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システム
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ママのお店で会う辻本さんはいつも通りだった。4年になってからは、辻本さんの就活のアドバイスや相談事も具体的になってきて、俺はリクルートスーツで店に寄ることも増えてきた。
ぎくしゃくさせないでいてくれるところも大人だなと思うし、好きな気持ちは変わらない。
ところでこの店はゲイバー。
ノンケ・バイは出入り禁止、ゲイのパートナーと同行なら入店可。
出会いを求めてきている人も当然多い。
直接声をかけるのも有りだし、システムを使う手もある。
システムというのは二人で話したい、店外で会いたいと思う人が、誘いたい人の飲んでるものをママかバーテンの槇さんに注文する。槇さんが、
「あちらの方からです」
とその人に出すのだが、その時2枚のコースターを渡す。1枚は通常の黒いコースター、もう1枚は白いコースター。白いコースターには依頼主の名前が記入してある。
OKなら黒いコースターに白いコースターを重ねる。NGなら黒のままというルール。
面白いこと考えたねと前にママに言ったことがあったけど、
「ガツガツいける人ばかりじゃないものね。直接いけない人への救済措置よ」
と言ってた。
俺は使ったことないが使われたことならある。全部黒のままにした。
そんなシステムがあることを思い出し、ママに、
「ねえ、ママ、槇さん。辻本さんにシステム使って」
と記名した白いコースターを手渡す。
目を見開くママ。
これはママと槇さん、その客との秘め事。
驚いてもどんなことを思っても騒ぎ立てるのは無粋。
「承知しました」
そう言って槇さんは辻本さんの元へ飲んでたカクテルと同じものと2枚のコースターを差し出す。
「俺?」
と小さく呟く辻本さんはコースターの名前を見て驚く。
リミットはその酒を飲み干すまで。
少し時間をかけて飲み干すと白いコースターを重ねた。
一呼吸置いて会計を済ませると、俺のいるカウンターに来て耳元で、
「行こう」
と囁いた。
システムに口を挟むのはルール違反。
店内中が俺と辻本さんを見つめる中、二人で店の外へ出る。
途端に店内からギャーーーーッ! という雄叫びが響いた。
辻本さんは、
「こうなるのはわかってたでしょ? もう……」
と深くため息をつく。
「システム初めて使った」
「粋なシステムだよね、何度か貰ったことあるけどやっぱり白いコースター貰うと嬉しいものだね」
「白にしたことある?」
「あるよ」
「ふーん、あるんだ。ムカつく」
「子どもだな」
とククッと笑い、俺の頭をくしゃくしゃ撫でる。
「子どもじゃない!」
と辻本さんの手を引いて歩き出す。
「どこにお供すればいいのかな?」
まだ笑ってる辻本さんに
「いいところ」
とだけ告げた。
ぎくしゃくさせないでいてくれるところも大人だなと思うし、好きな気持ちは変わらない。
ところでこの店はゲイバー。
ノンケ・バイは出入り禁止、ゲイのパートナーと同行なら入店可。
出会いを求めてきている人も当然多い。
直接声をかけるのも有りだし、システムを使う手もある。
システムというのは二人で話したい、店外で会いたいと思う人が、誘いたい人の飲んでるものをママかバーテンの槇さんに注文する。槇さんが、
「あちらの方からです」
とその人に出すのだが、その時2枚のコースターを渡す。1枚は通常の黒いコースター、もう1枚は白いコースター。白いコースターには依頼主の名前が記入してある。
OKなら黒いコースターに白いコースターを重ねる。NGなら黒のままというルール。
面白いこと考えたねと前にママに言ったことがあったけど、
「ガツガツいける人ばかりじゃないものね。直接いけない人への救済措置よ」
と言ってた。
俺は使ったことないが使われたことならある。全部黒のままにした。
そんなシステムがあることを思い出し、ママに、
「ねえ、ママ、槇さん。辻本さんにシステム使って」
と記名した白いコースターを手渡す。
目を見開くママ。
これはママと槇さん、その客との秘め事。
驚いてもどんなことを思っても騒ぎ立てるのは無粋。
「承知しました」
そう言って槇さんは辻本さんの元へ飲んでたカクテルと同じものと2枚のコースターを差し出す。
「俺?」
と小さく呟く辻本さんはコースターの名前を見て驚く。
リミットはその酒を飲み干すまで。
少し時間をかけて飲み干すと白いコースターを重ねた。
一呼吸置いて会計を済ませると、俺のいるカウンターに来て耳元で、
「行こう」
と囁いた。
システムに口を挟むのはルール違反。
店内中が俺と辻本さんを見つめる中、二人で店の外へ出る。
途端に店内からギャーーーーッ! という雄叫びが響いた。
辻本さんは、
「こうなるのはわかってたでしょ? もう……」
と深くため息をつく。
「システム初めて使った」
「粋なシステムだよね、何度か貰ったことあるけどやっぱり白いコースター貰うと嬉しいものだね」
「白にしたことある?」
「あるよ」
「ふーん、あるんだ。ムカつく」
「子どもだな」
とククッと笑い、俺の頭をくしゃくしゃ撫でる。
「子どもじゃない!」
と辻本さんの手を引いて歩き出す。
「どこにお供すればいいのかな?」
まだ笑ってる辻本さんに
「いいところ」
とだけ告げた。
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