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第一章 賢者と賢者の家族
プロローグ
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この世界には、四つの国が存在する。
只人族が暮らす国――『ゴールドソウル』
獣人族が暮らす国――『アイアンボディ』
妖人族が暮らす国――『シルバーハート』
そして混人族が暮らす国――『ミスリルブラッド』
只人族とは特に目立った外見などを持たない人間がそう呼ばれており、彼らの力は平均的なものである。
獣人族とは身体に獣の耳や尻尾などの動物の特徴を併せ持ち、その特徴の動物の力を扱うことが出来る狼人、犬人、猫人と呼ばれる種族である。
妖人族とは妖精やエルフ、ドワーフ。そういった呼ばれ方をする種族がひとまとめに呼ばれるものであり、彼らは魔力の扱いが得意である。
そして、混人族とはそれら3つの種族が異なる種族との間に性交した結果、生まれた存在のことを言った。
そのため、今でこそ四つの国は仲良く暮らしているが……『ミスリルブラッド』が建国されるまで、混人族は禁忌を犯して生まれた存在として、侮蔑の対象であり排すべき存在であった。
生まれた子供たちは殆どが成長すること無く山に捨てられたり川に沈められたりし、その一生を終え、禁忌の証拠は消されていった。
だが、そんな中でも親の愛を受けた者も居た。
親の愛を受けられない者も居た。
愛情が注がれるよりも、憎しみを注がれる者が居た。
憎しみを注がれるよりも、愛情を注がれる者も居た。
それでもまだ世界は混人族には冷たかった。
だが、その世界が混人族に目を変えざる負えない事件が起きた。
……あるとき、世界に魔王率いる魔人族が現れ、国が危機に陥ったのだ。
人々は抵抗するも、魔人族の強さに地べたを這い蹲り、無残にもその命を消されていった。
だが、そんな時、何処からともなく勇者が現れ、魔王を倒すために立ち上がったのだ。
勇者は仲間と共に数年のときをかけて数々の困難を潜り抜け、遂に魔王を倒し、魔人族を根絶やしにすることに成功した。
そして、勇者の仲間の中にはひとりの混人が居たのだ。
――『賢者』バンブー=ベル
彼女はどの種族よりも遥かに高い魔力を宿し、どの種族よりも上手に魔法を使いこなしていた。
彼女はどの種族よりも遥かに高い戦闘技術で魔人族を圧倒し、勇者を勝利へと導いていた。
けれど、彼女は勇者よりも弱い。人々はそう考える。
何故なら彼女は、只人と妖人の間に生まれた混人なのだから。
対する勇者は神々の恩恵を受け、一撃で魔を滅する存在なのだから、と。
事実、彼女は魔王が倒され平和となった世から関係を消すかのように、忽然と姿を消した。
忽然と消えた彼女に各国は安堵をした。英雄であったとしても、混人をのさばらせたくなかったからだ。
だが彼らは知らない。それから150年の間に度々ふらりと彼女が顔を出しに現れることを……。
そしてそれからしばらく経つと、まるで勇者は役目を終えたと言わんばかりに死んだ。
人々は泣き悲しみ、勇者の嫁となっていたかつての仲間たちは涙した。
そんな中、バンブー=ベルは静かに、誰にも聞こえないように呟く……。
「だから、被爆するから結界から出るなと言ってたのに……」
その言葉を最後に、彼女は参列から外れると自らのねぐらである森へと帰っていった。
……それから数年後、只人……と言うか勇者との間に作られた子供が様々な国から輩出された。
それは只人族のみならず、獣人族、妖人族といった種族からもだ。
要するに、勇者の血を引いた混人族が大量に産まれたのだ。
結果、魔王を倒した勇者の血を引いている混人を排するに排せない状況が生まれた。
だが混人が普通に生活をするなんて認められない。
だからそれぞれの国は混人を勇者の子として保護するという名目で、飼い殺しにすることに決めた。
……同時に、勇者の子を認めるしかなくなったために他の混人たちもすぐに殺すということは禁止されたのは彼らにとっては幸運だったのか。
