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アニエス編
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「にゃ、にゃに、んん」
「少し黙って…」
頭を振ることは出来るので、逃れようとするが、ラファエルが伸し掛かってきた。
寝台とラファエルの体に挟まれ、ずしりと彼の重みを感じた。
「『薔薇の痕』とは、意味をわかって言っていますか?」
そう尋ねるラファエルの顔が、心なしか赤くなっている。
顔を動かすことも出来ないので、瞼をパチパチさせて答えた。
「あなたの体にそれがないのは、僕が痕跡を残したくないからだと、そう思っていると?」
その問いにも、アニエスは瞬きで答えた。
「それで、あなたはそれが不満だと?」
しかし次の質問には、目を大きく見開いた。
「違うのですか?」
そう問いかけられ、アニエスは薔薇の痕をラファエルが付けないことに、傷ついていたことを自覚した。
「どうなんですか?」
「……っ」
アニエスは、自分の口を塞ぐラファエルの手の下で唇を動かした。
それに気づいて、彼が手を離した。
「確かに、私とあなたは好きで一緒になったわけじゃないわ。それでもお互いに尊重しあって、うまくやれていると思っていた。でも、それは私の勘違いだったわ」
「勘違い?」
ラファエルが目を細め問いかける。
「私は…妻としてあなたの求める基準に達していない。女として魅力がないのはわかって」
「誰がそんなことを言いましたか」
はらりと落ちた前髪をかき上げ、鬱陶しそうにラファエルが呟いた。
その言い方が気に入らなくて、アニエスはむっとなった。
「私のこと、面倒くさいと思っているんでしょ」
「そんなこと、思っていません。どうしてあなたは…どうしたら離婚を思い止まってくれるのですか」
「だから、離婚することであなたに不利益はないようにするって言っているでしょ」
「たとえ伯爵家の財産すべてをもらったとしても、離婚だけは嫌です」
ラファエルは、どうしても離婚に応じようとしない。
「どうして」
「ああ、もう。そんなの、あなたが好きだからに決まっています」
キレ気味にラファエルが叫ぶ。
「……え?」
その言葉に、彼女は目を大きく見開いた。
「え、い、今…なんて?」
「あなたが僕のことを年下のお飾り夫だとしか思っていなくても、僕はあなたでなければ嫌です」
「ラファエル…今、なんて…あなた、私のこと」
「好きです。僕か痛めつけられていたのを助けてくれた時から、あなたのことを意識していました。一目惚れです。格好良くて、誰よりも努力家でおまけにかわいい」
「か、かわいい…それはちょっと…」
「かわいいです。僕が初めての相手で嬉しかった。イク時の顔も、いつもキリリとしているのに、愛らしくて」
お腹にあたる彼のものが、また硬くなるのを感じる。
「ラファエル…好きって…その」
「僕からの好意は気に入りませんか」
「ち、ちが…そうじゃなくて…」
「あなたは子作りを義務だと思っているから、『薔薇の痕』を付けるのは、申し訳ないと思っていました。でも、あなたが望むなら、いくらでも付けてあげますよ」
そう言って胸元に顔を埋める。チリリとした痛みが走る。それは一度だけでなく、何度も何度も続いた。
胸からお腹、そして太ももの内側まで、痕を付けていくラファエルの頭の動きをぼーっと眺めながら、彼が言った「好き」という言葉を信じられない気持ちで思い返していた。
「アニエス!」
ようやく彼が頭を上げた時、アニエスはボロボロと涙を流していた。それを見てラファエルは驚く。
「ごめ…ごめんなさい…ラファエル…私…私は…なんて愚かだったのか…」
ボロボロと大粒の涙を流しながら、アニエスは何度も謝った。
「私も…あなたのことを…いつの間にか…ううん。あなたとの結婚を決めた時から、きっとあなたのことが…好きだ」
好きでなければ、体を許したりしない。
「アニエス…ああ、アニエス」
ラファエルは切なげに彼女の名を呟き、そして手足を拘束していた紐を解いた。
「酷いことをしてすみません。あなたに捨てられるかと思ったら…僕のこと、嫌いになりましたか?」
肌に付いた擦れた痕に口づけながら、ラファエルが尋ねる。
アニエスは唇を震わせながら首を振り、自由になった腕を伸ばして彼を抱き寄せた。
「こんなことで嫌いになんかならない。私の方こそ、バカで我儘で、愛想を尽かされても文句は言えない」
「そんなことありません」
ラファエルも抱き締め返し、自然と唇を重ね合わせた。
「もう離婚のことは、忘れていいですよね」
熱い口づけの後でラファエルが尋ね、アニエスは「ええ」と頷いた。
「本当はひと晩中、あなたを抱き潰したかった。でも、がっつくと嫌がられると思って、いつも部屋に戻ってあなたを思いながら自分で処理していたんです」
意外な告白にアニエスは目を丸くした。
「でも、お許しが出たなら、これからは気が済むまでやれますね」
「え…」
「拘束も解いたことですし、もっと色々な体位でグズグズになるまで抱いて差し上げますよ」
「え、え、あの、ちょ、ラファエル?」
晴れ晴れとした表情でラファエルはそう言って、アニエスの脚を掴んでさらに大きく広げ、勃ち上がった陰茎を突き刺した。
既に五回済んだ後で、さらに三回ラファエルはアニエスの中に精を放った。
