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第一章 塔の異世界
マギナ先生の精霊術講座 入門編
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「ではでは! 精霊術初心者講座、開講で~す!」
マギナの元気な声が青空に響く。僕は彼女のやる気に応えるように拍手を送った。
真上にあった太陽は、塔の方角に少し傾いていた。
マギナの足元には商品の陳列に使われていたのと同じ底の浅い木箱がひとつ。中には彼女が見繕ってきた店の商品がいくつか収められている。マギナはその中からみっつを取り出した。
右手には巻いた紙を紐で結ったものと、僕の拳より少し小さい水色のガラス玉のようなものを器用に持っている。左手には漫画の単行本と同じくらいの本が一冊。
「これが精霊術の記述法で作った精霊書と精霊器です。本や一枚の紙のように紙製のものを精霊書、精霊書をこのオーブのような紙以外のものに転写したものを精霊器と呼びます」
「はい。先生、質問です」
先生口調で講義を進めるマギナに合わせて、僕も生徒らしく右手を挙げる。
「ハイ! クーヤくん! ぅわっとっと」
マギナは僕を指差そうとしたが、その手には巻紙とオーブが握られていた。腕を振った時、オーブが勢い余ってすっぽ抜けそうになったのだろう。彼女はワタワタとしながらオーブごと巻紙を握り込んでしまった。
「「あ」」
マギナと声が揃う。
彼女はやっちゃったという顔で右手を見た。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。使えなくなったわけじゃないから」
そう言ってマギナは苦笑した。だけどそれは束の間のことで、すぐに顔を引き締めた。
「うん、そう! こんな感じにクシャッてなっても、精霊書は使えます!」
「おぉー」
僕はわざとらしく感嘆の声を上げ、彼女を鼓舞するために拍手を送った。
「それで、なんだっけ?」
「あぁうん、そもそも精霊術ってなんなのかなって。記述法ってことは、ほかにも用法があるってことだよね?」
「良い質問ですね!」
異世界でお褒めの言葉を頂きました。
それと、今度は腕を動かさないよう頑張ったみたいですね。右手がピクリと動くのを僕は見逃しませんでした。
「精霊術には記述法と詠唱法があります。記述法は精霊語を書いたり刻んだりすることで精霊術を使う方法です。詠唱法は精霊語を唱えることで精霊術を使う方法です」
「なるほど。ところで、精霊語ってマギナさんが普段使ってるのとは別の言語なんだよね?」
「うん、そうだよ」
「……それっておかしくないかな? 確か神託に「言語を統一せよ」っていうのがあったよね?」
マギナは手に持っていたものを箱に戻し、ビシッと僕を指差した。よくできました!
「いいとこに気がついたね! でも、どうしてか分からないけど使えちゃうんだよ」
神託は絶対に破れないとマギナが言ってたような気がするんだけど……。
それと、マギナの言葉遣いが元に戻ってるけど、早くも飽きちゃったのかな?
「神託が下された当時の人たちは、それまで使ってた言語を忘れちゃって、今の公用語しか使えなくなっちゃったらしいんだけど、精霊語だけは忘れなかったみたいなんだよね。でも影響がなかったわけじゃないよ。いくつかの精霊語は文字でしか残ってないから詠唱法では使えないしね」
「頭の中をいじるとか、神託の強制力半端ないね。だけど文字しか残ってない精霊語は、ほかの似たような単語から類推すれば読み方が分かるんじゃないのかな?」
英語ならわりと使える手なんだけど……マギナが苦笑いしてる。
「それができないから読めないんだよ。精霊語は一文字違うだけで全然違う読み方になっちゃうからね」
「そうなんだ……」
そんな面倒な言語、僕に覚えられるかな……。
「それじゃあ、お話はここまでにして、実際に使ってみよっか!」
まあ、とりあえずやってみますか。
マギナの元気な声が青空に響く。僕は彼女のやる気に応えるように拍手を送った。
真上にあった太陽は、塔の方角に少し傾いていた。
マギナの足元には商品の陳列に使われていたのと同じ底の浅い木箱がひとつ。中には彼女が見繕ってきた店の商品がいくつか収められている。マギナはその中からみっつを取り出した。
右手には巻いた紙を紐で結ったものと、僕の拳より少し小さい水色のガラス玉のようなものを器用に持っている。左手には漫画の単行本と同じくらいの本が一冊。
「これが精霊術の記述法で作った精霊書と精霊器です。本や一枚の紙のように紙製のものを精霊書、精霊書をこのオーブのような紙以外のものに転写したものを精霊器と呼びます」
「はい。先生、質問です」
先生口調で講義を進めるマギナに合わせて、僕も生徒らしく右手を挙げる。
「ハイ! クーヤくん! ぅわっとっと」
マギナは僕を指差そうとしたが、その手には巻紙とオーブが握られていた。腕を振った時、オーブが勢い余ってすっぽ抜けそうになったのだろう。彼女はワタワタとしながらオーブごと巻紙を握り込んでしまった。
「「あ」」
マギナと声が揃う。
彼女はやっちゃったという顔で右手を見た。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。使えなくなったわけじゃないから」
そう言ってマギナは苦笑した。だけどそれは束の間のことで、すぐに顔を引き締めた。
「うん、そう! こんな感じにクシャッてなっても、精霊書は使えます!」
「おぉー」
僕はわざとらしく感嘆の声を上げ、彼女を鼓舞するために拍手を送った。
「それで、なんだっけ?」
「あぁうん、そもそも精霊術ってなんなのかなって。記述法ってことは、ほかにも用法があるってことだよね?」
「良い質問ですね!」
異世界でお褒めの言葉を頂きました。
それと、今度は腕を動かさないよう頑張ったみたいですね。右手がピクリと動くのを僕は見逃しませんでした。
「精霊術には記述法と詠唱法があります。記述法は精霊語を書いたり刻んだりすることで精霊術を使う方法です。詠唱法は精霊語を唱えることで精霊術を使う方法です」
「なるほど。ところで、精霊語ってマギナさんが普段使ってるのとは別の言語なんだよね?」
「うん、そうだよ」
「……それっておかしくないかな? 確か神託に「言語を統一せよ」っていうのがあったよね?」
マギナは手に持っていたものを箱に戻し、ビシッと僕を指差した。よくできました!
「いいとこに気がついたね! でも、どうしてか分からないけど使えちゃうんだよ」
神託は絶対に破れないとマギナが言ってたような気がするんだけど……。
それと、マギナの言葉遣いが元に戻ってるけど、早くも飽きちゃったのかな?
「神託が下された当時の人たちは、それまで使ってた言語を忘れちゃって、今の公用語しか使えなくなっちゃったらしいんだけど、精霊語だけは忘れなかったみたいなんだよね。でも影響がなかったわけじゃないよ。いくつかの精霊語は文字でしか残ってないから詠唱法では使えないしね」
「頭の中をいじるとか、神託の強制力半端ないね。だけど文字しか残ってない精霊語は、ほかの似たような単語から類推すれば読み方が分かるんじゃないのかな?」
英語ならわりと使える手なんだけど……マギナが苦笑いしてる。
「それができないから読めないんだよ。精霊語は一文字違うだけで全然違う読み方になっちゃうからね」
「そうなんだ……」
そんな面倒な言語、僕に覚えられるかな……。
「それじゃあ、お話はここまでにして、実際に使ってみよっか!」
まあ、とりあえずやってみますか。
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