27 / 41
番外編 リチャード編01
しおりを挟む
僕は生まれたときから皇太子だった。
おかしな言い方だけど、ローザン国王と王妃の第一王子として生まれたから、ってだけじゃない。
幼い頃から学問も武芸も人並み以上にできたし、ダンスや作法も完璧、なんなら歌だって大得意。僕の歌聞きたさに、宮廷中の大人たちが、どうか今宵も聴かせてくださいと懇願してきたものさ。
そんな僕にとって、皇太子であることは、呼吸をするように自然なことだった。
こんな僕だから、女性にもよくモテた。夜会のたびに、いろんな女の子たちと踊り明かしたものだ。
10代半ばになると、庭の茂みに呼び出されてそのまま・・・なんてこともよくあったよ。
もののわかった年上のご婦人たちとの恋の駆け引きは、僕に大人の世界を教えてくれた。秘密の隠れ家、2人だけにわかる合図、会えない夜の切なさ。そんなものを体験して、ひとつ大人になったのがこの頃だ。
(余談だけど、媚薬に身体を慣らし始めたのもこの頃だ。お誘いが多いのもあるけど、なんとかして王室に取り入ろうと、色めいた罠を仕掛けられることが多かったんだ)
17歳になった頃、僕は諸国外遊と偽って、冒険の旅に出ることにした。
(男なら誰でも、外に出て力を試したい時がある。だから僕は、もしタクトが冒険したいと言ったら、行かせてやるつもりだ。あの甘えんぼがそんなことを言い出すなんて、今は想像もつかないけど)
そのころはもう、2つ年上のユリアーナと婚約していたんだけど、僕の冒険心は止められなかった。
ユリアーナのことは好きだったよ。
物静かで優しくて、いつも僕を受け止めてくれた。そんなユリアーナだから、僕が数年留守をすると言ったときも、優しく送り出してくれたんだ。だから僕は、小さな贈り物を添えて、各地からユリアーナに手紙を送った。
冒険の旅は素晴らしいものだった。
海や山、荒地に雪山、自分の力だけを頼りに、世界のあらゆる場所を巡った。
海賊と戦って捕虜になったり、嵐で難破して無人島に流されたり、ジャングルの奥地で現住の民と生活したり、とにかくいろんな冒険をしたんだ。
だから僕には、海賊やジャングルの民の友人がいる。今でも何かの時には助けてくれる、かけがえのない友人たちだ。
冒険の旅でもう一つ素晴らしかったのは、各地の、いわゆる娼婦のお姉さま方からの手ほどきだ。
婚約者のいる身で、と思われるかもしれないんだけど、まあ、お互い本気ではないしね。僕は皇太子だってこと隠してたから、自由に楽しめる関係は新鮮だった。
ごめん、ユリアーナ。
その時に教えてもらったんだ。
女性には、羽毛に触れるように優しくふれなさい、って。男がちょうどいいと思ってる強さは、女には強すぎるし、男が気持ちいいと思い込んでることは、女には苦痛でしかないって。
皇太子の僕には、誰も教えてくれなかったことだった。マダムたちは遠慮したんだろう。これだけでも、冒険の旅に出てよかったってものだ。
とにかくそれからの僕は、研鑽(笑)の日々だった。あのときの修練が今活きて、グレイスが感じてくれてるといいんだけど・・・。うっ、まずい。グレイスのことを考えただけで、身体が反応してしまった。
話を変えよう。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございます。
本日はリチャード編、3連投予定です。このあと、12:00ごろと19:00ごろ公開予定です。
楽しみにしてくださると嬉しいです♪
おかしな言い方だけど、ローザン国王と王妃の第一王子として生まれたから、ってだけじゃない。
幼い頃から学問も武芸も人並み以上にできたし、ダンスや作法も完璧、なんなら歌だって大得意。僕の歌聞きたさに、宮廷中の大人たちが、どうか今宵も聴かせてくださいと懇願してきたものさ。
そんな僕にとって、皇太子であることは、呼吸をするように自然なことだった。
こんな僕だから、女性にもよくモテた。夜会のたびに、いろんな女の子たちと踊り明かしたものだ。
10代半ばになると、庭の茂みに呼び出されてそのまま・・・なんてこともよくあったよ。
もののわかった年上のご婦人たちとの恋の駆け引きは、僕に大人の世界を教えてくれた。秘密の隠れ家、2人だけにわかる合図、会えない夜の切なさ。そんなものを体験して、ひとつ大人になったのがこの頃だ。
(余談だけど、媚薬に身体を慣らし始めたのもこの頃だ。お誘いが多いのもあるけど、なんとかして王室に取り入ろうと、色めいた罠を仕掛けられることが多かったんだ)
17歳になった頃、僕は諸国外遊と偽って、冒険の旅に出ることにした。
(男なら誰でも、外に出て力を試したい時がある。だから僕は、もしタクトが冒険したいと言ったら、行かせてやるつもりだ。あの甘えんぼがそんなことを言い出すなんて、今は想像もつかないけど)
