家なき子:花梨〜アブノーマル弁護士〜

橘 葛葉

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19=花嫁プレイ=

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後日、神山が手続きをして莉緒と花梨は同時に退職した。
食品部門から出た不祥事に会社は騒ぎになっていたようだが、仲良くしていた莉緒が一緒に退職した事で、会社の情報は神山以外から入ってこない。
後日、神山の紹介でファースタイルへ面接に行き、前の会社と同じような条件で雇ってもらうことができた。
仕事を覚えながら、神山との生活を継続している花梨。
「引っ越しも考えないとな」
夕食時に神山はそんな事を言う。
「私が来たから、狭い?」
「まあ、風呂がなぁ」
確かに一緒に入るには少々狭い。そして神山は何もせずとも一緒に入りたがった。
湯船に浸かって後ろから抱きしめられ、のんびり語るのは悪くない。
「引越しのタイミングで結婚するか。式はどうする?和洋どっちが好みだ?」
「先生、本気で言ってるの?」
「まだ疑ってるのか」
呆れたように言う神山に、だって、と花梨は膨れた。
始まりを考えると、まだ花梨の中では現実味がなくて信じられない。
いつか他にもっと適正のある人が現れるのではないかと思ってしまう。
「他の女?結婚してしまえば不倫になるだろう?そんな法的に不利な事、俺がすると思うか?」
「それは……」
花梨が返答に困って里芋を口に運んだのを見た神山は、自身も同じものを口に運んだ。
「うまいっ」
神山はよくそう言って花梨を煽てる。
最近分かってきた事だが、煮物や煮魚が好きなようだ。
「先生は和物が好き?」
「あ?まぁ、そうとも言えるな。巫女が汚されるとか、喪服の未亡人が犯されるとかだろ?」
食べ物の事だったのだが、なるほどこれはこれで覚えておこうと花梨は思った。
「そうだ、思い出した」
神山はそう言うと、急いで食事を終える。
花梨も合わせるように食べていると、先に食器を下げた神山は玄関に荷物を取りに行ってすぐに戻ってきた。
「花梨、ちょっとこれ着てみて」
大きな平たい箱だった。
「服?」
頷きを確認すると急いで食べ、同じように食器を片付けると、箱を持って寝室へ向かった。







