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本音と賭け
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気持ちが通じ合った。
視線が絡む。
目を伏せながら互いの唇が近づく。
ほんの僅かに唇が触れる。
キスがこんなにも怖いなんて……
気持ちは通じてる。
気持ちは昂ってる。
でも怖いんだ。
「……怖い」
俺は正直に京佐に言った。
「……俺も」
「本音言っていい?」
「うん」
「本当は京佐のこと、めちゃくちゃ抱きたい」
ふっ
「でも怖い」
「うん。俺も本音言っていい?」
「うん、言って」
京佐はふっと笑うと、
「なんで俺が抱かれる方なんだろうって思ってる」
「え!?」
「禄郎に押し切られた気がする」
「ええ……」
マジか……そこもか……
「嫌だった?」
恐る恐る聞く俺に京佐が笑う。
「なんでだろうって疑問はあったけど嫌じゃなかった。
なんで嫌じゃなかったんだろうっていう疑問に変わったかも」
「んん~? つまりどういうこと?」
京佐の息が耳にかかる。
「つまりね……嫌じゃないよってこと」
京佐の声が吐息混じりになる。
「えーと……」
「……気持ちよかったんだよね……」
これは完全に京佐に煽られてる……
「俺、手出すぞ……」
「ねえ……」
「……なに?」
もうそろそろ限界……
「恋人としてのセックスってどんな感じだろうね……」
こいつ……
怖がってる俺を煽って遊んでる。
「試してみる?」
そう言ってTシャツを脱いだ。
「うん……試す……」
そう答える京佐のTシャツも脱がす。
エアコンの冷風が直接肌に当たるが、
熱帯夜の熱が俺たちを誘う。
再び視線が絡む。
互いを求めて抱き合うと互いの熱が移る。
もう止められなかった。
俺も京佐も貪るようにキスをする。
たくさんキスはしたけれど、こんなに欲しくて堪らないなんて……
だって愛おしさが桁違いなんだ。
絶対もう二度と失いたくないし、壊したくないと思うと優しくしたいと強く思う。
頭でははっきりとそう思っているのに体が京佐を求めてしまう。
俺のものだ、俺にだけ触れさせてくれ、京佐の全てを俺のものにしたい。
そうプログラミングされたかのようだ。
頭と体がチグハグ。
これでいいのかな……
キスには夢中になってるけどなかなか手を出せずにいた。
京佐を抱きしめるだけで精一杯だった。
「怖いよ、京佐……」
ふっ
京佐が優しく笑う。
「俺も怖い。怖いから離れたいし、怖いから離れたくない。両方ある」
「うん……」
弱虫でごめん。
京佐が受け入れてくれたのに恥かかせてごめん。
「なあ、禄郎」
「ん?」
「このまま朝まで何もせずにいられたら、俺たちちゃんと付き合うことにしない?」
「え?」
「無理にしなくてもいいじゃん。
むしろそれを逆手にとって一歩踏み出すための試練にしてみようよ」
ふっ
「面白そうだろ?」
ふっふっ
「それとも朝まで我慢できなそう?」
カチン。
「できるわ」
京佐が上半身裸のまま俺を抱きしめる。
「朝まで耐えられるかなあ~」
にやにや笑って、わざと甘い声で囁く。
このクソ野郎。
「朝まで耐えてやる。耐えたらちゃんと俺と付き合えよ、恋人になれよ」
「OK.ハニー」
「ハニーって言うな」
視線が絡む。
目を伏せながら互いの唇が近づく。
ほんの僅かに唇が触れる。
キスがこんなにも怖いなんて……
気持ちは通じてる。
気持ちは昂ってる。
でも怖いんだ。
「……怖い」
俺は正直に京佐に言った。
「……俺も」
「本音言っていい?」
「うん」
「本当は京佐のこと、めちゃくちゃ抱きたい」
ふっ
「でも怖い」
「うん。俺も本音言っていい?」
「うん、言って」
京佐はふっと笑うと、
「なんで俺が抱かれる方なんだろうって思ってる」
「え!?」
「禄郎に押し切られた気がする」
「ええ……」
マジか……そこもか……
「嫌だった?」
恐る恐る聞く俺に京佐が笑う。
「なんでだろうって疑問はあったけど嫌じゃなかった。
なんで嫌じゃなかったんだろうっていう疑問に変わったかも」
「んん~? つまりどういうこと?」
京佐の息が耳にかかる。
「つまりね……嫌じゃないよってこと」
京佐の声が吐息混じりになる。
「えーと……」
「……気持ちよかったんだよね……」
これは完全に京佐に煽られてる……
「俺、手出すぞ……」
「ねえ……」
「……なに?」
もうそろそろ限界……
「恋人としてのセックスってどんな感じだろうね……」
こいつ……
怖がってる俺を煽って遊んでる。
「試してみる?」
そう言ってTシャツを脱いだ。
「うん……試す……」
そう答える京佐のTシャツも脱がす。
エアコンの冷風が直接肌に当たるが、
熱帯夜の熱が俺たちを誘う。
再び視線が絡む。
互いを求めて抱き合うと互いの熱が移る。
もう止められなかった。
俺も京佐も貪るようにキスをする。
たくさんキスはしたけれど、こんなに欲しくて堪らないなんて……
だって愛おしさが桁違いなんだ。
絶対もう二度と失いたくないし、壊したくないと思うと優しくしたいと強く思う。
頭でははっきりとそう思っているのに体が京佐を求めてしまう。
俺のものだ、俺にだけ触れさせてくれ、京佐の全てを俺のものにしたい。
そうプログラミングされたかのようだ。
頭と体がチグハグ。
これでいいのかな……
キスには夢中になってるけどなかなか手を出せずにいた。
京佐を抱きしめるだけで精一杯だった。
「怖いよ、京佐……」
ふっ
京佐が優しく笑う。
「俺も怖い。怖いから離れたいし、怖いから離れたくない。両方ある」
「うん……」
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京佐が受け入れてくれたのに恥かかせてごめん。
「なあ、禄郎」
「ん?」
「このまま朝まで何もせずにいられたら、俺たちちゃんと付き合うことにしない?」
「え?」
「無理にしなくてもいいじゃん。
むしろそれを逆手にとって一歩踏み出すための試練にしてみようよ」
ふっ
「面白そうだろ?」
ふっふっ
「それとも朝まで我慢できなそう?」
カチン。
「できるわ」
京佐が上半身裸のまま俺を抱きしめる。
「朝まで耐えられるかなあ~」
にやにや笑って、わざと甘い声で囁く。
このクソ野郎。
「朝まで耐えてやる。耐えたらちゃんと俺と付き合えよ、恋人になれよ」
「OK.ハニー」
「ハニーって言うな」
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