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パパラッチの本分
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まず最初にしたのは、濱野千聖の所属事務所の名簿を手に入れること。そこから目をつけた女性を狙ってパパラッチする…。
「おい、鴨川!ホントに記事になるのか?」
編集長の杉山が俺に声をかけてきた。
「お前…。大丈夫か?襲われたんだろ?」
杉山はいかつい顔の割に優しい男だ。親父のように部下を心配する。
「まぁ…。でも寸前で助けられたので…」
「あれか?お前のこれ」
親指を立てる仕草…。まぁそうだけど。
「ええ…」
「お前はそこら辺の女よりモテるな(笑)」
モテるって…。今は優作だけで手一杯です(笑)。
「まぁ、元気そうだな。でも、一人にはなるべくなるなよ。お前、すぐのされちゃうだろ(笑)」
そう言うと、ちょっとごつい奴をボディガード代わりに付けられた。酒井という記者だ。
「こいつと一緒に行動しろよ。この図体なら役に立つだろ」
酒井とは何回も組んで仕事をしていた。無口だが、いい記事を書く。
「丸さんにも連絡取ったぞ。嫌そうだったけどな(笑)」
丸さんには忠告されてたのに…。でも、パパラッチにはパパラッチなりのやり方がある。
「せいぜいブンブン飛び回って、いい写真撮ってこい!」
杉山が檄を飛ばした。
……………………………………………………………………
「聞いたか?」
裁判所で会った顔見知りの弁護士に声をかけられた。
「何をです?」
「最高検でまた自殺未遂だって…」
また?またとはどういう?
「何でも若手がパワハラにあってたらしくてさ。鬱状態で通院してた人らしいよ」
「パワハラ?」
「どこでもあるんだな~…。そういう奴って繰り返すよな。いじめと一緒でさ…」
繰り返す…。まさか弘樹の時と同じ?
「栄転してきた地方の次席検事でさ…」
弘樹…。お前の仇、討てそうだぞ…。
……………………………………………………………………
「すいません。あの…黒木さんですよね」
サングラスを掛けたスレンダーな肢体の女が振り返った。細いのに出てるとこはきっちり出てる。男好きしそうなカラダだ。
「ええ。あの…」
「私、尚美さんから紹介された鴨川と酒井と言います」
「ああ。尚美さん…」
「あそこの喫茶店でお話聞かせてもらえませんか?」
黒木は素直に付いてきてくれた。
「尚美さんとは、事務所の中でも仲が良くて、よく一緒に買い物に行ったり飲みに行ったりしてました。ある時、尚美さんが嬉しそうに私に言ったんです。社長と付き合ってるって…」
深い溜息をついて、苦しそうだった。よほどの事を抱えてる顔だ。
「言えなかった。私も社長の女だってことを…」
社長に問い詰めた。尚美とも付き合ってるってどういう事なのかと。
「問い詰めた私に、彼は認めたわ。尚美とも男女の関係だと。怒った私は別れるって言ったんです。そうしたら…」
「写真を出してきた?」
驚いた顔をした。なんでそれを知っているのかと。
「別れるなんて出来ないよな。俺とこんなに愛し合ってって…。いつどうやって撮ったのか…。鮮明な写真の中で私はあの男に…」
思い出すのも辛いようだった。
「あの男は女を喰いものにするのよ。この写真をばら撒かれたくなかったらと脅して…。私は何人もの男と。情けないわよね。断ることすら出来ない。モデルとしての仕事を無くしたくなかった…」
俺はここにも千聖や尚美と同じく苦しんでる女性がいることに憤りを覚えていた。
「千聖さんを知ってますよね?」
「ええ。何度か尚美さんと一緒に食事をしたわ」
「千聖さんはもう、復帰は不可能なんです」
「えっ?」
どうして?とその美しい顔が歪んだ。