そのころはもう、2つ年上のユリアーナと婚約していたんだけど、僕の冒険心は止められなかった。
ユリアーナのことは好きだったよ。
物静かで優しくて、いつも僕を受け止めてくれた。そんなユリアーナだから、僕が数年留守をすると言ったときも、優しく送り出してくれたんだ。だから僕は、小さな贈り物を添えて、各地からユリアーナに手紙を送った。
冒険の旅は素晴らしいものだった。
海や山、荒地に雪山、自分の力だけを頼りに、世界のあらゆる場所を巡った。
海賊と戦って捕虜になったり、嵐で難破して無人島に流されたり、ジャングルの奥地で現住の民と生活したり、とにかくいろんな冒険をしたんだ。
だから僕には、海賊やジャングルの民の友人がいる。今でも何かの時には助けてくれる、かけがえのない友人たちだ。
冒険の旅でもう一つ素晴らしかったのは、各地の、いわゆる娼婦のお姉さま方からの手ほどきだ。
婚約者のいる身で、と思われるかもしれないんだけど、まあ、お互い本気ではないしね。僕は皇太子だってこと隠してたから、自由に楽しめる関係は新鮮だった。
ごめん、ユリアーナ。
その時に教えてもらったんだ。
女性には、羽毛に触れるように優しくふれなさい、って。男がちょうどいいと思ってる強さは、女には強すぎるし、男が気持ちいいと思い込んでることは、女には苦痛でしかないって。
皇太子の僕には、誰も教えてくれなかったことだった。マダムたちは遠慮したんだろう。これだけでも、冒険の旅に出てよかったってものだ。
とにかくそれからの僕は、研鑽(笑)の日々だった。あのときの修練が今活きて、グレイスが感じてくれてるといいんだけど・・・。うっ、まずい。グレイスのことを考えただけで、身体が反応してしまった。
話を変えよう。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございます。
本日はリチャード編、3連投予定です。このあと、12:00ごろと19:00ごろ公開予定です。
楽しみにしてくださると嬉しいです♪
1
あなたにおすすめの小説
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
エメラインの結婚紋
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜
夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」
婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。
彼女は涙を見せず、静かに笑った。
──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。
「そなたに、我が祝福を授けよう」
神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。
だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。
──そして半年後。
隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、
ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。
「……この命、お前に捧げよう」
「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」
かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。
──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、
“氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。
冷遇された妻は愛を求める
チカフジ ユキ
恋愛
結婚三年、子供ができないという理由で夫ヘンリーがずっと身体の関係を持っていた女性マリアを連れてきた。
そして、今後は彼女をこの邸宅の女主として仕えよと使用人に命じる。
正妻のアリーシアは離れに追い出され、冷遇される日々。
離婚したくても、金づるであるアリーシアをそう簡単には手放してはくれなかった。
しかし、そんな日々もある日突然終わりが来る。
それは父親の死から始まった。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる