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52.早く、素晴らしい人間の元へ(グルフォンのブッカー視点)
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『しまった!! おい! 私は子を連れ向こうへ行く!! ここは任せるぞ!!』
『ブッカー、気をつけろよ!!』
私はすぐに息子の元へ行く。
『パパ!! またこうげき!?』
『息子よ、これからあの素晴らしい人間の元へ行くぞ』
『!! 分かった!!』
息子がすぐに私の元へ。私は子を咥えると、ヒョイと上へ投げ飛ばし背中へ乗せる。背中に乗った息子は、私の首の毛の中へ入り込み、しっかりと私の首にしがみ付いた。
そして私の周りに結界を張れば、これでちょっとやそっとの攻撃では、息子は私の首から落ちる事はない。
『行くぞ!!』
そうして私は飛び立った。あの素晴らしい人間が居る場所へ。早く行かなければ、全力で飛んでも間に合うかどうか。いや、絶対に間に合わせる!! あの素晴らしい人間を救うために。そして私の息子のために!!
しかし、あのオークジェネラル。あれは本当にオークジェネラルか? あんなオークジェネラルを私は見たことがない。確かに強いオークジェネラルはこれまでもいた。そうしてオークキングへと進化したオーク達を何体も見てきている。
だがあの得体のしれないオークジェネラルは、今までのオークジェネラルとまったく違う。力も、使う魔法も、まったく違うのだ。特にあの、これまでに2回ほど見せた、地面を切り裂くほどの攻撃と、転移魔法。あんな力をオークが使えるわけがない。本来ならば。
だが、奴は普通に使ってきた。魔法の発動までには、かなりの力と時間が必要と見えて、何度も何度も連続して使っては来ていないが。それでも使える事自体がおかしい。
しかも警戒していたのに、その魔法を使うのを許してしまった。奴が他のオーク達を呼んで、不味いとは思ったのに。
オーク達を呼び寄せた後、あの最初に見た強力な攻撃で、素晴らしい人間の子を狙われ、そしてエルフ達が張った結界は破られてしまい。あげく転移まで許してしまうとは。
『パパ、にんげんのこ、だいじょぶかな?』
『ああ、今は大丈夫だ。パパがしっかりと気配を感じているからな』
『そか! あっ! でもないてないかな? だってにんげんのこは、まだあかちゃんなんでしょう? ぼくね、にんげんのこのところにいって、もしもにんげんのこがないていたら、いいこいいこしてあげるよ。だって、ぼくはおにいちゃんだもん!』
『ああ、ああ!! そうだな! お兄ちゃんだからな。しっかり面倒を見てあげるんだぞ』
『うん!!』
面倒を見るか。息子にお兄ちゃんが務まるとは思ないが。なにしろ自分の世話も微妙な時があるからな。だが、それでも、お兄ちゃんとして頑張ろうとしているからな。
それにあの素晴らしい人間に会うことを、息子はとても楽しみにしていた。そして私以外に家族が増えるかもと。本当に家族になれたら、どれほど幸せか。
『もうすぐ奴と合流できそうだな』
『だぁれ?』
『オルボーンおじさんだ』
『オルボーンおじさんも、わるいやつ、やっつけにきた? パパとおなじ?』
『ああ、そうだ。オルボーンおじさんと会ったら、パパとオルボーンおじさんは進みながら話しをするから、少し静かにしていられるか?』
『うん!! ぼくしずかにしてる!! しずかにふんふんおうた』
