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第143話 さてと、みんな、待たせたな!
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前回のあらすじ:魔導具用の素材を集めたら、切れられた。
ラヒラスに龍素材を渡した。渡した際にラヒラスが何やら叫んでいたけど、どうでもよろしい。きっちり魔導具を作って、製造工場を完成させないと、私の自由時間がほとんど取れなくなってしまう。
ラヒラス+職人達の協力によって、ビールを作成する機会は順調に作られていった。まさか、完成した機械をアインが1人で運んでいたと聞いたときにはびっくりしたけど、、、。
じゃあ、その間私は何をしていたかというと、別に暇だったわけではなく、ミードを作ったり、たまに狩り採集班が狩ってきたオーガ肉をジャーキーにするやり方を教えたりしていた。オーガ肉のジャーキーについては、一々説明が面倒になったので、トリニトの町から人を呼んで指導させたりした。もちろん、領主としての仕事も少しはあるので、その決済をしたりと、一応何かしらの仕事はしていたのだ。
私が仕事をしているときは、マーブル達は癒やし要員として、モフモフやプヨプヨの感触を私に与えてくれはしてたけど、基本的にはウサギ広場で、ウサギ達やコカトリス達と一緒に、領内の子供達と遊んだりしている。癒やしは交代である程度時間が経つと、私の所に来てくれて、癒やしを提供してくれている。ウサギ広場で遊んでいるメンバーも承知しているようで、マーブル達だけではなく、ウサギやコカトリス、領内の子供達もたまに顔を出してくれている。本当に良い子達だ。
若ビールを寝かすこと1週間、常温発酵させていたビールがようやく馴染みのある、というか、飲みやすい感じになってきたと感じたので、念のためもう1日様子を見ることにした。というのも、私の知っている内容だと2週間くらい寝かす必要が確かあったはず、という考えがあるから。とはいえ、以前いた世界で使用した材料は微妙に異なるはずだから、結局は実際に確かめてみないとわからない。
また、正直私個人的にはビールって苦手なんだよね。美味いかどうかなんてものは、さっぱりわからないものだから、一応味見要員というものは存在している。そう、マーブル達である。領民達を味見要員にすることももちろん考えたけど、領民達には出来上がったものを美味しく飲んでもらいたい。あと、下手に領民達に味見をさせると、もう1杯とか言われてしまう可能性が高い。ぶっちゃけ、そっちの方が不安だからである。
私とマーブル達で、毎日少しずつ味見をして、6日目辺りから知った感じの味になった上、マーブル達の反応が良くなったというのが、そろそろいいかな、と判断した理由である。ちなみに低温発酵した方のビールだけど、まだ味が調っていない感じがしたので、あと1週間は、味見をしつつ様子見である。
以前いた世界では、酵母を投入して発酵を促す必要があったけど、少なくとも、ここで造るビールについては、その必要はなさそうなので、残った酵母については、回収することにした。酵母は別のことに使いたいからね。わかる人はわかると思うけど、今は秘密ということで。
次の日、常温発酵させていたビールの味見をしてみると、昨日と比べて特に変化はなかったし、マーブル達の反応も相変わらずよかったので、次の段階、というか最終段階だけど、この完成したビールを冷やす作業に入る。
というのも、ここで造ったビールは、ホップを入れていない、というより、材料が水と大麦だけという至ってシンプルなものなので、長期保存が不可能なのだ。そのために毎日少しずつ生産して、飲みきりという形をどうしても取りたくて、このように機械を増やして順番に生産しているのだ。
では、どうやって冷やすのか? もちろん、今回は水術で一気に冷やすつもりだ。しかし、それでは今後私の行動にかなりの制限がかかってしまうので、どうやって解決するか? 実は、解決方法は存在している。やり方は簡単である。やったことのある人もいると思うけど、やったことの無い人は試してみるといいかもしれない、って誰に話しているんだろうか? まあ、いいか。
