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第31話 ほう、短時間のクエストのはずですが。
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テシテシ、テシテシ、ん? あれ? 何か増えてるぞって、ジェミニの分か。マーブルの肉球も至福だけど、ジェミニもなかなか。
「おはよう、マーブル、ジェミニ。」
「ミャア!」
「アイスさん、おはようです!」
いつもの挨拶も今日からメンバーが増えた。これはこれでいいものだ。早速顔と頭を洗ってさっぱりする。これだけでも水術って便利だ。しかも温水でできるって最高だね。そしてさっぱりしたところで朝食を頂くべく1階へと降りる。朝食を取りに行くとメルちゃんがいた。
「あ、おはようございます、アイスさん。それにマーブルちゃんとジェミニちゃんも。」
「おはようございます、メルちゃん。」
「ミャア!」「キュー(おはようです!)!」
「アイスさん、朝食ですか? すぐ用意しますね。」
「はい、お願いします。」
そう言うとメルちゃんは奥の部屋に行った。ところで、昨日の夕食から4食分になったのだけど、最初はどうやって運ぶか少し悩んだ。2食だったら一人で大丈夫だったが、4食となるとそうはいかない、と思っていたらあっさりと解決した。4食ということでホーク亭で準備をしてくれていた。10食くらい入りそうな入れ物に入れて用意してくれていたのだ。その入れ物ってどこかで見た気がしたなと思っていたが、ふと、あれだ!と思った。ラーメン屋とかで出前を頼んだときにお店の方で持ってきてくれるアレだ。こっちの世界でもあるのか、と思い何だか懐かしい気分になった。今更向こうに戻ろうとは思わないけど、何故か泣きそうになった。どうしてだろうか? とか思い出しているうちに、メルちゃんがその入れ物で渡してくれた。
「では、アイスさん朝食です。今日も美味しいですよ。」
「ありがとうございます、よく味わって頂きますね。」
「ミャア!」「キュウ!」
こんな遣り取りをしながら部屋に戻り朝食を頂く。いつも通りのパンとスープだが、相変わらず美味かった。マーブルとジェミニもご満悦だ。
朝食を済ませて食器を入れ物にいれて返す。今日は昼過ぎにギルドで顔合わせを兼ねた会議がある以外はこれといって用事はない。それまでは暇なので短時間で終わるクエストでも受けるとしますかね、というわけで、冒険者ギルドに向かう。ソリをしまったまま移動できるのは大きい。何だかんだ言ってもソリには大切な荷物、というか肉がまだ結構入っている。ソリを確認すると、空間収納内で荷物の出し入れができるようだ。とはいえソリから出してしまうとその分空間を圧迫するので、そのままにしておこう。二重収納っぽくて何だかいいな。
冒険者ギルドに入ると、いつも通りの人混みだったが、何か様子がおかしい。人はいるにはいるのだが受注窓口に人は並んでおらず、食堂兼酒場となっている場所に大勢いた。会議の関係なんだろうかわからないが、いつもならマーブルに視線が集中するところだが、今日に限ってはそういった感じはなかった。まあ、様子からすべてを察するのは無理だし、折角だから短時間でこなせるクエストがないかエリルさんに聞くとしますか。というわけで、受注窓口に向かう。
「おはようございます、エリルさん。」「ミャー。」「キュウ(おはようです)。」
「あ、おはようございます、アイスさん、マーブルちゃん、ジェミニちゃん。」
「短時間でこなせるクエストって無いですか?」
「アイスさん、今日はそれどころではないんですよ。」
「今日のギルド会議とは関係があるのですか?」
「なぜそれを? って、アイスさんは関係者でしたね。いえ、それとは違うんですよ。」
「一体何が起こっているのですか?」
「このタンバラの街の近くでワイルドボアが大量発生しておりまして、それで討伐できる冒険者を募集しているのですが、数が足りなくて。」
「そのワイルドボアというのは強いのですか?」
