50 / 88
第49話 ヨシュア、一息つく。
しおりを挟む
「ん、あれは……勇者様!? お一人でどうなされたのですか!?」
僕が門に近づいていくと、兵士の人が僕に気づいたみたいで驚いたように声をあげた。
顔に覚えは無いけど……もしかすると、教会に行くときに僕の事を見ていたのかも知れないな。
そう思いつつ、僕は自分に起きた出来事を話すことにする。
「えっと、実は……教会で神さまのお告げを聞いて、外に出たら誰もいなくて……そしたら、変な人たちに連れてかれそうになって――「な、なんですってっ!?」――え?」
僕の言葉を遮るように、信じられないと言った声が兵士の人から洩れた。
どうしたのかなと思いつつ、兵士の人を見ると驚いた顔をしていた。
「も、申し訳ありません勇者様、すぐに中へとお入りください! おい、隊長に連絡を入れろ!!」
「わ、わかった!!」
「勇者様、どうぞこちらへ……」
兵士の人たちは慌てながら色々と話を始め、ある兵士の人は急いで駆け出し、違う兵士の人は僕を案内しようと近づく。
そんな案内をしようとしてくれている兵士の人へと僕はお願いをする。
「あ、あの、この子達も一緒に連れていっても良いですか? 僕を助けてくれた子達なので」
「そ、そうなのですか!? ありがとな、ワンちゃんネコちゃん。それではその子達も連れてお入りください」
「ありがとうございます! 2人とも、ついてきて」
「ワン」「ニャー」
兵士の人に案内されて、僕は城の中へと入っていく。その後ろと僕の肩にはワンエルとサタニャエルがついてきてくれていた。
城の中を歩いていると侍女さんや城でしごとをしている人が僕と、僕と一緒に居る2人に視線を移していた。
そんな人達に向けてサタニャエルが「ニャー♪」と聞いたことが無いような甘い鳴き声を口にすると、歩くのを止めて僕達……ううん、サタニャエルのほうをチラチラっと見ていた。
しかも暫く歩いている人が少なくなっていたのがまた増えてきたら、また同じような感じにサタニャエルは鳴いた。
……今度はワンエルも負けじと「ワン!」と鳴いているけど、まねをしたくなったのかなぁ?
と思っていると、兵士の人が立ち止まっていたようでサタニャエルが僕の頬をポンと叩いてくれたお陰で背中にぶつからずに済んだ。
「勇者様、暫くこちらの貴賓室でお待ちいただけないでしょうか?」
「わかりました。えっと、こういう時って……案内ご苦労様でした。って言えば良いんだよね?」
「勿体無いお言葉です。それではどうぞお入りください」
兵士の人にそう言われて、僕は部屋の中へと入る。
その部屋は僕が昨日眠った部屋よりも小さいけれど、ちょっとごうかな感じに見えた。
これが、きひんしつ。っていう物なんだろうな。
そう思っていると、ワンエルは部屋の入口の扉近くに座り、サタニャエルは僕の肩から跳び立つと部屋の真ん中にあるテーブルに座った。
「勇者様もお座りくださいワン」
「そうですニャ。多分、忙しくなると思いますニャ」
「う、うん、わかったよ……あ、やわらかい」
2人の勧めるままに僕はサタニャエルが座るテーブルの両側にあるふかふかとしたソファーの片方に座り、そのやわらかさに驚きつつも、緊張してたのかホッと息を吐く。
……ああ、怖い所から戻って来れたんだなー。
心からそう思いつつ、ゆっくりと深く体をソファーに沈ませる。
すると、うとうととしはじめ……僕はそれにあらがうことなく、ゆめのなかに……おち……て…………。
●
――シュア、
――ヨ、シュア……。
う、うぅん……?
