『ハズレ』召喚者『氣功術師』ののんびり異世界旅行!!

メガネの助

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孤児院に寄付していたら、変な奴らに絡まれました。

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 ダンジョンでドロップしたアイテム類を買い取ってもらったリョータ達は、受付嬢に帝都にある孤児院の場所を教えてもらった。
 孤児院は教会と併設してあるそうで、東区にある帝城や貴族街を除く、西区、南区、北区にそれぞれ一つずつあるそうだ。
 しかし、一つだけ注意された。「北区のスラム街には絶対に近付いたらいけませんよ」と。
 帝都にもスラム街は存在しているようだ。
 その受付嬢に頷いて、次に商業ギルドに向かった。

「ようこそ、商業ギルド帝都本部へ。今日はどのようなご用件でしょうか」
「あ~…ここって、両替ってしてもらえますかね?」
「両替。はい。承っております。但し、両替額が金貨十枚を超える場合には手数料として銀貨一枚をお支払いいただきますが宜しいでしょうか」
「はい。勿論です。では、取り敢えず白金貨六枚を金貨六百枚に両替してください」
「き、金貨六百枚ですか!?えっと…それ程の高額両替ですと…ミュン、金貨はどれくらいあったっけ?」
「金貨ですか?そうですね…え~と…五千枚くらいですね」
「そう。有り難う。じゃあ、六百枚持って来て。お客様。お待たせ致しました。それでは手数料として大銀貨六枚のお支払いをお願い致します」

 リョータは白金貨六枚と大銀貨六枚をカウンターにある皿に置いた。

「確かに白金貨ですね。こちらが金貨六百枚になります。ご確認ください」

 皿の上に金貨六百枚が置かれた。
 一々数えなくても見れば分かるので、三百枚ずつ布袋に入れて、商業ギルドを出る。

「さて。まずは西区からいきますか」

 西区にある孤児院兼教会には、かなりの数の子供達がいた。
 子供の一人に司祭様に取り次いでくれるように頼んだら、年若いシスターが出てきた。

「ようこそ。西区の教会へ。司祭様に面会をご要望との事ですが、どのようなご用件でしょうか?」
「あ~…司祭様はご不在で?」
「はい。今日は帝都教会会議のためにお出掛けですので、私、チェシュアがご用件をお伺いします」
「そうですか。実は寄付の件で「寄付ですか!?」あ~、はい」

 寄付と聞いたシスター・チェシュアの顔が輝いている。

「あの!本当に寄付していただけるのでしょうか!?」
「はい。そのつもりです」
「ああ!貴方様方に神のご加護がありますように!!」

 小さな声で「神は我々を見捨てなかった」と呟くのが聞こえた。

「あの~。取り敢えず、中に入っても宜しいですか?」
「あ!これは大変な失礼を致しました。ささ。中へどうぞ!!」

 教会の中は老朽化している箇所がそこそこ見受けられた。
 通されたのは祭壇の前ではなくて、応接室だった。
 出された紅茶を飲んでまっていたら、シスター・チェシュアと一緒に年嵩のシスターが入ってきた。

「お待たせ致しました。私はシスター長のマチルダと申します」
「これはご丁寧に。俺、あ、いや、私は冒険者のリョータと申します」
「リョータ様ですね。この度は当教会に寄付していただけると伺いましたが」
「はい。ダンジョンに挑んで手に入れたのですが、私には使いきれない額でしたので、死蔵するくらいならと思い、今回寄付させていただきたいと」
「そうでしたか。有り難うございます」
「寄付金の額は、金貨三百枚です」
「「………キンカサンビャクマイ…?」」

 シスター・マチルダとチェシュアは何を言われたのか分からないという顔をしている。
 リョータがテーブルの上に大きめの革袋をドンと置くと、二人のシスターがハッとした顔で、革袋を見る。

「中に金貨三百枚が入っています」

 恐る恐る中身を見たシスター・マチルダがゴクリと唾を呑み込み、震える声で

「本当に、この様な大金を…?」
「はい。一律金貨三百枚です」

 シスター・チェシュアが「一律」という言葉に反応した。

「一律、とは?」 
「はい。ここ、西区だけではなく、南区と北区にある教会にも同じ額の寄付をさせていただきますから」
「三カ所全部に金貨三百枚、ですか!?」
「はい。そうじゃないと、不公平でしょう?」

 シスター・マチルダとチェシュアが椅子から立って、床に膝を突いて祈り出した。

「「高潔にして慈悲の心厚きこの御方に神のご加護がありますように」」

 それに対して、リョータも返礼した。

「神の慈悲は皆に等しく、区別無く。この世の全てに慈悲賜らん事を乞い願う」

 シスター・マチルダとチェシュアは、最近では滅多に聞かない正しい返礼の言葉に驚くも、それはそれは嬉しそうな顔を見せた。

「そうだ。これは少しですが、ブレードラビットのお肉です。今夜の夕食の足しにでもして下さい」

 腰のポーチから紙に包まれた10kgはある肉の塊りを5個置くと、応接室なドアの隙間から中を覗いていた子供達の喜びの声が聞こえた。
 ブレードラビットの肉はそれなりに高価な物だが、リョータは100kg近い量を収納スキルに入れているので、惜しげもなく出したのだ。
 シスター・マチルダとチェシュアは何度も頭を下げてお礼を言った。
 一緒に夕食を、というお誘いをじたいして、残りの教会兼孤児院に寄付しに向かっていたら、10人くらいの妙な奴らに後をつけられているのに気付いた。

「『皆んな気が付いてるな?』」
『当たり前じゃ』
『気付いてはいますが、これは…敵意と呼んでも良いものなのでしょうか?』
『確かに。敵意ではないようですわ』
『悪い子達じゃないみたいなの』
『どうするの?』
『主人殿。蹴散らしましょうか』
「『ん~…取り敢えず話しをしてみようかな。それでダメだったら、衛兵隊に突き出せば良いだけの事だからね』というわけで、お兄さん方。何のご用ですか?」

 突然振り向いたリョータ達にギョッとした男達だったが、平静と威勢を取り繕って、こう言った。

「有り金と食糧を寄越しな」
「大人しく差し出せば良し。さもないと痛い目に遭う事になるぜ」

 薄汚くて見窄らしい服を着た男達は、ナイフを見せて脅してきた。

「「「「「「『お前ら正気か?』」」」」」」
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