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気持ちを繋げる
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「あー涼しい……」
「何か飲むか?」
ビールと炭酸水を差し出すと、
「ありがと」
と言って京佐は炭酸水を受け取る。
ビールは冷蔵庫にしまう。
「飲まないのか?」
「うん」
京佐が飲まないのだから俺も飲まない。
汗はだいぶ引いたみたいだ。
二人の間に沈黙が流れる。
こんなことはよくあるが、いつも沈黙は全く気にならなかった。
でも今はその沈黙が怖い。
その沈黙を破ったのは京佐だった。
「禄郎」
「うん……」
「これ返すな」
そう言ってこの前渡した合鍵をテーブルに置く。
合鍵を返されたのは二度目だ。
部屋に来たのはこれを返すためだったのか……
ほんの僅かな期待は風前の灯になる。
胸が押しつぶされそう。
また涙が込み上げてくる。
二度目はかなりきつい……
何も言えなくなって俯く俺に京佐は、
「禄郎」
と再び呼びかける。
顔を上げたら涙が溢れてしまう。
顔を上げられない。
「禄郎」
「……」
「俺を抱きたい?」
え……
驚いて顔を上げる。
涙は引っ込んだ。
「京佐?」
「……禄郎は俺をどうしたい?」
京佐……
今度は京佐が俯いてしまった。
俺は京佐の正面に座り直す。
「京佐、こっち見てくれ」
「……」
「頼む」
京佐がゆっくり顔を上げる。
なんて顔してるんだよ、京佐……
そんな今にも泣き出しそうな顔しないでくれ……
「旅行の時に京佐に言ったこと覚えてる?」
「え?」
「女の子の連絡先よりもっと欲しいものがあるって言ったの覚えてる?」
「あ……うん……」
「俺は京佐の心が欲しい」
「……」
「京佐の気持ちに寄り添いたい」
「……」
「俺は京佐が好きだ」
「……」
「京佐、俺と付き合ってくれ」
「……」
「京佐、ごめん。俺答えが欲しい。
京佐の気持ちを知りたい」
「……俺は……セフレ?」
「違う、セフレじゃない。
たとえ京佐がそれを望んだとしても俺が断る」
「でも……」
「俺たち、間違えたんだよ。
二人とも間違えたんだ。
だから、やり直そう」
「どうやって?」
「恋人になろう」
「……ごっこ?」
「ごっこじゃない。
友達よりもっと深いところに京佐と行きたいんだ」
「……」
「俺の気持ちは全部伝えた。
京佐はどうしたい?」
「……」
待つ。
怖いけど京佐の答えを待つしかない。
しばらく待つと京佐がポツリポツリと話し出す。
「俺……セフレでも、ごっこでもいいと思ってたんだ」
「うん」
「それでも禄郎と繋がれるならそれでいいって割り切ってたつもりだった」
「え……」
それって……
「でもだんだん辛くなった。
体だけで気持ちがない……それがこんなに辛いなんて……」
「京佐……」
「俺がセフレがいいって言ったくせに、自分が惨めに思えて……耐えられなくなった、やっぱりダメだった。
本当に望んでたのはそうじゃなかったから……」
「うん」
「俺、こうなる前に言うべきだった。
先に言えばよかった。
禄郎のこと、いつの間にか好きになってたって伝えればよかった……」
京佐が必死に訴える。
京佐を抱きしめる。
「なあ、京佐。
気持ちを繋げよう。
俺たち気持ちを繋げよう」
「……うん」
「京佐が好きだ、俺と付き合って欲しい。
恋人になって欲しい」
「うん……」
抱きしめた京佐の背中がこんなにも小さく感じたのは初めてで、もう絶対に悲しませないと俺はその背中に誓った。
「何か飲むか?」
ビールと炭酸水を差し出すと、
「ありがと」
と言って京佐は炭酸水を受け取る。
ビールは冷蔵庫にしまう。
「飲まないのか?」
「うん」
京佐が飲まないのだから俺も飲まない。
汗はだいぶ引いたみたいだ。
二人の間に沈黙が流れる。
こんなことはよくあるが、いつも沈黙は全く気にならなかった。
でも今はその沈黙が怖い。
その沈黙を破ったのは京佐だった。
「禄郎」
「うん……」
「これ返すな」
そう言ってこの前渡した合鍵をテーブルに置く。
合鍵を返されたのは二度目だ。
部屋に来たのはこれを返すためだったのか……
ほんの僅かな期待は風前の灯になる。
胸が押しつぶされそう。
また涙が込み上げてくる。
二度目はかなりきつい……
何も言えなくなって俯く俺に京佐は、
「禄郎」
と再び呼びかける。
顔を上げたら涙が溢れてしまう。
顔を上げられない。
「禄郎」
「……」
「俺を抱きたい?」
え……
驚いて顔を上げる。
涙は引っ込んだ。
「京佐?」
「……禄郎は俺をどうしたい?」
京佐……
今度は京佐が俯いてしまった。
俺は京佐の正面に座り直す。
「京佐、こっち見てくれ」
「……」
「頼む」
京佐がゆっくり顔を上げる。
なんて顔してるんだよ、京佐……
そんな今にも泣き出しそうな顔しないでくれ……
「旅行の時に京佐に言ったこと覚えてる?」
「え?」
「女の子の連絡先よりもっと欲しいものがあるって言ったの覚えてる?」
「あ……うん……」
「俺は京佐の心が欲しい」
「……」
「京佐の気持ちに寄り添いたい」
「……」
「俺は京佐が好きだ」
「……」
「京佐、俺と付き合ってくれ」
「……」
「京佐、ごめん。俺答えが欲しい。
京佐の気持ちを知りたい」
「……俺は……セフレ?」
「違う、セフレじゃない。
たとえ京佐がそれを望んだとしても俺が断る」
「でも……」
「俺たち、間違えたんだよ。
二人とも間違えたんだ。
だから、やり直そう」
「どうやって?」
「恋人になろう」
「……ごっこ?」
「ごっこじゃない。
友達よりもっと深いところに京佐と行きたいんだ」
「……」
「俺の気持ちは全部伝えた。
京佐はどうしたい?」
「……」
待つ。
怖いけど京佐の答えを待つしかない。
しばらく待つと京佐がポツリポツリと話し出す。
「俺……セフレでも、ごっこでもいいと思ってたんだ」
「うん」
「それでも禄郎と繋がれるならそれでいいって割り切ってたつもりだった」
「え……」
それって……
「でもだんだん辛くなった。
体だけで気持ちがない……それがこんなに辛いなんて……」
「京佐……」
「俺がセフレがいいって言ったくせに、自分が惨めに思えて……耐えられなくなった、やっぱりダメだった。
本当に望んでたのはそうじゃなかったから……」
「うん」
「俺、こうなる前に言うべきだった。
先に言えばよかった。
禄郎のこと、いつの間にか好きになってたって伝えればよかった……」
京佐が必死に訴える。
京佐を抱きしめる。
「なあ、京佐。
気持ちを繋げよう。
俺たち気持ちを繋げよう」
「……うん」
「京佐が好きだ、俺と付き合って欲しい。
恋人になって欲しい」
「うん……」
抱きしめた京佐の背中がこんなにも小さく感じたのは初めてで、もう絶対に悲しませないと俺はその背中に誓った。
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