やり方は非常に簡単。用意するものはペットボトルと水、これだけ。まあ、缶を置けるだけの面積があれば別にペットボトルでなくてもいいけど。ということで、ペットボトルは2Lクラスの、それも角張った形の方がいい。円いやつでもいいけど、オススメはしません。絶対面倒だから。角張ったペットボトルという前提で話を進めさせてもらうけど、上部一面だけを切り取る。切り取るのは面積が広い方がいいと思う。切り取ったら、3分の2から4分の3くらいまで水をいれて冷凍庫で凍らせる。凍らせたら、その氷の上に缶を乗せてクルクル回すだけ。体感だと10秒から20秒くらいで結構キンキンに冷えるので、お試しあれ。ちなみに、炭酸飲料でも問題なくできます。プシューっといきなり飛び出たりしないのでご安心を。
ということで、冷凍庫というか、冷凍状態の部屋を用意して、その部屋で完成したビールを回転させておくことによって冷やすことができる、と思う。今回は、水術で冷やすけど、やり方は試しにビールの入った壺の周りを凍らせて回転させて冷やすやり方を採用。正直、直接冷やそうと思ったけど、今後を考えたらそっちの方がいいね。さっき思いついたんだけど、、、。
ビールの入った壺の周りを凍らせる。もちろん冷凍室で回転させるつもりだから、氷と壺をくっつけずにある程度間隔を開けて生成する。マーブルが重力の魔法で壺を浮かせる。壺が浮いたら、ジェミニが壺の上に飛び乗ってその上を走ると、壺が回転し出す。あ、余り思いっきり走らないでね。実験にならないから、ある程度ゆっくりでいいよ。
ある程度ジェミニが走り回ったと思ったら、ジェミニが壺から降りてライムと交代した。ライムも器用に跳ねては上手く回転させていく。しばらくライムが跳ねていたけど、ライムも飛び降りたと思ったら、今度はマーブルが飛び乗って走っていた。マーブルさんや、君、魔法かけながらそんな事もできるのね。
そんな感じで試すこと2時間くらい回転させて、冷却作業終了。あとは、味見をして完成したかどうかを確かめる。今回はほぼ本番に近いので、いつもの味見皿ではなく、飲み物用の入れ物に入れる。面倒だからコップと呼んでおくか、少し形状は違うけど。コップにビールを注ぐと、あの見慣れた泡が出てきた。最初は泡をしっかり立てるように入れて、十分な泡ができたら、10秒程度放置。放置したら、今度は泡立たないようにやさしく注ぐ。よし、こんな感じだろう。
「さて、これが完成品となるけど、正直私は苦手だから、美味しいかどうかはわからない。けど、みんななら違いがわかると思うから、正直な感想をお願いね。とはいえ、最初の一口は悪いけど私がもらうね。」
マーブル達は了解! と敬礼のポーズをしてきた。可愛いけど笑えた。少し笑いながら一口頂く。うん、今までのマーブル達の反応からすれば、この味はかなり喜んでくれると思う。以前いた世界のビールよりも苦みは少し弱いかな。でも、これなら私でも少しは飲めるかな。そんな感じだった。
私が一口飲んで味を確かめてから、マーブル達にも飲んでもらうことにした。
「ミャア!!」
「アイスさん! これ、凄く美味しいです!! これが、アイスさんの言っていたビールというやつですか!」
「あるじー、これ、ボクすきかもー!!」
マーブル達にも好評だ。というのも、味見をした後、おかわりしたそうにこちらを見ていた。正直断りづらかったけど、今回は領民のみんなにも試飲してもらわないといけないから、我慢してもらった。これからも飲めるから我慢してね。ちなみに、スガープラントを混ぜて作った種類のやつも試してみたけど、残念ながら特にこれといった違いはなかった。マーブル達も違いがわからなかったようだ。どちらかというと、おかわり的な何かみたいな感じだった。ということで、今後スガープラントは入れずに作るとしましょうか。その辺は、今後バトンタッチして作ってもらう領民達に任せるとしよう。あと、スガープラントを入れた壺の方は、私が水術で直接冷やしたものだ。そうしないとローテが組めなかったからね、、、。
ようやく完成したと安堵の息をついていると、やはり、来ましたよ。こういったことについては非常に耳が早いあの方が。
「侯爵、入るぜ! って、おお、ついに出来上がったか!! 早速もらってもいいか?」
「陛下、これは試作のやつですから、量も少ないんですよね。ということで、夕食まで待ってもらえませんかね。」
「おいおい、そんな連れないこと言うなよ、、、。折角完成したんだから、すぐさま味を確認したいのは人の常じゃねえのか?」
いや、アンタ神様でしょうに、、、。
「ここで味見をするのはかまいませんが、そうなると夕食時に飲めなくなりますが、よろしいので?」
