自由を知らない籠の鳥は淡く甘い夢を見る

秋臣

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監禁当日 温度差

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─監禁当日─


ほのかな灯りの中、二人はベッドの上で揺れていた。

愛し合っている恋人との営み、それにしか見えなかった。

この家の玄関ドアの鍵は複製し入手していた。
ドアガードなどコツさえ掴めば簡単に開けられる。
事前に仕掛けておいた監視カメラと盗聴器で中の様子を伺う。
その様子を見て寝室の前まで侵入していた。
これ以上、護衛としてのミスは許されない。
個人宅への侵入などこちらも犯罪として罪を問われるが、そのような罪は甘んじて受けるつもりでいる。
こんなことに他の護衛を巻き込みたくはないので、中へ侵入するのは私だけにしてもらった。
と同時に伊純さんに好き勝手され続けるのは我慢ならない。
こちらの感情の方が強かった。


いつでも救出することはできた。
何度も伊純さんはセーフワードを口にした。
それでもこのドアを開けなかったのは伊純さんがこの状況を心底楽しんでいることに怒りを覚えていたからだ。

伊純さんに簡単な護身術は教えている。
いざとなれば自分の身を守れるくらいのことはできるはずだ。
それなのにそれをしない。
伊純さんはその快楽に身を委ね、悦んでいるのだ。


ワードを口にする。
静かに寝室へ入る。
行為に夢中になっている二人の背後へそっと近づく。
素早くベッドに上がり、後ろから沖田の首を腕で締める。
一瞬で沖田は堕ちる。


「伊純さん、ご無事ですか」

「雪平!」

満面の笑みを浮かべる伊純。

「祥人……沖田さん、大丈夫?」
「失神しているだけです」

「ねえねえ、セーフワードって『祥人さん』だったよね?
なんでもっと早く来てくれないの?」
「申し訳ございません」
「早くこれ外して。もう体中ベッタベタだよ」
とケラケラ笑う。

このクソビッチがっ!

「雪平、なんか怒ってる?」
にやにやしたその顔をやめろ。
「伊純さん、楽しんでいたようでしたので」
「なにそれ? 嫌味?」
伊純は全裸のまま、拘束具をつけたまま、腕を雪平の首に回す。

「すごく楽しかった、またやりたい」

このやろう……

「社長からこれで最後と言われています」
「ええ~卒業までまだ時間あるじゃない、いいでしょ?」
「これ以上は無理です」
「雪平が悪いんだよ」
そう言って俺にキスをする。
「助けに来てくれてありがとう」
「いえ……」
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