婚約者を義妹に寝取られ、腹いせのために習った房中術でなぜか王弟殿下を虜にしてしまいました

七夜かなた

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第3章 日々勉強

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「へえ、義妹いもうとさんにねぇ」
「そんな男、一緒にならなくてよかったよ。どう考えても男が悪い」
  
 ひととおりの実地が終わり、四人で食事を取った。
 その時、家の名前は伏せ差し支えない範囲で、なぜイヴォンヌがアネカの所で働くようになったのかを二人に話た。
 二人共いろんな客を相手にしているだけあって、とても聞き上手だった。イヴォンヌの境遇にも奇異の目を向けることなく、真面目に聞いてくれた。
 
「でも、そのことがなかったら、アネカとも出会わなかったので、怪我の功名だと思っています」
「そうだな。それに意外な才能もあることがわかったし」

 エイドリアンが茶化して言う。

「うちでは願ったりな才能だけど、あまり自慢できる才能ではないけどね」
「確かに」

 そうして四人で笑いあった。
 アネカは師匠だが、エイドリアンとマリーベルは自分と年齢も近く、そんな彼らと仲良く話せることが、イヴォンヌには楽しかった。
 彼女にはこんな風に何気ない会話をして、笑いあえる人が周りにいなかった。

「私、アネカに出会えて良かったです」

 心の底からそう言うと、アネカは飲みかけの葡萄酒を一気に飲んだ。

「今でも私にこき使われているのに、これから益々こき使うかも知れないのに、そんなこと言っていいのかい?」
「覚悟の上です。それに、これは私が自分で選択し道です。誰に強要されたわけでもない。だから例えどんなにこき使われても、平気です」
「だってさ、アネカ」
「その覚悟が出来ているなら、何があっても大丈夫だね」
「はい」


 こうして、イヴォンヌはアネカの仕事にも関わるようになった。


 とは言え、マリーベルやエイドリアンにしたようなことは、滅多になかった。

 イヴォンヌは主にうまく性生活が送れない夫婦に付き添い、言葉で指導した。
 夫婦生活を営むのは、その夫婦なのだ。イヴォンヌが下手に手を出し、彼らをいかせてしまったら、次から彼らは互いに満足できなくなる。

「ありがとうございます」
「お世話になりました」
「いいえ。これが私の仕事ですから」
「それでも、ここに来なかったら私たち夫婦は、どうなっていたかわかりません」
「そうです。私には苦痛でしかなかった行為が、あんなにも素晴らしいものだっと知らずに生きていたでしょう」
 
 二人は夫婦になって三年。一年前長男が産まれたが、出産以降妻が夜の生活に消極的になった。
 子供が乳離れするまではと、色々言い訳して避けていたらしい。
 妻曰く、もう後継ぎの長男を産んだのだから子供はいいだろう。というのだ。
 しかし夫はまだまだ男盛りで性欲がある。
 だからといって、他の女性に走るというには、愛しているので、それも出来ない。
 思い余って、ここに来たのだった。

 先に別々に話を聞くと、妻は性行為を気持ちいいと思ったことがなく、苦痛にしか感じていなかった。
 夫は妻が喜んでいると思っていた。
 明らかに互いの認識違いである。
 ここでは本当の名前は伏せるものだが、明らかに貴族だとわかった。
 まだ若い二人は、初めイヴォンヌの前でやることに、当然難色を示した。
 そんな時、イヴォンヌは「房中術」についてその目的を話すことにしている。

 ここに彼らが通って、今日で五回目。
 一回目は口頭での説明だけ。夜の夫婦生活について、いまひとつ積極的になれない人も、そういうものではないことを話し、理解してもらう。
 すると自分にとって恥ずかしいと思っていたことが、正当な行為に思えてくる。
 それから男女の体の仕組みについても話す。
 そして二回目。互いに羞恥は持っていても、座学で習ったことの検証を兼ねると、意外と忌避感が薄れることが多い。
 そうして実地を重ねて今日は五回目。
 二人は今日で終わりになる。
 
「これからも頑張ってください」
「ありがとう」

 まだまだ駆け出しだが、こうして笑顔になる人を見ると、世の中どんなことで人の役に立てるかわからないなぁと思う。

 二人を見送り、予約の客は彼らで終わりなので今日はもう店仕舞いだと鍵をかけた。
 アネカは出かけていて、明日まで帰ってこない。
 イヴォンヌが房中術を手伝うようになってから、アネカは店を彼女にまかせて二日ほど留守にすることが増えた。
 薬の材料の採取等をするため、遠出しているのだ。

「さて、夕飯の買い出しにでも行くかな」

 買い物かごを持ち、アネカのくれたペンダントを首にかけるとイヴォンヌは街へと繰り出した。
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