あまくてやさしいこえが、みみもとにきこえる……。
ぼくを、いっぱいあいしてくれて……、やさしくかみをなでてくれる……そんな、やさしいこえ……。
そのこえは…………。
「ママァ……?」
「ええ、ママよ~♪」
ゆっくりと瞼を開けると、そこには……優しいママの微笑みがあった。
……じゃあ、この耳元に感じる温かくて、柔らかい感触は……ママの太股なんだ。
僕は、ママに膝枕、されてるんだ……。
「ヨシュア……大変だったわねぇ、怖かったわよね~……。だから、もう少し休んでいても良いからねぇ」
「うん……」
優しくママの手が、指が僕の頭を優しく撫でる。
ママの優しい撫で撫では僕の心を温かくして、ゆっくりとしていく……。
何度かの撫で撫でが続き……、僕はまた夢の中へと沈み始める。
そんな僕へとママは優しく言う。
「ヨシュア、これからもっと怖いこともあると思うわ……。だけど、怖くて泣いてたら、ママが夢の中で優しく慰めてあげる。だから、ゆっくり休みなさい……」
「う、ん……マ、マ…………」
「ママがあの子達をお仕置きするから、それまでゆっくり休んでるのよ~♪」
「う…………ん……」
何か、ママが言ってるけど……上手く聞こえなかった。
そして、僕はまた夢の中に沈んでいった……。
僕が門に近づいていくと、兵士の人が僕に気づいたみたいで驚いたように声をあげた。
顔に覚えは無いけど……もしかすると、教会に行くときに僕の事を見ていたのかも知れないな。
そう思いつつ、僕は自分に起きた出来事を話すことにする。
「えっと、実は……教会で神さまのお告げを聞いて、外に出たら誰もいなくて……そしたら、変な人たちに連れてかれそうになって――「な、なんですってっ!?」――え?」
僕の言葉を遮るように、信じられないと言った声が兵士の人から洩れた。
どうしたのかなと思いつつ、兵士の人を見ると驚いた顔をしていた。
「も、申し訳ありません勇者様、すぐに中へとお入りください! おい、隊長に連絡を入れろ!!」
「わ、わかった!!」
「勇者様、どうぞこちらへ……」
兵士の人たちは慌てながら色々と話を始め、ある兵士の人は急いで駆け出し、違う兵士の人は僕を案内しようと近づく。
そんな案内をしようとしてくれている兵士の人へと僕はお願いをする。
「あ、あの、この子達も一緒に連れていっても良いですか? 僕を助けてくれた子達なので」
「そ、そうなのですか!? ありがとな、ワンちゃんネコちゃん。それではその子達も連れてお入りください」
「ありがとうございます! 2人とも、ついてきて」
「ワン」「ニャー」
兵士の人に案内されて、僕は城の中へと入っていく。その後ろと僕の肩にはワンエルとサタニャエルがついてきてくれていた。
城の中を歩いていると侍女さんや城でしごとをしている人が僕と、僕と一緒に居る2人に視線を移していた。
そんな人達に向けてサタニャエルが「ニャー♪」と聞いたことが無いような甘い鳴き声を口にすると、歩くのを止めて僕達……ううん、サタニャエルのほうをチラチラっと見ていた。
しかも暫く歩いている人が少なくなっていたのがまた増えてきたら、また同じような感じにサタニャエルは鳴いた。
……今度はワンエルも負けじと「ワン!」と鳴いているけど、まねをしたくなったのかなぁ?
と思っていると、兵士の人が立ち止まっていたようでサタニャエルが僕の頬をポンと叩いてくれたお陰で背中にぶつからずに済んだ。
「勇者様、暫くこちらの貴賓室でお待ちいただけないでしょうか?」
「わかりました。えっと、こういう時って……案内ご苦労様でした。って言えば良いんだよね?」
「勿体無いお言葉です。それではどうぞお入りください」
兵士の人にそう言われて、僕は部屋の中へと入る。
その部屋は僕が昨日眠った部屋よりも小さいけれど、ちょっとごうかな感じに見えた。
これが、きひんしつ。っていう物なんだろうな。
そう思っていると、ワンエルは部屋の入口の扉近くに座り、サタニャエルは僕の肩から跳び立つと部屋の真ん中にあるテーブルに座った。
「勇者様もお座りくださいワン」
「そうですニャ。多分、忙しくなると思いますニャ」
「う、うん、わかったよ……あ、やわらかい」
2人の勧めるままに僕はサタニャエルが座るテーブルの両側にあるふかふかとしたソファーの片方に座り、そのやわらかさに驚きつつも、緊張してたのかホッと息を吐く。
……ああ、怖い所から戻って来れたんだなー。
心からそう思いつつ、ゆっくりと深く体をソファーに沈ませる。
すると、うとうととしはじめ……僕はそれにあらがうことなく、ゆめのなかに……おち……て…………。
●
――シュア、
――ヨ、シュア……。
う、うぅん……?
あまくてやさしいこえが、みみもとにきこえる……。
ぼくを、いっぱいあいしてくれて……、やさしくかみをなでてくれる……そんな、やさしいこえ……。
そのこえは…………。
「ママァ……?」
「ええ、ママよ~♪」
ゆっくりと瞼を開けると、そこには……優しいママの微笑みがあった。
……じゃあ、この耳元に感じる温かくて、柔らかい感触は……ママの太股なんだ。
僕は、ママに膝枕、されてるんだ……。
「ヨシュア……大変だったわねぇ、怖かったわよね~……。だから、もう少し休んでいても良いからねぇ」
「うん……」
優しくママの手が、指が僕の頭を優しく撫でる。
ママの優しい撫で撫では僕の心を温かくして、ゆっくりとしていく……。
何度かの撫で撫でが続き……、僕はまた夢の中へと沈み始める。
そんな僕へとママは優しく言う。
「ヨシュア、これからもっと怖いこともあると思うわ……。だけど、怖くて泣いてたら、ママが夢の中で優しく慰めてあげる。だから、ゆっくり休みなさい……」
「う、ん……マ、マ…………」
「ママがあの子達をお仕置きするから、それまでゆっくり休んでるのよ~♪」
「う…………ん……」
何か、ママが言ってるけど……上手く聞こえなかった。
そして、僕はまた夢の中に沈んでいった……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
才能は流星魔法
神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。
そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。
流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。
ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。
井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。
山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。
井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。
二日に一度、18時に更新します。
カクヨムにも同時投稿しています。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~
イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。
ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。
兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。
(だって飛べないから)
そんなある日、気がつけば巣の外にいた。
…人間に攫われました(?)
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる