異世界で新生活〜スローライフ?は精霊と本当は優しいエルフと共に〜

ありぽん

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58.おかしなオークジェネラルが欲している物

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「それはどういうの事なの? 奴もティニーの、そのポカポカしている物を浴びに、わざわざ来たって事?」

 俺から溢れているそのポカポカしている物。それ目的で、家の周りに魔獣達が集まって来ていたのは知らなかったけど、まぁそれは良いとして。だってエルフの里にいる魔獣達は、害のない子達ばかりだからな。

 だけどあの面倒なオークジェネラルまで、俺から溢れているポカポカ目的で来たかもしれないって? わざわざ俺達を襲ってまで? レイナさん達もそう思ったんだろう。

 だって敵対してるんだぞ? それなのに気持ちが良いってだけで、わざわざ浴びに来るのか? まぁ、ずっと浴びていたくて、俺を攫いに来たのかもしれないけどさぁ。

 大体ポカポカ暖かい、溢れている物ってなんだよ。それと、俺にはそれが何か分からないけれど、止められないのか? こう、俺が止まれっ! って思ったら止まるとか。やってみるか……。

「あぶぅっ!!」

 俺は止まれって言ってみた。突然の俺の声に、俺の方を見てくるみんな。あっ、ごめんごめん。大事な話しの最中に。いや、でもさ。もしもこの溢れるものば止まったら、あの変なオークジェネラルも止まってくれるかと思って。俺はささっとそう説明した。

『ティニー、今止まれって言ったよね』

『でも、ぜんぜん止まってないぞ』

『いつもと一緒。レイナママくらいまでは溢れてる。後は消える』

 残念。やっぱりそう簡単には止まらないか。でも俺から出ている物なんだから、俺が止められると思うんだけど。

 そうだ! その辺にそのポカポカした物を溜めて、置いておけないかな? 俺のポカポカを浴びに来たなら、そのポカポカを集めてその辺に置いておけば、それを浴びて帰ってくれるかもしれないだろう?

 俺はすぐにみんなのそう言った。それからそれをレイナさん達に伝えてもらって。

『確かにもしかしたら、それで止まるかもしれないけれど。私達もシャイン達が言っている、あなたのポカポカが何なのか分からないのよ。だからそれができるかどうか』

 あー、やっぱりそうだよな。俺のポカポカの話し、レイナさん達も初めての話しで、分かってないんだもんな。

『溜められるのかな?』

『どうだろうな?』

『いつも溢れてるだけ』

『それにね、あいつは違うと思う。浴びに来たんじゃいと思うんだ』

 フラフィーがそう言った。何だ、浴びに来たんじゃないのか? じゃあ何をしに来たんだよ。それにさっきからみんなは、俺のポカポカに気づいてここに来たんじゃないか? って言ってるのに。なんか話しがおかしくないか?

『あいつさ、ティニーのポカポカを浴びに来たんじゃなくて、たぶんティニーを自分の物のしようとしてるんじゃないかな』

「自分の物? それはティニーのそのポカポカを、いつでも浴びるたに、攫って自分の物にしようとしているって事かしら?」

『えっと、ティニーのポカポカは、太陽みたいにポカポカが気持ちよくて、元気になって、力が強くなった気がするでしょう。だから他の集まって来てた魔獣達も、みんなそれが嬉しくて集まって来てたんだけど』

『あいつは、1つだけが欲しいのかも』

「1つだけ?」

『あいつらってさ、力が全てじゃん。それで揉める以外考えてないっていうか。だからね、ティニーのポカポカとか、気持ちいい、幸せはぜんぜんいらなくて。1つの物だけ欲しいのかな? って。力が強くなる気がするやつ。だからあいつはティニーを食べちゃって、ティニーの力が強くなる力だけ欲しくて、ティニーを追って来てるのなかって』

 は? 力だけ? いやいや、いくら何でも。力が欲しいって言ったって、赤ん坊の俺を食べたところで、そんな大した力にはならないだろう。少し腹が膨れるくらいじゃないのか? いや、それもな。こんな小さな赤ん坊じゃな。

 フラフィー達の話しに、思わず俺はそう言った。そう、思いたかっただけかもしれないけど。だってなんて言われたらさ。そんなことはないって、考えたくもなるだろう。

 だけどそう言った俺の話しは、誰も聞いていなかった。いや、聞いていたかもしれないけれど、右から左に聞き流されていた? そしてレイナさん、クランシーさん、カシミールさんの表情は……。

 みんな最初は無表情だったけれど、すぐに険しい顔になって、レイナさん首を横に振った。

「まさか、そんな事」

「いや、この者達の言う通りかもしれない。もしもこの者達の言っている、ティニーから溢れている物。それが本当の話だったら。いや、本当の話しで間違いないだろう。そしてそれが私達には分からないものでも、奴にとって必要な物だったのなら」

「ティニーを取り込み、どれだけの力を得る事ができるのかは分からないが。その得た力によって、奴がさらに進化しようと考えていたら」

「奴がもしもオークキングに進化してしまえば、どれほど強力な存在になるか分からん」

 いやいやいや、待って待って。俺は食べられること決定なのか? 他の目的で追いかけてきている可能性はゼロなのか?
 
「では、このままどこへ逃げても」

 レイナさんがとても困ったような、悲しそうな顔をした。

「おそらくずっと追われる事になるだろう。奴を倒さない限り」

「そんな……」

「このまま予定通りの避難所へ。その後はティニーだけを連れ、別の場所へ行く。他の者達にも一応は移動するように言うが。それで奴がこちらを追いかけてくれば。ティニーが狙いで間違いないだろう」

「どこへ向かいますか?」

「ティニーのこと関係なく、奴らを倒すとは決めていたからな。本来ならティニー達と離れた場所で戦うつもりでいたが。もしもの時のために、備えへていた場所へ」

「あの場所ですね」

「魔法を打ち上げ、他の者にも知らせを。他のオーク達を倒した者は、あの場所へ集まるように伝えてくれ。少しでも戦力は欲しいからな。それまで我々だけで戦う事になるが」

「承知いたしました」

 何だ何だ。俺を置いてけぼりで、これからのことが決まっていった。
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