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アドウェルの隣に並べる人が心の底から羨ましいが、どうしたって世凪はそこに立てない。だったら全力で祝うことが世凪にできることだと思った。
「そうか……だったらもういい。俺も悪かった」
「はい。やっぱりアド王子に会えないのは寂しいので良かったです」
思っていたことを素直に話すと、アドウェルが少し驚いた顔をしてから、そうか、と嬉しそうに微笑んだ。その顔が眩しくて世凪は視線を逸らした。ずっと見ていたらそのキラキラに目が眩んでしまいそうだ。
「あ、あの……今日は王妃様と下の弟さんたちは?」
とりあえず話題を変えようと、世凪はさきほど名前が上がらなかった王妃と弟二人のことを聞いた。アドウェルの表情がいつもの端正なものに戻り、義母は、と口を開く。
「もう何年も共に食事はしていないんだ。弟たちは今は二人とも学校だ。寮生活をしているから、帰るのは長期休みだけだから、また今度会う機会を設けるだろう」
何年も共に食事をしていないというのは気になるが、食事くらいひとりでしたいと思う気持ちも分からないでもない。
まして子供たち二人も寮生活でここにはいないのだ。羽を伸ばしたいだろう。王族といっても家庭教師だけで教育を終わらせるわけではないのだな、と考えてから、そういえば以前、ミシェルの話を聞いた時に、アドウェル自身も学校にいたと言っていたことを思い出した。時が来たらレミウェルも同じように学校に行くのだろう。
だったら彼の食事はいつか改善されるのだから触れない方が良かったかと思ったが、少なくとも後一年はあの食事だと思うと、やっぱり良くはないだろう。
ただそれが、世凪がここに呼ばれた理由としては弱い気がする。やっぱり国政に関わる誰かの伴侶となるためにここにいると考えるのが理由として一番強いだろう。
そう思うと急速に気分は落ちていく。
「どうかしたか? 世凪」
急に黙ってしまったから不思議に思ったのだろう。アドウェルがこちらを覗き込んだ。世凪はそれに、なんでもないです、と首を振った。
アドウェルの手を握り返すと、同じ強さでアドウェルが世凪の手を握ってくれる。きっと世凪が緊張していると思っているのだろう。
「何かあっても、俺が守るから安心していい」
優しい笑顔を向け、行こうか、と歩き出したアドウェルに付いていくように世凪も歩き出す。もし、誰かの伴侶にならなくてはいけないのなら、アドウェルがいい。こうして隣を歩くなら、歩調を合わせてくれる優しいこの人がいい。
けれど、アドウェルは第二王子だ。フェルジェに何かない限り、アドウェルは国政に関わることはない。しかも、フェルジェに子どもが生まれたら例えフェルジェの身に何かが起きても、その子が継いでいく。それはつまり、世凪がアドウェルに嫁ぐことは絶対にないということだ。どうあがいても、この願いは叶わないと分かっている。
「はい。頼りにしてます」
世凪がアドウェルを見上げ微笑む。
誰のものになるか分からない。でもまだ世凪は世凪のものだ。そのうちに彼の隣を味わっておこうと思い、世凪はゆっくりと歩いた。
「そうか……だったらもういい。俺も悪かった」
「はい。やっぱりアド王子に会えないのは寂しいので良かったです」
思っていたことを素直に話すと、アドウェルが少し驚いた顔をしてから、そうか、と嬉しそうに微笑んだ。その顔が眩しくて世凪は視線を逸らした。ずっと見ていたらそのキラキラに目が眩んでしまいそうだ。
「あ、あの……今日は王妃様と下の弟さんたちは?」
とりあえず話題を変えようと、世凪はさきほど名前が上がらなかった王妃と弟二人のことを聞いた。アドウェルの表情がいつもの端正なものに戻り、義母は、と口を開く。
「もう何年も共に食事はしていないんだ。弟たちは今は二人とも学校だ。寮生活をしているから、帰るのは長期休みだけだから、また今度会う機会を設けるだろう」
何年も共に食事をしていないというのは気になるが、食事くらいひとりでしたいと思う気持ちも分からないでもない。
まして子供たち二人も寮生活でここにはいないのだ。羽を伸ばしたいだろう。王族といっても家庭教師だけで教育を終わらせるわけではないのだな、と考えてから、そういえば以前、ミシェルの話を聞いた時に、アドウェル自身も学校にいたと言っていたことを思い出した。時が来たらレミウェルも同じように学校に行くのだろう。
だったら彼の食事はいつか改善されるのだから触れない方が良かったかと思ったが、少なくとも後一年はあの食事だと思うと、やっぱり良くはないだろう。
ただそれが、世凪がここに呼ばれた理由としては弱い気がする。やっぱり国政に関わる誰かの伴侶となるためにここにいると考えるのが理由として一番強いだろう。
そう思うと急速に気分は落ちていく。
「どうかしたか? 世凪」
急に黙ってしまったから不思議に思ったのだろう。アドウェルがこちらを覗き込んだ。世凪はそれに、なんでもないです、と首を振った。
アドウェルの手を握り返すと、同じ強さでアドウェルが世凪の手を握ってくれる。きっと世凪が緊張していると思っているのだろう。
「何かあっても、俺が守るから安心していい」
優しい笑顔を向け、行こうか、と歩き出したアドウェルに付いていくように世凪も歩き出す。もし、誰かの伴侶にならなくてはいけないのなら、アドウェルがいい。こうして隣を歩くなら、歩調を合わせてくれる優しいこの人がいい。
けれど、アドウェルは第二王子だ。フェルジェに何かない限り、アドウェルは国政に関わることはない。しかも、フェルジェに子どもが生まれたら例えフェルジェの身に何かが起きても、その子が継いでいく。それはつまり、世凪がアドウェルに嫁ぐことは絶対にないということだ。どうあがいても、この願いは叶わないと分かっている。
「はい。頼りにしてます」
世凪がアドウェルを見上げ微笑む。
誰のものになるか分からない。でもまだ世凪は世凪のものだ。そのうちに彼の隣を味わっておこうと思い、世凪はゆっくりと歩いた。
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