「ぐっ、し、仕方ねぇ。今のところは我慢しておいてやるか、、、。」
そう言って、珍しく引き下がる我らがトリトン陛下。隣にいるリトン公爵も飲みたそうにしていたけど、そう言われてしまったので、引き下がらざるを得なかったようで、2人とも、「待て!」と言われた犬状態の表情でこの場を後にした。
ビールを入れた壺は、このまま氷を解かずに冷やしておくことにした。
無事一仕事終えたので、領内を見回ったが、子供達は別として、どの領民もそわそわしていた。どうやら、陛下達から話をきいたらしく、楽しみにしているようだ。いや、楽しみにしてくれるのは嬉しいけど、ヘマしないようにね。
私の姿を見ると、領民達から「今日ついに飲めるんですよね?」というお言葉を頂きました。まるで朝の挨拶をしているかのようなテンプレの台詞みたいな感じです、ハイ。特にやばかったのが、予想通り洞穴族のみなさんでした。他の領民達もやばかったけど、彼らは特にひどかったです。比較的マシだったのは戦姫の3人でしたが、あくまで比較的です。いや、さっきも言った通り、楽しみにしてくれるのは嬉しいんですけどね。
反応がやばかったのは、洞穴族のみんなだけではありませんでした。すっかり忘れていましたが、冒険者ギルドでもそうでした。ギルド長はもちろん、職員たち、挙げ句の果てには、偶然こちらに来ていた冒険者達の食いつきがやばかったです。
現在フロストの町にいる大人達のウザいほどの反応を尻目に、ウサギ広場で遊んでいた子供達と少し遊んで心を癒やしつつ、次の準備に入りました。ぶっちゃけ、今回は試作なので、量もそれほどありません。ということで、恐らく他の酒の消費量も凄いことになるでしょう。そっちの手配は、普段は落ち着いているけど、何故か今日はいろいろとテンション高めなフェラー族長とカムドさんが、張り切っておりましたので、私はといいますと、酒にはつまみが必要でしょ? ということで、つまみの作成をしないといけません。
ということで、ビールを完成させたばかりなのに、新たに別の作業にとりかかるハメになりましたよ。ただ、このつまみを作るという別の作業については、戦姫はもちろんのこと、他の領民や屋台衆のみんなも手伝ってくれて、逆に私は材料提供しかさせてもらえなかったです。1品だけでも作りたかったな、、、。
そんなこんなでやってきました、夕食の時間です。最近は帝都から陛下が連れてきた功労者との食事については、領民達が持ち回りで対応していたようですが、もちろん、今日は全員ウサギ広場に集合しての食事会、いや宴会ですかね。帝都の方でも、今日については、日間の功労者ではなく、月間の功労者が選ばれたらしく、帝都から来たみなさんも誇らしげに参加していましたよ。
最近リトン公爵の発案で始まった、功労者に対してのフロスト領への夕食会の招待だけど、もの凄い効果があるようで、特に身分問わず表彰される上に、今まで食べたことのない食事、しかも美味いということで、帝都民達が張り切って仕事に取り組んでいるらしいです。ちなみに、今日の日間功労者については、戦姫直伝のうどん教室ということで納得させたらしいです。戦姫、恐るべし、、、。
領民はもちろんのこと、フロストの町にいる人達例外なく、全員集まったところで、最初に陛下に挨拶をしてもらう。陛下も最初こそお忍びという形で来ていたが、次の日からは身分を隠さなくなってしまったし、我が領民達もそれが当たり前になってきていた。折角設定考えたのに、、、。
「おう、みんな揃っているな? 今日は、とても目出度い日だ! みんなも知っての通り、ここにいるフロスト公爵が! ついに! フロスト領で初めてとなる、酒を! 完成させた!!」
あ、あの、陛下、何でこんなにテンション高いんです? 他の領民達もそれに応えるように「おおー!」とか叫んでいるし、、、。子供達もそれにつられて凄いテンションです。あ、マーブル達、君達もそうなのね。
一通り周りを見回して、右手を挙げたかと思ったら、少ししてから下げた。そしてみんな静かになった。静かになったのを見届けて、再び陛下が話を続ける。
「それだけいい反応ということは、みんなも期待していた訳だよな? もちろん俺も期待していた。言うまでもなく、この町で作られたメシってのは非常に美味く、正直、宮殿で俺が食べているものよりも美味い。これは料理長も同じだと言っているから間違いない。その証拠に、料理長も度々ここに来て、料理を学んでいるし、帝都では、ここでの食事が楽しみで仕事に大いに励んでいるくらいだ! そんなこの地で作った酒は美味いのか? そんな疑問は愚問だ!! 間違いなく美味い!! 先日飲んだハチミツ酒も、今まで俺が飲んだものと比べると、今まで飲んできたものは何だったのだろう、というくらい、全く異なるものだった。しかし、俺は甘い酒よりも、苦みのある酒が好きだ。これについては異論もあろうが、言わせてくれ。今日フロスト侯爵が作った酒は苦みのある酒だ。正直なところ、待ちくたびれたと言っても過言ではない。いや、これ以上話すのは無粋だな。酒の内容などは、作成者であるフロスト侯爵から聞いてくれ。というわけで、侯爵頼んだぜ!」
おいおい、もの凄い中途半端な感じでこっちに投げてくるなよな、、、。みんな待ちくたびれてるだろうから、簡単に話しますか。
「みんな、ゴメンね、私の話を少し聞いて欲しい。今回作ったのは、ズバリ、エールだ。ここの領民達はエールを飲んだことのある人はいるかどうかわからないけど、ここに来ている冒険者のみんなは飲み慣れたものだろう。私は正直、苦手な味だけど、ここにいるマーブル達は美味しいと絶賛してくれたから大丈夫だと思う。もちろん、エール、いや、種類的にはビールだな、このビールはフロストの町限定で飲めるものだけど、金額については飲みやすい値段で提供できると思う。今日は試作品だから、残念ながら量は飲めないけど、作り始めているから、近いうちに沢山飲めるようになると思う。とにかく、飲んでみて感想を聞かせて欲しい。試しに作ったものだから改良点は沢山あると思う。みんなで改良して、さらに美味いものに仕上げて欲しいと思う。もちろん、酒のつまみも沢山用意したから、みんな思う存分楽しんで欲しい。少し長くなったけど、このくらいでいいかな。では、材料となった食材達、作ってくれたみんなに感謝をして、頂きます!!」
「「「「頂きます!!」」」」
こうして夕食会が始まった。さて、みんな美味しいと言ってくれるだろうか。
-------------------------
ギルド長「ついに、完成しましたね。」
ギルド職員「ええ、長かったです。これもドワーフたちのおかげですね。」
ギルド長「ですね、これで、このギルドも活気が出るでしょう。」
・・・ありゃ、普通の会話になってしまった、、、。
ラヒラスに龍素材を渡した。渡した際にラヒラスが何やら叫んでいたけど、どうでもよろしい。きっちり魔導具を作って、製造工場を完成させないと、私の自由時間がほとんど取れなくなってしまう。
ラヒラス+職人達の協力によって、ビールを作成する機会は順調に作られていった。まさか、完成した機械をアインが1人で運んでいたと聞いたときにはびっくりしたけど、、、。
じゃあ、その間私は何をしていたかというと、別に暇だったわけではなく、ミードを作ったり、たまに狩り採集班が狩ってきたオーガ肉をジャーキーにするやり方を教えたりしていた。オーガ肉のジャーキーについては、一々説明が面倒になったので、トリニトの町から人を呼んで指導させたりした。もちろん、領主としての仕事も少しはあるので、その決済をしたりと、一応何かしらの仕事はしていたのだ。
私が仕事をしているときは、マーブル達は癒やし要員として、モフモフやプヨプヨの感触を私に与えてくれはしてたけど、基本的にはウサギ広場で、ウサギ達やコカトリス達と一緒に、領内の子供達と遊んだりしている。癒やしは交代である程度時間が経つと、私の所に来てくれて、癒やしを提供してくれている。ウサギ広場で遊んでいるメンバーも承知しているようで、マーブル達だけではなく、ウサギやコカトリス、領内の子供達もたまに顔を出してくれている。本当に良い子達だ。
若ビールを寝かすこと1週間、常温発酵させていたビールがようやく馴染みのある、というか、飲みやすい感じになってきたと感じたので、念のためもう1日様子を見ることにした。というのも、私の知っている内容だと2週間くらい寝かす必要が確かあったはず、という考えがあるから。とはいえ、以前いた世界で使用した材料は微妙に異なるはずだから、結局は実際に確かめてみないとわからない。
また、正直私個人的にはビールって苦手なんだよね。美味いかどうかなんてものは、さっぱりわからないものだから、一応味見要員というものは存在している。そう、マーブル達である。領民達を味見要員にすることももちろん考えたけど、領民達には出来上がったものを美味しく飲んでもらいたい。あと、下手に領民達に味見をさせると、もう1杯とか言われてしまう可能性が高い。ぶっちゃけ、そっちの方が不安だからである。
