『ハズレ』召喚者『氣功術師』ののんびり異世界旅行!!

メガネの助

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帝都までの道中〜7〜。

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 『子猫の小耳亭』に一泊したリョータ達はリーマス侯爵領を出て、帝都に向かって出発した。

「師匠。昨夜のステーキとっても美味しかったです!」
「本当に!あんなに美味しいステーキは初めてですよ。あのステーキは何のお肉だったんですか?」
「グリーンドラゴン」
「「「「「………はい?」」」」」
「だからグリーンドラゴンの肉だよ」

 グリーンドラゴンの肉。
 その単語にレイチェル達は絶句した。
 王侯貴族でさえもワイバーンの肉でも滅多に口にできないと言うのに、自分達はその上をいくグリーンドラゴンの肉を食べてしまった。それもお代わりしまくりで食べまくってしまった。
 だからだろう。
 額に大粒の汗が滲む。
 それを見たリル達は笑った。

「気にするでない。我らと共にいれば、ドラゴンの肉など毎日でも食べる事ができるのじゃ。旦那様。ドラゴン肉は後どれくらい残っておるのかの?」
「ん~?後、五十頭分くらいかな?」
「のう?これで分かったであろう?我らはいつでもどこでも好きな時に好きなだけドラゴン肉を食べられるのじゃ」
「まあ、レッドドラゴンじゃなければだけどね」
「え?レッドドラゴンは食べないんですか?」
「無理を言うでない。お主達はエミリアに共喰いせよと言うのかの?」
「と、共喰い…?」
「そうじゃ。エミリアは赤龍レッドドラゴン族のお姫様じゃからの」
「「「「「エミリアさんがレッドドラゴン族のお姫様!!??」」」」」

 レイチェル達が絶叫するのをリョータ達は不思議に思って首を傾げた。

「知らなかったのか?」
「言うておらなんだかの?」
「「「「「聞いてませんよ!!」」」」」
「そ、そうか。それは済まなんだの。じゃが、それで何がどう変わるものでもないのじゃから、別にかまわんじゃろ?それに我とてもフェンリルじゃしの」
「私はグリフォンですわ」
「私はユニコーンです」
「ティアはエンペラースライムなの」
『拙者はバトルホースでござる』
「私の事は紹介済みよね」

 フェンリル。
 グリフォン。
 ユニコーン。
 エンペラースライム。
 バトルホース。
 レッドドラゴン。

 まさかリル達の正体が夢物語にでしか出てこないような魔獣達だったと知ったレイチェル達はポカーンとしていたが、暫くして歓声を上げた。
 口々に「凄い!凄い!」と連呼しながら飛び跳ねている。
 リル達もそういう反応に満更でもなさそうに頬を掻いている。

「じゃがの。一番凄いのは我らの旦那様じゃぞ?何しろ我らは旦那様に負けて従魔になったのじゃからの」

 またしても「凄い!凄い!」が木霊するのへ、リョータは照くさそうに「運が良かっただけさ」と一言だけ言って顔の向きを変えた。
 帝都まで盗賊や魔獣討伐をしながらの道中だったので、予定より三日かかってしまったが、それでも無事に到着した。

「おお。やっぱり帝都の防壁は凄いな!」
「ふむ。まあ、人間が造った物としてはまあまあじゃな」
「うん。お兄ちゃんが造った森の中のお家のほうがもっともっとしっかりしてたの!」

 リルとティアの台詞にレイチェル達は一瞬驚いた顔をしたが、「師匠達の事だから、世間一般の常識は通用しない」と割り切ったのだろう。小さく笑った。
 防壁の通行門にはたくさんの人々が長蛇の列を成し、その人々相手の屋台までできていた。

「商魂逞しいね!」
「帝都内に店を出せない商人にとっては絶好の稼ぎ時ですから。それはもう必死ですよ」
「でも、長いのよねぇ」

 今乗っている馬車はライラック侯爵が用意してくれた家紋入りの馬車なので貴族門に行けば早く通れるのだが、リョータ達はうっかりと忘れていた。
 そこへ、通行門にいた衛兵がやってきた。

「失礼ながら、リーマス侯爵閣下に在らせられますか?」
「ん?いや、馬車はライラック卿から借りているが、俺達は閣下の身内ですらないよ?」
「何!?リーマス侯爵閣下の馬車だが、閣下の身内でもないだと!?さては貴様ら、馬車を盗んだな!!」

 衛兵は勝手に決めつけて、警笛を吹き鳴らした。
 その警笛を聞いた十人の衛兵が駆け付けてきて、サーベルを抜いて馬車を囲んだ。

「貴様ら、逃げ場はないぞ!大人しくしろ!抵抗すれば斬り捨てるぞ!!」

 警笛を鳴らした衛兵はニヤニヤしながら声高に叫んだ。
 手柄をあげれたとでも思っているのだろうが、残念ながらそれは大間違いで、手柄どころか帝国全土を滅亡の危機に晒した重大犯罪、もしくは叛逆でしかなかった。

「あ~…通達は無かったのかな?」
「通達だと?」
「そう。通達。皇帝陛下から、俺達が謁見のために来るっていう通達。無かったの?」

 おかしいな。
 ラノック隊長さんが俺達が帝都に来る事は通行門の衛兵隊に通達しておくっつ言ってくれてたんだけどな?

 皇帝陛下からの通達。
 それを聞いた衛兵の一人が恐る恐る訊ねてきた。

「もしかして貴方方はリョータ様御一行様でございますか?」
「そうです。俺がリョータです。はい。冒険者カードです」

 リョータが冒険者カードを見せると、衛兵達は全員武器を捨てて土下座した。

「知らぬ事とは言え大変ご無礼致しました。何卒ご容赦ください」
「ん?まあ普通に考えて無理じゃないかな。陛下に謁見するために呼ばれた者に問答無用で刃を向けたのだから、当然だけど一人残らず斬首刑でしょ。ご愁傷様でした。じゃあ、さよなら」

 リョータは一切の慈悲を与えずに死刑宣告をして通行門を通っていった。

「帝都に来るのを楽しみにしてたのに、最悪の気分になっちゃったな」
 
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