「はい、1体だけでもCランクに相当しますが、それが集団でこの街に向かって来てるんです。」
「そうですか。では、その討伐に参加しますよ。倒した素材はもらってもいいですか?」
「アイスさんが受けるのですか? いくらアイスさんがグラスウルフの集団を倒せるからといっても、アイスさんはまだEランクですから危ないですよ!!」
「1体がCランクでしたら、大丈夫ですよ。それにマーブルもいますし、ジェミニもこう見えてかなり強いんですよ。それに、倒せる冒険者って少ないんですよね? 誰かが行かないとこの街の被害が大きくなるばかりか、へたすると壊滅しますよ。最悪大けがしても文句は言いませんので、討伐に参加しますよ。」
「そう言われてしまうと、こちらとしてはこれ以上言えません。では討伐をお願いします。でも、危なくなったら必ず戻ってきてくださいね。」
「お気遣いありがとうございます。これは討伐クエスト受注でよろしいですか?」
「はい、討伐クエストで依頼を出してあります。本当にアイスさん受注されますか?」
「はい、受注いたします。ところで数はどのくらいですか?」
「今までの情報をまとめますと、少なくとも20体は確認されています。現時点での情報なので実際にはもっと多いと思います。場所はタンバラの西側だそうです。」
「わかりました。いい情報ありがとうございます。では、いってきますね。」
「本当に気をつけてくださいね。」
ワイルドボアか、ボアということはイノシシだな。Cランクということはかなり大きいということ。これはお肉が期待できますな。オークの肉とどう違うのか楽しみです。マーブルとジェミニも楽しそうだ。
南門まで向かうと、モウキさんがいろいろと指示を飛ばしていたが、私達に気づくと話しかけてきた。
「おう、アイス達か! お前達も討伐に参加してくれるのか?」
「ええ、そのつもりで来ました。」
「おお、それは助かる。お前達が来てくれればもう大丈夫だな。」
「マーブルとジェミニがやる気ですから大丈夫だと思います。」
「それは心強いな。ワイルドボア達はこの街を囲むようにいるが、西側以外は今対応している冒険者で何とかなりそうだ。西側に数多くいたので、とりあえず街に籠もって他を倒してから合流してから蹴散らす予定だったが、その必要もなさそうだな。」
「では、私達は西側にいるワイルドボアを倒せばいいのですね?」
「ああ、そうしてくれ。防衛の関係でここから西側は封鎖してあるから、面倒だがこの門から出発してくれ。」
「わかりました。ところで、倒した素材ですが、こちらでもらっていいですか? 山分けとか無いですよね?」
「ああ、西側はお前達だけだから、西側のワイルドボアはお前達の好きにしていいぞ。ただ、よかったらお前達の倒したワイルドボアの肉を俺にも食べさせてもらえたら嬉しい。」
「そういうことでしたら、倒してきたらごちそうしますよ。楽しみに待っててください。」
「半分冗談で言ったつもりだったが、楽しみにしているぞ。けど、いくらお前達が強いからといっても油断はするなよ。大丈夫だと思うが無理だと思ったら戻ってきてくれ。無事に帰ってくる方が大事だ。」
「ありがとうございます。では、行ってきますね。」
「おう、くれぐれも気をつけてな。」
南門を出てから街道沿いに西へと進む。周りに誰もいないか確認して久しぶりに水術で足下の接地面を凍らせながら移動させる。やはりこれは速いし、楽だ。移動中、ワクワクした感じでジェミニが聞いてきた。
「アイスさん、ワイルドボアを倒すですか? ワタシだけでも楽勝ですよ、楽勝!」
「それはわかっているけど、3人で倒した方が食べるお肉がさらに美味しくなるとは思わないかな?」
「た、確かにその通りです。みんなで倒すです。ところで、ワイルドボアがどの辺にいるかわかるですか?」
「うん、大体の場所は把握してるよ。マーブルはもっと具体的にわかっていると思う。」
「お2人とも凄すぎです。」
水術の気配探知である程度は理解できる。範囲を広げすぎたのである程度でしかわからないけど。このまま進めばあと5分くらいといったところかな。
