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16=同僚のピンチ=
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就業から一時間後。
「はい、受付です」
『受付から一人来て欲しい』
「はい、わたくしが行けます」
『君は受付でお客様をお迎えして、もう一人の莉緒って子にお願いできるかな』
「え?」
花梨はその内線に眉根をぎゅっと寄せる。
『制服が変わる話は聞いたかな?』
「あ、あぁ、はい」
『ファースタイルというメーカーの伊達社長がお見えになったら、七階の第一会議室でお待ち頂くように』
「かしこまりました」
内線電話を置いた花梨が莉緒を見て肩をすくめた。
「ご指名よ。名乗らなかったけど、食品部のフロアだから、ひょっとして莉緒の彼氏かな」
さっと顔色が変わったのを、花梨は見逃さなかった。
「ひょっとして喧嘩中?」
「う、うん。そんなとこ」
うわあと言って、花梨は嫌そうな顔を作って莉緒に見せる。
「職権乱用だね。大丈夫?」
思い詰めたような莉緒の顔を、花梨は心配になって見る。神山はこれを見越していたのだろうか?莉緒が心配で、こんなことを頼んできたのだろうか。
神山の本当の目的をあれこれ考えていた花梨。決心して立ち上がってようやく莉緒に目を向けた。
「公私混同しないように言ってくる。早めに戻るわ」
硬い表情の莉緒に、花梨は心配させないよう微笑む。
「ま、少しくらい大丈夫よ。その代わり、何かあったらすぐ内線して」
「分かった。ありがとう、花梨」
莉緒は緊張した顔で頷くと、エレベーターホールに向かった。
莉緒が視界から消えてすぐ、システムで九階の予約を確認する。莉緒の彼の名前を見つけた花梨は、会社の電話を使って神山へ電話した。
『はい、神山です』
「あ、先生!莉緒が彼氏に呼ばれて九階に行ってしまったの。たぶん、あれは彼だと思う。それに伊達社長って、いつも莉緒を指名していた人が来るのに、私に七階へ案内しろって。違和感ってこれで合ってる?」
早口で捲し立てるように言った花梨。
『花梨?そうか、受付はスマホ持ち込み禁止か。ちょっと伊達社長に連絡いれる。そのまま待てるか?」
「う、うん」
周りに上司や先輩がいないか、受話器を握りしめたまま目を彷徨わせる。
幸い総務の人間はいないようだ。受話器の奥から漏れ聞こえる音で、神山が伊達に連絡しているのが分かった。
『花梨、すぐに伊達さんがいくから、九階まで送ってやって。同僚がその彼に何をされるか分からない』
「わかった。先生も来る?」
『俺はまだ立て込み中でいけない。きっと伊達さんだけで大丈夫だ』
残念に思ったが、どうやら莉緒がピンチのようだ。神山が莉緒のピンチを救ったのは少し妬くが、同僚に傷ついて欲しいわけではない。先日声をかけてきたショートボブの女も気になるし、間に合ってほしいと願った。
花梨がそわそわして待っていると、ほどなくして伊達が駆け込むようにやってきた。
受付ブースから飛び出た花梨は、伊達に駆け寄るとエレベーターホールを指差した。
「伊達社長を七階の第一会議室にお通しするように言われました。その者が九階の第五会議室をセクハラ相談で予約しています。セクハラ相談の予約がされるって事は、誰もその部屋に近づかないって事です。そこに同僚が呼ばれて向かってしばらく立っています」
花梨の横並びで歩く伊達は、綺麗な顔を横に振って言った。
「昨日突然場所の変更がメールで送られて来ましたが、事前に九階にプレゼン用の衣服を送ってあります。その移動の件などには触れられておらず、大崎部長に確認したところ知らないとの返答でした」
「それは……おかしいですね」
花梨は到着したエレベーターを操作し、九階を押すと伊達に言った。
「莉緒を助けてあげてください。ちょっと嫌そうな……ううん、青ざめてた」
「必ず」
手を離し締まりゆくドアに向かってお辞儀する。
「よろしくおねがいします」
しまったドアの前でしばしそのままの体制でいた花梨。
そっと上体を起こすと、とぼとぼと受付に戻っていった。
伊達も神山も莉緒のために必死だ。
確かに莉緒はおとなしくて、放っておけない雰囲気のある子だ。
狐面の男達囲まれて、よがっている自分とは大違いである。
「はぁ」
大きくため息を落とした花梨は、受付の椅子にどかっと座る。
嵐が過ぎ去ったように感じ、ぼうっと天井を見上げた。
業務も忘れてぼんやりしていると、突然内線が鳴って、花梨は飛び上がって驚いた。
「は、はい!受付でござます」
「花梨くんか、ちょっと大変なんだよ」
大変だと言うわりに嬉しそうな大崎の声。
「莉緒に何かあったんですか!」
「痴情の絡れってやつかな」
「大丈夫なんですか?」
「まあ、一応はね。でも早退することになった。総務にはこちらから連絡しておくので、引き継ぎだけ頼むよ」
