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115 多忙な日々
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私の聖女としての浄化の力は、財前さんより少し弱い感じだった。
財前さんが100%聖女として浄化と治癒に振り切った力配分だとしたら、私はその七割程度。
それでも彼女と共に、魔巣窟の浄化に赴くには十分と判断され、彼女と共に赴くことが常になった。
魔巣窟は元の世界と繋がっている。
浄化していると、靄の中に揺れ動く見慣れた風景が垣間見えることがあった。
それは日本だったり他の国だったり色々だ。
でもそれが見えるのは私だけらしい。財前さんからは何の反応もない。
私は敢えてそのことを彼女には言わなかった。
私はもうアドルファスと共にこの世界で生きて行こうと覚悟を決めていた。
家族のことも心の片隅で思わないでもないが、死んだものと思うことにした。
財前さんもカザールさんとの仲を進展されるなら、ある程度の覚悟はどこかでしているのだろうが、まだ十代の女の子なのだから、きっと家族が恋しいと思っている筈。
言えば彼女をホームシックにさせるだけだ。
浄化の力以外の全属性に関しては、さすがに初等科でアラサーの私が机を並べるのはどうか、と言うことになり、レインズフォード邸で家庭教師が付くことになった。
最初アドルファスが申し出たが、師とする人と夫になる人は区別したいと、私が断った。
それに私を褒めることしかしないのがわかっていたから、私はどちらかと言えばスパルタの方がいい。
色々周りで検討した結果、アーシャ・ラトスさんという女性が週三回通ってきてくれることになった。
彼女は三十歳の魔法学校のベテラン教師で、一児の母親。出産育児で今は休みをとっているが、そろそろ職場復帰に向けて肩慣らしをしたいと、自薦してきた。
私にとって初めて同じ年頃の知り合いが出来て、とても嬉しい。
彼女とは授業が終わるとプライベートな話で盛り上がり、今では彼女の友人たちに混じって、時折お茶をしたりしている。
ボルタンヌさんのところで売り出されたブラとショーツなどの下着は、生地や飾りを豪華にしたお金持ち向けのものから、シンプルなつくりの庶民向けも発売され、徐々にだが世間に浸透してきている。
アーシャさんを通じて知り合った人たちにも、モニターになってもらい、好評価を得ている。
授乳中の人用のものも今開発中だ。
ここの世界にはAカップBカップは存在しないのか、下はCカップから上はGカップくらいまである。
一番人気はE、それからF、私は残念ながら特注サイズだった。
脱コルセットを目指し、次はボディスーツやガートルを提案してみようか。
食に関しても新たなメニュー開発が進み、ようやく貴族の食卓にも野菜が出回り、野菜を栽培する農家も収入が増えたと大喜びだ。
エディブルフラワーの需要も出てきて、生産者は食用と観賞用で分けて栽培している。
そしてもう一つ。
「ふう、終わった」
最後の一人分の記録を書き上げ、私はう~んと伸びをした。
「おつかれ様です」
「あ、ありがとう」
そう言って私にお茶を出してくれたのは神官見習いのベージェという青年だった。
私は今、士官学校の救護室にいる。
皇学園でやっていたように、ここの救護室で保健室の先生をすることになった。
現在は生徒の身体測定の結果を纏めているところだった。
それもようやく終わった。
生徒は総勢三百人。三学年に分かれていて一学年百人ずつ。そこに教員三十人分が加わる。
それを纏めるのに、レインズフォード家に持ち帰ったりして、結構時間がかかったが、その分達成感がある。
「やっぱり、平民出身の子たちの発育は年齢が下になる分、悪いわね」
「そうなのですか?」
「遺伝もあるだろうけど、やっぱり食生活と小さい頃からの教育の違いかな」
栄養士ではないので、はっきりしたことは言えない。でも、それを補うのならここでの食事も考え直した方がいいかも知れない。
「ユイナ、もう終わったのか?」
「アドルファス」
そこへアドルファスが医務室へとやってきた。
「はい、何とか」
ベージェが緊張して頭を下げる。
「なら、一緒に帰ろう。構わないか?」
「はい。では、しばらく来られないと思いますので、よろしくお願いします」
立ち上がってベージェに話す。
「はい、こちらの書類も纏めておきます」
さっき纏めた書類を指してベージェが言う。
「お願いします。それと、ここを訪れた生徒の訪れた内容と状態についても必ず書き加えてください」
「承知しました」
作った個人個人のデータを記した書類の裏面に、医務室を訪れたらいつどんなことで訪れたか、その対応はどうだったかカルテに似た形で書いてもらえるよう頼んでいた。
「おまたせしました。もうお二人は到着されていらっしゃるのですか」
「さっき到着したと伝達が来た」
「では、帰りましょう」
今日、アドルファスの両親が領地からやってくる。
それはあさっての行事に参加するためだった。
