レンガの家

秋臣

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陽南の誕生日

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「陽南、誕生日に会える?」
「早番だから大丈夫だよ、明日は休みだし」
「良かった、待ち合わせなんだけど東京駅でいい?」
「うん、大丈夫。いつものところ?」
「そう」
「待ってる」
「うん、楽しみにしてるね」

陽南の誕生日に東京駅で待ち合わせをした。 
就職してもう三年近くになる。
その間にいろいろ環境が変わった。

両親と祖父母が同居することになり、俺たちが今住んでいる家を建て替えることになった。
その間、両親と俺は祖父母の家に一緒に住んでいる。
少し手狭だが、建て替える間だけなのでどうということはない。
ここからだと職場も近いし、元祖レンガの家だからこの家が大好きなんだ
一人暮らしも考えたが、今は節約して金を貯めたいので少しの間住まわせてもらうことにした。
家が完成したら、今度は祖父母の家を解体することになっている。
計画通りにいけば、今年中に解体して更地までいけるはずだ。

さあ、陽南の誕生日までに作らなければいけないものがある。
その作業をここ最近はずっとやっている。
もう少しで完成する、頑張ろう。


陽南の誕生日。

待ち合わせは15時に東京駅。
「壮祐くん」
陽南が来た。
「今日も朝早かったでしょ?眠くない?
大丈夫?」
「もう何年やってると思ってるの?慣れたよ」
そう言って笑う。
「それは失礼しました、ベテランGSさん」
「バカにしてるでしょ」
「してないよw」
手を繋ぐ。
ふふっと笑うと機嫌がすぐ直る。
こういうところ、ずっと変わらなくてかわいいな。


陽南が友達の出産祝いを買いたいと言うのでプレゼントを選びに行った。
赤ちゃん用品はどれも小さくてかわいらしい。
陽南が、
「みんな欲しくなっちゃう、かわいすぎる!」
と若干暴走気味だ。
凛ちゃんや蓮くんによくプレゼントしてるから、選び慣れている。
結局、すぐサイズアウトしちゃうからと
サイズ違いでベビー服を数枚買っていた。
なんのことはない、どれもかわいくて買ってしまっただけだ。
友達へのプレゼントは更に悩んでいた。
「夏恋、コーヒー好きな子だけどカフェインが…メイク用品なんてそんな余裕ないかもしれないし、アクセサリーは赤ちゃんいると危ないよね…どうしよう…」
悩みまくって店員さんにも相談したら、
リカバリーウェアはどうでしょうか?と提案され、それに決まった。

夏恋ちゃんか、懐かしいな。
陽南は赤ちゃんに会わせてもらえるのを楽しみにしているようだ。

プレゼントを買ってデパートから出ると、天気が良くて気持ちいい。
「少し散歩しない?」
「うん」
陽南と歩くの久しぶりだ。
なかなかゆっくりする時間を取れないでいたので、ただお喋りしながら歩いてるだけでも楽しい。

のんびり一時間くらい歩いて東京駅に戻る。
「ここからどうする?」
「陽南、こっちだよ」
陽南の手を取って連れて行く。
東京駅のホテルだ。

「え?ここ、前にいつか泊まりたいって言ってたところ?」
「そう、また後出しだけど一緒に泊まってくれる?」
「泊まってみたい!外から見てるだけだったから、中はどんな感じなんだろうね」
ワクワクしてる。

チェックインして部屋に入る。
フロントにスーツケースを預けていたのでそれも受け取る。

「壮祐くん、なんでそんな大荷物なの?
どこか行くの?出張?」
「ん?行かないよ」
スーツケースに不思議そうな顔をしていたけど、すぐに窓からの眺めに夢中になっている。
「すごい!駅の中から見てたところを上から眺められるんだね」
「陽南、18時にレストラン予約してるんだけど、一緒に行ってくれる?」
「え!?もう10分前だよ?間に合う?
すぐ出ないと遅れちゃうよ」
「大丈夫」
「遅れるのはダメだよ」
「この下だから」
「下?」
「そう、ここのイタリアンを予約してある」
「レストランあるんだね」
「うん、じゃあ行こうか」
手を差し出すとその手を無視して腕を組んできた。
本当、かわいいよな。

このレストランは深影さんに教えてもらった店ではない。
ホテルにあるレストランだけど、今日は自分で選びたかった。
予約する時に彼女が誕生日だと伝えておいたら、バースデーケーキを用意してくれて祝ってくれた。
「陽南、誕生日おめでとう」
「ありがとう!」
周りのお客さんも祝福してくれて、陽南は照れていたけど、とても感激していたようだった。

レストランを出ると
「壮祐くん、ありがとう」
と嬉しそうに言ってくれた。
「ちょっとだけ恥ずかしかった」
とまだ照れている。
「喜んでもらえた?」
「うん、すごく!」
「そっか、それなら良かった」

「陽南、少しだけラウンジで待っててくれる?」
「なにか用があるの?」
「うん、ちょっとだけ用事を済ませたいんだ。ごめんね、すぐ済むから」
「わかった、待ってる」

急いで部屋に戻る。
ごめんな、陽南、ちょっとだけ時間をくれ。
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