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私も同じ気持ちです

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帝国が攻めてきたって、神聖ヴュータンズ帝国が? 健康共和国を? 今まさにムカついて滅ぼそうかと思ってたタイミングでビザステリオ様が? 

……私のために?
ビザステリオ様、そんなに私のことを好きだったなんて……。ハートウォーミングな夫からの気遣い派兵に一瞬感動しかけたけれど、そんなわけないか、と思い直した。
何しにきたんだろ。あ、もしかして、離婚じゃなくて殺しにきた? まさか。
半月前までラブラブだった私を?
いやいや。

私はメンズに囲まれながら眉間を揉んだ。メンズ達はひたすら私を心配そうにしている。なんだ我が国にもいい男達がいたんじゃないか。失礼な騎士とおじさんしかいないかと思っていた。お父様? さては隠していましたね? 私はなぜかメンズを隠されていたことに気がついて伝令に対応している父を睨んだ。

「どういうことだ」
「隠しているのはわかっている。王女と話をさせろ、とのことです」
またこのパターンか。

ビザステリオ様は礼儀正しい真摯な美形なのに何故か国を通すと失礼なことを言い出すのだ。まぁなんとなく理由はわかる。帝国という組織がちょっと偉そうだから。国家の威信を履き違えているとしか思えない。
「あと、皇帝陛下からの手紙を王女に渡すようにと」
伝令は美美しい封蝋がされた手紙を台に載せて捧げ持っていた。

――愛しのヘーゼル王女殿下
貴女様が去った白亜の宮殿は太陽と花を失ったようです。あの無礼者達の侵入を許してしまい申し訳なかった。貴女の去り際の凛々しくも哀しげな横顔に胸が締め付けられます。貴女に恋する男を憐れに思うならばもう一度やり直すチャンスが欲しい。
貴女の安息の場所となれるように甘かった俺をやめようと思います。
迎えに行きます。


「ビザステリオ様……」
立派なラブレターだ。私は横から覗き込んできた父の顎に拳を軽く叩き込んだ。
「お前、何が不満で戻ってきたんだ?」
健康王国が不満だったから戻ってきたんだけど。頼むから大人しく幸せに暮らしてくれ、とはなんですか?
私も同じ気持ちです。

思い出してしまうとあの美貌の主に会いたくなってくる。あの方は芸術品だ。結婚してるなんて信じられない。
優しくて振る舞いも完璧な紳士……、いや実用的な部分もあるけれど、あの方の側はとても落ち着く。生きているようには思えない方なのに体温は高く息をする胸が逞しく、多分かなりお強い。

もし、あの方の子どもができたら、幸せかもな。
ふと考えたところで、孕んでしまうとゾッとした。今のは違う。違うんです。
健康の神よ。
排卵させるとか。確証が持てないけど、今結構危なかった気がする。私は腹を抑えた。


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