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三日目
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翌朝、また曽川の姿は寝室になかった。
1階のキッチンにもいない。
あれ? あいつどこいった?
玄関のドアが閉まる音がする。
「あれ? 禄郎じゃん、おす」
「おは。どっか行ってたのか?」
「昨日味噌汁作りたいって言ったじゃん?」
「うん」
「作ろうと思ったら出汁になるようなものがねえのよ。ついでに味噌もねえ」
「味噌汁って出汁必要なのか?」
「お前……そこからか……」
呆れてる。
「で、困ったなと思っておばちゃんところ行ってきた」
「朝から?」
「おじちゃんが漁師やってるから朝は早いかなと思って」
確かに。
「おばちゃんに味噌汁作りたいんだけど出汁になるようなものありますか? 味噌分けてもらえますか?ってお願いしたらさ、アサリくれた」
「アサリ?」
「うん、これなら出汁いらねえから」
「そうなの?」
「そう。砂抜きもしてあるから持ってけってくれた」
出汁とか砂抜きとか馴染みのない単語が出てきて頭に? が飛び交う。
「まあ、待ってろよ、今作るから」
「お願いします」
ここは曽川に任せた方がいい。
俺の役目は昨日と同様あいつらを叩き起こすことだ。
人は暑いと目を覚ます。
ということで今日はエアコンで快適に寝てる依田にしっかり布団を被せてみた。
頭まですっぽりと。
「あっちい! あつっ!」
ともがくのを押さえつける。
やっと布団から這い出てきた依田が、汗ダラダラになりながら、
「……勘弁してくれよ……」
と脱力してる。
「まだ京佐起きてないぞ」
汗だくの依田とにやりと笑う。
二人がかりで京佐に布団を被せて押さえる。
布団の中でもがく京佐に爆笑する。
「ギブ! ギブッ!」
やっと解放された京佐は依田以上に汗だくで、髪が張り付いて、おっさんみたいな顔だった。
「おっさん出てきたw」
「ウケるww」
「……水飲ませて……」
そんなことをしていたら、干物が焼けるいい匂いがしてきた。
「曽川、また飯作ってくれ
てるぞ」
「マジか」
「母ちゃんだな」
「大知ママ」
「ママw」
「ママ~起きたよ~ご飯食べた~い」
依田が声をかけると、
「誰がママだよ、もうできるぞ」
「はーい、ママ」
「ママじゃねえ」
鯵の干物に卵焼き、アサリの味噌汁と切ったトマト、それに白飯が並んだ。
曽川はちょっと不満そう。
「なんでそんな顔してんのよ?」
「いや……圧倒的にバランス悪い。野菜が足りない」
「ママw」
「ママじゃねえわ」
おばさんにもらった干物がめちゃ美味い。
ふっくらしてて噛むとじゅわっと旨みが滲み出して……
アサリの味噌汁、うめえなあ。
「アサリはな、これだけで充分出汁になるから出汁いらねえのよ」
確かに。
卵焼きは甘い卵。
これは依田と京佐がよく食ってた。
卵焼きは甘い派なんだと。
「ママ♡」
「ママじゃねえって言ってんだよ」
水着に着替える。
今日は徒歩で行けるから水着で行く。
「車で荷物運べないから手分けして持てよ」
依田が忠告する。
それぞれが荷物を持ち出発。
坂を下ってY字を右に行くとビーチが見えた。
確かに小さいビーチで海の家も一軒しかない。
でも思ってたより人いるぞ?
「最近穴場として知られちゃったみたいなんだよね」
確かに穴場だな。
テントを立てる。
ジリジリと肌を焦がし始める太陽から逃げたい。
当然海に飛び込むだろ、ここは。
今回浮き輪を持ってきた曽川がプカプカと浮き輪に乗って波間を漂っていると、後ろから近づいた京佐が浮き輪ごとひっくり返す。
「誰だっ!? きょうさか!」
「俺にも浮き輪貸せ」
と強引に浮き輪を奪って自分が乗る。
めちゃくちゃだな、お前。
「浮き輪楽しい~気持ちいい~」
とご満悦だ。
そんな京佐に曽川が黙っているはずもなく、自分がやられたように京佐をひっくり返す。
海水が鼻に入ったらしく、
「痛え! 鼻、痛え!」
と騒いでる。
その後も二人でギャーギャー言いながら浮き輪で遊んでる。
お前ら、楽しそうだな。
1階のキッチンにもいない。
あれ? あいつどこいった?
