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第6話。
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冒険者ギルドサムシング支部マスター執務室には、ダンジョンを踏破した俺とギルマスのシェリー姐さん、サムシング辺境伯様、辺境伯家執事長ザイルさんが揃っている。
「ミューラー。先ずはダンジョンの踏破、おめでとう。よくやったわね」
「我が領内のダンジョンを踏破した者が現れたのは実に80年ぶりだな。最初に踏破したのは初代国王陛下で、その後は数十年に1人いるかいないかだったからな。これは快挙だ。ミューラーくん。心から、おめでとうを言わせてもらうよ」
シェリー姐さんと、サムシング辺境伯様が口々に祝福してくれる。
「80年前と言えば、私が生まれる16年前で、父の代の事でございますね。寝物語に聞かされておりましたが、まさか私の代でもダンジョン踏破者が現れるとは思いもしませんでした」
今年64歳になるザイルさんは、感慨深げに頷いている。
「ダンジョンボスは何だった?」
「情報通りに、エンシェントドラゴンでしたよ」
「「「エンシェントドラゴン!」」」
ギルマスのシェリー姐さんとサムシング辺境伯様、ザイルさんが異口同音に叫んだ。
「ド、ドロップ品は…?」
「一振りの剣でした」
「剣、か。どんな剣なの? 魔剣の類いなんでしょう?」
「教えられません」
「な、何ですって!? 教えられないってどういう事よ!!」
シシリア姐さんが怒鳴るが、これに関しては教えるわけにはいかない。
「シェリー姐さん。ロギーナ神教国を敵に回すだけの覚悟があるなら教えますけど…どうします?」
ロギーナ神教国。
誰もが知っていて、世界で一番の信者数を誇る宗教の国である。
「神教国を敵に…分かった。訊くのはやめておくわ」
「賢明ですね(神殺しの太刀なんてバレたら異端尋問で、物理的に首が飛んじゃうからね)」
心の中で安堵の溜め息を吐く。
「辺境伯様。コレを献上致します。お納め下さい」
アイテムボックスの中から細長い宝箱を取り出して、サムシング辺境伯様の目の前に置いた。
細長い宝箱には、幾つものダイヤモンドやサファイアで装飾されていて、この宝箱だけでもかなりのお値段になるだろう。
「開けても良いかね?」
「どうぞ」
宝箱を開けたサムシング辺境伯様がめをカッと見開いた。
「こ、コレは…!?」
中身は一振りの短剣。
柄頭と鍔にルビーのような真紅の魔石が嵌っている。
「火属性魔法の魔法剣です」
「魔法剣!?」
「はい。魔力を込めれば込める程、短剣の剣の部分から炎の刃が伸びまくるのが特徴です。因みに、短剣の素材はヒイロガネです。短剣ですが、立派な魔剣ですよ」
サムシング辺境伯様がゴクリと唾を飲み込んだ。
「こんな貴重な短剣を私に献上? 良いのかね? 売れば聖銀貨5枚…オークションに出品すれば、神金貨1枚以上で売買されるような代物だぞ?」
「神金貨1枚ですか。大丈夫です。お金には困ってませんから」
まるで、神金貨1枚を端金扱いするかのような口振りだが、ダンジョンを踏破したのだから、神金貨の10枚や20枚…いや、もしかしたら数えるのがバカらしくなるくらいの枚数を稼いだのかもしれない。
「分かった。ありがたく貰っておくよ。でも、君の武器はどうするんだい?」
「ご心配には及びません。俺にはコレがありますから」
腰の小太刀と脇差をポンと叩く。
「それは? 確か、"小太刀"と"脇差"と言ったかな。それも魔剣なのかい?」
「はい。銘は〔シャドウエッジ〕と〔ソウルイーター〕と言います。能力は…秘密ですね。種明かしすると、飯を食いっぱぐれちゃいますからね」
「そうね。冒険者が自分の武器の能力を隠すのは当たり前の事だものね。で? 私にはプレゼントはないの?」
シェリー姐さんは、ただでさえ豊かな胸をコレでもかとばかりに強調して、おねだりしてきた。
「いくらダンジョンでも、シェリー姐さんのサイズに合うブラジャーはドロップしなかったよ?」
スパーンッ!
物凄い勢いで頭を叩かれた。
「ブラジャーなんかドロップするわけないでしょう!! 私が言ってるのは、武器とか防具とかアクセサリーとかの事に決まってるでしょうが!!」
シェリー姐さんは顔から火が噴くんじゃないかと思わせるくらいに真っ赤になっている。
イタズラが過ぎたかな?