アドルファスが差し出した手に手を重ね、彼に手を引かれて、私はレインズフォード家に向かった。
あさっては、私とアドルファスの結婚式なのだ。
財前さんが100%聖女として浄化と治癒に振り切った力配分だとしたら、私はその七割程度。
それでも彼女と共に、魔巣窟の浄化に赴くには十分と判断され、彼女と共に赴くことが常になった。
魔巣窟は元の世界と繋がっている。
浄化していると、靄の中に揺れ動く見慣れた風景が垣間見えることがあった。
それは日本だったり他の国だったり色々だ。
でもそれが見えるのは私だけらしい。財前さんからは何の反応もない。
私は敢えてそのことを彼女には言わなかった。
私はもうアドルファスと共にこの世界で生きて行こうと覚悟を決めていた。
家族のことも心の片隅で思わないでもないが、死んだものと思うことにした。
財前さんもカザールさんとの仲を進展されるなら、ある程度の覚悟はどこかでしているのだろうが、まだ十代の女の子なのだから、きっと家族が恋しいと思っている筈。
言えば彼女をホームシックにさせるだけだ。
浄化の力以外の全属性に関しては、さすがに初等科でアラサーの私が机を並べるのはどうか、と言うことになり、レインズフォード邸で家庭教師が付くことになった。
最初アドルファスが申し出たが、師とする人と夫になる人は区別したいと、私が断った。
それに私を褒めることしかしないのがわかっていたから、私はどちらかと言えばスパルタの方がいい。
色々周りで検討した結果、アーシャ・ラトスさんという女性が週三回通ってきてくれることになった。
彼女は三十歳の魔法学校のベテラン教師で、一児の母親。出産育児で今は休みをとっているが、そろそろ職場復帰に向けて肩慣らしをしたいと、自薦してきた。
私にとって初めて同じ年頃の知り合いが出来て、とても嬉しい。
彼女とは授業が終わるとプライベートな話で盛り上がり、今では彼女の友人たちに混じって、時折お茶をしたりしている。
ボルタンヌさんのところで売り出されたブラとショーツなどの下着は、生地や飾りを豪華にしたお金持ち向けのものから、シンプルなつくりの庶民向けも発売され、徐々にだが世間に浸透してきている。
アーシャさんを通じて知り合った人たちにも、モニターになってもらい、好評価を得ている。
授乳中の人用のものも今開発中だ。
ここの世界にはAカップBカップは存在しないのか、下はCカップから上はGカップくらいまである。
一番人気はE、それからF、私は残念ながら特注サイズだった。
脱コルセットを目指し、次はボディスーツやガートルを提案してみようか。
食に関しても新たなメニュー開発が進み、ようやく貴族の食卓にも野菜が出回り、野菜を栽培する農家も収入が増えたと大喜びだ。
エディブルフラワーの需要も出てきて、生産者は食用と観賞用で分けて栽培している。
そしてもう一つ。
「ふう、終わった」
最後の一人分の記録を書き上げ、私はう~んと伸びをした。
「おつかれ様です」
「あ、ありがとう」
そう言って私にお茶を出してくれたのは神官見習いのベージェという青年だった。
私は今、士官学校の救護室にいる。
皇学園でやっていたように、ここの救護室で保健室の先生をすることになった。
現在は生徒の身体測定の結果を纏めているところだった。
それもようやく終わった。
生徒は総勢三百人。三学年に分かれていて一学年百人ずつ。そこに教員三十人分が加わる。
それを纏めるのに、レインズフォード家に持ち帰ったりして、結構時間がかかったが、その分達成感がある。
「やっぱり、平民出身の子たちの発育は年齢が下になる分、悪いわね」
「そうなのですか?」
「遺伝もあるだろうけど、やっぱり食生活と小さい頃からの教育の違いかな」
栄養士ではないので、はっきりしたことは言えない。でも、それを補うのならここでの食事も考え直した方がいいかも知れない。
「ユイナ、もう終わったのか?」
「アドルファス」
そこへアドルファスが医務室へとやってきた。
「はい、何とか」
ベージェが緊張して頭を下げる。
「なら、一緒に帰ろう。構わないか?」
「はい。では、しばらく来られないと思いますので、よろしくお願いします」
立ち上がってベージェに話す。
「はい、こちらの書類も纏めておきます」
さっき纏めた書類を指してベージェが言う。
「お願いします。それと、ここを訪れた生徒の訪れた内容と状態についても必ず書き加えてください」
「承知しました」
作った個人個人のデータを記した書類の裏面に、医務室を訪れたらいつどんなことで訪れたか、その対応はどうだったかカルテに似た形で書いてもらえるよう頼んでいた。
「おまたせしました。もうお二人は到着されていらっしゃるのですか」
「さっき到着したと伝達が来た」
「では、帰りましょう」
今日、アドルファスの両親が領地からやってくる。
それはあさっての行事に参加するためだった。
アドルファスが差し出した手に手を重ね、彼に手を引かれて、私はレインズフォード家に向かった。
あさっては、私とアドルファスの結婚式なのだ。
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