恋人ごっこはおしまい

秋臣

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バーベキュー

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少し部屋で休んで16時すぎにちょっと早いけど夕食の準備を始める。

海といえばバーベキューだろ、ってことで今夜はバーベキューにした。
テラスにバーベキュー用のレンガが設置してある。
「貝とかでかいよな」
「東京では見たことないサイズ」
「しかも安い」
「でも肉も欲しい」
欲張りセットみたいなバーベキューだ。

焼くだけだから誰でもできるし、なにより魚介が美味い!
魚介、魚介、肉、魚介、野菜、肉、魚介…
こんな感じで4人で夢中になって食べる。
ビールも奮発して発泡酒じゃない本物だ。

「めっちゃ美味い!」
「この景色と海風に吹かれながら食うバーベキュー最高じゃん!」
「それ! 本当マジでそれな!」

たらふく食って、ビールも飲んで、いい気分。

面倒にならないうちに片付ける。
こういうのは後回しにすると絶対やらないからな。
みんなで一気に片付けたからあっという間に終わる。

「俺、管理してくれてる人のところに挨拶行ってくるよ」
と依田が言うと、
京佐も、
「俺も行くよ」
と二人で出かけようとしてる。
「なんだよ、俺も行く!」
と曽川が追いかける。
待て、俺だけ置いていくな!


「ここ下っていくとY字に分かれるんだよ。
右に行くと海水浴場で、左に行くと港があんの」
「へえ」
「港に漁師と食堂やってる家があって、そこの人が管理してくれてる」
「へえ」
へえしか言ってねえな。

坂を下ると小さな漁港があった。
防波堤や磯もあり、海釣りもできそうだ。
「あ、ここ」
『波野食堂』と書いてある。

「こんばんは~薫です」
声をかけると、中から気の良さそうなおばさんが出てきた。
「あらあら、薫くん!」
「おばちゃん、お久しぶりです。
掃除してくれてありがとう。
これ、おばちゃんの好きなやつ」
そう言って手土産を渡す。
「やだあ~覚えてたの?
こっちで買えないから嬉しいわあ。
今回はお父さん一緒じゃないの?」
「うん、友達連れてきた」
「こんばんは、曽川です」
「堤です」
「宮下です」
それぞれ挨拶する。

「あらあら、こんばんは、波野です」
とにこにこしてる。
「お父さん、薫くん来てるわよ」
「やっと来たか! 薫」
「おじちゃん」
「うはは! でかくなったな!」
日に焼けた屈強そうな人が依田をハグする。
「この前来たじゃん、変わんねえよw」
「今回親父来てねえんだろ? 山ばっか行ってねえでこっちにも来いって言っとけ」
「うん、言っておくよ」
「で、薫は親父がいないのをいいことに友達と女遊びかw」
「おじちゃん、言い方なんとかして」
「うははは! 若いんだから遊べ遊べ!」
「親父に余計なこと報告しなくていいからね」
おじさんはにたぁと笑って、
「そんな野暮なことしねえよ」
そう言って依田の背中を叩く。

「お前ら飯食ったか?」
「食べたよ、バーベキューした」
「そうか、明日はうちで食えよ。
昼でも夜でも」
「うん、ありがとう」
「じゃあな、しっかり遊べよ」
「うるさいよw」

いつもと違う、子ども扱いされてる依田が新鮮だった。
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