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迫る悪意
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祐貴はその日仕事を休んだ。体調がすぐれないと嘘をついて。
「あいつ、あそこの交番の…」
祐貴は航の事を調べてやろうと思った。
「あいつ、どっかで見たことあんだよな…」
しばらく考えて思い出した。
確か高校総体の剣道で優勝した男…。でも、ケガして左手が動かなくなったって…。
……………………………………………………………………
航は准の仕事終わりに合わせて迎えに行った。
「あっ!航さん」
准は嬉しそうに笑っていた。その笑顔に航の心はがっちりつかまれてしまった。
「お疲れさま。今日ね、俺時間あったから買い物してきたんだ。家で鍋しない?」
「わっ!いいですね(笑)何鍋ですか?」
「えーっと、寄せ鍋なんだけど。具はね、タラとカキとエビと。白菜とネギ、水菜とキノコ。豆腐と白滝も買ってきたんだ」
「豪華ですね!僕にも手伝わせて下さいね」
「ありがと。一緒に準備しようか(笑)」
「はい(笑)」
……………………………………………………………………
二人が仲良く航の家に帰って行く姿を、祐貴は苦虫をかみつぶしたよう顔で見ていた。
「絶対認めない。准は俺のモノなのに…」
……………………………………………………………………
「ここに切ったの並べようか」
「はい!」
流しとガス台の反対側にカウンターがあるキッチンで、カウンターに大皿を置いて野菜と豆腐と白滝、タラの切り身と剥いたエビ、カキはヒダを良く洗って並べた。
テーブルにカセットコンロを置いて、土鍋に日本酒とお水、昆布を入れて火を付けた。
「何にも聞かないで寄せ鍋にしちゃったけど、良かった?」
「僕、実はカキとエビが大好きなんです(笑)」
「良かった(笑)お肉とお魚どっちがいいかなって悩んだけど、苦手な物ないって言ってたから…」
「航さんは?何が好きですか?」
「俺、肉じゃがが一番好きかも」
「僕もすきですよ。お肉は豚肉?」
二人で並んでキッチンに立って、他愛もない事を話している時間が心地良いと航は思っていた。
自分が准を見つけたのは商店街をパトロールしている時だった。以前からあった美容室の窓側の席で、入ったばかりの男の子がお客さんの髪にドライヤーをかけていた。すらっと背が高くて、髪色は白い肌に似合ったアッシュ系のブラウン、笑いながらお客さんと話していてすごく楽しそうにしていた。その笑った顔が忘れられなかった。その時から俺は准から目が離せなくなってしまっていた。
「楽しいです。一緒に準備してお鍋つつくの。ね?航さん」
「うん?」
俺は准を初めて見たときの事を思い出していて、准が話しかけていたのに気づかなかった。
「ごめんごめん。楽しいよ!何かさ、俺、准を初めて見たときの事思い出してたんだ」
「僕を?」
「うん。俺ね、美容院に入りたての准を見たんだと思うんだけど、その時君はお客さんの髪にドライヤーをかけててね、すごく楽しそうに働いてた。この仕事好きなんだろうなって…」
「ずっと夢だったから…。美容師ってね、学校で国家試験に受かるための勉強するんだけど、それだけじゃお客さんの髪を切ったり出来ないんです。僕は早くカットしたり、パーマかけたりカラーしたり…。いろんな人を綺麗にしたかったからすごい頑張ってた。たくさん怒られたりして落ち込んだりしたけど、それでも誰かを綺麗にしたり格好よくしたいって思って頑張ったんです…」
「じゃあやっぱり、俺が見たときの准は楽しんで仕事してたんだね」
「だって、お客さんいい人多いんです。話してるといろんな方がいて面白いんですよ」
自分の仕事に誇りを持って、確かな腕を持つ准がすごく素敵だと思った。
「俺が好きになった人は、やっぱり素敵だ」
「そんなこと言われたの初めてです」
「店長さんだって言ってたでしょ?君はみんなに愛されてるんだよって…。でも…」
「でも、何ですか?」
「あんまり他の人にまで愛されると困るな」
「えっ?」
「何でもない!ほら、カキが硬くなっちゃうから食べよ!」
「は、はい!」
航は准を想う気持ちが強すぎて、ちょっと持て余すくらいだった。少し抑えないと准に嫌われちゃうなと思っていた。
「准、こんな時間に帰るの?もう10時過ぎだよ?」
「明日仕事だし…。それに…」
「何?」
「航さんに迷惑かけたくない」
「なんで迷惑?じゃあここにいてよ。昨日無理させちゃったから…俺も強く言えないけど」