私とマーブル達で、毎日少しずつ味見をして、6日目辺りから知った感じの味になった上、マーブル達の反応が良くなったというのが、そろそろいいかな、と判断した理由である。ちなみに低温発酵した方のビールだけど、まだ味が調っていない感じがしたので、あと1週間は、味見をしつつ様子見である。
以前いた世界では、酵母を投入して発酵を促す必要があったけど、少なくとも、ここで造るビールについては、その必要はなさそうなので、残った酵母については、回収することにした。酵母は別のことに使いたいからね。わかる人はわかると思うけど、今は秘密ということで。
次の日、常温発酵させていたビールの味見をしてみると、昨日と比べて特に変化はなかったし、マーブル達の反応も相変わらずよかったので、次の段階、というか最終段階だけど、この完成したビールを冷やす作業に入る。
というのも、ここで造ったビールは、ホップを入れていない、というより、材料が水と大麦だけという至ってシンプルなものなので、長期保存が不可能なのだ。そのために毎日少しずつ生産して、飲みきりという形をどうしても取りたくて、このように機械を増やして順番に生産しているのだ。
では、どうやって冷やすのか? もちろん、今回は水術で一気に冷やすつもりだ。しかし、それでは今後私の行動にかなりの制限がかかってしまうので、どうやって解決するか? 実は、解決方法は存在している。やり方は簡単である。やったことのある人もいると思うけど、やったことの無い人は試してみるといいかもしれない、って誰に話しているんだろうか? まあ、いいか。
やり方は非常に簡単。用意するものはペットボトルと水、これだけ。まあ、缶を置けるだけの面積があれば別にペットボトルでなくてもいいけど。ということで、ペットボトルは2Lクラスの、それも角張った形の方がいい。円いやつでもいいけど、オススメはしません。絶対面倒だから。角張ったペットボトルという前提で話を進めさせてもらうけど、上部一面だけを切り取る。切り取るのは面積が広い方がいいと思う。切り取ったら、3分の2から4分の3くらいまで水をいれて冷凍庫で凍らせる。凍らせたら、その氷の上に缶を乗せてクルクル回すだけ。体感だと10秒から20秒くらいで結構キンキンに冷えるので、お試しあれ。ちなみに、炭酸飲料でも問題なくできます。プシューっといきなり飛び出たりしないのでご安心を。
ということで、冷凍庫というか、冷凍状態の部屋を用意して、その部屋で完成したビールを回転させておくことによって冷やすことができる、と思う。今回は、水術で冷やすけど、やり方は試しにビールの入った壺の周りを凍らせて回転させて冷やすやり方を採用。正直、直接冷やそうと思ったけど、今後を考えたらそっちの方がいいね。さっき思いついたんだけど、、、。
ビールの入った壺の周りを凍らせる。もちろん冷凍室で回転させるつもりだから、氷と壺をくっつけずにある程度間隔を開けて生成する。マーブルが重力の魔法で壺を浮かせる。壺が浮いたら、ジェミニが壺の上に飛び乗ってその上を走ると、壺が回転し出す。あ、余り思いっきり走らないでね。実験にならないから、ある程度ゆっくりでいいよ。
ある程度ジェミニが走り回ったと思ったら、ジェミニが壺から降りてライムと交代した。ライムも器用に跳ねては上手く回転させていく。しばらくライムが跳ねていたけど、ライムも飛び降りたと思ったら、今度はマーブルが飛び乗って走っていた。マーブルさんや、君、魔法かけながらそんな事もできるのね。
そんな感じで試すこと2時間くらい回転させて、冷却作業終了。あとは、味見をして完成したかどうかを確かめる。今回はほぼ本番に近いので、いつもの味見皿ではなく、飲み物用の入れ物に入れる。面倒だからコップと呼んでおくか、少し形状は違うけど。コップにビールを注ぐと、あの見慣れた泡が出てきた。最初は泡をしっかり立てるように入れて、十分な泡ができたら、10秒程度放置。放置したら、今度は泡立たないようにやさしく注ぐ。よし、こんな感じだろう。
「さて、これが完成品となるけど、正直私は苦手だから、美味しいかどうかはわからない。けど、みんななら違いがわかると思うから、正直な感想をお願いね。とはいえ、最初の一口は悪いけど私がもらうね。」
マーブル達は了解! と敬礼のポーズをしてきた。可愛いけど笑えた。少し笑いながら一口頂く。うん、今までのマーブル達の反応からすれば、この味はかなり喜んでくれると思う。以前いた世界のビールよりも苦みは少し弱いかな。でも、これなら私でも少しは飲めるかな。そんな感じだった。
私が一口飲んで味を確かめてから、マーブル達にも飲んでもらうことにした。
「ミャア!!」
「アイスさん! これ、凄く美味しいです!! これが、アイスさんの言っていたビールというやつですか!」
「あるじー、これ、ボクすきかもー!!」
マーブル達にも好評だ。というのも、味見をした後、おかわりしたそうにこちらを見ていた。正直断りづらかったけど、今回は領民のみんなにも試飲してもらわないといけないから、我慢してもらった。これからも飲めるから我慢してね。ちなみに、スガープラントを混ぜて作った種類のやつも試してみたけど、残念ながら特にこれといった違いはなかった。マーブル達も違いがわからなかったようだ。どちらかというと、おかわり的な何かみたいな感じだった。ということで、今後スガープラントは入れずに作るとしましょうか。その辺は、今後バトンタッチして作ってもらう領民達に任せるとしよう。あと、スガープラントを入れた壺の方は、私が水術で直接冷やしたものだ。そうしないとローテが組めなかったからね、、、。
ようやく完成したと安堵の息をついていると、やはり、来ましたよ。こういったことについては非常に耳が早いあの方が。
「侯爵、入るぜ! って、おお、ついに出来上がったか!! 早速もらってもいいか?」
「陛下、これは試作のやつですから、量も少ないんですよね。ということで、夕食まで待ってもらえませんかね。」
「おいおい、そんな連れないこと言うなよ、、、。折角完成したんだから、すぐさま味を確認したいのは人の常じゃねえのか?」
いや、アンタ神様でしょうに、、、。
「ここで味見をするのはかまいませんが、そうなると夕食時に飲めなくなりますが、よろしいので?」
「ぐっ、し、仕方ねぇ。今のところは我慢しておいてやるか、、、。」
そう言って、珍しく引き下がる我らがトリトン陛下。隣にいるリトン公爵も飲みたそうにしていたけど、そう言われてしまったので、引き下がらざるを得なかったようで、2人とも、「待て!」と言われた犬状態の表情でこの場を後にした。
ビールを入れた壺は、このまま氷を解かずに冷やしておくことにした。
無事一仕事終えたので、領内を見回ったが、子供達は別として、どの領民もそわそわしていた。どうやら、陛下達から話をきいたらしく、楽しみにしているようだ。いや、楽しみにしてくれるのは嬉しいけど、ヘマしないようにね。
私の姿を見ると、領民達から「今日ついに飲めるんですよね?」というお言葉を頂きました。まるで朝の挨拶をしているかのようなテンプレの台詞みたいな感じです、ハイ。特にやばかったのが、予想通り洞穴族のみなさんでした。他の領民達もやばかったけど、彼らは特にひどかったです。比較的マシだったのは戦姫の3人でしたが、あくまで比較的です。いや、さっきも言った通り、楽しみにしてくれるのは嬉しいんですけどね。
反応がやばかったのは、洞穴族のみんなだけではありませんでした。すっかり忘れていましたが、冒険者ギルドでもそうでした。ギルド長はもちろん、職員たち、挙げ句の果てには、偶然こちらに来ていた冒険者達の食いつきがやばかったです。
現在フロストの町にいる大人達のウザいほどの反応を尻目に、ウサギ広場で遊んでいた子供達と少し遊んで心を癒やしつつ、次の準備に入りました。ぶっちゃけ、今回は試作なので、量もそれほどありません。ということで、恐らく他の酒の消費量も凄いことになるでしょう。そっちの手配は、普段は落ち着いているけど、何故か今日はいろいろとテンション高めなフェラー族長とカムドさんが、張り切っておりましたので、私はといいますと、酒にはつまみが必要でしょ? ということで、つまみの作成をしないといけません。
ということで、ビールを完成させたばかりなのに、新たに別の作業にとりかかるハメになりましたよ。ただ、このつまみを作るという別の作業については、戦姫はもちろんのこと、他の領民や屋台衆のみんなも手伝ってくれて、逆に私は材料提供しかさせてもらえなかったです。1品だけでも作りたかったな、、、。
