23時に明かりを消して

秋臣

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兄貴の怒り

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晃に確かめればいい、聞けばいいんだ。
兄貴と会ってたこと、普通に聞けばいい。
真っ黒な不安が俺を覆い尽くし一歩も動けない。怖い。本当になるのが怖い。
部屋で布団被り、体を丸める。そうしていないと黒いものがどんどん俺を侵食していくようで怖くてたまらなかった。

しばらくすると階下が賑やかになる。

「たっだいまー、ちょっと寄っちゃった。親父の新しい車見せてよ」
兄貴だ。
父さんが嬉しそうに新しい車を自慢をしている。兄貴は昔から人を気分よくさせるのが上手い。
晃のことも気持ちよくしたのか?
そうか、この黒いのは嫉妬か。
兄貴に嫉妬してんのか。
苦しくて涙が溢れる。

「歩夢ー、いないのかー?」
いきなり兄貴が入ってくる。
「いるじゃん。なに?具合でも悪いの?」
お前のせいだろ。
「親父の車いいな!あとで乗せてもらうんだけど、お前も行くか?」
うるさい、出てけ。俺に構うな。


「まあ、いいや」
兄貴のトーンが変わる。
「お前、晃になにした?」
兄貴何言ってる?
「晃泣かせるなら俺がもらうぞ」

え?
飛び起きて兄貴を見る。
「兄貴…?」
毛を逆立てて怒るというのはこういうことか、というくらい兄貴がキレているのがわかる。
「晃になにをしたかと聞いてる、答えろ」
静かな怒りを感じる。
「晃?なにしたって?え、何言ってるのかわからない…」

「さっき晃に会ってきた。会いたい、話したいってずっとLINEが来てたから」
「なんで晃が兄貴に?」
兄貴が俺の胸ぐらを掴んで凄む。
「お前が晃を不安にさせてるからだろうがっ!」
不安?晃が?不安なのは俺だ。

「お前は猿かよ。会えば、顔見りゃ、隙あらばセックスか?
若いんだから理解は出来るけどな、だったらせめてちゃんと付き合ってやれ!」
「え…?」
「え?じゃねえんだよ!お前、晃に付き合ってくれって言ったか?お前ら付き合ってるのか?セックスしかしてねえだろ?ただのセフレだろ、それ。
どれだけ晃が不安なのかわからねえのか?
体しかセックスしか求められてなくて、どうしたらいいのかわからない。そう言って晃泣いてたぞ!」

嘘だろ…俺が晃を不安にさせてたのか?
俺は晃と付き合ってるつもりだった、
嬉しくて嬉しくてずっと浮かれてた。
ちゃんと付き合ってくれって言ってなかったなんて…体だけって思われても仕方なかった、俺セックスばかり求めてた。
それは晃だからであって、晃が欲しかったからだ。
でもそれが晃を不安にさせた原因だった。

「もうどうでもいいよ。あんなに晃を泣かせるならお前じゃ無理だ、俺が許さない。
晃は俺が守るからお前はもう晃に関わるな」
「嫌だ!」
「だったらどうして大事にしてやらない!セフレなら他探せ、晃を道具扱いするな!」

兄貴は俺を離すと、
「俺は晃が好きだ、俺なら絶対泣かせない」
そう言って部屋を出ていった。
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