その十ヶ月後、アニエスは元気な男の双子を出産した。
「少し黙って…」
頭を振ることは出来るので、逃れようとするが、ラファエルが伸し掛かってきた。
寝台とラファエルの体に挟まれ、ずしりと彼の重みを感じた。
「『薔薇の痕』とは、意味をわかって言っていますか?」
そう尋ねるラファエルの顔が、心なしか赤くなっている。
顔を動かすことも出来ないので、瞼をパチパチさせて答えた。
「あなたの体にそれがないのは、僕が痕跡を残したくないからだと、そう思っていると?」
その問いにも、アニエスは瞬きで答えた。
「それで、あなたはそれが不満だと?」
しかし次の質問には、目を大きく見開いた。
「違うのですか?」
そう問いかけられ、アニエスは薔薇の痕をラファエルが付けないことに、傷ついていたことを自覚した。
「どうなんですか?」
「……っ」
アニエスは、自分の口を塞ぐラファエルの手の下で唇を動かした。
それに気づいて、彼が手を離した。
「確かに、私とあなたは好きで一緒になったわけじゃないわ。それでもお互いに尊重しあって、うまくやれていると思っていた。でも、それは私の勘違いだったわ」
「勘違い?」
ラファエルが目を細め問いかける。
「私は…妻としてあなたの求める基準に達していない。女として魅力がないのはわかって」
「誰がそんなことを言いましたか」
はらりと落ちた前髪をかき上げ、鬱陶しそうにラファエルが呟いた。
その言い方が気に入らなくて、アニエスはむっとなった。
「私のこと、面倒くさいと思っているんでしょ」
「そんなこと、思っていません。どうしてあなたは…どうしたら離婚を思い止まってくれるのですか」
「だから、離婚することであなたに不利益はないようにするって言っているでしょ」
「たとえ伯爵家の財産すべてをもらったとしても、離婚だけは嫌です」
ラファエルは、どうしても離婚に応じようとしない。
「どうして」
「ああ、もう。そんなの、あなたが好きだからに決まっています」
キレ気味にラファエルが叫ぶ。
「……え?」
その言葉に、彼女は目を大きく見開いた。
「え、い、今…なんて?」
「あなたが僕のことを年下のお飾り夫だとしか思っていなくても、僕はあなたでなければ嫌です」
「ラファエル…今、なんて…あなた、私のこと」
「好きです。僕か痛めつけられていたのを助けてくれた時から、あなたのことを意識していました。一目惚れです。格好良くて、誰よりも努力家でおまけにかわいい」
「か、かわいい…それはちょっと…」
「かわいいです。僕が初めての相手で嬉しかった。イク時の顔も、いつもキリリとしているのに、愛らしくて」
お腹にあたる彼のものが、また硬くなるのを感じる。
「ラファエル…好きって…その」
「僕からの好意は気に入りませんか」
「ち、ちが…そうじゃなくて…」
「あなたは子作りを義務だと思っているから、『薔薇の痕』を付けるのは、申し訳ないと思っていました。でも、あなたが望むなら、いくらでも付けてあげますよ」
そう言って胸元に顔を埋める。チリリとした痛みが走る。それは一度だけでなく、何度も何度も続いた。
胸からお腹、そして太ももの内側まで、痕を付けていくラファエルの頭の動きをぼーっと眺めながら、彼が言った「好き」という言葉を信じられない気持ちで思い返していた。
「アニエス!」
ようやく彼が頭を上げた時、アニエスはボロボロと涙を流していた。それを見てラファエルは驚く。
「ごめ…ごめんなさい…ラファエル…私…私は…なんて愚かだったのか…」
ボロボロと大粒の涙を流しながら、アニエスは何度も謝った。
「私も…あなたのことを…いつの間にか…ううん。あなたとの結婚を決めた時から、きっとあなたのことが…好きだ」
好きでなければ、体を許したりしない。
「アニエス…ああ、アニエス」
ラファエルは切なげに彼女の名を呟き、そして手足を拘束していた紐を解いた。
「酷いことをしてすみません。あなたに捨てられるかと思ったら…僕のこと、嫌いになりましたか?」
肌に付いた擦れた痕に口づけながら、ラファエルが尋ねる。
アニエスは唇を震わせながら首を振り、自由になった腕を伸ばして彼を抱き寄せた。
「こんなことで嫌いになんかならない。私の方こそ、バカで我儘で、愛想を尽かされても文句は言えない」
「そんなことありません」
ラファエルも抱き締め返し、自然と唇を重ね合わせた。
「もう離婚のことは、忘れていいですよね」
熱い口づけの後でラファエルが尋ね、アニエスは「ええ」と頷いた。
「本当はひと晩中、あなたを抱き潰したかった。でも、がっつくと嫌がられると思って、いつも部屋に戻ってあなたを思いながら自分で処理していたんです」
意外な告白にアニエスは目を丸くした。
「でも、お許しが出たなら、これからは気が済むまでやれますね」
「え…」
「拘束も解いたことですし、もっと色々な体位でグズグズになるまで抱いて差し上げますよ」
「え、え、あの、ちょ、ラファエル?」
晴れ晴れとした表情でラファエルはそう言って、アニエスの脚を掴んでさらに大きく広げ、勃ち上がった陰茎を突き刺した。
既に五回済んだ後で、さらに三回ラファエルはアニエスの中に精を放った。
その十ヶ月後、アニエスは元気な男の双子を出産した。
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