そんなこんなでやってきました、夕食の時間です。最近は帝都から陛下が連れてきた功労者との食事については、領民達が持ち回りで対応していたようですが、もちろん、今日は全員ウサギ広場に集合しての食事会、いや宴会ですかね。帝都の方でも、今日については、日間の功労者ではなく、月間の功労者が選ばれたらしく、帝都から来たみなさんも誇らしげに参加していましたよ。
最近リトン公爵の発案で始まった、功労者に対してのフロスト領への夕食会の招待だけど、もの凄い効果があるようで、特に身分問わず表彰される上に、今まで食べたことのない食事、しかも美味いということで、帝都民達が張り切って仕事に取り組んでいるらしいです。ちなみに、今日の日間功労者については、戦姫直伝のうどん教室ということで納得させたらしいです。戦姫、恐るべし、、、。
領民はもちろんのこと、フロストの町にいる人達例外なく、全員集まったところで、最初に陛下に挨拶をしてもらう。陛下も最初こそお忍びという形で来ていたが、次の日からは身分を隠さなくなってしまったし、我が領民達もそれが当たり前になってきていた。折角設定考えたのに、、、。
「おう、みんな揃っているな? 今日は、とても目出度い日だ! みんなも知っての通り、ここにいるフロスト公爵が! ついに! フロスト領で初めてとなる、酒を! 完成させた!!」
あ、あの、陛下、何でこんなにテンション高いんです? 他の領民達もそれに応えるように「おおー!」とか叫んでいるし、、、。子供達もそれにつられて凄いテンションです。あ、マーブル達、君達もそうなのね。
一通り周りを見回して、右手を挙げたかと思ったら、少ししてから下げた。そしてみんな静かになった。静かになったのを見届けて、再び陛下が話を続ける。
「それだけいい反応ということは、みんなも期待していた訳だよな? もちろん俺も期待していた。言うまでもなく、この町で作られたメシってのは非常に美味く、正直、宮殿で俺が食べているものよりも美味い。これは料理長も同じだと言っているから間違いない。その証拠に、料理長も度々ここに来て、料理を学んでいるし、帝都では、ここでの食事が楽しみで仕事に大いに励んでいるくらいだ! そんなこの地で作った酒は美味いのか? そんな疑問は愚問だ!! 間違いなく美味い!! 先日飲んだハチミツ酒も、今まで俺が飲んだものと比べると、今まで飲んできたものは何だったのだろう、というくらい、全く異なるものだった。しかし、俺は甘い酒よりも、苦みのある酒が好きだ。これについては異論もあろうが、言わせてくれ。今日フロスト侯爵が作った酒は苦みのある酒だ。正直なところ、待ちくたびれたと言っても過言ではない。いや、これ以上話すのは無粋だな。酒の内容などは、作成者であるフロスト侯爵から聞いてくれ。というわけで、侯爵頼んだぜ!」
おいおい、もの凄い中途半端な感じでこっちに投げてくるなよな、、、。みんな待ちくたびれてるだろうから、簡単に話しますか。
「みんな、ゴメンね、私の話を少し聞いて欲しい。今回作ったのは、ズバリ、エールだ。ここの領民達はエールを飲んだことのある人はいるかどうかわからないけど、ここに来ている冒険者のみんなは飲み慣れたものだろう。私は正直、苦手な味だけど、ここにいるマーブル達は美味しいと絶賛してくれたから大丈夫だと思う。もちろん、エール、いや、種類的にはビールだな、このビールはフロストの町限定で飲めるものだけど、金額については飲みやすい値段で提供できると思う。今日は試作品だから、残念ながら量は飲めないけど、作り始めているから、近いうちに沢山飲めるようになると思う。とにかく、飲んでみて感想を聞かせて欲しい。試しに作ったものだから改良点は沢山あると思う。みんなで改良して、さらに美味いものに仕上げて欲しいと思う。もちろん、酒のつまみも沢山用意したから、みんな思う存分楽しんで欲しい。少し長くなったけど、このくらいでいいかな。では、材料となった食材達、作ってくれたみんなに感謝をして、頂きます!!」
「「「「頂きます!!」」」」
こうして夕食会が始まった。さて、みんな美味しいと言ってくれるだろうか。
-------------------------
ギルド長「ついに、完成しましたね。」
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【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
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