「ごめん、ごめん。シェリー姐さんにピッタリのアクセサリーをプレゼントするから許してよ。はい。コレ」
アイテムボックスから取り出したのは虹色のブレスレットだ。
「コレは?」
「"全状態異常無効化"を付与されてるブレスレットだよ」
「「「…全状態異常無効化!!??」」」
「そ。ピッタリでしょ?」
何でもない事のように言ってのけ、美味しそうに紅茶を飲んでいる俺を見ながら、シェリー姐さんが訊ねた。
「コレに付与されているのがどれだけの意味を持っているのか、本当に分かってるの?」
と。
それに対して、俺は極炎魔法をブッ放した。
「大丈夫。同じ物が他にも何個かあるから」
と。
「ミューラー。先ずはダンジョンの踏破、おめでとう。よくやったわね」
「我が領内のダンジョンを踏破した者が現れたのは実に80年ぶりだな。最初に踏破したのは初代国王陛下で、その後は数十年に1人いるかいないかだったからな。これは快挙だ。ミューラーくん。心から、おめでとうを言わせてもらうよ」
シェリー姐さんと、サムシング辺境伯様が口々に祝福してくれる。
「80年前と言えば、私が生まれる16年前で、父の代の事でございますね。寝物語に聞かされておりましたが、まさか私の代でもダンジョン踏破者が現れるとは思いもしませんでした」
今年64歳になるザイルさんは、感慨深げに頷いている。
「ダンジョンボスは何だった?」
「情報通りに、エンシェントドラゴンでしたよ」
「「「エンシェントドラゴン!」」」
ギルマスのシェリー姐さんとサムシング辺境伯様、ザイルさんが異口同音に叫んだ。
「ド、ドロップ品は…?」
「一振りの剣でした」
「剣、か。どんな剣なの? 魔剣の類いなんでしょう?」
「教えられません」
「な、何ですって!? 教えられないってどういう事よ!!」
シシリア姐さんが怒鳴るが、これに関しては教えるわけにはいかない。
「シェリー姐さん。ロギーナ神教国を敵に回すだけの覚悟があるなら教えますけど…どうします?」
ロギーナ神教国。
誰もが知っていて、世界で一番の信者数を誇る宗教の国である。
「神教国を敵に…分かった。訊くのはやめておくわ」
「賢明ですね(神殺しの太刀なんてバレたら異端尋問で、物理的に首が飛んじゃうからね)」
心の中で安堵の溜め息を吐く。
「辺境伯様。コレを献上致します。お納め下さい」
アイテムボックスの中から細長い宝箱を取り出して、サムシング辺境伯様の目の前に置いた。
細長い宝箱には、幾つものダイヤモンドやサファイアで装飾されていて、この宝箱だけでもかなりのお値段になるだろう。
「開けても良いかね?」
「どうぞ」
宝箱を開けたサムシング辺境伯様がめをカッと見開いた。
「こ、コレは…!?」
中身は一振りの短剣。
柄頭と鍔にルビーのような真紅の魔石が嵌っている。
「火属性魔法の魔法剣です」
「魔法剣!?」
「はい。魔力を込めれば込める程、短剣の剣の部分から炎の刃が伸びまくるのが特徴です。因みに、短剣の素材はヒイロガネです。短剣ですが、立派な魔剣ですよ」
サムシング辺境伯様がゴクリと唾を飲み込んだ。
「こんな貴重な短剣を私に献上? 良いのかね? 売れば聖銀貨5枚…オークションに出品すれば、神金貨1枚以上で売買されるような代物だぞ?」
「神金貨1枚ですか。大丈夫です。お金には困ってませんから」
まるで、神金貨1枚を端金扱いするかのような口振りだが、ダンジョンを踏破したのだから、神金貨の10枚や20枚…いや、もしかしたら数えるのがバカらしくなるくらいの枚数を稼いだのかもしれない。
「分かった。ありがたく貰っておくよ。でも、君の武器はどうするんだい?」
「ご心配には及びません。俺にはコレがありますから」
腰の小太刀と脇差をポンと叩く。
「それは? 確か、"小太刀"と"脇差"と言ったかな。それも魔剣なのかい?」
「はい。銘は〔シャドウエッジ〕と〔ソウルイーター〕と言います。能力は…秘密ですね。種明かしすると、飯を食いっぱぐれちゃいますからね」
「そうね。冒険者が自分の武器の能力を隠すのは当たり前の事だものね。で? 私にはプレゼントはないの?」
シェリー姐さんは、ただでさえ豊かな胸をコレでもかとばかりに強調して、おねだりしてきた。
「いくらダンジョンでも、シェリー姐さんのサイズに合うブラジャーはドロップしなかったよ?」
スパーンッ!
物凄い勢いで頭を叩かれた。
「ブラジャーなんかドロップするわけないでしょう!! 私が言ってるのは、武器とか防具とかアクセサリーとかの事に決まってるでしょうが!!」
シェリー姐さんは顔から火が噴くんじゃないかと思わせるくらいに真っ赤になっている。
イタズラが過ぎたかな?
「ごめん、ごめん。シェリー姐さんにピッタリのアクセサリーをプレゼントするから許してよ。はい。コレ」
アイテムボックスから取り出したのは虹色のブレスレットだ。
「コレは?」
「"全状態異常無効化"を付与されてるブレスレットだよ」
「「「…全状態異常無効化!!??」」」
「そ。ピッタリでしょ?」
何でもない事のように言ってのけ、美味しそうに紅茶を飲んでいる俺を見ながら、シェリー姐さんが訊ねた。
「コレに付与されているのがどれだけの意味を持っているのか、本当に分かってるの?」
と。
それに対して、俺は極炎魔法をブッ放した。
「大丈夫。同じ物が他にも何個かあるから」
と。
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