近づくにつれてワイルドボアの分布がつかめてきた。おあつらえ向きに3組に分かれている。数は40くらいか。大きいだけで集団戦には向いていないから普通に正面から殲滅していきますか。さて、張り切って参りましょう。
「では、マーブル隊員、ジェミニ隊員。敵はありがたいことに3隊に別れた形でタンバラの街に向かって来ています。ウルフ系と違って集団戦向きではないので、正面からごり押しで殲滅したいと思います。しかし、お肉や毛皮といった素晴らしい素材がたっぷりですので、一撃必殺でお願いします。できれば頭部を一撃で破壊してください。くれぐれも牙にダメージが行かないようお願いします。」
「ミャッ!!」
「お任せ下さいです! ワタシ、ジェミニの初陣です! ヴォーパルバニーの強さ、お2人に披露するです!!」
両側のモフモフ達は敬礼でもって応えた。心強い+可愛すぎてたまらん。まあ、マーブル達よりも自分が上手くできるかどうかの方が心配だけど。初めての相手だから上手く加減していかないとな。とはいえ久しぶりにバーニィ使いまくりますか。どれだけ強くなっているか気になりますし。
「では、私が正面を担当しますので、マーブルは左側を、ジェミニは右側を担当して下さい。大丈夫だとは思いますが、万が一無理だと思ったら私のところに戻ってきて下さい。素材も大事ですが君たちが無事でいることの方が大事です。」
「ニャア!」
「了解であります!」
2人の同意を得ながらも、距離は近づいてきている。ワイルドボアの姿がはっきりと映る。でけぇ。正直な感想だ。接近してからでは遅いな。突進も簡単には止まらないが、逆に的が大きい分狙いやすいな。できるだけバーニィショットで片付けるとしますか。1、2体はあきらめる覚悟で強めに爆破した方がいいな。
では、早めに仕掛けるとしますか。
「バーニィ起動。では、突撃ぃ!!」
合図とともにマーブル達は飛び出していく。マーブル達は問題なく倒すだろう。問題は私の方だ。最初から惜しみなくショットしていきますか。
「バンカーショット。」
今回は奮発して出せるだけ出してみると、50発近く出てきた。そこまで出せるようになっているのか。っと、本番はこれからだな。
「ブオォォォォォーーーーーーーーーーー。」
ワイルドボアの吠え声があちこちから飛んでくる。恐らくバンカーショットだけでなくマーブル達の攻撃を喰らっているところだろう。
バンカーショットはそれぞれ爆発の威力を変えて放っている、といっても全開にはしていない。何だかんだいっても素材はできるだけ無事に手に入れたい。私の前にいるボア達の数は15体、1体だけ3周りほど大きい個体がいたが恐らくボスだろう、かまわず爆破させる。12体に命中し、通常種1体は牙ごと爆破させてしまったが、残りはボスの分をひっくるめて牙も無事だ。
残っている3体は次々に仲間が倒されていく様子を見て足が止まる。お、チャンスだ。足が止まってくれればこちらのものということで、バンカーで残り3体を仕留めた。やはりバンカーはロマンですなあ。
ふと、マーブル達がどうなっているか気になったので様子を見てみると、2人?ともあっさりと倒していく。マーブルは風魔術でスパスパと首をはねていた。よく見ると闇魔法で相手の動きを押さえつつそんなことをしていた。流石はうちのマーブルだ。うちの猫になってくれてありがとう。
一方、ジェミニの方はさらに凄かった。進行中であっても構わす正面から当たり前のように首を狩っておりワイルドボアの死体が列を成していた。予想以上の強さだった。
とりあえず目の前のワイルドボアの群れは殲滅できたので、念のため気配探知をかけてみたが、全部倒せたようだった。
私達の分の討伐は完了したので、マーブル達に声をかける。
「マーブル隊員、ジェミニ隊員、お疲れ様でした。」
「ニャッ!」
「お疲れ様でした!! マーブル殿が強いのは知ってたですが、アイスさんはそれ以上に強かったです、護衛が必要ないと言ったのがようやくわかったです。」
「ありがとう。でも、私は別に自分が強いと思ってないよ。それではワイルドボアの回収作業に入ります。」
ワイルドボアは全部で47頭いた。血抜きは順調にできた。あとは、この数が果たして収納できるかどうかだ。1頭それぞれがデカい。あ、そうだ、ソリを出してある程度そっちに収納しておこう。マーブルがこつこつ空間を広げてくれたおかげで、20頭は入れることができそうだ。残りは収納できるか試したところ、何とか納めることができた。とはいえ、これだけの数をそのまま持っていくのは何か面倒事が起こりそうなので、25頭を凍らせてねぐらの食料庫に保管することにした。残りの22体、これはボスを含めた数だが、これらについては収納せずにソリに入れて運ぶことにした。これで大丈夫だろう。
転送魔法でねぐらに戻って25頭分のワイルドボアを食料庫に保管する。食料庫はそれでもかなり余裕があった。今までどれだけ貯め込んでたんだろう、あとゴブリンのムラにどれだけ消費してもらったことやら。そんなことを考えつつ、先程の現場に戻りソリに残りのボア達をいれてタンバラの街に戻ることにした。
急ぎではないので、ゆっくり戻ることを伝えると、マーブルとジェミニはそれぞれ定位置に戻った。言うまでもなく定位置とは私の肩の上だ。いつもどおりマーブルは左肩に、ジェミニは少し慣れたのか、マーブルが乗ったのを確認してから右肩に乗った。
「アイスさん、たくさん倒せましたね。お肉ですよ! 待ち遠しいです!」
「ミャア!」
マーブルとジェミニがボアの肉を待ちきれない様子だ。
「食べるにしても、タンバラの街に戻ってからだね。解体しないといけないからね。一応解体はできるけど、器用じゃない分もの凄い時間がかかるから、ボマードさん達に任せないといけないしね。」
「解体なら、ワタシできるです。」
「ほう、解体できるんだね。じゃあ、ねぐらにあるワイルドボアの解体はお願いするよ。」
「はい、任されたです!!」
そんな話をしながら私達はタンバラの街に戻っていった。それでも昼までの時間は結構あった。短時間で終わってくれたから、これも短時間クエ扱いでいいよね?
「おはよう、マーブル、ジェミニ。」
「ミャア!」
「アイスさん、おはようです!」
いつもの挨拶も今日からメンバーが増えた。これはこれでいいものだ。早速顔と頭を洗ってさっぱりする。これだけでも水術って便利だ。しかも温水でできるって最高だね。そしてさっぱりしたところで朝食を頂くべく1階へと降りる。朝食を取りに行くとメルちゃんがいた。
「あ、おはようございます、アイスさん。それにマーブルちゃんとジェミニちゃんも。」
「おはようございます、メルちゃん。」
「ミャア!」「キュー(おはようです!)!」
「アイスさん、朝食ですか? すぐ用意しますね。」
「はい、お願いします。」
そう言うとメルちゃんは奥の部屋に行った。ところで、昨日の夕食から4食分になったのだけど、最初はどうやって運ぶか少し悩んだ。2食だったら一人で大丈夫だったが、4食となるとそうはいかない、と思っていたらあっさりと解決した。4食ということでホーク亭で準備をしてくれていた。10食くらい入りそうな入れ物に入れて用意してくれていたのだ。その入れ物ってどこかで見た気がしたなと思っていたが、ふと、あれだ!と思った。ラーメン屋とかで出前を頼んだときにお店の方で持ってきてくれるアレだ。こっちの世界でもあるのか、と思い何だか懐かしい気分になった。今更向こうに戻ろうとは思わないけど、何故か泣きそうになった。どうしてだろうか? とか思い出しているうちに、メルちゃんがその入れ物で渡してくれた。
「では、アイスさん朝食です。今日も美味しいですよ。」
「ありがとうございます、よく味わって頂きますね。」
「ミャア!」「キュウ!」
こんな遣り取りをしながら部屋に戻り朝食を頂く。いつも通りのパンとスープだが、相変わらず美味かった。マーブルとジェミニもご満悦だ。
朝食を済ませて食器を入れ物にいれて返す。今日は昼過ぎにギルドで顔合わせを兼ねた会議がある以外はこれといって用事はない。それまでは暇なので短時間で終わるクエストでも受けるとしますかね、というわけで、冒険者ギルドに向かう。ソリをしまったまま移動できるのは大きい。何だかんだ言ってもソリには大切な荷物、というか肉がまだ結構入っている。ソリを確認すると、空間収納内で荷物の出し入れができるようだ。とはいえソリから出してしまうとその分空間を圧迫するので、そのままにしておこう。二重収納っぽくて何だかいいな。
