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第2章 逃避の旅
第16話 船旅の開始
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約束の日の深夜12時に2人はワン・コロと待ち合わせの港にいた。
ワン・コロと彼のクルーはせっせと荷物を船に積んでいた。まだ荷積みは終わっていないようだ。2人はワン・コロに近づくとワン・コロの方から声を掛けてきた。
「よお、お二人さん。約束の金、持ってきたか?」
「ああ、もちろんだ」
ノー・ソイは金貨150枚入った革袋を渡すとワン・コロは金貨の枚数を数えだした。数終えた頃、ノー・ソイは尋ねた。
「出港は遅れるのかね?」
「もうすぐ出港できる。では船内を案内しよう」
2人はワン・コロの後に続き、船内へ入っていった。
一通り船内を見学すると2人が滞在する部屋へ案内された。部屋の大きさは約10畳ほどで船長と同じ部屋だ。
船長のゲストということで他のクルーの住居スペースとは別だ。
プルードー王国に着くまでこの部屋で過ごすことになる。
「出港」
船長のワン・コロが叫ぶと船は下流へ向けて滑り出した。
出港後、ワン・コロは2人に大まかな旅程を説明した。
まず17日かけてエイナールの首都フロステーへ行き、そこで荷物の荷下ろしと荷積みを1日かけて行い、10日後にプルードー王国との国境の街に到着する。全工程28日の旅だ。
フロステーでの荷物の入れ替えに1日あるのでフロステーの見学は出来そうだ。
話を聞いた2人は少し驚いた。コノー・ヤローからプルードー王国までは早くても5週間かかると思っていたからだ。思っていたより1週間、早く着く。
そのことに付いて触れるとワン・コロは自慢げに言った。
「この船モジョラー号はここらで最速の船だからな。定期船の鈍足と比べてもらっては困る」
早く着けば着くほどこっちにとっては都合がいい。厄介事からも早く解放される。
ここからは船旅を楽しみながらフォーナスの訓練も十分にできる。
2人は食事用の魚釣りをしながら、その合間にフォーナスの訓練をした。
川には魚が沢山おり、食いっぱぐれることはなかった。毎日、魚ばっかり食べて飽きてきたが、食いっぱぐれるよりはマシである。
2人が船長室でフォーナスの訓練をしている時、突然ワン・コロが入ってきた。ワン・コロは2人がナニをおっ勃ってて踊っているかのように立ち回っているのを見てぶったまげた。
「お前ら何してる」
妙な沈黙が続いた。
「なるほどそう言うことだったのか。余計な詮索をされたくないとは」
ワン・コロは何かとんでもない勘違いをしているみたいだ。これは訂正しなければ。ルークは毅然とした態度を取るとキッパリと言った。
「違うは!我々は所謂、オカマとは全然違う。そんな趣味はない。これはフォーナスの訓練なのだ」
フォーナス?何だそれ。
それとナニをおっ勃っててズボンから出す関係性があるのか?ノー・ソイがフォーナスの訓練の概要を簡単に説明するとワン・コロは笑って答えた。
「俺は世界各地を旅したがそんな滑稽な話、聞いたことがない」
勿論、そんな話、聞いたことがないだろう。世界中のほとんどの連中が知らない。
世界中のほんの一握りのエリートしか知らないことだ。
一般大衆にとってフォーナスなんてとんでもない力などおとぎ話の中の話だ。
ワン・コロは鼻で笑って更にツッコミを入れた。
「それ、いちいち勃起しないと使えないのか?敵はそんなの待ってくれないぜ」
そうなのだ。それはルークも疑問に思っていた。
命懸けの戦いに卑怯もヘッタクレもない。勝ったもの勝ちだ。敗者はただ忘れ去られるのみ。歴史は勝者によって綴られる。
不意打ちでも何でもいいから勝てばいいんだよ。勝てば。
そのツッコミに対してノー・ソイは一言、ボーナビリティ(Bonerability)と言った。
Vulnerabilityではない。発音は似ているが意味は正反対だ。
Bonerabilityとは勃起(Boner)の能力(Ability)のことである。ディッカーにとっての要になる能力だ。
このボーナビリティ の強さによってディック・セイバーのデュエルの勝敗は強く左右される。ボーナビリティ は4つのカテゴリーによって分類される。硬さ、サイズ、耐久性、早さだ。
硬さ、サイズ、耐久性の説明はそれほど必要ない。早さはいかに早く勃起できるかだ。不測の事態には早さが求められる。
敵の殺気をいち早く探知し、すぐに勃起できれば対処は容易に可能だ。
ボコール帝国の皇帝レイダーは特にこの早さの能力に抜きん出でていた。これが奴の暗殺がほぼ不可能な理由だ。
ルークはノー・ソイの説明を聞き、自分のダメっぷりを痛感した。
ルークはフォーナスを感じ取ることに関しては以外と苦労しなかった。天性の才能なのか。彼がキメラで魔女の遺伝子を継いでいるのが大きな理由なのか。
だがボーナビリティ に関してはまだまだだった。魔女は女なので勃起は出来ない。これに関しては魔女の遺伝子は全く役に立たない。と言うかひょっとしたら邪魔しているかもしれない。