寝室で箱を開けた花梨は、そこに入っている布を取り出して眺める。
「ウエディングドレス?」
結婚の話をしたばかりだったので、嬉しくなってそれを抱きしめた。
「下着とかつけずに、とりあえず合わせてみるだけな」
「はい!」
外に向かって返事をした花梨。ファスナータイプのドレスで、裾はマーメイドスタイルだった。
着用してリビングへ戻る。
「どう?先生?」
神山は花梨を頭の上からドレスの裾まで、たっぷり三往復して眺め、満足そうに笑う。
「和物じゃないけどいいの?」
「プレイ用だからな」
ニヤリと笑うと、手には赤い麻縄があった。
あっという間に、胸元に縄が掛けられる。
「あぁ、最高にかわいい」
神山はドレスの上から花梨の胸をしばり、ファスナーを肩甲骨までおろすと中に手を入れた。
中にも縄を通し、胸をギュッと縛られる。
「あ……」
縛られるだけで、条件反射のように感じるようになっていた。
着たばかりなのに肩が肌けてあらわになる。
ドレスの上から股下に縄が通り、片方の太腿が剥き出しになった。
「やだ、先生。こんな事されたら、本番も思い出しちゃう」
「それが狙い」
するりとドレスの中に入ってくる指に、ぴくりと肩が跳ねる。
「花梨」
囁く声は耳元から。上から通された縄が、股下を通って引き上げられる。
「はっ、あぁ……」
寝室へ続く扉の上に設置されたフックに、縄の一部が掛けられると、花梨の右太腿が引き上げられる。跪いた神山の唇が、花梨の下の唇と重なり、卑猥な水音が聞こえてきた。
「あ、先生……」
ぴちゃぴちゃ聞こえていた水音が止まると、にゅるりと指が挿入される。
「はぅ……」
びくんと動く腰に、神山の手が花梨の臀部を掴む。再びぴちゃぴちゃと水音が再開され、花梨の腰が小刻みに震え始めた。
「だめ、先生……だめ……ダメ」
神山は花梨の言葉を全て無視して、口と指の動きを止めない。
「あっ、先生……あっ、ああぁん、あっ、あっ……あっ!」
ガクガクと大きな痙攣が花梨を襲い、その直後脱力する体を抱き止める。
フックから縄を解くと、抱き抱えるように寝室へ入り、ベッドに花梨を寝かせるとそのまま上に乗った。
「先……生……」
「綺麗だ、花梨。早く本物の花嫁になって」
「そん……な、今……言うなんて……」
「大丈夫。プロポーズはちゃんとするから」
そう囁くと同時に、花梨の中を貫く。
「はぅっ、あっ……あっ……」
ドレスを乱しながら、突き続ける神山に、花梨は必死に縋っていた。
「先生……先生!」
薄い生地のドレスが神山に引っ張られて裂けていく。
犯されているように感じた花梨は、下腹部に力がこもり始めたのを察知した。
「犯されてるみたいか?」
「あっ、そんな……」
どうして考えている事が分かったのだろう。
「エロい顔になってる」
「や……そんな、先生のバカ」
花梨がそう言うと、自信を中から引き抜き、その腰を持ってベッドの脇にスライドさせた。ベッドから降りた神山は、際にある花梨の腰を持つと、立ったまま挿れ直す。
「あっ!奥に……くる……」
花梨が感じていると、わざと破くようにビリビリと音を立て、ドレスが裂けていく。
「白いドレスに赤い縄が映えるな」
神山はそう言うと、花梨をうつ伏せにして足を持つ。腰を少し浮かせるようにすると、背後からまた突いた。
「きゃあ、あっ、あぁ!」
激しくなっていく動きに、花梨の嬌声も高くなる。
敗れた布地と緩んだ縄にまみれた花梨は、打ち付けられる腰に声を押さえられなかった。
「先生、いきそう……も、だめ……ダメーー」
一人で大きく痙攣して果てた花梨は、少し緩慢になった神山の動きを見て言った。
「先生はいけなかった、の……?」
「我慢した。まだ花梨の淫らな姿を見ていたい」
そう言われてキュンと下腹部が締まる。
「うっ、こらっ花梨」
「だ、だって……」
自分でどうにかできるものではないと言いたかったが、ずんっと突かれて嬌声が出た。
「まだいけそうだな」
挑戦的な神山の声に、また花梨の下腹部が収縮する。
「くっ……」
動きを止めた神山。一度花梨の中から引き抜くと、指を挿れて言う。
「久しぶりに、ここも可愛がってやる」
指がお尻に差し込まれて、花梨はビクっと体を震わせる。
「ショーみたいにバイブがいいか?」
「あっ、あぁっ!あっ、あっぁ!」
刺激が強すぎて答えられないのを、神山も知っていて聞いている。尻の中をぐりぐり掻きまわされると同時に、再び神山の分身が挿入される。
「うっ、くふぅん!あっ、あんっ」
指が抜けたと思ったら、ショーで使ったバイブが挿入される。
ボールの振動を腰に感じていると、さらに激しく、ずんずんと突いてくるくる神山。
「あっ……あぁ!あぁん、あんっ、ぁあんっ!」
激しくなっていく神山の動きに比例して、また花梨の中で何かが迫り上がってくる。
「花梨、花梨!」
名を呼ばれてさらに高まる。
「先生……あっ……先生……あん!」
スルッと前に差し込まれた神山の指が、花梨の鼠蹊部を辿って中心へ近づく。陰核を見つけると、きゅっと摘んで擦る。
「あっ、だめ、先生……もう、だめ……ダメ……ダメぇえ!」
一際大きく跳ねて絶頂を迎えた花梨。脱力したその中で、神山が跳ねるのを感じた。








