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その後
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「私たちの出る幕はなかったわね」
榊さんは僕に微笑んだ。
「美月が…すごく頑張ったわ」
「そうですね」
会議室の外で呼ばれるのを待っていた僕たちは、後ろから現れた警察に道を譲った。
中から最初に出て来たのは、佐川と影山。影山は榊さんがそこに居るのを見て、ハッとした顔をした。
「お前…俺を騙したな!…俺はお前の秘密を知ってるんだぜ(笑)俺の上で喘いでた変態のくせに…」
「変態はどっちかしら?」
スマホの画面を見せてやると影山は何も言わず目を背けた。そこには一人ベッドで善がっていた自分の醜態が映されていた。
「私、キスが上手い人としかしないって…言いましたよね?」
怖いくらいの美しい笑顔を見せた。
「俺は…。本当に惚れかけたのに」
「惚れかけた相手に…今、酷いこと言いましたよね?」
「…」
「そういうこと言う人、タイプじゃないんです。相性が悪かったですね」
「…くそっ!」
「これからあなたの倫理観、叩き直して下さい。あなたもね…」
影山のあとから警察官に両脇を捕まれた佐川に向かって言った。
「何者だ。お前ら…」
「ん?名乗るほどの者ではございません(笑)」
「覚えてろよ!」
「覚えてられるかしら?」
警察官に引っ立てられ、二人は引きずられるように廊下の向こうへ消えていった。
最後に高城が無表情な顔で出て来た。
「何で白戸専務を陥れようとしたんですか!一也さんはあなたを友人だと思っていたんですよ!」
僕はどうしても納得出来なくて高城に問いかけた。
高城は誰だお前…と不思議そうに僕を見た。
「お前には分からない。分からない奴に説明してやるほど俺は親切じゃあないんでね(笑)」
「ただの嫉妬なんじゃないんですか?」
その瞬間、高城が僕に向かって拳を振り上げた。警察官も止められないくらいの素早さで殴りかかってきた。
僕は半身になってその拳を流しながら手首を掴み、高城は自分の勢いのまま体が宙に浮いた。
「うっ…」
一回転した体は廊下に背中を叩きつけられていた。
「正当防衛…ですか?」
僕は隣にいた警察官に聞いた。
「あなたはただ殴りかかってきた人の手首を掴んだだけですから(笑)」
その警察官は優しい口調で言った。
「それより、私たちが間に合わなくて申し訳ありませんでした」
そう言うと高城の脇を二人で持ち上げた。高城はその手を振り払うと、僕の方を見ようともせず自分の足で廊下の向こうへ歩き去った。
「斎生?大丈夫…ね(笑)」
「ええ、勝手に宙を舞いましたね(笑)」
「私たちに手を出そうとするのって…。命知らずね(笑)」
そっか…。榊さん、極真黒帯だった…。
「僕は…。あなたには勝てないですよ?」
「それは私の台詞よ♡」
絵に描いたような美しいウインクを浴びて、僕は顔が熱くなってしまった。やっぱり綺麗だ…♡
「親父…。俺、全然喋ってない」
「すまん!頭に血が上ってたんだ…。絶対に逃がさないぞって」
「…格好よかったよ(笑)。でも、出る幕なさ過ぎて勝った気がしない」
「一也。お前はあいつを最後まで信じてたんだろ?だから、あれで良かったんだよ。ほら、長谷くんのこと宜しく頼むよ(笑)」
美月は紗江子の仇を取れてホッとしたのか、窓の方を向いて誰にも見られないように泣いていた。
「長谷さん、頑張ったね…」
「…うるさい」
「…ごめん」
美月は素直に謝ってきた一也を見た。
「何なの?何で謝るの?私、うるさいって…。失礼だって怒らないの?」
「あんなに頑張ったんだ。そんな君を怒れないよ…」
「馬鹿みたい」
「そうかもね(笑)」
「ほっといてよ…」
「それは…イヤだ」
美月はそのまま何も喋らず、空を見つめて泣いていた。一也は後ろでただただ一緒に空を見上げていた。
「ボス…。一也さんに美月、任せてきたんですか?」
西さんがちょっと不満そうな顔で一人を見た。
「ああ。でも、美月の感情を揺さぶったのは大したもんだと思ってね(笑)」
「他に女性の影はないんですよね?二股なんてしたら…」
「そんなの僕が許しませんよ。自分の息子だが、娘の方が可愛いからね。ちゃんと調べはついてますよ(笑)」
「そうですか!良かった!」
パパ二人して…。どんだけ大事にしてるのか。お互い腹の中でお互いの親バカぶりを笑っていた。
………………………………………………………………
「今日は集まらないんですか?反省会みたいなものとか…」
「今日は美月も疲れただろうし、ボスもヘトヘトだって(笑)西さんと二人で飲んでるって連絡あったわよ(笑)」
「じゃあ…。僕たちで打ち上げしますか(笑)」
「斎生?私を酔わせてどうするつもり?」
「甘やかすつもりですけど?」
「な!何を言って…」
榊さんがめっちゃ可愛い♡赤くなった(笑)!
「斎生ったら…。私のこと大好きね(笑)」
「だから言ったでしょう?」
僕たちは何のおつまみを作るか、僕がまたどんな美味しいお酒を榊さんに飲ませてあげようか、ワイワイ話しながら僕たちの家の最寄り駅の商店街を歩いて行った。
榊さんは僕に微笑んだ。
「美月が…すごく頑張ったわ」
「そうですね」
会議室の外で呼ばれるのを待っていた僕たちは、後ろから現れた警察に道を譲った。
中から最初に出て来たのは、佐川と影山。影山は榊さんがそこに居るのを見て、ハッとした顔をした。
「お前…俺を騙したな!…俺はお前の秘密を知ってるんだぜ(笑)俺の上で喘いでた変態のくせに…」
「変態はどっちかしら?」
スマホの画面を見せてやると影山は何も言わず目を背けた。そこには一人ベッドで善がっていた自分の醜態が映されていた。
「私、キスが上手い人としかしないって…言いましたよね?」
怖いくらいの美しい笑顔を見せた。
「俺は…。本当に惚れかけたのに」
「惚れかけた相手に…今、酷いこと言いましたよね?」
「…」
「そういうこと言う人、タイプじゃないんです。相性が悪かったですね」
「…くそっ!」
「これからあなたの倫理観、叩き直して下さい。あなたもね…」
影山のあとから警察官に両脇を捕まれた佐川に向かって言った。
「何者だ。お前ら…」
「ん?名乗るほどの者ではございません(笑)」
「覚えてろよ!」
「覚えてられるかしら?」
警察官に引っ立てられ、二人は引きずられるように廊下の向こうへ消えていった。
最後に高城が無表情な顔で出て来た。
「何で白戸専務を陥れようとしたんですか!一也さんはあなたを友人だと思っていたんですよ!」
僕はどうしても納得出来なくて高城に問いかけた。
高城は誰だお前…と不思議そうに僕を見た。
「お前には分からない。分からない奴に説明してやるほど俺は親切じゃあないんでね(笑)」
「ただの嫉妬なんじゃないんですか?」
その瞬間、高城が僕に向かって拳を振り上げた。警察官も止められないくらいの素早さで殴りかかってきた。
僕は半身になってその拳を流しながら手首を掴み、高城は自分の勢いのまま体が宙に浮いた。
「うっ…」
一回転した体は廊下に背中を叩きつけられていた。
「正当防衛…ですか?」
僕は隣にいた警察官に聞いた。
「あなたはただ殴りかかってきた人の手首を掴んだだけですから(笑)」
その警察官は優しい口調で言った。
「それより、私たちが間に合わなくて申し訳ありませんでした」
そう言うと高城の脇を二人で持ち上げた。高城はその手を振り払うと、僕の方を見ようともせず自分の足で廊下の向こうへ歩き去った。
「斎生?大丈夫…ね(笑)」
「ええ、勝手に宙を舞いましたね(笑)」
「私たちに手を出そうとするのって…。命知らずね(笑)」
そっか…。榊さん、極真黒帯だった…。
「僕は…。あなたには勝てないですよ?」
「それは私の台詞よ♡」
絵に描いたような美しいウインクを浴びて、僕は顔が熱くなってしまった。やっぱり綺麗だ…♡
「親父…。俺、全然喋ってない」
「すまん!頭に血が上ってたんだ…。絶対に逃がさないぞって」
「…格好よかったよ(笑)。でも、出る幕なさ過ぎて勝った気がしない」
「一也。お前はあいつを最後まで信じてたんだろ?だから、あれで良かったんだよ。ほら、長谷くんのこと宜しく頼むよ(笑)」
美月は紗江子の仇を取れてホッとしたのか、窓の方を向いて誰にも見られないように泣いていた。
「長谷さん、頑張ったね…」
「…うるさい」
「…ごめん」
美月は素直に謝ってきた一也を見た。
「何なの?何で謝るの?私、うるさいって…。失礼だって怒らないの?」
「あんなに頑張ったんだ。そんな君を怒れないよ…」
「馬鹿みたい」
「そうかもね(笑)」
「ほっといてよ…」
「それは…イヤだ」
美月はそのまま何も喋らず、空を見つめて泣いていた。一也は後ろでただただ一緒に空を見上げていた。
「ボス…。一也さんに美月、任せてきたんですか?」
西さんがちょっと不満そうな顔で一人を見た。
「ああ。でも、美月の感情を揺さぶったのは大したもんだと思ってね(笑)」
「他に女性の影はないんですよね?二股なんてしたら…」
「そんなの僕が許しませんよ。自分の息子だが、娘の方が可愛いからね。ちゃんと調べはついてますよ(笑)」
「そうですか!良かった!」
パパ二人して…。どんだけ大事にしてるのか。お互い腹の中でお互いの親バカぶりを笑っていた。
………………………………………………………………
「今日は集まらないんですか?反省会みたいなものとか…」
「今日は美月も疲れただろうし、ボスもヘトヘトだって(笑)西さんと二人で飲んでるって連絡あったわよ(笑)」
「じゃあ…。僕たちで打ち上げしますか(笑)」
「斎生?私を酔わせてどうするつもり?」
「甘やかすつもりですけど?」
「な!何を言って…」
榊さんがめっちゃ可愛い♡赤くなった(笑)!
「斎生ったら…。私のこと大好きね(笑)」
「だから言ったでしょう?」
僕たちは何のおつまみを作るか、僕がまたどんな美味しいお酒を榊さんに飲ませてあげようか、ワイワイ話しながら僕たちの家の最寄り駅の商店街を歩いて行った。
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