それとも、地獄の始まりだったのかはまだ分からない。
何故ならこの物語はその取り決めが決められてから150年後、賢者がふらりと顔を出したときから始まるのだから……。
只人族が暮らす国――『ゴールドソウル』
獣人族が暮らす国――『アイアンボディ』
妖人族が暮らす国――『シルバーハート』
そして混人族が暮らす国――『ミスリルブラッド』
只人族とは特に目立った外見などを持たない人間がそう呼ばれており、彼らの力は平均的なものである。
獣人族とは身体に獣の耳や尻尾などの動物の特徴を併せ持ち、その特徴の動物の力を扱うことが出来る狼人、犬人、猫人と呼ばれる種族である。
妖人族とは妖精やエルフ、ドワーフ。そういった呼ばれ方をする種族がひとまとめに呼ばれるものであり、彼らは魔力の扱いが得意である。
そして、混人族とはそれら3つの種族が異なる種族との間に性交した結果、生まれた存在のことを言った。
そのため、今でこそ四つの国は仲良く暮らしているが……『ミスリルブラッド』が建国されるまで、混人族は禁忌を犯して生まれた存在として、侮蔑の対象であり排すべき存在であった。
生まれた子供たちは殆どが成長すること無く山に捨てられたり川に沈められたりし、その一生を終え、禁忌の証拠は消されていった。
だが、そんな中でも親の愛を受けた者も居た。
親の愛を受けられない者も居た。
愛情が注がれるよりも、憎しみを注がれる者が居た。
憎しみを注がれるよりも、愛情を注がれる者も居た。
それでもまだ世界は混人族には冷たかった。
だが、その世界が混人族に目を変えざる負えない事件が起きた。
……あるとき、世界に魔王率いる魔人族が現れ、国が危機に陥ったのだ。
人々は抵抗するも、魔人族の強さに地べたを這い蹲り、無残にもその命を消されていった。
だが、そんな時、何処からともなく勇者が現れ、魔王を倒すために立ち上がったのだ。
勇者は仲間と共に数年のときをかけて数々の困難を潜り抜け、遂に魔王を倒し、魔人族を根絶やしにすることに成功した。
そして、勇者の仲間の中にはひとりの混人が居たのだ。
――『賢者』バンブー=ベル
彼女はどの種族よりも遥かに高い魔力を宿し、どの種族よりも上手に魔法を使いこなしていた。
彼女はどの種族よりも遥かに高い戦闘技術で魔人族を圧倒し、勇者を勝利へと導いていた。
けれど、彼女は勇者よりも弱い。人々はそう考える。
何故なら彼女は、只人と妖人の間に生まれた混人なのだから。
対する勇者は神々の恩恵を受け、一撃で魔を滅する存在なのだから、と。
事実、彼女は魔王が倒され平和となった世から関係を消すかのように、忽然と姿を消した。
忽然と消えた彼女に各国は安堵をした。英雄であったとしても、混人をのさばらせたくなかったからだ。
だが彼らは知らない。それから150年の間に度々ふらりと彼女が顔を出しに現れることを……。
そしてそれからしばらく経つと、まるで勇者は役目を終えたと言わんばかりに死んだ。
人々は泣き悲しみ、勇者の嫁となっていたかつての仲間たちは涙した。
そんな中、バンブー=ベルは静かに、誰にも聞こえないように呟く……。
「だから、被爆するから結界から出るなと言ってたのに……」
その言葉を最後に、彼女は参列から外れると自らのねぐらである森へと帰っていった。
……それから数年後、只人……と言うか勇者との間に作られた子供が様々な国から輩出された。
それは只人族のみならず、獣人族、妖人族といった種族からもだ。
要するに、勇者の血を引いた混人族が大量に産まれたのだ。
結果、魔王を倒した勇者の血を引いている混人を排するに排せない状況が生まれた。
だが混人が普通に生活をするなんて認められない。
だからそれぞれの国は混人を勇者の子として保護するという名目で、飼い殺しにすることに決めた。
……同時に、勇者の子を認めるしかなくなったために他の混人たちもすぐに殺すということは禁止されたのは彼らにとっては幸運だったのか。
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