冒険者ギルドに入ると、いつも通りの人混みだったが、何か様子がおかしい。人はいるにはいるのだが受注窓口に人は並んでおらず、食堂兼酒場となっている場所に大勢いた。会議の関係なんだろうかわからないが、いつもならマーブルに視線が集中するところだが、今日に限ってはそういった感じはなかった。まあ、様子からすべてを察するのは無理だし、折角だから短時間でこなせるクエストがないかエリルさんに聞くとしますか。というわけで、受注窓口に向かう。
「おはようございます、エリルさん。」「ミャー。」「キュウ(おはようです)。」
「あ、おはようございます、アイスさん、マーブルちゃん、ジェミニちゃん。」
「短時間でこなせるクエストって無いですか?」
「アイスさん、今日はそれどころではないんですよ。」
「今日のギルド会議とは関係があるのですか?」
「なぜそれを? って、アイスさんは関係者でしたね。いえ、それとは違うんですよ。」
「一体何が起こっているのですか?」
「このタンバラの街の近くでワイルドボアが大量発生しておりまして、それで討伐できる冒険者を募集しているのですが、数が足りなくて。」
「そのワイルドボアというのは強いのですか?」
「はい、1体だけでもCランクに相当しますが、それが集団でこの街に向かって来てるんです。」
「そうですか。では、その討伐に参加しますよ。倒した素材はもらってもいいですか?」
「アイスさんが受けるのですか? いくらアイスさんがグラスウルフの集団を倒せるからといっても、アイスさんはまだEランクですから危ないですよ!!」
「1体がCランクでしたら、大丈夫ですよ。それにマーブルもいますし、ジェミニもこう見えてかなり強いんですよ。それに、倒せる冒険者って少ないんですよね? 誰かが行かないとこの街の被害が大きくなるばかりか、へたすると壊滅しますよ。最悪大けがしても文句は言いませんので、討伐に参加しますよ。」
「そう言われてしまうと、こちらとしてはこれ以上言えません。では討伐をお願いします。でも、危なくなったら必ず戻ってきてくださいね。」
「お気遣いありがとうございます。これは討伐クエスト受注でよろしいですか?」
「はい、討伐クエストで依頼を出してあります。本当にアイスさん受注されますか?」
「はい、受注いたします。ところで数はどのくらいですか?」
「今までの情報をまとめますと、少なくとも20体は確認されています。現時点での情報なので実際にはもっと多いと思います。場所はタンバラの西側だそうです。」
「わかりました。いい情報ありがとうございます。では、いってきますね。」
「本当に気をつけてくださいね。」
ワイルドボアか、ボアということはイノシシだな。Cランクということはかなり大きいということ。これはお肉が期待できますな。オークの肉とどう違うのか楽しみです。マーブルとジェミニも楽しそうだ。
南門まで向かうと、モウキさんがいろいろと指示を飛ばしていたが、私達に気づくと話しかけてきた。
「おう、アイス達か! お前達も討伐に参加してくれるのか?」
「ええ、そのつもりで来ました。」
「おお、それは助かる。お前達が来てくれればもう大丈夫だな。」
「マーブルとジェミニがやる気ですから大丈夫だと思います。」
「それは心強いな。ワイルドボア達はこの街を囲むようにいるが、西側以外は今対応している冒険者で何とかなりそうだ。西側に数多くいたので、とりあえず街に籠もって他を倒してから合流してから蹴散らす予定だったが、その必要もなさそうだな。」
「では、私達は西側にいるワイルドボアを倒せばいいのですね?」
「ああ、そうしてくれ。防衛の関係でここから西側は封鎖してあるから、面倒だがこの門から出発してくれ。」
「わかりました。ところで、倒した素材ですが、こちらでもらっていいですか? 山分けとか無いですよね?」