ルークはフロステーに着くまで勃起とフォーナスの訓練に勤しんだ。
ワン・コロと彼のクルーはせっせと荷物を船に積んでいた。まだ荷積みは終わっていないようだ。2人はワン・コロに近づくとワン・コロの方から声を掛けてきた。
「よお、お二人さん。約束の金、持ってきたか?」
「ああ、もちろんだ」
ノー・ソイは金貨150枚入った革袋を渡すとワン・コロは金貨の枚数を数えだした。数終えた頃、ノー・ソイは尋ねた。
「出港は遅れるのかね?」
「もうすぐ出港できる。では船内を案内しよう」
2人はワン・コロの後に続き、船内へ入っていった。
一通り船内を見学すると2人が滞在する部屋へ案内された。部屋の大きさは約10畳ほどで船長と同じ部屋だ。
船長のゲストということで他のクルーの住居スペースとは別だ。
プルードー王国に着くまでこの部屋で過ごすことになる。
「出港」
船長のワン・コロが叫ぶと船は下流へ向けて滑り出した。
出港後、ワン・コロは2人に大まかな旅程を説明した。
まず17日かけてエイナールの首都フロステーへ行き、そこで荷物の荷下ろしと荷積みを1日かけて行い、10日後にプルードー王国との国境の街に到着する。全工程28日の旅だ。
フロステーでの荷物の入れ替えに1日あるのでフロステーの見学は出来そうだ。
話を聞いた2人は少し驚いた。コノー・ヤローからプルードー王国までは早くても5週間かかると思っていたからだ。思っていたより1週間、早く着く。
そのことに付いて触れるとワン・コロは自慢げに言った。
「この船モジョラー号はここらで最速の船だからな。定期船の鈍足と比べてもらっては困る」
早く着けば着くほどこっちにとっては都合がいい。厄介事からも早く解放される。
ここからは船旅を楽しみながらフォーナスの訓練も十分にできる。
2人は食事用の魚釣りをしながら、その合間にフォーナスの訓練をした。
川には魚が沢山おり、食いっぱぐれることはなかった。毎日、魚ばっかり食べて飽きてきたが、食いっぱぐれるよりはマシである。
2人が船長室でフォーナスの訓練をしている時、突然ワン・コロが入ってきた。ワン・コロは2人がナニをおっ勃ってて踊っているかのように立ち回っているのを見てぶったまげた。
「お前ら何してる」
妙な沈黙が続いた。
「なるほどそう言うことだったのか。余計な詮索をされたくないとは」
ワン・コロは何かとんでもない勘違いをしているみたいだ。これは訂正しなければ。ルークは毅然とした態度を取るとキッパリと言った。
「違うは!我々は所謂、オカマとは全然違う。そんな趣味はない。これはフォーナスの訓練なのだ」
フォーナス?何だそれ。
それとナニをおっ勃っててズボンから出す関係性があるのか?ノー・ソイがフォーナスの訓練の概要を簡単に説明するとワン・コロは笑って答えた。
「俺は世界各地を旅したがそんな滑稽な話、聞いたことがない」
勿論、そんな話、聞いたことがないだろう。世界中のほとんどの連中が知らない。
世界中のほんの一握りのエリートしか知らないことだ。
一般大衆にとってフォーナスなんてとんでもない力などおとぎ話の中の話だ。
ワン・コロは鼻で笑って更にツッコミを入れた。
「それ、いちいち勃起しないと使えないのか?敵はそんなの待ってくれないぜ」
そうなのだ。それはルークも疑問に思っていた。
命懸けの戦いに卑怯もヘッタクレもない。勝ったもの勝ちだ。敗者はただ忘れ去られるのみ。歴史は勝者によって綴られる。
不意打ちでも何でもいいから勝てばいいんだよ。勝てば。
そのツッコミに対してノー・ソイは一言、ボーナビリティ(Bonerability)と言った。
Vulnerabilityではない。発音は似ているが意味は正反対だ。
Bonerabilityとは勃起(Boner)の能力(Ability)のことである。ディッカーにとっての要になる能力だ。
このボーナビリティ の強さによってディック・セイバーのデュエルの勝敗は強く左右される。ボーナビリティ は4つのカテゴリーによって分類される。硬さ、サイズ、耐久性、早さだ。
硬さ、サイズ、耐久性の説明はそれほど必要ない。早さはいかに早く勃起できるかだ。不測の事態には早さが求められる。
敵の殺気をいち早く探知し、すぐに勃起できれば対処は容易に可能だ。
ボコール帝国の皇帝レイダーは特にこの早さの能力に抜きん出でていた。これが奴の暗殺がほぼ不可能な理由だ。
ルークはノー・ソイの説明を聞き、自分のダメっぷりを痛感した。
ルークはフォーナスを感じ取ることに関しては以外と苦労しなかった。天性の才能なのか。彼がキメラで魔女の遺伝子を継いでいるのが大きな理由なのか。
だがボーナビリティ に関してはまだまだだった。魔女は女なので勃起は出来ない。これに関しては魔女の遺伝子は全く役に立たない。と言うかひょっとしたら邪魔しているかもしれない。
ルークはフロステーに着くまで勃起とフォーナスの訓練に勤しんだ。
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