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番外編 リチャード編01
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僕は生まれたときから皇太子だった。
おかしな言い方だけど、ローザン国王と王妃の第一王子として生まれたから、ってだけじゃない。
幼い頃から学問も武芸も人並み以上にできたし、ダンスや作法も完璧、なんなら歌だって大得意。僕の歌聞きたさに、宮廷中の大人たちが、どうか今宵も聴かせてくださいと懇願してきたものさ。
そんな僕にとって、皇太子であることは、呼吸をするように自然なことだった。
こんな僕だから、女性にもよくモテた。夜会のたびに、いろんな女の子たちと踊り明かしたものだ。
10代半ばになると、庭の茂みに呼び出されてそのまま・・・なんてこともよくあったよ。
もののわかった年上のご婦人たちとの恋の駆け引きは、僕に大人の世界を教えてくれた。秘密の隠れ家、2人だけにわかる合図、会えない夜の切なさ。そんなものを体験して、ひとつ大人になったのがこの頃だ。
(余談だけど、媚薬に身体を慣らし始めたのもこの頃だ。お誘いが多いのもあるけど、なんとかして王室に取り入ろうと、色めいた罠を仕掛けられることが多かったんだ)
17歳になった頃、僕は諸国外遊と偽って、冒険の旅に出ることにした。
(男なら誰でも、外に出て力を試したい時がある。だから僕は、もしタクトが冒険したいと言ったら、行かせてやるつもりだ。あの甘えんぼがそんなことを言い出すなんて、今は想像もつかないけど)
そのころはもう、2つ年上のユリアーナと婚約していたんだけど、僕の冒険心は止められなかった。
ユリアーナのことは好きだったよ。
物静かで優しくて、いつも僕を受け止めてくれた。そんなユリアーナだから、僕が数年留守をすると言ったときも、優しく送り出してくれたんだ。だから僕は、小さな贈り物を添えて、各地からユリアーナに手紙を送った。
冒険の旅は素晴らしいものだった。
海や山、荒地に雪山、自分の力だけを頼りに、世界のあらゆる場所を巡った。
海賊と戦って捕虜になったり、嵐で難破して無人島に流されたり、ジャングルの奥地で現住の民と生活したり、とにかくいろんな冒険をしたんだ。
だから僕には、海賊やジャングルの民の友人がいる。今でも何かの時には助けてくれる、かけがえのない友人たちだ。
冒険の旅でもう一つ素晴らしかったのは、各地の、いわゆる娼婦のお姉さま方からの手ほどきだ。
婚約者のいる身で、と思われるかもしれないんだけど、まあ、お互い本気ではないしね。僕は皇太子だってこと隠してたから、自由に楽しめる関係は新鮮だった。
ごめん、ユリアーナ。
その時に教えてもらったんだ。
女性には、羽毛に触れるように優しくふれなさい、って。男がちょうどいいと思ってる強さは、女には強すぎるし、男が気持ちいいと思い込んでることは、女には苦痛でしかないって。
皇太子の僕には、誰も教えてくれなかったことだった。マダムたちは遠慮したんだろう。これだけでも、冒険の旅に出てよかったってものだ。
とにかくそれからの僕は、研鑽(笑)の日々だった。あのときの修練が今活きて、グレイスが感じてくれてるといいんだけど・・・。うっ、まずい。グレイスのことを考えただけで、身体が反応してしまった。
話を変えよう。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございます。
本日はリチャード編、3連投予定です。このあと、12:00ごろと19:00ごろ公開予定です。
楽しみにしてくださると嬉しいです♪
おかしな言い方だけど、ローザン国王と王妃の第一王子として生まれたから、ってだけじゃない。
幼い頃から学問も武芸も人並み以上にできたし、ダンスや作法も完璧、なんなら歌だって大得意。僕の歌聞きたさに、宮廷中の大人たちが、どうか今宵も聴かせてくださいと懇願してきたものさ。
そんな僕にとって、皇太子であることは、呼吸をするように自然なことだった。
こんな僕だから、女性にもよくモテた。夜会のたびに、いろんな女の子たちと踊り明かしたものだ。
10代半ばになると、庭の茂みに呼び出されてそのまま・・・なんてこともよくあったよ。
もののわかった年上のご婦人たちとの恋の駆け引きは、僕に大人の世界を教えてくれた。秘密の隠れ家、2人だけにわかる合図、会えない夜の切なさ。そんなものを体験して、ひとつ大人になったのがこの頃だ。
(余談だけど、媚薬に身体を慣らし始めたのもこの頃だ。お誘いが多いのもあるけど、なんとかして王室に取り入ろうと、色めいた罠を仕掛けられることが多かったんだ)
17歳になった頃、僕は諸国外遊と偽って、冒険の旅に出ることにした。
(男なら誰でも、外に出て力を試したい時がある。だから僕は、もしタクトが冒険したいと言ったら、行かせてやるつもりだ。あの甘えんぼがそんなことを言い出すなんて、今は想像もつかないけど)
そのころはもう、2つ年上のユリアーナと婚約していたんだけど、僕の冒険心は止められなかった。
ユリアーナのことは好きだったよ。
物静かで優しくて、いつも僕を受け止めてくれた。そんなユリアーナだから、僕が数年留守をすると言ったときも、優しく送り出してくれたんだ。だから僕は、小さな贈り物を添えて、各地からユリアーナに手紙を送った。
冒険の旅は素晴らしいものだった。
海や山、荒地に雪山、自分の力だけを頼りに、世界のあらゆる場所を巡った。
海賊と戦って捕虜になったり、嵐で難破して無人島に流されたり、ジャングルの奥地で現住の民と生活したり、とにかくいろんな冒険をしたんだ。
だから僕には、海賊やジャングルの民の友人がいる。今でも何かの時には助けてくれる、かけがえのない友人たちだ。
冒険の旅でもう一つ素晴らしかったのは、各地の、いわゆる娼婦のお姉さま方からの手ほどきだ。
婚約者のいる身で、と思われるかもしれないんだけど、まあ、お互い本気ではないしね。僕は皇太子だってこと隠してたから、自由に楽しめる関係は新鮮だった。
ごめん、ユリアーナ。
その時に教えてもらったんだ。
女性には、羽毛に触れるように優しくふれなさい、って。男がちょうどいいと思ってる強さは、女には強すぎるし、男が気持ちいいと思い込んでることは、女には苦痛でしかないって。
皇太子の僕には、誰も教えてくれなかったことだった。マダムたちは遠慮したんだろう。これだけでも、冒険の旅に出てよかったってものだ。
とにかくそれからの僕は、研鑽(笑)の日々だった。あのときの修練が今活きて、グレイスが感じてくれてるといいんだけど・・・。うっ、まずい。グレイスのことを考えただけで、身体が反応してしまった。
話を変えよう。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございます。
本日はリチャード編、3連投予定です。このあと、12:00ごろと19:00ごろ公開予定です。
楽しみにしてくださると嬉しいです♪
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