駄々甘ママは、魔マ王さま。

清水裕

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第48話 ヨシュア、街中を見る。

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 サタニャエルが言って、僕が座った噴水前。
 ふんすいって良く分からないけれど、多分僕の後ろにあるこの石の中から水が噴出している物なんだろうな。
 そう思いながら、周囲を見渡すと色んな人達の姿が見えた。

(平和ですワン。周囲にモンスターの被害が無いからですワンね)
(そうだろうニャー。魔王軍もこの周囲にはまだ攻撃は仕掛けるつもりは無いニャ。それに、やろうとしたら企画者ごと潰されたニャ)
(ワワンッ!? 何だか凄いことになってるワンね)

 何だかサタニャエルとワンエルが話しているけど、内容が良くわからないな。
 っとと、貰ったどーなつを食べてみないと……。
 両手に持っている熱いどーなつを思い出して、僕は改めてそれを見る。
 こんがりと揚げられたどーなつは茶色で、どんな味なのか判らない。だけど、漂ってくる香りは甘くて美味しそうだった。

「それじゃあ、食べてみるね?」
(ワワンッ!? 勇者様、先にワンが輩が食べてみ――ああ、食べたワンッ!!)
(大丈夫ニャよ、駄犬。普通に毒なんて無さそうだったニャ)
「もぐもぐ……、ちょっと硬い……けど、美味しいや」

 硬めな表面、その表面を噛み締めてモグモグと口の中で咀嚼すると、どーなつはボロボロと口の中で崩れてパンに良く似た味と甘い味が口の中に広がってきた。
 そしてそれと同時に、ジュワッと油も広がり……何というか、美味しいはずなのにちょっと首を傾げてしまっていた。

「うぅ~~ん??」
(どうしましたワン、勇者様?)
(何か気になることでもありましたかニャ?)
「うん、食べてみたら分かる……かな?」

 そう呟いて僕は2人にどーなつを半分に割って鼻先に近づける。
 すると2人はスンスンと鼻でにおいを嗅いでから、パクッと口に入れた。
 そして、もぐもぐ、もぐもぐと咀嚼してから……ごくんと呑み込んだ。

(ワフン……、甘みがあって美味しいのですが、ちょっと首を傾げる感じですワン)
(うにゃあ……、油が動物性で……材料は仕方ないにしても、油きりぐらいはして欲しいニャ……)
(けど、工夫次第で上手くできるはずですワン、あと持ち易さも何とかなれば)
(そうですニャ。自分で思いついたって言ってたけど、お菓子作りがわかる協力者が居たら発展しそうな気がするニャ)
(あの女性に幸あれですワン)

 食べたどーなつの感想を口にしているんだろ浮けど、僕には良くわからない言葉が多く出ている。
 そんな2人を見つつ、僕は首を傾げつつ……どーなつを食べる。
 美味しいことは美味しいけど……ううーん、とやっぱり首を傾げながら残りを口にしていった。
 ちなみにどーなつを持ち易いように挟む用として使われていた葉は落ち葉と同じよう捨てるべきかと思ったけど、何だか悪い気がしたので持ち帰ることにした。

(さて、それじゃあそろそろ城に向かいますかニャ?)
「うん、帰らないとね」
(頑張って先導しますワン!!)

 サタニャエルの声を聞き僕は立ち上がると、ワンエルが尻尾をブンブン振りながら自信満々に言う。
 そんな2人と共に僕はふんすい前から城に向けて今度こそ移動を始めた。

 ●

「……本当に、人がいっぱい居るね」

 大通りを歩きながら、周囲を見渡していくとたくさんの人の姿が目に映り、僕はまたそう口にする。
 騎士の人やあの怖い人達と同じような男の人、ママやウィスドムさんやファンロンさんみたいな女の人、僕よりも小さな子供がママや男の人と楽しそうに歩いているのが見えた。
 時には鎧を着ている人や、ちょっとボロボロの服を着ている人も居たりした。
 そんな色んな人達を見ながら僕は首を傾げる。

(如何したのかニャ、勇者様?)
(もしかしてお腹でも痛いのですかワン?)
「あ、ううん。違うよ。ただ……僕とママみたいに仲良しの親子がいっぱい居るけど、一緒に居る男の人って誰なんだろうって」
「ニャ、……ニャア…………?」
「ワ、ワフン……」

 僕がそんな疑問を口にすると、2人が驚いた顔をしながら固まっていた。
 うん? どうかしたの??
 不思議に2人を見ていると、驚いた顔のまま2人が僕を見てきた。

「どうしたの? そんな顔をして……」
(な、何でも無いですニャ……)
(わ、ワンが輩も、特に言うことは無いですワン……)
「変な2人だなー……あ、お城の門が見えてきたよ! ほら、行こうよ!」
「ワ、ワン!」「ニャ、ニャー!」

 僕が出た時に見た門が見えたので、嬉しそうに僕はそう言って駆け出す。
 駆け出した僕を追いかけて、2人も少し遅れて追いかけるけれど……2人が囁いていた言葉は聞こえなかった。

((勇者様の父親って、誰だニャ?(ワン?)))
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