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「ミシェルには劣るが、お前も美しい顔立ちをしているな。レミウェルが『かあさま』と呼びたい気持ちも分からんでもない」
どうやら本当にこの国では世凪の容姿はそこそこ評価されるらしい。線が細くて男らしくないと言われて振られた過去もあったが、ここでは恋愛の射程範囲が広いからか、性別の『らしさ』は関係ないようだ。
「レミウェルも懐いていると聞く。正式に『縁の泉が呼んだ者』として今夜の晩餐に同席するといい」
「晩餐に、ですか……?」
「その場で世凪を紹介する。その後、身の振り方を考えよう」
時間は連絡させる、と国王がレミウェルを降ろして立ち上がり、そのまま軽くレミウェルの髪を撫でてからきびすを返す。彼に付いていた男性が、後ほどお知らせに上がります、と頭を下げてから国王の後を追って中庭から立ち去って行った。
「……いつか来るとは思ってましたが、来てしまいましたね」
再び静かになった中庭でメイドがため息を吐いて世凪に視線を向けた。世凪はその視線に首を傾げる。
「『縁の泉』はこの国に必要な方を呼ぶと言い伝えられています。こちらにお仕えしてから王家の歴史も学びましたが、過去、『縁の泉』から来た方は、例外なく王族どなたかの伴侶になられています」
「例外なくって……そんなほいほい呼んでるの?」
「その方がご存命のうちは呼ばれないようですが、記録があるだけでも数名は……」
つまり、五年前にミシェルが亡くなっているから、次に誰か呼ばれてもおかしくはない状況ではあったのだろう。世凪が見ただけでも、普段の食生活や魔法使いに頼り切りの医療は確かに改善すべきだと思うし、それに意見を言えるのはきっとこの国とは関係のない者しかいないのだろう。金魚すくいの金魚のように、うっかり掬われたのが世凪だったということか。
「……僕は例外だと思うけどな」
「フェルジェ様から贈り物をいただいてると伺いましたが?」
「……それはまあ、色々と……」
昨日の朝、卑猥な下着を貰ってから、夜には香炉が届けられた。安眠効果でもあるのかと思いきや、どちらかといえば興奮する作用があるということで、その場で水をかけて処分した。今朝は焼き菓子が届いたので、毒見をしてもらった後でレミウェルと一緒に食後に食べた。贈り物に対してお礼どころか、返事すらしていないのに立て続けに贈ってくるということは、世凪からの反応はあまり気にしていないということだろう。喜んでいないはずはない、と思っているに違いない。
「気持ちのない相手に贈り物をする人はいないと思いますよ」
「だからって僕があの方と結婚とかはないです」
フェルジェが世凪をどう思っているのかは分からないが、世凪はフェルジェと結婚したいとは思っていない。世凪だってどうせ結婚するのなら好きな人としたい。それは彼ではない。
アドウェルのことを思い出していると、メイドがこちらを見て微笑んだ。
「フェルジェ様はこの国の『次期国王』です。もし、どうしても伴侶にはなりたくないのなら、お気持ちを強く持ってくださいませ」
それほど強引な人だと暗に教えてくれているのだろう。世凪はその言葉に強く頷いた。
どうやら本当にこの国では世凪の容姿はそこそこ評価されるらしい。線が細くて男らしくないと言われて振られた過去もあったが、ここでは恋愛の射程範囲が広いからか、性別の『らしさ』は関係ないようだ。
「レミウェルも懐いていると聞く。正式に『縁の泉が呼んだ者』として今夜の晩餐に同席するといい」
「晩餐に、ですか……?」
「その場で世凪を紹介する。その後、身の振り方を考えよう」
時間は連絡させる、と国王がレミウェルを降ろして立ち上がり、そのまま軽くレミウェルの髪を撫でてからきびすを返す。彼に付いていた男性が、後ほどお知らせに上がります、と頭を下げてから国王の後を追って中庭から立ち去って行った。
「……いつか来るとは思ってましたが、来てしまいましたね」
再び静かになった中庭でメイドがため息を吐いて世凪に視線を向けた。世凪はその視線に首を傾げる。
「『縁の泉』はこの国に必要な方を呼ぶと言い伝えられています。こちらにお仕えしてから王家の歴史も学びましたが、過去、『縁の泉』から来た方は、例外なく王族どなたかの伴侶になられています」
「例外なくって……そんなほいほい呼んでるの?」
「その方がご存命のうちは呼ばれないようですが、記録があるだけでも数名は……」
つまり、五年前にミシェルが亡くなっているから、次に誰か呼ばれてもおかしくはない状況ではあったのだろう。世凪が見ただけでも、普段の食生活や魔法使いに頼り切りの医療は確かに改善すべきだと思うし、それに意見を言えるのはきっとこの国とは関係のない者しかいないのだろう。金魚すくいの金魚のように、うっかり掬われたのが世凪だったということか。
「……僕は例外だと思うけどな」
「フェルジェ様から贈り物をいただいてると伺いましたが?」
「……それはまあ、色々と……」
昨日の朝、卑猥な下着を貰ってから、夜には香炉が届けられた。安眠効果でもあるのかと思いきや、どちらかといえば興奮する作用があるということで、その場で水をかけて処分した。今朝は焼き菓子が届いたので、毒見をしてもらった後でレミウェルと一緒に食後に食べた。贈り物に対してお礼どころか、返事すらしていないのに立て続けに贈ってくるということは、世凪からの反応はあまり気にしていないということだろう。喜んでいないはずはない、と思っているに違いない。
「気持ちのない相手に贈り物をする人はいないと思いますよ」
「だからって僕があの方と結婚とかはないです」
フェルジェが世凪をどう思っているのかは分からないが、世凪はフェルジェと結婚したいとは思っていない。世凪だってどうせ結婚するのなら好きな人としたい。それは彼ではない。
アドウェルのことを思い出していると、メイドがこちらを見て微笑んだ。
「フェルジェ様はこの国の『次期国王』です。もし、どうしても伴侶にはなりたくないのなら、お気持ちを強く持ってくださいませ」
それほど強引な人だと暗に教えてくれているのだろう。世凪はその言葉に強く頷いた。
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