くすぐりロボの贈り物 / くすぐり短編集

くすぐり小説 / くすくすくらぶ

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くすくすかくれんぼ

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夏休みの終わりが近づいたある夕暮れ時、近所の公園は子供たちの笑い声で賑わっていた。
10歳の涼太は、友達とかくれんぼをするのが大好きで、「隠れるのが天才的」とかなりかくれんぼには自信があった。
茶色い髪を夕日に輝かせ、Tシャツと短パン姿で今日も元気に勝負に挑んでいた。

「じゃあ、太一が鬼な!」
仲間のひとり、太一が大きなケヤキの木に手を置いて目を閉じ、数え始める。「10、9、8…」
その声を合図に、涼太を含む6人の子供たちが一斉に散らばった。涼太の頭の中ではすでに作戦が出来上がっていた。
「前回は遊具の下に隠れてすぐ見つかっちゃったから、今日は絶対完璧な場所にしよう!」

公園の隅にある茂みを目ざとく見つけ、涼太は素早くそこへ向かった。茂みは背の高い草と小さな木が混ざり合っていて、体を低くすれば外からはほとんど見えない。彼は慎重に草をかき分け、地面にしゃがんで身を隠した。

葉っぱの隙間から向こうを覗くと、太一がまだ数を数えているのが見える。
「5、4、3…」
涼太は口元に笑みを浮かべ、
「ここなら絶対安全。誰もオレを見つけられないぞ」と心の中で勝利を確信した。

やがて太一の「もういいかい?」という声が響き、
仲間たちが「まーだだよ!」と返事をする。

公園は一気に静まり返り、夕陽が木々の間を通ってオレンジ色の光を投げかけていた。涼太は息を殺し、じっと茂みの中で待機する。遠くで太一が遊具の周りを探し始め、他の子が隠れているブランコの裏を覗き込むのが見えた。

「へへっ、太一、全然見当違いだよ」と内心でほくそ笑む。

するとその時、茂みの後ろで小さな足音が聞こえた。
涼太は最初、風で草が揺れただけかと思ったが、すぐに違和感に気づく。

「誰かいるのか?」
振り返ろうとした瞬間、小さな声が耳元で囁いた。

「涼ちゃん、かくれてるの?」

それは涼太の従姉妹、花だった。花は涼太の家によく遊びにくるけれど、
女の子だし、年下で、涼ちゃん涼ちゃんとどこまでもしつこくついて来るから涼太は苦手だった。
今日も遊びに来ると聞いていたけれど、わざと逃げてきたのだ。
ところが、母親と買い物ついでに一緒に公園に遊びに来て、たまたま涼太がいる所を見つけてしまったらしい。

涼太は慌てて『しっ!かくれんぼしてんだから静かにしろよ』と小声で制する。
花は丸い目で涼太をじーっと見つめると、
何かを思いついたかのようにニコッと笑って、
「涼ちゃん、ここにいるの、バレちゃうかも」と無邪気に言った。
「バレないから黙ってなって!」
涼太は小声で必死に追い払おうとするが、

花は突然、涼太の背中をその小さな指先でなぞり始めた。

「ひゃっ!や、やめろってば!」

涼太は驚きのあまり声を上げそうになり、慌てて口を押さえる。

「なーんてかいたでしょう?」

ニコニコ無邪気な笑顔で花に聞かれても、涼太はくすぐったくて全くわからない。
適当に答えると、「ぶぶー!」と言って、

「じゃあもう一回ね」

と、また背中に指で何かを書き始める。
花の小さな指が背中を軽く這うと、くすぐったさに体がビクッと跳ねてしまう。

「ふうっ…!わかるわけ、ないだろ!やめろって!」
少し涼太が怖い顔をすると、花は少ししょんぼりしてみせる。

「涼ちゃん、怒っちゃだめー」

そう言うなり、今度はコチョコチョと背中を小さな両手でくすぐり始めた。

「ひゃはっ…おい、やめろよ、花…!」
涼太は背中を揺らしながら必死に我慢しようとするが、花は目をキラキラさせて、
「涼ちゃんって、くすぐったいの弱いね!」と楽しそうに笑う。

「そんなことー…」

くりっ。
イタズラな両手が、今度は脇腹を捕まえた。

「うわっ!あはっ、やめッ——!」
涼太の声が思わず漏れそうになり、両手で口を塞ぐ。
花の小さな指が、脇腹でコチョコチョ踊っている。

「いひひー涼ちゃん、こちょこちょこちょ~♪」

「くっ…あ、ふっ、ホント、おま、やめろってばっ」
くすぐったさが電流のようにつま先まで走り抜け、涼太の体は小さく震える。

「ふうっ、くくく…!ば、ばかっ…見つかっちゃうだろっ…!」と小声で訴えるが、
花は「うふふっ、涼ちゃん、おもしろーい!」とさらに指を細かく動かし続ける。

「あはっ…あっ、っひひ…っ」

脇腹でコチョコチョ踊る手を捕まえようとすれば、
ヒョイっと逃げられて今度はお腹の真ん中をコチョコチョこそばしてくる。

「ひゃ!あっははっ…う、ぐ、ひひひ…」

見つからないようになんとか声を押し殺しながらくすぐる手を追いかけるけれど、
ちょこまか素早く逃げる花の手はなかなか捕まえられない。
涼太はしゃがんだ膝をグッと抱えて丸くなり、なんとか声を出すのを耐えようとする。

「涼ちゃんがーくすぐったいばーしょーはー」

指差しながら、どこにしようか、かみさまのいうとおり。
そして、花の手が首筋に伸びてきた瞬間、ついに我慢の限界が来た。

「ひゃははっ!だめだってっいひひひひ——!」
涼太の笑い声が茂みの中で響き、慌てて自分の手で口を押さえる。だが、花の手は、

耳をこしょこしょくすぐって、
うなじをソワソワ指先でくすぐって、
汗ばんだ首を爪でカリカリとくすぐって……

一向に止まる気配がない。

「ぐうっふふふっ…ううんんっ…!」
首を振って追い払おうとしてもあっちをコチョコチョ、
こっちでソワソワ。

「ねー涼ちゃん笑ってよお」

今度は両手を使って、シャツの隙間から涼太の脇の下を直接くすぐり始めた。

「そっ!そこやめろってば!お願い——ふぐっ、ううふふっ!」

涼太は口から漏れてしまう笑いが止められず、体をくねらせてなんとか逃げようとするが、茂みの狭い空間では思うように動けない。花の小さな指が絶妙な力加減で脇の下の窪みを動き回る。
汗をかいているせいで指がすべって余計にくすぐったい。涼太は唇をグッと噛みながら、

「は、な、ほんとやめろって…!見つかっちゃうだろ…!」と必死に訴えた。

「涼ちゃんがうまくかくれててもさあ、笑ったらみつかっちゃうよねー」
花はまるで自分がゲームの主役になったかのように得意げだ。
涼太は「だからやめろって——あははっ!」と抵抗するが、くすぐったさに負けて体がガクガク震え、茂みも一緒にガサガサと大きく揺れ始める。
葉っぱがパラパラと落ち、地面に散らばっていく。

「がんばれ涼ちゃん♪こちょこちょこちょ♪」

歌うように花はしつこく脇の下をくすぐってくる。
涼太のツボにクリッと指が入り込み、ビクンッと体が跳ねて、
「いひゃあ!」と変な声が漏れた。

にいーっと花が横で笑っている。

「涼ちゃんのすきなとこ、みーっけ!」

こちょこちょこちょこちょ….
脇の奥のツボに指先が入り込んでくりくりとくすぐり倒す。
「ああっはっはははは!すっ、すきじゃなっひいっ、いひひひ!ぎいひひひぃ!」

膝をついて脇を締めようとしても、花の手が入り込んでいて余計にくすぐったさが増す。
「あはっ、あはははははっ!!はなぁっ、お前、許さないからなぁっ」
またおこってるー、と花は指を立てて、揉むように脇の下と脇腹をくすぐった。

「ひひひっそれ、やめっ!」
くすぐったすぎて涙目になりながら懇願する。

「もうおこってない?」
涼太を見上げながら、フニフニ、こちょこちょとくすぐる手は止まらない。

「おこってないっ!怒ってないから、もうやめヘヘっへへ!!!」

「うそつきはおへそとられるんだよ?」

おへそのあたりをこちょこちょ、くりくりと細い指でほじくられて、
「ぎぃやっはははあ!!」
と叫び声みたいな笑い声が木々を揺らす。

その騒ぎに気づいた太一が、遠くから「ん?何だあの音?」と首をかしげて近づいてきた。ザクザクと木の葉を踏む音に涼太は我に帰って、
「やばい、やばい、見つかる!」と本気で花の手を振り解こうとした。

「うふふー」
花が涼太の耳元で悪魔の笑みを浮かべる。

「いくよー♪せーのーでっ」

最後の仕上げとばかりに涼太のお腹をコチョコチョくすぐった。

「あひゃっははは!!」

大声が出てしまい、茂みが一気にガサガサッと大きく揺れる。
その瞬間、太一が「あそこだな!」と駆け寄ってきた。

「見ーつけた、って…何してんの?」
太一が茂みを覗き込むと、そこには笑い転げる涼太と、無邪気にくすぐり続ける花の姿。ようやく花を引き離して、涼太は息を切らしながら
「見つかったのは花のせいだぞ!ノーカン!」と叫んだが、太一は「隠れてても笑ったら終わりだよ」とニヤニヤしながら言う。
近くに隠れていた他の仲間たちも集まってきて、
「涼太、めっちゃ笑ってたじゃん!」「花ちゃんナイスぅ!」とからかい始めた。

涼太は顔を真っ赤にして立ち上がり、
「くそ、花が邪魔しなきゃ勝ってたのに!」と悔しそうに花を睨む。
でも花は「えへへ、ごめんね、涼ちゃん、楽しかったあ」と全く悪びれずに笑うばかり。その無邪気さに、涼太もつい苦笑いを浮かべてしまった。

「次は花も入れてやるぞ!絶対仕返ししてやる」
涼太が大人気なくそう宣言すると、花は、
「えー、わたしくすぐられるのイヤだもん!」と逃げ出してしまった。
みんなの笑い声が真夏の青空に響き渡った。

その後もゲームは続き、涼太は「今度こそ完璧に隠れてやる!」と再挑戦を誓ったが、あの小さなイタズラがずっと頭から離れず、つい周りを見回してしまうのだった。


おしまい
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感想 13

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