好きを教えて

秋臣

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マーノ

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店が休みの日、俺と頼はマーノというレストランに来た。

この日に予約を入れたいと言った見上さんは、
「予定があるからダメ」
と頼に断られてまた、
「なんで!?」
と怒ってた。
「予定ってなんだ」
と問い詰めてて、
「才と出かける」
と言ったら、
「あっそ、それならいいや」
と素直に引き下がって頼が、
「やけに素直だな」
と逆に怯えてた。

俺は深町さんに、
「今日は見上さん素直ですね」
と言ったら、
「相手が才くんならいいんです、それ以外だと怒ります」
と言ってたけど俺ならいいってなに?
「才くんは鈍いからわからないでしょうね」
とスンとした顔で言われた。
なんか腹立つ!


マーノは頼が昔よく来てた店だと言ってた。
店長さんと抱き合って懐かしがってた。
「なんでも美味いぞ、料理名がわからなくてもはずれないから安心して頼め」
と言われて、
長い片仮名が羅列しているメニューからいくつか頼んでみた。
運ばれて来た料理はどれがどれだかわからないけど、頼を信じて食べてみる。
なにこれ! 本当に全部美味しい!
イタリア料理らしいけどパスタだけじゃないんだね、美味しい!
頼にそう言うと、
「だろ? 本当になんでも美味いんだよ」
と笑ってる。
「俺ここの料理好きすぎて、この店の近くに住もうって本気で思ってたからな」
「京さんも来てたの?」
「来てたよ、あいつの家確かこの沿線だったはず」
「ふーん」
「なんだよ」
「この店は言い訳で本当は京さんの近くにいたかったんじゃないの?」

絶対そうだ、ふふ、にやにやしちゃう。
頼を見ると指がデコピンの準備をしてる。
あわわ。

「なんで京が出てくるんだよ、俺はこの店が好きなんだよ」
「ふーん、素直じゃないね」
「あ?」
頼の指がエアデコピンしてる。
「チューしてたくせに」
ひゃはは! と笑ったらバチン!
とうとう喰らった。

「また来るから!」
と頼がマーノの店長さんにハグされながら答えてる。
「美味しかった、また来たい」
そう言うと頼は笑って、
「またすぐ来ような」
と言った。やった!
頼がこの店の近くに住みたかったというのもわかる。

「帰るぞ」
と頼が駅に向かう。
「え?」
「ん?」
「京さんの店行かないの?」
「なんで? 行かねえよ?」
なに言ってんだ、こいつみたいな顔してる。
「せっかく近くに来たんだから寄ればいいじゃん」
「いや、用ないし」
「俺行くって言っちゃった……」
「はあ?」
「マーノ行った後寄るねって言っちゃった」
「なんで連絡先知ってんだよ」
「LINE交換した」
「なにしてんだよ……知らない人に教えちゃダメだろ」
ふっ
「知らない人じゃないじゃん」
「じゃあ不審者に教えちゃダメ」
「あ、それはそうかも」
「そうかもじゃねえわw」
頼はそう言って笑うと京さんのお店の方向へ歩き出す。

「すぐ帰るからな」
「うん」
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