「ああ、西側はお前達だけだから、西側のワイルドボアはお前達の好きにしていいぞ。ただ、よかったらお前達の倒したワイルドボアの肉を俺にも食べさせてもらえたら嬉しい。」
「そういうことでしたら、倒してきたらごちそうしますよ。楽しみに待っててください。」
「半分冗談で言ったつもりだったが、楽しみにしているぞ。けど、いくらお前達が強いからといっても油断はするなよ。大丈夫だと思うが無理だと思ったら戻ってきてくれ。無事に帰ってくる方が大事だ。」
「ありがとうございます。では、行ってきますね。」
「おう、くれぐれも気をつけてな。」
南門を出てから街道沿いに西へと進む。周りに誰もいないか確認して久しぶりに水術で足下の接地面を凍らせながら移動させる。やはりこれは速いし、楽だ。移動中、ワクワクした感じでジェミニが聞いてきた。
「アイスさん、ワイルドボアを倒すですか? ワタシだけでも楽勝ですよ、楽勝!」
「それはわかっているけど、3人で倒した方が食べるお肉がさらに美味しくなるとは思わないかな?」
「た、確かにその通りです。みんなで倒すです。ところで、ワイルドボアがどの辺にいるかわかるですか?」
「うん、大体の場所は把握してるよ。マーブルはもっと具体的にわかっていると思う。」
「お2人とも凄すぎです。」
水術の気配探知である程度は理解できる。範囲を広げすぎたのである程度でしかわからないけど。このまま進めばあと5分くらいといったところかな。
近づくにつれてワイルドボアの分布がつかめてきた。おあつらえ向きに3組に分かれている。数は40くらいか。大きいだけで集団戦には向いていないから普通に正面から殲滅していきますか。さて、張り切って参りましょう。
「では、マーブル隊員、ジェミニ隊員。敵はありがたいことに3隊に別れた形でタンバラの街に向かって来ています。ウルフ系と違って集団戦向きではないので、正面からごり押しで殲滅したいと思います。しかし、お肉や毛皮といった素晴らしい素材がたっぷりですので、一撃必殺でお願いします。できれば頭部を一撃で破壊してください。くれぐれも牙にダメージが行かないようお願いします。」
「ミャッ!!」
「お任せ下さいです! ワタシ、ジェミニの初陣です! ヴォーパルバニーの強さ、お2人に披露するです!!」
両側のモフモフ達は敬礼でもって応えた。心強い+可愛すぎてたまらん。まあ、マーブル達よりも自分が上手くできるかどうかの方が心配だけど。初めての相手だから上手く加減していかないとな。とはいえ久しぶりにバーニィ使いまくりますか。どれだけ強くなっているか気になりますし。
「では、私が正面を担当しますので、マーブルは左側を、ジェミニは右側を担当して下さい。大丈夫だとは思いますが、万が一無理だと思ったら私のところに戻ってきて下さい。素材も大事ですが君たちが無事でいることの方が大事です。」
「ニャア!」
「了解であります!」
2人の同意を得ながらも、距離は近づいてきている。ワイルドボアの姿がはっきりと映る。でけぇ。正直な感想だ。接近してからでは遅いな。突進も簡単には止まらないが、逆に的が大きい分狙いやすいな。できるだけバーニィショットで片付けるとしますか。1、2体はあきらめる覚悟で強めに爆破した方がいいな。
では、早めに仕掛けるとしますか。
「バーニィ起動。では、突撃ぃ!!」
合図とともにマーブル達は飛び出していく。マーブル達は問題なく倒すだろう。問題は私の方だ。最初から惜しみなくショットしていきますか。
「バンカーショット。」
今回は奮発して出せるだけ出してみると、50発近く出てきた。そこまで出せるようになっているのか。っと、本番はこれからだな。
「ブオォォォォォーーーーーーーーーーー。」
ワイルドボアの吠え声があちこちから飛んでくる。恐らくバンカーショットだけでなくマーブル達の攻撃を喰らっているところだろう。
バンカーショットはそれぞれ爆発の威力を変えて放っている、といっても全開にはしていない。何だかんだいっても素材はできるだけ無事に手に入れたい。私の前にいるボア達の数は15体、1体だけ3周りほど大きい個体がいたが恐らくボスだろう、かまわず爆破させる。12体に命中し、通常種1体は牙ごと爆破させてしまったが、残りはボスの分をひっくるめて牙も無事だ。