航に手を捕られた。
「いてよ。帰したくない」
玄関で靴を履こうとしていた准を航は背中から抱きしめた。
「俺、准の事、准が思ってるより好きだって言ったでしょ?だから、准が思ってるような王子様なんて全然。そんなじゃない。好きでしょうがなくて、自分のものにしたくてしょうがない。かっこ悪いのバレたら嫌がられちゃうんじゃないかって思ってる…」
准は航がそんなに自分を好きでいてくれるなんて思ってもいなかった。
「僕…。ほんとは少しでも長く一緒にいたい…」
「いてよ」
そのままキスしながら、航は准を抱きかかえてベッドになだれ込んだ。服を脱ぐのももどかしくて、お互い競うように脱がせ合った。
航の躰は熱く、口づけて深く差し込まれた舌は准を逃がさなかった。不自由な左手で器用に自分を支え、右手は口づけながら准の乳首をいじめた。准は意地悪な手つきに前は硬く、腰は我慢出来なくて動いてしまう。
「メガネ…」
「准が感じてるの見たい…」
「やだ…」
「外すよ。だから声、我慢しないで」
航の唇が僕の硬くなったものを撫でていく。舌で舐められ、あふれてくるものは舐め捕られていく。温かな愛しい口の中で、舌でコリッと張った所が舐められ吸われる。後ろにも垂れて航はそれを塗りつけて淵を撫でる。中を弄って欲しいのに、焦らすように指は周りだけを弄る。
「航…。もう挿れて?」
「まだ…。ならさないと…」
航の指が入ってきて、器用に昨日見つけられしまった僕の弱いところが攻められる。ビリビリとした感覚が腰に響いていく。切なくて早く入ってきてとねだりたくなる。
「准の声聞くと、もっと啼かせたくなる」
指がもう1本増えて、中が広げられていく。指だけじゃもう足りない…。
「航…。来て?」
航が僕を抱きしめて唸っていた。
「反則だよ…。そんな可愛い言い方されたら意地悪出来ない…」
「意地悪してたの?」
「声可愛くて…。もっと聞かせてよ」
航は抑えていた感情を爆発させたかのように准に入っていく。奥まで広げられた中は、航に擦られた刺激でうねって絡みついていく。
声なんか我慢出来ない。准は喘ぐ声の隙間に、愛しい人の名を呼んだ。
「ごめん。俺、止められない…」
「いいんです…。僕…うれしい…」
准が自分を見つめているのに気付いた航は、中に入ったまま准を強く抱きしめた。
「俺も…うれしいよ」
もうお互いの名前を呼ぶ以外喋ることもなく、何度もイきながらも止められずに二人は愛し合った。
「あいつ、あそこの交番の…」
祐貴は航の事を調べてやろうと思った。
「あいつ、どっかで見たことあんだよな…」
しばらく考えて思い出した。
確か高校総体の剣道で優勝した男…。でも、ケガして左手が動かなくなったって…。
……………………………………………………………………
航は准の仕事終わりに合わせて迎えに行った。
「あっ!航さん」
准は嬉しそうに笑っていた。その笑顔に航の心はがっちりつかまれてしまった。
「お疲れさま。今日ね、俺時間あったから買い物してきたんだ。家で鍋しない?」
「わっ!いいですね(笑)何鍋ですか?」
「えーっと、寄せ鍋なんだけど。具はね、タラとカキとエビと。白菜とネギ、水菜とキノコ。豆腐と白滝も買ってきたんだ」
「豪華ですね!僕にも手伝わせて下さいね」
「ありがと。一緒に準備しようか(笑)」
「はい(笑)」
……………………………………………………………………
二人が仲良く航の家に帰って行く姿を、祐貴は苦虫をかみつぶしたよう顔で見ていた。
「絶対認めない。准は俺のモノなのに…」
……………………………………………………………………
「ここに切ったの並べようか」
「はい!」
流しとガス台の反対側にカウンターがあるキッチンで、カウンターに大皿を置いて野菜と豆腐と白滝、タラの切り身と剥いたエビ、カキはヒダを良く洗って並べた。
テーブルにカセットコンロを置いて、土鍋に日本酒とお水、昆布を入れて火を付けた。
「何にも聞かないで寄せ鍋にしちゃったけど、良かった?」
「僕、実はカキとエビが大好きなんです(笑)」
「良かった(笑)お肉とお魚どっちがいいかなって悩んだけど、苦手な物ないって言ってたから…」
「航さんは?何が好きですか?」
「俺、肉じゃがが一番好きかも」
「僕もすきですよ。お肉は豚肉?」
二人で並んでキッチンに立って、他愛もない事を話している時間が心地良いと航は思っていた。
自分が准を見つけたのは商店街をパトロールしている時だった。以前からあった美容室の窓側の席で、入ったばかりの男の子がお客さんの髪にドライヤーをかけていた。すらっと背が高くて、髪色は白い肌に似合ったアッシュ系のブラウン、笑いながらお客さんと話していてすごく楽しそうにしていた。その笑った顔が忘れられなかった。その時から俺は准から目が離せなくなってしまっていた。
「楽しいです。一緒に準備してお鍋つつくの。ね?航さん」
「うん?」
俺は准を初めて見たときの事を思い出していて、准が話しかけていたのに気づかなかった。
「ごめんごめん。楽しいよ!何かさ、俺、准を初めて見たときの事思い出してたんだ」
「僕を?」
「うん。俺ね、美容院に入りたての准を見たんだと思うんだけど、その時君はお客さんの髪にドライヤーをかけててね、すごく楽しそうに働いてた。この仕事好きなんだろうなって…」
「ずっと夢だったから…。美容師ってね、学校で国家試験に受かるための勉強するんだけど、それだけじゃお客さんの髪を切ったり出来ないんです。僕は早くカットしたり、パーマかけたりカラーしたり…。いろんな人を綺麗にしたかったからすごい頑張ってた。たくさん怒られたりして落ち込んだりしたけど、それでも誰かを綺麗にしたり格好よくしたいって思って頑張ったんです…」
「じゃあやっぱり、俺が見たときの准は楽しんで仕事してたんだね」
「だって、お客さんいい人多いんです。話してるといろんな方がいて面白いんですよ」
自分の仕事に誇りを持って、確かな腕を持つ准がすごく素敵だと思った。
「俺が好きになった人は、やっぱり素敵だ」
「そんなこと言われたの初めてです」
「店長さんだって言ってたでしょ?君はみんなに愛されてるんだよって…。でも…」
「でも、何ですか?」
「あんまり他の人にまで愛されると困るな」
「えっ?」
「何でもない!ほら、カキが硬くなっちゃうから食べよ!」
「は、はい!」
航は准を想う気持ちが強すぎて、ちょっと持て余すくらいだった。少し抑えないと准に嫌われちゃうなと思っていた。
「准、こんな時間に帰るの?もう10時過ぎだよ?」
「明日仕事だし…。それに…」
「何?」
「航さんに迷惑かけたくない」
「なんで迷惑?じゃあここにいてよ。昨日無理させちゃったから…俺も強く言えないけど」
航に手を捕られた。
「いてよ。帰したくない」
玄関で靴を履こうとしていた准を航は背中から抱きしめた。
「俺、准の事、准が思ってるより好きだって言ったでしょ?だから、准が思ってるような王子様なんて全然。そんなじゃない。好きでしょうがなくて、自分のものにしたくてしょうがない。かっこ悪いのバレたら嫌がられちゃうんじゃないかって思ってる…」
准は航がそんなに自分を好きでいてくれるなんて思ってもいなかった。
「僕…。ほんとは少しでも長く一緒にいたい…」
「いてよ」
そのままキスしながら、航は准を抱きかかえてベッドになだれ込んだ。服を脱ぐのももどかしくて、お互い競うように脱がせ合った。
航の躰は熱く、口づけて深く差し込まれた舌は准を逃がさなかった。不自由な左手で器用に自分を支え、右手は口づけながら准の乳首をいじめた。准は意地悪な手つきに前は硬く、腰は我慢出来なくて動いてしまう。
「メガネ…」
「准が感じてるの見たい…」
「やだ…」
「外すよ。だから声、我慢しないで」
航の唇が僕の硬くなったものを撫でていく。舌で舐められ、あふれてくるものは舐め捕られていく。温かな愛しい口の中で、舌でコリッと張った所が舐められ吸われる。後ろにも垂れて航はそれを塗りつけて淵を撫でる。中を弄って欲しいのに、焦らすように指は周りだけを弄る。
「航…。もう挿れて?」
「まだ…。ならさないと…」
航の指が入ってきて、器用に昨日見つけられしまった僕の弱いところが攻められる。ビリビリとした感覚が腰に響いていく。切なくて早く入ってきてとねだりたくなる。
「准の声聞くと、もっと啼かせたくなる」
指がもう1本増えて、中が広げられていく。指だけじゃもう足りない…。
「航…。来て?」
航が僕を抱きしめて唸っていた。
「反則だよ…。そんな可愛い言い方されたら意地悪出来ない…」
「意地悪してたの?」
「声可愛くて…。もっと聞かせてよ」
航は抑えていた感情を爆発させたかのように准に入っていく。奥まで広げられた中は、航に擦られた刺激でうねって絡みついていく。
声なんか我慢出来ない。准は喘ぐ声の隙間に、愛しい人の名を呼んだ。
「ごめん。俺、止められない…」
「いいんです…。僕…うれしい…」
准が自分を見つめているのに気付いた航は、中に入ったまま准を強く抱きしめた。
「俺も…うれしいよ」
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