上 下
13 / 44

走れ荷馬車。そして新情報ゲット!

しおりを挟む
 3日経ってしまったので、村人から荷馬車を買って城に急いで戻る、馬には悪いが休憩は無しだ。

ーー

「3日経ったが、坊主は戻ってこんな」
「お前達は見捨てられたのだ」

「ふん、リックはそんな奴じゃない」
「そうよ」

「その通りです」

「もうすぐ日が暮れる、諦めろ」

「看守長殿。女王様より、娘どもを連れて広場に来る様に、との事です」

「分かった。ほれ、終わりだ」

「リック……」
「とっとと歩け」


サキ達がいる。どうやら間にあったようだな。


「お~い、みんな元気」

「リック、遅い」
「悪い、あいつの居る所が遠くてさ」

「あの野郎」
「リック様」「リック」

「セフィーヌ、ミリカ、心配かけたね」


「みんな揃った様ですね。では説明して下さい」

「はい、女王様。お前達、話してもらうぞ。お前からだ、解っているよね?言わないと、あそこが無くなるよ」

「くぅ、魔道具を盗んだのは俺だ、デボネンに依頼されたのだ」

「はい、次、デボネン君」
「うう、私はアジン公爵の指示で動きました」

「何と!至急アジン公爵を捕らえよ」
「はっ」

「すまなかったな、リック。許してほしい」

潔よいですね、クリスティン。

「いえ、お役に立てて良かったです」

「背後に居るものが判ったのは大きい手柄と言ってよい。…………正式な礼はしますがリック、今はこれを受け取ってほしい」

王家の紋章が入った短刀だ。何かの役には立つか、貰っておこう。

「ありがとう御座います。では、僕達はこれで失礼致します」

「ちょ、ちょっと待て、蟻を出す約束だぞ」
「あ、ごめん。忘れてた」

「酷い小僧だ」

ビール瓶くらいの容器を床に置いて蟻達を呼び戻す。

5人の男達が一斉に泣き出す。

「グギャォ」「うぐぅ」「ひぃ」「あぅう」

男達は七転八倒して泣き叫ぶ。俺は理由を知っているが、他の人達は理由が解らないので、唖然としている。

1人は気絶した様だ。男達から出て来た小さい蟻達が、綺麗に隊列を組んで瓶の中に入って行く。

「リック、今度は何をやったの?」
「うん、ちょっとね」

「サキ、怖いから聞かない方がいいかもよ」
「うん、想像したく無いしな」

最後の1匹が入った所で蓋を閉め、アイテムBOXに入れた。

「今度こそ失礼致します」

「……、後ほど連絡致します、訪ねて来なさい」

「はい、ありがとう御座います」



「ホント、酷い目にあったわ」
「お風呂に入りたいです、リック様」

「よし、奮発して大きな宿に泊まって、美味しい物を食べよう」

「やったね」

「リック様。酷い目に合いましたが、クリスティン女王様と繋がりが出来て良かったですね」

「そうかな?」
「ええ。将来、絶対にお役に立つと思います」

俺には、あまり関係が無いと思うがな。

その日は、貴族が泊まる様な立派な宿に泊まった、みんなご満悦だ。

たんまりと金貨をクリスティンから貰った後、ダンジョンに行ったが、結局この国のダンジョンは全て違った。西に行くルートに戻り、ワラヴォルト王国に行く。

「セフィーヌ、今度の国は?」

「綺麗な湖と壮大な滝が有る国ですね。この国の湖と滝を皆、一度は観に行きたいと言いますね」

ヴェニス見たいな観光地か。

「ダンジョンは1つ、滝の側に有るみたいよ」
「観光も出来て、丁度良いわね」

滝の有る街に着いたのは夜なので、宿を直ぐに見つけに行った、観光地なら混むに違いない。

「おやまあ、あんた達、ツイてるねえ。4人部屋なら今さっき空いた所さ。どうする?」

「お願いします」

「あんた達も、赤いクリスタルに願いをかけに来たのかい?」

「何ですか、それ?」

「あら、知らないのかい?ダンジョンの地下31階に有るクリスタルが赤いと、願いが叶うと言う話さ」

「何それ、凄くロマンチックにゃ。リック、行って見たいわ」

「そうか、じゃあ、少し稼ぎますか」
「きゃっ、嬉しい」

「私は、戦いは得意ではありませんが」

「大丈夫よ、私とミリカでカバーするわ」
「そうよ、セフィーヌ」

「ありがとう、サキさん、ミリカさん」
「もう呼び捨てでいいわよ」

「分かりました、サキ、ミリカ」

確かにセフィーヌは属性は光属性で、簡単な回復魔法しか使えないし攻撃魔法は覚えてない、小さな国って言ってたから、魔法の家庭教師も居なかったのかも。