残っている3体は次々に仲間が倒されていく様子を見て足が止まる。お、チャンスだ。足が止まってくれればこちらのものということで、バンカーで残り3体を仕留めた。やはりバンカーはロマンですなあ。
ふと、マーブル達がどうなっているか気になったので様子を見てみると、2人?ともあっさりと倒していく。マーブルは風魔術でスパスパと首をはねていた。よく見ると闇魔法で相手の動きを押さえつつそんなことをしていた。流石はうちのマーブルだ。うちの猫になってくれてありがとう。
一方、ジェミニの方はさらに凄かった。進行中であっても構わす正面から当たり前のように首を狩っておりワイルドボアの死体が列を成していた。予想以上の強さだった。
とりあえず目の前のワイルドボアの群れは殲滅できたので、念のため気配探知をかけてみたが、全部倒せたようだった。
私達の分の討伐は完了したので、マーブル達に声をかける。
「マーブル隊員、ジェミニ隊員、お疲れ様でした。」
「ニャッ!」
「お疲れ様でした!! マーブル殿が強いのは知ってたですが、アイスさんはそれ以上に強かったです、護衛が必要ないと言ったのがようやくわかったです。」
「ありがとう。でも、私は別に自分が強いと思ってないよ。それではワイルドボアの回収作業に入ります。」
ワイルドボアは全部で47頭いた。血抜きは順調にできた。あとは、この数が果たして収納できるかどうかだ。1頭それぞれがデカい。あ、そうだ、ソリを出してある程度そっちに収納しておこう。マーブルがこつこつ空間を広げてくれたおかげで、20頭は入れることができそうだ。残りは収納できるか試したところ、何とか納めることができた。とはいえ、これだけの数をそのまま持っていくのは何か面倒事が起こりそうなので、25頭を凍らせてねぐらの食料庫に保管することにした。残りの22体、これはボスを含めた数だが、これらについては収納せずにソリに入れて運ぶことにした。これで大丈夫だろう。
転送魔法でねぐらに戻って25頭分のワイルドボアを食料庫に保管する。食料庫はそれでもかなり余裕があった。今までどれだけ貯め込んでたんだろう、あとゴブリンのムラにどれだけ消費してもらったことやら。そんなことを考えつつ、先程の現場に戻りソリに残りのボア達をいれてタンバラの街に戻ることにした。
急ぎではないので、ゆっくり戻ることを伝えると、マーブルとジェミニはそれぞれ定位置に戻った。言うまでもなく定位置とは私の肩の上だ。いつもどおりマーブルは左肩に、ジェミニは少し慣れたのか、マーブルが乗ったのを確認してから右肩に乗った。
「アイスさん、たくさん倒せましたね。お肉ですよ! 待ち遠しいです!」
「ミャア!」
マーブルとジェミニがボアの肉を待ちきれない様子だ。
「食べるにしても、タンバラの街に戻ってからだね。解体しないといけないからね。一応解体はできるけど、器用じゃない分もの凄い時間がかかるから、ボマードさん達に任せないといけないしね。」
「解体なら、ワタシできるです。」
「ほう、解体できるんだね。じゃあ、ねぐらにあるワイルドボアの解体はお願いするよ。」
「はい、任されたです!!」
そんな話をしながら私達はタンバラの街に戻っていった。それでも昼までの時間は結構あった。短時間で終わってくれたから、これも短時間クエ扱いでいいよね?
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ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
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【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
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