いや、お歌も止めて欲しいのだが。息子のふんふんお歌とは、鼻歌のことだ。ふんふんと、本人は上手に鼻歌を歌っていると思っているのだが、かなり音程が外れている。
しかも本来ある歌を、音程を外して歌っているだけではなく、自作のヘンテコで独特な歌まで歌い、気になってしまう事が。
『そうだな、小さく小さく歌ってくれるか? パパ達のお話しはとても大切なお話しで、人間の子を守るためのお話しなんだ』
『にんげんのこの、たいせつなおはなし!!』
『ああ、そうだ。だからパパ達が人間の子を助けられるよう、守れるよう、しっかり話し合いができるように、静かに歌えるか』
『うん!! そうだ!! ぼく、にんげんのこがなかないで、げんきでいられるように、おうえんのおうたうたおうよ!! どんなのがいいかなぁ』
息子が静かになった。うむ、新しい歌を考えている間はおとなしいから、そのうちに話しをしてしまおう。
オークの攻撃を警戒しながら、素晴らしい人間の元へ向かわなければと急いでいて、最初気づかなかったが、ファイヤーホースのリーダー、オルボーンが、やはり私と同じで。奴と素晴らしい人間が居る方へ向かって来ていた。
他にもそれぞれのリーダが同じ方へと向かって来ていたが、その先頭を行っているのが私とオルボーンだ。もうすぐ奴と同じ場所に出るだろう。
合流したら話しをしながら、向こうへ向かい。ついたと同時にそれぞれできることをやれれば。私としては、素晴らしい人間を優先したいところだが。
少し飛ぶと、予想通りオルボーンと合流する事ができた。
『オルボーン!!』
『ブッカー!! お前達の所はどうだ!?』
『面倒な奴らが現れたが、こちらを優先した! 向こうは仲間に任せてある!!』
『こちらもだ!!』
さらに近づき、すぐ側で私は飛び続け、オルボーンは走り続ける。あの得体のしれないオークジェネラルの、今さっきの攻撃。あの攻撃のせいで、素晴らしい人間が居る場所は大変なことになってしまったが。
攻撃の跡には何も残っていなかったため、木を避けずに、岩や石も避けずに進めるため、かなり早く移動ができている。なんと皮肉な。
『息子はどうした? 連れて来ているだろう?』
『ああ、今新しい鼻歌を考えているところだ。だから静かなんだ』
『こんな時に鼻歌?』
さっきまでの会話をオルボーンに簡単に聞かせてやる。するとオルボーンは苦笑いをし、こんな時に鼻歌を考えるなんて、やはり私の息子は将来大物になる、と言われた。
その後はすぐに、これからのことについて話し合い。私はそのままあの素晴らしい人間の救出に向かうことに。
『気をつけろよ。奴はオークであってオークではないかもしれん』
『分かっている。そっちこそ必ず救出して、必ず安全な場所へ逃げるんだぞ』
『ああ! もちろん!!』
素晴らしい人間と息子、他の者達の未来を守るために!!
『ブッカー、気をつけろよ!!』
私はすぐに息子の元へ行く。
『パパ!! またこうげき!?』
『息子よ、これからあの素晴らしい人間の元へ行くぞ』
『!! 分かった!!』
息子がすぐに私の元へ。私は子を咥えると、ヒョイと上へ投げ飛ばし背中へ乗せる。背中に乗った息子は、私の首の毛の中へ入り込み、しっかりと私の首にしがみ付いた。
そして私の周りに結界を張れば、これでちょっとやそっとの攻撃では、息子は私の首から落ちる事はない。
『行くぞ!!』
そうして私は飛び立った。あの素晴らしい人間が居る場所へ。早く行かなければ、全力で飛んでも間に合うかどうか。いや、絶対に間に合わせる!! あの素晴らしい人間を救うために。そして私の息子のために!!
