ここでアディーナが彼を殿下本人だと見抜いていることは伏せた方がいいと直感していた。
「盗んだものを渡すと?」
「盗んだのではない。ハンスを殺して指輪を盗んだのは同じ職人のジャクソンだ。私はそれをやつから本来の持ち主へ返すため取り返してきただけだ」
「ハンスに頼まれて?」
「そうだ」
夜中に忍び込んで奪ったのを盗んだと言われるならそうなのだが、アディーナは彼と彼の守護霊に訴える。
守護霊が納得すれば、彼の気持ちもそちらへ引っ張られる筈だ。生まれたときから傍にいる守護霊と守護される人間には密接な関係があると、アディーナは長年霊達を見てきてわかっていた。
『この子の言うことは本当よ。この子には私たちが見える』
『だからハンスの言葉を聞いて、本当の犯人から指輪を取り返してきたのじゃ。そなたらの守護するこの王子のために』
母も祖父も彼らに訴える。
男女の守護霊はたがいに顔を見合せ、何やらヒソヒソと声を潜めて話し合っている。
「おい、どこを見ている!」
剣を突きつけ彼が自分に注意を戻させる。
「ハンスに頼まれてこの指輪を持ち主に返す?これが誰のものか知っているのか」
あまり喋ってはボロが出る。その問いには黙って頷いた。
「いつ頼まれたと言うのだ。お前は彼が死ぬ前に会話したのか。お前の話は矛盾している。そのジャクソンが犯人ならハンスを殺して指輪を奪ったことをなぜお前が知っている」
彼がそう思うのも無理はない。死者と会話できることを知らないのだから。
「信じてもらうしかない」
「信じられるわけがないだろう」
『なかなか頑固じゃ。無理もないが』
『アシェル、信じてあげて』
『このお嬢さんの話は真実です』
彼の守護霊も必死で訴えるが、彼には聞こえていない。仕方のないことだが、それでも彼が問答無用で斬りかかってこないのは、そのお陰かもしれない。
「欲しければその指輪はくれてやる。私には無用なものだ」
魔力のないアディーナに魔力封じのアイテムなど、この世の中で一番無用のものだ。
「お前の話は何ひとつ筋が通っていない。物的証拠がある以上、お前がハンス殺害に関わっていないと断定できるわけがない。怪我をしたくなければ大人しくついてこい」
彼は剣突きつけたまま、反対の手でアディーナに手を伸ばした。
その時、何かがアディーナの中に流れ込んで来たのがわかった。
暖かいそよ風のように体に入り込む何か。
彼も何か感じたのか、触れた手をぱっと離して自分の手に見入った。
「貴様、何をした」
「な、なにも…そっちこそ、何を」
アディーナは身体中にさっきの風が暴れまわるのを感じた。それはやがてお腹の辺りへ集まり沈静化する。すると、体中に力が沸き上がってくるのがわかった。
ーこれって
初めての感覚に戸惑いながらも、今なら何でも出きる気持ちになり、思いきって拘束されたままの手足を動かした。
「なに!」
今までの拘束が嘘のように消え失せ、手足が自由に動いた。
まさか破られると思っていなかった魔法を呆気なく解除されて、一瞬怯んだ隙をアディーナは見逃さなかった。
「おじい、お願い!」
『承知』
祖父に向かって霊力を一気に流し込んだ。霊力を与えると霊は一時的に無機質なものを動かすことができる。
ハニエルは周囲に散らばる石を浮かび上がらせた。
アシェルの目には浮遊魔法で石を浮かび上がらせたように見えた。
「いつのまに詠唱を!逃がすか」
石が一斉に彼に向かって飛んできたのを風魔法で防御の壁を一瞬で築き、アディーナに向かってもう一度拘束魔法を放った。
同時に二つの魔法を放つの異なる魔法を放つのは難しいことだが、アシェルには造作もない事だった。
「なに!」
石礫は難なく防御できたが拘束魔法はまるで効かなかった。
しかも跳ね返すのではなく、それは土に水が染み込むように吸い込まれていった。
これまでなかった出来事に彼が驚いていうちに、アディーナは長年鍛えた脚力で一目散に逃げきった。
「違うと言ったら信じるのか?」
「言い訳なら聞いてやる」
「それはさっき犯人から奪ってきた。それを作った人に取ってきて本来の持ち主に渡して欲しいと頼まれた」
殿下の隣でハンスがうんうんと頷く。
その隣では何とも言えない美しい女性と同じくらい整った顔の屈強な男性が見えていた。
殿下を守護する霊は美と勇を兼ね備え、明らかに格のある霊だとわかる。
『お願いします助けてください。この人は悪い人ではありません。あなたたちのことも見えている筈です』
『本当に?』
