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回避
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そんな翌朝も学校がある。
普通に接することができるかな。
講義室に入ると、曽川と依田と京佐がいた。
にやにやとこっちを見てる。
まさか……!
京佐、お前喋ったのか!?
「よっす!」
曽川が手を挙げてこっちこっちと呼んでいる。
「……おう」
「あれ? 何? 元気ないじゃん」
依田が声をかけてくる。
「いや、そんなことないよ」
「寝不足なんじゃねえの?」
曽川がにやにや俺を見る。
「なんだよそれ」
「きょうさに聞いたぞ」
曽川は京佐のことを『きょうさ』と呼ぶ。
初めて京佐の名前を見た時、正確に読めなくて『きょうさ』と読んだからだ。
「けいすけ? こんなの読めねえよ!」
「スマホで『けいすけ』って打ってみ? 京佐で変換されるから」
ポチポチと曽川が打ってみると、
「マジか! 変換で出てきた!」
「だろ? 一発で変換できるんだよ、キラキラじゃねえからな」
「ほえー、じゃあ『きょうさ』って呼ぶわ」
「なんでだよw」
そんなやり取りをしていて笑った覚えがある。
実は俺も依田も読めなかったんだけどな。
それより京佐、お前何喋ったんだ!
「1枚目は観たけど2枚目は観なかったんだって? 3点セットも使ってねえし」
え?
「いや、やめて正解だよ。2枚目は観たらやばいから」
依田が実感こもった意見を言う。
「そうなんだよ、1枚目でやばそうと思ったから観るのやめたよ」
京佐が笑う。
「だろ? 1枚目でも充分やばいだろ?」
「確かに曽川が言ったとおりだった、あのまま観てたらヤってたかもな」
「ほら~みんなそうなるんだって!」
「お前は流されすぎなんだよ」
と依田が曽川を小突く。
「お前だってやばかったくせに」
「まあ、それはそう」
ぎゃははははは!
3人で爆笑してる。
え?
観てない?
3点セット使ってない?
どういうことだ?
「お前はどうだったんだよ、禄郎」
依田に振られて、慌てて思考を切り替える。
「ああ、あれはマジでやばいわ、危なかった」
「ほらな! 俺の言ったとおり!」
曽川の呑気そうな声も上の空だ。
明け透けに喋られてもどうしたらいいのかわからない。
俺と京佐の関係も危うくなる。
京佐はそれを回避してくれた。
講義の後、すぐ昼だったので学食に移動した。
行く途中、京佐を捕まえる。
「京佐にノート借りたいから先行っててくれ」
「わかった~席取っておく」
曽川と依田が先に行く。
京佐が、
「ノート? なんの?」
と不思議そうに聞く。
「いや、違う」
いつも鈍い京佐が察したらしい。
「ああ……」
「言わないでいてくれたんだな」
「……言えるかよ」
ごもっとも。
「でも3点セットは? 使っちゃったのにどうしたんだ?」
「使いかけを返すわけにいかないし、使ってたらバレるだろ?
だからゴムとローションは昨日の夜にドラスト何軒か回って同じメーカーのもの見つけて買った。タオルはコンビニタオルだったから、そこで同じのを買った」
そんな気を回してくれていたのか……
「ごめん」
「別にいいよ」
学食に向かおうとする京佐の腕を掴む。
「なに?」
「……お前は、なんともないのかよ」
「……なにが?」
「わかってるだろ?」
「何言ってんのかわかんねえ、行くぞ」
素っ気ない態度の京佐に苛立つ。
なんだよ、俺だけが悶々と悩んでたのかよ……
なんでそんな普通にしてられるんだよ……
俺は京佐の耳元で、
「京佐、すげえかわいかった……」
そう囁くと、
ぶわっ! と赤くなり、
「やめろっ!」
と学食に走って行ってしまった。
なんだよ、やっぱりかわいいじゃん。
普通に接することができるかな。
講義室に入ると、曽川と依田と京佐がいた。
にやにやとこっちを見てる。
まさか……!
京佐、お前喋ったのか!?
「よっす!」
曽川が手を挙げてこっちこっちと呼んでいる。
「……おう」
「あれ? 何? 元気ないじゃん」
依田が声をかけてくる。
「いや、そんなことないよ」
「寝不足なんじゃねえの?」
曽川がにやにや俺を見る。
「なんだよそれ」
「きょうさに聞いたぞ」
曽川は京佐のことを『きょうさ』と呼ぶ。
初めて京佐の名前を見た時、正確に読めなくて『きょうさ』と読んだからだ。
「けいすけ? こんなの読めねえよ!」
「スマホで『けいすけ』って打ってみ? 京佐で変換されるから」
ポチポチと曽川が打ってみると、
「マジか! 変換で出てきた!」
「だろ? 一発で変換できるんだよ、キラキラじゃねえからな」
「ほえー、じゃあ『きょうさ』って呼ぶわ」
「なんでだよw」
そんなやり取りをしていて笑った覚えがある。
実は俺も依田も読めなかったんだけどな。
それより京佐、お前何喋ったんだ!
「1枚目は観たけど2枚目は観なかったんだって? 3点セットも使ってねえし」
え?
「いや、やめて正解だよ。2枚目は観たらやばいから」
依田が実感こもった意見を言う。
「そうなんだよ、1枚目でやばそうと思ったから観るのやめたよ」
京佐が笑う。
「だろ? 1枚目でも充分やばいだろ?」
「確かに曽川が言ったとおりだった、あのまま観てたらヤってたかもな」
「ほら~みんなそうなるんだって!」
「お前は流されすぎなんだよ」
と依田が曽川を小突く。
「お前だってやばかったくせに」
「まあ、それはそう」
ぎゃははははは!
3人で爆笑してる。
え?
観てない?
3点セット使ってない?
どういうことだ?
「お前はどうだったんだよ、禄郎」
依田に振られて、慌てて思考を切り替える。
「ああ、あれはマジでやばいわ、危なかった」
「ほらな! 俺の言ったとおり!」
曽川の呑気そうな声も上の空だ。
明け透けに喋られてもどうしたらいいのかわからない。
俺と京佐の関係も危うくなる。
京佐はそれを回避してくれた。
講義の後、すぐ昼だったので学食に移動した。
行く途中、京佐を捕まえる。
「京佐にノート借りたいから先行っててくれ」
「わかった~席取っておく」
曽川と依田が先に行く。
京佐が、
「ノート? なんの?」
と不思議そうに聞く。
「いや、違う」
いつも鈍い京佐が察したらしい。
「ああ……」
「言わないでいてくれたんだな」
「……言えるかよ」
ごもっとも。
「でも3点セットは? 使っちゃったのにどうしたんだ?」
「使いかけを返すわけにいかないし、使ってたらバレるだろ?
だからゴムとローションは昨日の夜にドラスト何軒か回って同じメーカーのもの見つけて買った。タオルはコンビニタオルだったから、そこで同じのを買った」
そんな気を回してくれていたのか……
「ごめん」
「別にいいよ」
学食に向かおうとする京佐の腕を掴む。
「なに?」
「……お前は、なんともないのかよ」
「……なにが?」
「わかってるだろ?」
「何言ってんのかわかんねえ、行くぞ」
素っ気ない態度の京佐に苛立つ。
なんだよ、俺だけが悶々と悩んでたのかよ……
なんでそんな普通にしてられるんだよ……
俺は京佐の耳元で、
「京佐、すげえかわいかった……」
そう囁くと、
ぶわっ! と赤くなり、
「やめろっ!」
と学食に走って行ってしまった。
なんだよ、やっぱりかわいいじゃん。
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