しかし、あのオークジェネラル。あれは本当にオークジェネラルか? あんなオークジェネラルを私は見たことがない。確かに強いオークジェネラルはこれまでもいた。そうしてオークキングへと進化したオーク達を何体も見てきている。
だがあの得体のしれないオークジェネラルは、今までのオークジェネラルとまったく違う。力も、使う魔法も、まったく違うのだ。特にあの、これまでに2回ほど見せた、地面を切り裂くほどの攻撃と、転移魔法。あんな力をオークが使えるわけがない。本来ならば。
だが、奴は普通に使ってきた。魔法の発動までには、かなりの力と時間が必要と見えて、何度も何度も連続して使っては来ていないが。それでも使える事自体がおかしい。
しかも警戒していたのに、その魔法を使うのを許してしまった。奴が他のオーク達を呼んで、不味いとは思ったのに。
オーク達を呼び寄せた後、あの最初に見た強力な攻撃で、素晴らしい人間の子を狙われ、そしてエルフ達が張った結界は破られてしまい。あげく転移まで許してしまうとは。
『パパ、にんげんのこ、だいじょぶかな?』
『ああ、今は大丈夫だ。パパがしっかりと気配を感じているからな』
『そか! あっ! でもないてないかな? だってにんげんのこは、まだあかちゃんなんでしょう? ぼくね、にんげんのこのところにいって、もしもにんげんのこがないていたら、いいこいいこしてあげるよ。だって、ぼくはおにいちゃんだもん!』
『ああ、ああ!! そうだな! お兄ちゃんだからな。しっかり面倒を見てあげるんだぞ』
『うん!!』
面倒を見るか。息子にお兄ちゃんが務まるとは思ないが。なにしろ自分の世話も微妙な時があるからな。だが、それでも、お兄ちゃんとして頑張ろうとしているからな。
それにあの素晴らしい人間に会うことを、息子はとても楽しみにしていた。そして私以外に家族が増えるかもと。本当に家族になれたら、どれほど幸せか。
『もうすぐ奴と合流できそうだな』
『だぁれ?』
『オルボーンおじさんだ』
『オルボーンおじさんも、わるいやつ、やっつけにきた? パパとおなじ?』
『ああ、そうだ。オルボーンおじさんと会ったら、パパとオルボーンおじさんは進みながら話しをするから、少し静かにしていられるか?』
『うん!! ぼくしずかにしてる!! しずかにふんふんおうた』
いや、お歌も止めて欲しいのだが。息子のふんふんお歌とは、鼻歌のことだ。ふんふんと、本人は上手に鼻歌を歌っていると思っているのだが、かなり音程が外れている。
しかも本来ある歌を、音程を外して歌っているだけではなく、自作のヘンテコで独特な歌まで歌い、気になってしまう事が。
『そうだな、小さく小さく歌ってくれるか? パパ達のお話しはとても大切なお話しで、人間の子を守るためのお話しなんだ』
『にんげんのこの、たいせつなおはなし!!』
『ああ、そうだ。だからパパ達が人間の子を助けられるよう、守れるよう、しっかり話し合いができるように、静かに歌えるか』
『うん!! そうだ!! ぼく、にんげんのこがなかないで、げんきでいられるように、おうえんのおうたうたおうよ!! どんなのがいいかなぁ』
息子が静かになった。うむ、新しい歌を考えている間はおとなしいから、そのうちに話しをしてしまおう。
オークの攻撃を警戒しながら、素晴らしい人間の元へ向かわなければと急いでいて、最初気づかなかったが、ファイヤーホースのリーダー、オルボーンが、やはり私と同じで。奴と素晴らしい人間が居る方へ向かって来ていた。
他にもそれぞれのリーダが同じ方へと向かって来ていたが、その先頭を行っているのが私とオルボーンだ。もうすぐ奴と同じ場所に出るだろう。
合流したら話しをしながら、向こうへ向かい。ついたと同時にそれぞれできることをやれれば。私としては、素晴らしい人間を優先したいところだが。
少し飛ぶと、予想通りオルボーンと合流する事ができた。
『オルボーン!!』
『ブッカー!! お前達の所はどうだ!?』
『面倒な奴らが現れたが、こちらを優先した! 向こうは仲間に任せてある!!』
『こちらもだ!!』
さらに近づき、すぐ側で私は飛び続け、オルボーンは走り続ける。あの得体のしれないオークジェネラルの、今さっきの攻撃。あの攻撃のせいで、素晴らしい人間が居る場所は大変なことになってしまったが。
攻撃の跡には何も残っていなかったため、木を避けずに、岩や石も避けずに進めるため、かなり早く移動ができている。なんと皮肉な。
『息子はどうした? 連れて来ているだろう?』
『ああ、今新しい鼻歌を考えているところだ。だから静かなんだ』
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さっきまでの会話をオルボーンに簡単に聞かせてやる。するとオルボーンは苦笑いをし、こんな時に鼻歌を考えるなんて、やはり私の息子は将来大物になる、と言われた。
その後はすぐに、これからのことについて話し合い。私はそのままあの素晴らしい人間の救出に向かうことに。
『気をつけろよ。奴はオークであってオークではないかもしれん』
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