「もう、先生のバカっ」
照れと不満をぶつける花梨に、神山は何も言わず腕を撫でていた。
「それなりにウエディングドレスに憧れてたのに」
ポカポカと胸を叩く花梨に、黙って笑いかける神山。
「エロくて綺麗で可愛くって満足」
ちゅっとキスまでされてしまえば、花梨はもう何も言えない。
「変態すぎてひいた?」
「そんなわけ……」
むしろその内容によがっている自分の方が変態なのではと花梨は思う。
しかしそんな事は口に出せるはずもなく、赤面してその胸元に顔を埋める。
「俺の周りにはさ、俺以上の変態がいるから、麻痺してんのかもな」
「先生以上の、変態?例えばどんな?」
胸元から見上げてくる花梨の頬を撫でながら、神山は考えながら口を開く。
「ま、深海のサーナに参加してりゃな。人の性癖なんて、他人から見れば大抵は気持ち悪いんじゃないか」
「そうなんですか?」
「人体に食べ物乗せて楽しむのに嫌悪を抱く奴もいるし、異性に欲情する事が変態だと言う奴もいるからな」
え、と花梨は神山の顔を見た。
「同性じゃなくて、異性?」
「そうだな。ただ、いつも思うのは、俺の性癖が法を犯すようなものじゃなかったのは感謝すべきかな。子供とか、屍体とか」
「そ、そうですよね……」
世の中、色んな愛の形があるのだろう。そんな中から、性的傾向が似たもの、あるいは嫌悪を抱かないような相手を探すことは、確かに奇跡に近いのかもしれない。
「先生に見つけてもらって、よかった」
花梨がポツリと言うと、神山は頭を撫でていた腕にグッと力を入れる。
抱き寄せてキスをすると、笑って言った。
「花梨から俺にアピールしてきたんだぞ」
「そんな事……」
『強引にされたい時ってあるでしょ?特に、あの時』
過去に自分が莉緒に言った事を思い出した。
「まだいった事もない、未開発のパートナーがそこにいると思ったよ。あの台詞を聞いた時にね」
「あの台詞って……」
『強引に押さえつけられたら、ちょっといきそうになるんだよねぇ』
神山は花梨の耳元でそう言った。
「な、なんであの距離で聞こえるの?」
「そりゃ、聞き耳立ててたからね」
なぜ聞き耳など立てられていたのだろうか。
「不思議そうな顔するな。好みの女だったからに決まってるだろ。どうやって犯してやろうかって、楽しい妄想をしながらあの部長を待ってたんだ」
「た、楽しい……」
神山は花梨を胸元にギュッと抱き寄せながら続ける。
「どんなハーネスが似合うかなぁとか、どんなプレイでエロい顔をするのかなぁとか、どんなコスプレさせてみようかなぁとか」
花嫁もコスプレに入るのだろうか。
「でも、人に襲わせるのはもうダメだな」
そう言った神山の胸元で、花梨が身じろぎしてその顔を見上げる。
「もう満たされたからいいや。恋人がレイプされかけるのって萌えると思ってたけど、嫌なのも割と強いって気がついた」
でも、それならショーの出演はどうなるのだろうか。
「あの男が作った借金は俺が返す。いや、あの男に返させるのが一番なんだが、まだ捕まってないしな」
「そんな、だって……」
「出演して、また襲われたら洒落にならん。花梨が参加した金持ちに攫われたらと思うとな……」
もちろんそんな事をしでかすような人物はあのクラブに参加できない。それでも大崎のような例外もある。人は欲望の前では非力だ。
それまで隠れていた本性を曝け出し、犯罪だと分かっていても止められない者だっているだろう。あの時の大崎にように。
「だから花梨、借金分、体で払ってもらうぞ」
挑戦的な目が花梨を捉える。
「人の欲望は果てしないからな。一生かかると思ってくれ」
告げられた花梨は、恥ずかしげに顔を俯かせた。しかし神山の胸元でゆっくり頷く。
「もう、先生じゃないと満足できない体になっちゃったから、責任とって」
神山は花梨の顔を引き上げてキスをする。
甘いキスが深くなっていく事を、この瞬間の花梨はまだ知らない。
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