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左斜めに座る君は、また欠伸をした。最初はふわっとしたと思ったら、それじゃ足りないとばかりに、ふわーあと欠伸をした。そして戒めるようにしっかりと口を結んだ。
先生がチョークでカツカツと黒板を鳴らす。何かを言ってはいるけれど、もう歳だからか、声が小さい。だから余計に眠くなる。そうでなくても午後は眠い。だから君だけじゃなく、僕も眠いはず、なのになんでか目が冴えている。
君はペンを回し、二秒待ってから、またくるりと回した。長くて綺麗な指が、くるりくるりとペンを回している。よくよく見ると、ペンもネイルもオレンジ色なことに気づいた。さらによく見てみれば、ペンケースも黄色とオレンジが混ざった色だ。明るい色が好きらしい。そんな小さな発見を、脳内メモに書き留めた。
「少し暑いな」
先生がボソリと言った。そして窓際に向かい、ガラッと窓を開けた。初夏の風が、待ってましたといわんばかりに入りこむ。その風は、窓際の席に座っている君に懐いた。
髪の毛が、風にあおられさらりとなびいた。次にさらりさらりとなびかせた。そしてゴワっとなびかせた。風で髪がなびくたび、うっとおしそうに、手でなおす君。
耳元が日差しで照らされ、何かがキラリと光った。小さな小さな丸い形の、オレンジ色のピアスが光った。ピアスをしているなんて、初めて知った。
とてもよく似合ってる、とてもセンスが良いと素直に思う。だけどなんでか面白くない。急にザワザワと胸の中が騒ぎはじめた。
ねえ、そのピアス…
「えっとこの問題を、きょうは十五日だから…15番に解いてもらおう」
先生の声が頭の中を横切った。出席番号15番はぼくだった。何一つ聞いてなかった。だから何を聞かれたかさえわからない。
「すいません、聞いてませんでした」
素直に答えた僕を先生が茶化す。クラス中のみんなが笑った。もちろん君も笑った。その目が優しげにふわりと歪んだ。ただそれだけで、さっきのザワザワは何処かに消えた。
先生がチョークでカツカツと黒板を鳴らす。何かを言ってはいるけれど、もう歳だからか、声が小さい。だから余計に眠くなる。そうでなくても午後は眠い。だから君だけじゃなく、僕も眠いはず、なのになんでか目が冴えている。
君はペンを回し、二秒待ってから、またくるりと回した。長くて綺麗な指が、くるりくるりとペンを回している。よくよく見ると、ペンもネイルもオレンジ色なことに気づいた。さらによく見てみれば、ペンケースも黄色とオレンジが混ざった色だ。明るい色が好きらしい。そんな小さな発見を、脳内メモに書き留めた。
「少し暑いな」
先生がボソリと言った。そして窓際に向かい、ガラッと窓を開けた。初夏の風が、待ってましたといわんばかりに入りこむ。その風は、窓際の席に座っている君に懐いた。
髪の毛が、風にあおられさらりとなびいた。次にさらりさらりとなびかせた。そしてゴワっとなびかせた。風で髪がなびくたび、うっとおしそうに、手でなおす君。
耳元が日差しで照らされ、何かがキラリと光った。小さな小さな丸い形の、オレンジ色のピアスが光った。ピアスをしているなんて、初めて知った。
とてもよく似合ってる、とてもセンスが良いと素直に思う。だけどなんでか面白くない。急にザワザワと胸の中が騒ぎはじめた。
ねえ、そのピアス…
「えっとこの問題を、きょうは十五日だから…15番に解いてもらおう」
先生の声が頭の中を横切った。出席番号15番はぼくだった。何一つ聞いてなかった。だから何を聞かれたかさえわからない。
「すいません、聞いてませんでした」
素直に答えた僕を先生が茶化す。クラス中のみんなが笑った。もちろん君も笑った。その目が優しげにふわりと歪んだ。ただそれだけで、さっきのザワザワは何処かに消えた。
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