「俺は彼女に会いに行った。でも、誰のことも分からないって言われたんです」
「そんな…。どうして」
俺が撮った広告写真に偶然千聖さんが写り込んだこと。そのデータを狙っていた奴に襲われたこと。その後彼女が自殺未遂をしたこと。そのために彼女が再起不能になってしまったということを話した。
「俺は千聖さんに非道いことした男なんです。だから偽善的だと罵られても仕方ないんですが。それでもあんなに輝いていた人が、あそこまで追い詰められたことが許せないんです」
俺は自分の本気がこの人を動かせればと願った。
「俺はただの雑誌のカメラマンで、世間で言うパパラッチです。人に後ろ指指されるような職業だと分かってます。でも、俺なりに彼女のような人をもう出したくない。誰も理不尽に苦しむ必要なんてないはずなんです」
黒木は俺を見ていた。多分俺の奥の方を…。こいつに賭けてもいいのか、見極めようとしていた。
意を決したようにジッと俺の目を見つめた。
「撮りますか?写真」
「あなたの顔は出しません。でも、記事の内容であなたかもしれないと憶測されるかもしれない…」
「今更よ。私のカラダは汚れてしまった。写真の一枚や二枚。変わらないわ」
俺達は黒木友梨と組むことになった。尚美も友梨がやるならと一緒に罠を張ることにした。また社長から連絡があり、ホテルに向かうときには必ず俺達に知らせると。部屋番号はもちろん。隠しカメラもセットして…。
……………………………………………………………………
「芹。俺、ちょっと一日出掛けてくる」
「うん。いいよ」
「…。心配じゃないのか?」
「ん?なんで?」
こいつ…。
「何処に行くのとか聞かないのか?」
何だ?その残念そうな顔は…。
「何処に行くんだ?」
仕方ないな…。
「弘樹の実家」
「え?…大丈夫か?亡くなってから行ってないんだろ?」
「ちょっと気になる話を聞いたから、弘樹の実家でお線香あげるついでにな、話を聞かせてもらおうと思ってさ…」
「俺も…行く」
「え?お前はこれから忙しくなるだろ?」
「ちゃんと決まってるらしいんだ。その、呼び出される曜日が…」
「そうか…」
優作が迷っていた。
「お前一人で行かせるの…心配なんだ。俺だってお前を支えたいっていったろ?」
「ん…。ありがとう…。じゃあ早速だけどいいか?」
「おい、鴨川!ホントに記事になるのか?」
編集長の杉山が俺に声をかけてきた。
「お前…。大丈夫か?襲われたんだろ?」
杉山はいかつい顔の割に優しい男だ。親父のように部下を心配する。
「まぁ…。でも寸前で助けられたので…」
「あれか?お前のこれ」
親指を立てる仕草…。まぁそうだけど。
「ええ…」
「お前はそこら辺の女よりモテるな(笑)」
モテるって…。今は優作だけで手一杯です(笑)。
「まぁ、元気そうだな。でも、一人にはなるべくなるなよ。お前、すぐのされちゃうだろ(笑)」
そう言うと、ちょっとごつい奴をボディガード代わりに付けられた。酒井という記者だ。
「こいつと一緒に行動しろよ。この図体なら役に立つだろ」
酒井とは何回も組んで仕事をしていた。無口だが、いい記事を書く。
「丸さんにも連絡取ったぞ。嫌そうだったけどな(笑)」
丸さんには忠告されてたのに…。でも、パパラッチにはパパラッチなりのやり方がある。
「せいぜいブンブン飛び回って、いい写真撮ってこい!」
杉山が檄を飛ばした。
……………………………………………………………………
「聞いたか?」
裁判所で会った顔見知りの弁護士に声をかけられた。
「何をです?」
「最高検でまた自殺未遂だって…」
また?またとはどういう?
「何でも若手がパワハラにあってたらしくてさ。鬱状態で通院してた人らしいよ」
「パワハラ?」
「どこでもあるんだな~…。そういう奴って繰り返すよな。いじめと一緒でさ…」
繰り返す…。まさか弘樹の時と同じ?
