水の中でも何処でももふもふ!! あたらしい世界はもふもふで溢れていました

ありぽん

文字の大きさ
77 / 111

第76話.子供達を助けるには(***視点)

しおりを挟む
 必ず復讐してやる。お前が我に命令できるのも今にうちだ。我の体も魔力も完璧に回復しつつある。そして完璧に回復した後も……。
 変異種となった今、今までよりも力を発揮できるようになれば、こんな奴隷契約などさっさと破棄し、お前達に地獄を見せてやろう。

 それはお前達にだけではない、全種族にだ。この世から我々の仲間以外は全て消してやる!!

 が、これは我の願いであって、それが現実的にできないと、我も分かっている。だがそれでも、できる限りこの世界から消してやろう。我の命が消えようとも。
 そして安全になったこの世界で、我の子ども達と仲間に、幸せに暮らしてもらうのだ。

 子供達はどうしているであろうか。あれから1度も会ってはいないが、気配はしっかりと感じている。この気配から、無事なのは分かっている。
 だがそれでも、しっかりとこの目で見たわけではないからな。どこも怪我をしていないと良いが。それに病気にもかかっていなと良いが。

 何故あの時、子供達から離れてしまったのか。仲間を助けるためとはいえ、共に行動をしていれば。そうすればこんな事には、子供達に辛い思いをさせることはなかったのに。本当にダメな父親だ。

 それにしても、あの海に生きる者の力は何だ。何百年と、様々な場所で生きてきたが、あんな力を見たことはなかった。全てが初めての魔法。しかもどの魔法属性にも当てはまらない、不気味な魔法。あえて言うのなら無とでも言うのか。

 先ほどは、我にかけられている奴隷契約を解除できるまで、体力と魔力が戻ったら、さっさと解除すると言っていたが。冷静に考えれば、すぐには動かず、あの力に対抗できるか確かめてから、奴隷契約を解除した方が良いだろうか?

 もしあの得体の知れない魔法に、我が対応できなければ? 私はまた奴隷契約をされ、子供達は奴に囚われたままに。そうなれば次にいつ、自由の動けるようになるか分からない。子供達にもさらに辛い思いをさせる事になってしまう。

 しかし……。今でもかなり辛い思いをしているであろう子供達を、このままにしておくのも。どうしたら良い。

 今のうちに考えなければ。一旦下がるよう奴に言われ、命令通りに我は後ろへと下がったが。次は何をやらせるつもりなのか。あの海に生きる者達の国の結界。あれをもっと破れと言うのならば、もう少し時間がかかるだろう。

 いくら我の力が上がってきたとはいえ、今また破っても、先ほどのように一瞬で修復されるはず。まぁ、その瞬間に、また中に入り、簡単にやられても良いと言うのならば、別に我には関係ないからな、勝手に死ねば良い。後々の事を考えれば、こっちも楽になる。

『おい、そろそろ行くぞ』

 はぁ、また奴がやってきた。今まで何をしていたのか。1人でブツブツと何かを言いながら、その辺をフラフラしていたが。

『お前、どれくらいで、あの結界をもう少し広く破ることができる?』

『……さぁな。だがもう少しだろう』

『そうか……。今から私が言う事をよく聞け。まぁ、お前に拒否できるわけはないが』

 何だと思いながら、奴隷契約で拒否権のない我は、奴の話しを聞いた。そして奴の話しは、我が思っていたものとは違うものだった。

 奴が今しがた、どれくらい広く結界を破れるか聞いてきたため、結界を開けたら無理矢理、我に結界の中へ入りれと。国を包んでいる特別な壁もを壊して、国にの中へと入れと言ってくるのかと思ったのだ。

 しかしそうではなかった。まだ結界はそれほど大きく破れなくとも良いらしい。それよりも結界が破れた瞬間、ある人物の気配を調べろと言ってきた。
 気配を調べるなど、そこには海に生きる者達と、エルフ達、そして魔獣達や魚しかいないはず。

 確かに我は気配を察知することができるが、会ったことのない者の気配となると。初めての気配、誰のものかなど。名前を言われたところで分からない。それはこいつでも分かっているはずだ。

『お前にはあそこにいるだろう、人間の気配を探してもらう』

 人間? 人間がこの海の中、しかもあの海に生きる者達の国にいるのか? 国に呼ばれるなど、よほど海に生きる者達に信頼されている者か、陸に住んでいる者達の中でも、力を持った者達か。

『本当に人間がいるのか?』

『だからそれを調べろと言っている』

『……それで、もし人間がいたらどうだと言うんだ』

『もし本当に人間があそこにいるのならば、お前の次の仕事が変更になる』

 何だ? 何か嫌な予感がする。

『人間がいることが分かったら次の攻撃で、お前の魔法がその人間に届くまでの穴を、結界と国を守っている壁に開けろ。そしてその人間を連れ去るのだ』

『人間を? 何のために』

『お前が、理由を知る必要はない。お前は言われた通り、人間を攫えばいいのだ。そうして人間を攫った後は、あの特別な牢のある場所へ移動する、お前の子を入れてあるあの場所だ』

 何だと? あの場所へ? これは好都合ではないか。もしその場に居る時に、力が完全に戻れば、子供達を救い出すことができるかもしれん、

 だが、本当に人間はいるのか? それにいたとしてその人間は何者だ? まぁ、どこに人間がいようと、どんな人間だろうと関係はないが。もし人間を連れ去る事に成功すれば、子供達の元へ行けるのだ。

『分かった人間がいたら、その人間を攫えば良いのだな』

『ああ、これは最優先事項だ。今から戻るが、すぐに始めろ』

 それから我らはすぐにあの場所へと戻り。人間に是非とも、あの場所に居てもらいたい。我々のために1人の人間がどうなろうと、この男が人間をどうしようとも、我には関係ない。大体我は、全ても者達を消そうと考えているのだからな。

 子供達、待っていろ。父が今、お前達の所へ戻るぞ。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

転生調理令嬢は諦めることを知らない!

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...