二人はハンスの言葉に半信半疑でこちらを見返す。
私はそれが真実だと目で合図した。
『まあ、そんな人もいるのねぇ』
『だが、肝心のアシェルに我らの声が聞こえないのだからどうすることもできないぞ』
男性の霊がもっともなことを言う。
「それが嘘でないとどうして言いきれる」
「信じてもらうしかない」
「貴様がどこの、誰かもわからないのに?今わかっているのは貴様が殺されたハンスの所から無くなった指輪を持っていたということだ」
「ハンスに頼まれた。ジャクソンの所から指輪を取り戻し、指輪の持ち主となる人に渡して欲しいと。あなたから渡してくれるならそれは差し上げよう」
ここでアディーナが彼を殿下本人だと見抜いていることは伏せた方がいいと直感していた。
「盗んだものを渡すと?」
「盗んだのではない。ハンスを殺して指輪を盗んだのは同じ職人のジャクソンだ。私はそれをやつから本来の持ち主へ返すため取り返してきただけだ」
「ハンスに頼まれて?」
「そうだ」
夜中に忍び込んで奪ったのを盗んだと言われるならそうなのだが、アディーナは彼と彼の守護霊に訴える。
守護霊が納得すれば、彼の気持ちもそちらへ引っ張られる筈だ。生まれたときから傍にいる守護霊と守護される人間には密接な関係があると、アディーナは長年霊達を見てきてわかっていた。
『この子の言うことは本当よ。この子には私たちが見える』
『だからハンスの言葉を聞いて、本当の犯人から指輪を取り返してきたのじゃ。そなたらの守護するこの王子のために』
母も祖父も彼らに訴える。
男女の守護霊はたがいに顔を見合せ、何やらヒソヒソと声を潜めて話し合っている。
「おい、どこを見ている!」
剣を突きつけ彼が自分に注意を戻させる。
「ハンスに頼まれてこの指輪を持ち主に返す?これが誰のものか知っているのか」
あまり喋ってはボロが出る。その問いには黙って頷いた。
「いつ頼まれたと言うのだ。お前は彼が死ぬ前に会話したのか。お前の話は矛盾している。そのジャクソンが犯人ならハンスを殺して指輪を奪ったことをなぜお前が知っている」
彼がそう思うのも無理はない。死者と会話できることを知らないのだから。
「信じてもらうしかない」
「信じられるわけがないだろう」
『なかなか頑固じゃ。無理もないが』
『アシェル、信じてあげて』
『このお嬢さんの話は真実です』
彼の守護霊も必死で訴えるが、彼には聞こえていない。仕方のないことだが、それでも彼が問答無用で斬りかかってこないのは、そのお陰かもしれない。
「欲しければその指輪はくれてやる。私には無用なものだ」
魔力のないアディーナに魔力封じのアイテムなど、この世の中で一番無用のものだ。
「お前の話は何ひとつ筋が通っていない。物的証拠がある以上、お前がハンス殺害に関わっていないと断定できるわけがない。怪我をしたくなければ大人しくついてこい」
彼は剣突きつけたまま、反対の手でアディーナに手を伸ばした。
その時、何かがアディーナの中に流れ込んで来たのがわかった。
暖かいそよ風のように体に入り込む何か。
彼も何か感じたのか、触れた手をぱっと離して自分の手に見入った。
「貴様、何をした」
「な、なにも…そっちこそ、何を」
アディーナは身体中にさっきの風が暴れまわるのを感じた。それはやがてお腹の辺りへ集まり沈静化する。すると、体中に力が沸き上がってくるのがわかった。
ーこれって
初めての感覚に戸惑いながらも、今なら何でも出きる気持ちになり、思いきって拘束されたままの手足を動かした。
「なに!」
今までの拘束が嘘のように消え失せ、手足が自由に動いた。
まさか破られると思っていなかった魔法を呆気なく解除されて、一瞬怯んだ隙をアディーナは見逃さなかった。
「おじい、お願い!」
『承知』
祖父に向かって霊力を一気に流し込んだ。霊力を与えると霊は一時的に無機質なものを動かすことができる。
ハニエルは周囲に散らばる石を浮かび上がらせた。
アシェルの目には浮遊魔法で石を浮かび上がらせたように見えた。
「いつのまに詠唱を!逃がすか」
石が一斉に彼に向かって飛んできたのを風魔法で防御の壁を一瞬で築き、アディーナに向かってもう一度拘束魔法を放った。
同時に二つの魔法を放つの異なる魔法を放つのは難しいことだが、アシェルには造作もない事だった。
「なに!」
石礫は難なく防御できたが拘束魔法はまるで効かなかった。
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