「かしこまりました」
痴情の絡れって事は、彼がやっぱり何かしたんだと花梨は思った。そしてその予測が正しいとすぐに分かった。
受付に戻ってきた莉緒は、伊達に肩を抱かれて、大きな羽織で衣服を隠している。しかし乱れた髪や、端から覗く破れた布地を見て、花梨は顔をしかめた。
泣いてぐちゃぐちゃになった顔を見て、何をされたのだろうかと心配になる。
「大崎部長から連絡入って、色々聞いたわ。大丈夫なの、莉緒」
「うん……」
「遠慮せずに帰ってね。代わりで臨時の人が来てくれるみたいだし」
簡単に引き継ぎを済ませると、莉緒を伊達に任せるようにして送り出す。
彼やショートボブのあの女のせいだろうかと思ったが、詳細は花梨にも分からない。ただ神山が警戒していたのが、これなんだろうとは察せられた。
総務から別の者が派遣されてきて、花梨はその日の業務を滞りなく終える事が出来た。
「莉緒、大丈夫かな……」
更衣室でそう呟く花梨に、先輩が顔を曇らせて言った。
「制服の商談、失敗に終わったそうよ。向こうから切られたって」
「何があったのか聞いたんですか?」
花梨が尋ねると先輩は首を横に振って答える。
「詳細は聞いてないの。ただ、制服は諦めろって」
伊達のあの表情を思い出して、花梨は妙に納得して頷いた。
「仕方ないですね。私はこの制服で充分可愛いって思ってますけどね」
花梨は先輩にそう言って励ました。残念そうにしていた先輩とは更衣室で別れ、さっさと神山の自宅へ向かおうと会社を出る。
さらりとスカートを揺らして、駅に向かおうとした花梨。
「花梨くん」
背後から呼び止められた花梨は、嫌な予感を覚えて振り返る。
大崎部長が早歩きでこちらへ向かって来て、花梨の前でぜぇぜぇ言いながら止まる。
「お疲れ様です、部長」
「ああ、お疲れ。今朝のことで少しいいかね。大事な話があるんだが」
「はい、なんでしょう」
「ここでは何だから、ちょっと飲みにでもいかないかね。その、少し話しにくいことなんだ」
この中年と飲みにいっても楽しいはずないが、莉緒の事で何か話があるというのなら聞くしかないだろう。
「少しだけなら……」
気が乗らないが、そう言うと大崎は表情を明るくして言った。
「すぐそこの居酒屋にしよう」
そう言って先導する大崎についていきながら、花梨は神山に連絡をとろうとした。
「彼氏かな?いいねえ、若いって」
「あ、いえ……」
連絡をとるのが何故か悪い事のように感じて、花梨はスマホを鞄に入れた。
少しと言っているので、すぐに終わるだろうと甘い考えを後ほど後悔することになる。
「はい、受付です」
『受付から一人来て欲しい』
「はい、わたくしが行けます」
『君は受付でお客様をお迎えして、もう一人の莉緒って子にお願いできるかな』
「え?」
花梨はその内線に眉根をぎゅっと寄せる。
『制服が変わる話は聞いたかな?』
「あ、あぁ、はい」
『ファースタイルというメーカーの伊達社長がお見えになったら、七階の第一会議室でお待ち頂くように』
「かしこまりました」
内線電話を置いた花梨が莉緒を見て肩をすくめた。
「ご指名よ。名乗らなかったけど、食品部のフロアだから、ひょっとして莉緒の彼氏かな」
さっと顔色が変わったのを、花梨は見逃さなかった。
「ひょっとして喧嘩中?」
「う、うん。そんなとこ」
うわあと言って、花梨は嫌そうな顔を作って莉緒に見せる。
「職権乱用だね。大丈夫?」
思い詰めたような莉緒の顔を、花梨は心配になって見る。神山はこれを見越していたのだろうか?莉緒が心配で、こんなことを頼んできたのだろうか。
神山の本当の目的をあれこれ考えていた花梨。決心して立ち上がってようやく莉緒に目を向けた。
「公私混同しないように言ってくる。早めに戻るわ」
硬い表情の莉緒に、花梨は心配させないよう微笑む。
「ま、少しくらい大丈夫よ。その代わり、何かあったらすぐ内線して」
「分かった。ありがとう、花梨」
莉緒は緊張した顔で頷くと、エレベーターホールに向かった。
莉緒が視界から消えてすぐ、システムで九階の予約を確認する。莉緒の彼の名前を見つけた花梨は、会社の電話を使って神山へ電話した。
『はい、神山です』
「あ、先生!莉緒が彼氏に呼ばれて九階に行ってしまったの。たぶん、あれは彼だと思う。それに伊達社長って、いつも莉緒を指名していた人が来るのに、私に七階へ案内しろって。違和感ってこれで合ってる?」
早口で捲し立てるように言った花梨。
『花梨?そうか、受付はスマホ持ち込み禁止か。ちょっと伊達社長に連絡いれる。そのまま待てるか?」
「う、うん」
周りに上司や先輩がいないか、受話器を握りしめたまま目を彷徨わせる。
幸い総務の人間はいないようだ。受話器の奥から漏れ聞こえる音で、神山が伊達に連絡しているのが分かった。