しかし、たまに予言見たいな事を言うのは、巫女のスキルがあるからか?ユニークスキルも面白そうだ。

イストリアガラの滝と言うそうだ。ナイアガラの滝の5倍は有りそうだ、まさに壮観の一言だ。ダンジョンは滝の横から1kmの所に入口が有り、魔物の像は無かった。


ダンジョンの攻略は久しぶりだ、定番のゴブリンに始まって、オーク、ハイオーク、グレートウルフ、ゴブリンメイジ、リザードマンと階が下がるにつれて魔物の種類と頭数が増えていく。

サキとミリカで何の問題も無く進んで行く、俺は広範囲で周りの状況を把握しているので、何が有っても対応出来る。

地下20階を越えた辺りから、水生の魔物が多く出て来る、滝が関係しているのかな。

「集団でこの先に何かいるから気をつけて」
「OK」

「うわっ、トードリアンだ」
「気持ち悪いです」

あのヌメヌメとギョロ目は俺もゾッとする。

「いいわ、私が全部まとめて燃やしちゃうわ。ファイアーボルテックス!」

高温の炎の渦に巻き込まれてトードリアンは焼かれていく。う~ん、いい匂いかも、カエルの焼き鳥は美味かったもんな。

「リック、私は食べないわよ」

「そうかな、きっと美味しいよ。でも、塩が無いから止めとくか」


冗談を言いながら進んで行くと地下31階のクリスタルの有る場所に着いた。

「あそこじゃない、赤く光ってるわ」
「ラッキーね。あ、ツイてるって意味よ」

みんなで正面に行ってみる。クリスタルに赤い丸が2つ光ってる。

「綺麗ですね」
「お願い事しなきゃ」

「リックの子供を、たくさん産めます様に」

ミリカは怖いお願い事だな。

しかし、この形?何か、こう、観られている様な気に、ん~む、これ、魔物の目じゃない?

『あら、良く判ったわね。気が付いたの貴方で2人目よ』

「だ、誰です?」

『このダンジョンのマスターの水龍よ。前に、ここに居たら面白い噂が流れたので、みんなが喜ぶならと思って、ダンジョン運営のおまけで、たまにここにいるの』

「そうですか。2人目って、もう1人は誰です?」

『1000年前の勇者さんね。貴方も勇者、見たいな者かしら?何しているの』

「入口に12の魔物の像が有る、ダンジョンを探しています」

『そのダンジョンなら、西の果ての山に、有るって勇者さんが言ってたわ』

「えっ、本当ですか。勇者様は?」

『1000年前に元の世界に帰ったわ。あ、そろそろ行かなくっちゃ、じゃあね』

「はい、ありがとう御座います」

えらいこっちゃ。

「あ、消えちゃった」
「残念ですね」

『リック、何と話してたのよ?』
『後で話すよ』

ーー


「え~、あれ水龍の目だったの」

「うん、どうやらダンジョンは、西の果ての山に有るらしい」

「じゃ、寄り道せずに、セフィーヌの国に行けばいいのね」

「そう言う事」

いい情報が手に入った。水龍様、ありがとう。

しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

これって溺愛ルートってやつですか?

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:25

ずーっと馬鹿みたいにあいしてた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

聖なる日の物語

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

キューピッド様

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

ルカ

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

離宮に隠されるお妃様

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:546pt お気に入り:149

断れない私

現代文学 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

廃嫡された令嬢は宇宙を駆ける

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

処理中です...