「栄転してきた地方の次席検事でさ…」
弘樹…。お前の仇、討てそうだぞ…。
……………………………………………………………………
「すいません。あの…黒木さんですよね」
サングラスを掛けたスレンダーな肢体の女が振り返った。細いのに出てるとこはきっちり出てる。男好きしそうなカラダだ。
「ええ。あの…」
「私、尚美さんから紹介された鴨川と酒井と言います」
「ああ。尚美さん…」
「あそこの喫茶店でお話聞かせてもらえませんか?」
黒木は素直に付いてきてくれた。
「尚美さんとは、事務所の中でも仲が良くて、よく一緒に買い物に行ったり飲みに行ったりしてました。ある時、尚美さんが嬉しそうに私に言ったんです。社長と付き合ってるって…」
深い溜息をついて、苦しそうだった。よほどの事を抱えてる顔だ。
「言えなかった。私も社長の女だってことを…」
社長に問い詰めた。尚美とも付き合ってるってどういう事なのかと。
「問い詰めた私に、彼は認めたわ。尚美とも男女の関係だと。怒った私は別れるって言ったんです。そうしたら…」
「写真を出してきた?」
驚いた顔をした。なんでそれを知っているのかと。
「別れるなんて出来ないよな。俺とこんなに愛し合ってって…。いつどうやって撮ったのか…。鮮明な写真の中で私はあの男に…」
思い出すのも辛いようだった。
「あの男は女を喰いものにするのよ。この写真をばら撒かれたくなかったらと脅して…。私は何人もの男と。情けないわよね。断ることすら出来ない。モデルとしての仕事を無くしたくなかった…」
俺はここにも千聖や尚美と同じく苦しんでる女性がいることに憤りを覚えていた。
「千聖さんを知ってますよね?」
「ええ。何度か尚美さんと一緒に食事をしたわ」
「千聖さんはもう、復帰は不可能なんです」
「えっ?」
どうして?とその美しい顔が歪んだ。
「俺は彼女に会いに行った。でも、誰のことも分からないって言われたんです」
「そんな…。どうして」
俺が撮った広告写真に偶然千聖さんが写り込んだこと。そのデータを狙っていた奴に襲われたこと。その後彼女が自殺未遂をしたこと。そのために彼女が再起不能になってしまったということを話した。
「俺は千聖さんに非道いことした男なんです。だから偽善的だと罵られても仕方ないんですが。それでもあんなに輝いていた人が、あそこまで追い詰められたことが許せないんです」
俺は自分の本気がこの人を動かせればと願った。
「俺はただの雑誌のカメラマンで、世間で言うパパラッチです。人に後ろ指指されるような職業だと分かってます。でも、俺なりに彼女のような人をもう出したくない。誰も理不尽に苦しむ必要なんてないはずなんです」
黒木は俺を見ていた。多分俺の奥の方を…。こいつに賭けてもいいのか、見極めようとしていた。
意を決したようにジッと俺の目を見つめた。
「撮りますか?写真」
「あなたの顔は出しません。でも、記事の内容であなたかもしれないと憶測されるかもしれない…」
「今更よ。私のカラダは汚れてしまった。写真の一枚や二枚。変わらないわ」
俺達は黒木友梨と組むことになった。尚美も友梨がやるならと一緒に罠を張ることにした。また社長から連絡があり、ホテルに向かうときには必ず俺達に知らせると。部屋番号はもちろん。隠しカメラもセットして…。
……………………………………………………………………
「芹。俺、ちょっと一日出掛けてくる」
「うん。いいよ」
「…。心配じゃないのか?」
「ん?なんで?」
こいつ…。
「何処に行くのとか聞かないのか?」
何だ?その残念そうな顔は…。
「何処に行くんだ?」
仕方ないな…。
「弘樹の実家」
「え?…大丈夫か?亡くなってから行ってないんだろ?」
「ちょっと気になる話を聞いたから、弘樹の実家でお線香あげるついでにな、話を聞かせてもらおうと思ってさ…」
「俺も…行く」
「え?お前はこれから忙しくなるだろ?」
「ちゃんと決まってるらしいんだ。その、呼び出される曜日が…」
「そうか…」
優作が迷っていた。
「お前一人で行かせるの…心配なんだ。俺だってお前を支えたいっていったろ?」
「ん…。ありがとう…。じゃあ早速だけどいいか?」
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