『花梨、すぐに伊達さんがいくから、九階まで送ってやって。同僚がその彼に何をされるか分からない』
「わかった。先生も来る?」
『俺はまだ立て込み中でいけない。きっと伊達さんだけで大丈夫だ』
残念に思ったが、どうやら莉緒がピンチのようだ。神山が莉緒のピンチを救ったのは少し妬くが、同僚に傷ついて欲しいわけではない。先日声をかけてきたショートボブの女も気になるし、間に合ってほしいと願った。
花梨がそわそわして待っていると、ほどなくして伊達が駆け込むようにやってきた。
受付ブースから飛び出た花梨は、伊達に駆け寄るとエレベーターホールを指差した。
「伊達社長を七階の第一会議室にお通しするように言われました。その者が九階の第五会議室をセクハラ相談で予約しています。セクハラ相談の予約がされるって事は、誰もその部屋に近づかないって事です。そこに同僚が呼ばれて向かってしばらく立っています」
花梨の横並びで歩く伊達は、綺麗な顔を横に振って言った。
「昨日突然場所の変更がメールで送られて来ましたが、事前に九階にプレゼン用の衣服を送ってあります。その移動の件などには触れられておらず、大崎部長に確認したところ知らないとの返答でした」
「それは……おかしいですね」
花梨は到着したエレベーターを操作し、九階を押すと伊達に言った。
「莉緒を助けてあげてください。ちょっと嫌そうな……ううん、青ざめてた」
「必ず」
手を離し締まりゆくドアに向かってお辞儀する。
「よろしくおねがいします」
しまったドアの前でしばしそのままの体制でいた花梨。
そっと上体を起こすと、とぼとぼと受付に戻っていった。
伊達も神山も莉緒のために必死だ。
確かに莉緒はおとなしくて、放っておけない雰囲気のある子だ。
狐面の男達囲まれて、よがっている自分とは大違いである。
「はぁ」
大きくため息を落とした花梨は、受付の椅子にどかっと座る。
嵐が過ぎ去ったように感じ、ぼうっと天井を見上げた。
業務も忘れてぼんやりしていると、突然内線が鳴って、花梨は飛び上がって驚いた。
「は、はい!受付でござます」
「花梨くんか、ちょっと大変なんだよ」
大変だと言うわりに嬉しそうな大崎の声。
「莉緒に何かあったんですか!」
「痴情の絡れってやつかな」
「大丈夫なんですか?」
「まあ、一応はね。でも早退することになった。総務にはこちらから連絡しておくので、引き継ぎだけ頼むよ」
「かしこまりました」
痴情の絡れって事は、彼がやっぱり何かしたんだと花梨は思った。そしてその予測が正しいとすぐに分かった。
受付に戻ってきた莉緒は、伊達に肩を抱かれて、大きな羽織で衣服を隠している。しかし乱れた髪や、端から覗く破れた布地を見て、花梨は顔をしかめた。
泣いてぐちゃぐちゃになった顔を見て、何をされたのだろうかと心配になる。
「大崎部長から連絡入って、色々聞いたわ。大丈夫なの、莉緒」
「うん……」
「遠慮せずに帰ってね。代わりで臨時の人が来てくれるみたいだし」
簡単に引き継ぎを済ませると、莉緒を伊達に任せるようにして送り出す。
彼やショートボブのあの女のせいだろうかと思ったが、詳細は花梨にも分からない。ただ神山が警戒していたのが、これなんだろうとは察せられた。
総務から別の者が派遣されてきて、花梨はその日の業務を滞りなく終える事が出来た。
「莉緒、大丈夫かな……」
更衣室でそう呟く花梨に、先輩が顔を曇らせて言った。
「制服の商談、失敗に終わったそうよ。向こうから切られたって」
「何があったのか聞いたんですか?」
花梨が尋ねると先輩は首を横に振って答える。
「詳細は聞いてないの。ただ、制服は諦めろって」
伊達のあの表情を思い出して、花梨は妙に納得して頷いた。
「仕方ないですね。私はこの制服で充分可愛いって思ってますけどね」
花梨は先輩にそう言って励ました。残念そうにしていた先輩とは更衣室で別れ、さっさと神山の自宅へ向かおうと会社を出る。
さらりとスカートを揺らして、駅に向かおうとした花梨。
「花梨くん」
背後から呼び止められた花梨は、嫌な予感を覚えて振り返る。
大崎部長が早歩きでこちらへ向かって来て、花梨の前でぜぇぜぇ言いながら止まる。
「お疲れ様です、部長」
「ああ、お疲れ。今朝のことで少しいいかね。大事な話があるんだが」
「はい、なんでしょう」
「ここでは何だから、ちょっと飲みにでもいかないかね。その、少し話しにくいことなんだ」
この中年と飲みにいっても楽しいはずないが、莉緒の事で何か話があるというのなら聞くしかないだろう。
「少しだけなら……」
気が乗らないが、そう言うと大崎は表情を明るくして言った。
「すぐそこの居酒屋にしよう」
そう言って先導する大崎についていきながら、花梨は神山に連絡をとろうとした。
「彼氏かな?いいねえ、若いって」
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