玄関のドアが閉まる音がする。
「あれ? 禄郎じゃん、おす」
「おは。どっか行ってたのか?」
「昨日味噌汁作りたいって言ったじゃん?」
「うん」
「作ろうと思ったら出汁になるようなものがねえのよ。ついでに味噌もねえ」
「味噌汁って出汁必要なのか?」
「お前……そこからか……」
呆れてる。
「で、困ったなと思っておばちゃんところ行ってきた」
「朝から?」
「おじちゃんが漁師やってるから朝は早いかなと思って」
確かに。
「おばちゃんに味噌汁作りたいんだけど出汁になるようなものありますか? 味噌分けてもらえますか?ってお願いしたらさ、アサリくれた」
「アサリ?」
「うん、これなら出汁いらねえから」
「そうなの?」
「そう。砂抜きもしてあるから持ってけってくれた」
出汁とか砂抜きとか馴染みのない単語が出てきて頭に? が飛び交う。
「まあ、待ってろよ、今作るから」
「お願いします」
ここは曽川に任せた方がいい。
俺の役目は昨日と同様あいつらを叩き起こすことだ。
人は暑いと目を覚ます。
ということで今日はエアコンで快適に寝てる依田にしっかり布団を被せてみた。
頭まですっぽりと。
「あっちい! あつっ!」
ともがくのを押さえつける。
やっと布団から這い出てきた依田が、汗ダラダラになりながら、
「……勘弁してくれよ……」
と脱力してる。
「まだ京佐起きてないぞ」
汗だくの依田とにやりと笑う。
二人がかりで京佐に布団を被せて押さえる。
布団の中でもがく京佐に爆笑する。
「ギブ! ギブッ!」
やっと解放された京佐は依田以上に汗だくで、髪が張り付いて、おっさんみたいな顔だった。
「おっさん出てきたw」
「ウケるww」
「……水飲ませて……」
そんなことをしていたら、干物が焼けるいい匂いがしてきた。
「曽川、また飯作ってくれ
てるぞ」
「マジか」
「母ちゃんだな」
「大知ママ」
「ママw」
「ママ~起きたよ~ご飯食べた~い」
依田が声をかけると、
「誰がママだよ、もうできるぞ」
「はーい、ママ」
「ママじゃねえ」
鯵の干物に卵焼き、アサリの味噌汁と切ったトマト、それに白飯が並んだ。
曽川はちょっと不満そう。
「なんでそんな顔してんのよ?」
「いや……圧倒的にバランス悪い。野菜が足りない」
「ママw」
「ママじゃねえわ」
おばさんにもらった干物がめちゃ美味い。
ふっくらしてて噛むとじゅわっと旨みが滲み出して……
アサリの味噌汁、うめえなあ。
「アサリはな、これだけで充分出汁になるから出汁いらねえのよ」
確かに。
卵焼きは甘い卵。
これは依田と京佐がよく食ってた。
卵焼きは甘い派なんだと。
「ママ♡」
「ママじゃねえって言ってんだよ」
水着に着替える。
今日は徒歩で行けるから水着で行く。
「車で荷物運べないから手分けして持てよ」
依田が忠告する。
それぞれが荷物を持ち出発。
坂を下ってY字を右に行くとビーチが見えた。
確かに小さいビーチで海の家も一軒しかない。
でも思ってたより人いるぞ?
「最近穴場として知られちゃったみたいなんだよね」
確かに穴場だな。
テントを立てる。
ジリジリと肌を焦がし始める太陽から逃げたい。
当然海に飛び込むだろ、ここは。
今回浮き輪を持ってきた曽川がプカプカと浮き輪に乗って波間を漂っていると、後ろから近づいた京佐が浮き輪ごとひっくり返す。
「誰だっ!? きょうさか!」
「俺にも浮き輪貸せ」
と強引に浮き輪を奪って自分が乗る。
めちゃくちゃだな、お前。
「浮き輪楽しい~気持ちいい~」
とご満悦だ。
そんな京佐に曽川が黙っているはずもなく、自分がやられたように京佐をひっくり返す。
海水が鼻に入ったらしく、
「痛え! 鼻、痛え!」
と騒いでる。
その後も二人でギャーギャー言いながら浮き輪で遊んでる。
お前ら、楽しそうだな。
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