異世界で新生活〜スローライフ?は精霊と本当は優しいエルフと共に〜

ありぽん

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59.俺にできる事は?

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 それからはレイナさん達の話し合いが続き。そしてシャイン達はシャイン達で話し合いをしていたから、俺は誰とも話しができずに、静かにしているしかなかった。
 みんな俺のことを考えてくれているのは分かっていたし、俺が何も出来ないのも分かっているから、もちろん俺は静かにしていたさ。

 だけど心の中は穏やかじゃなく。そりゃあそうだろう。俺をおかしなオークジェネラルが、食べちゃう。なんて言われちゃな。まったく俺は一体どんな存在なんだか。

 もしかしたら、シャイン達の考えすぎで、実は俺は全く関係なかった、なんて事はないだろうかとか。俺以外にも追われている誰かが居るじゃないのか。はたまた、まったく何も関係なしに、たまたまこっちへ来ているんじゃないか。なんて色々考えて、気を紛らわせていたよ。

 だけどもし本当に、俺のことを取り込もうとしているのなら……。それであいつが進化しようとしているのなら。俺は何としてもあいつから逃げないといけない。
 だってそうだろう? 今だってみんなあいつと戦うのに、かなり苦戦しているのに、あいつがさらに進化して、どうにもできない存在になってしまったら?

 オークジェネラルの進化か。小説や漫画なんかだと、オークジェネラルの次は、オークキングだったか? いや、他にも進化できたんだっけ? ここは俺の知っている異世界と似ているけれど、完璧に同じってわけでもないだろうからな。

 う~ん、何はともあれ、俺はなんとしても逃げ延びないといけないな。もしも俺があのオークジェネラルに取り込まれて、みんなに被害が出る、なんてそんなの嫌だからな。

 だけど1人じゃ、どうにもできないし。やっぱり誰かに連れて逃げてもらわないといけないわけで。クランシーさんは、次の目的地を決めているみたいだけど。ついでにそこでオークジェネラルと戦うみたいだけど。

 俺がその場へ行って、本当に良いのか。逆に俺を守りながらで、俺が邪魔にならないだろうか? 俺は逃げながら、でもクランシーさん達が、しっかりとオークジェネラルと戦う事が出来れば良いんだけど。

 なんて考えているうちに、そしてみんなが話し合っているうちに、目的地になんとか無事に到着できた俺達。

 すでにその避難所では避難が始まっていて、3分の2の避難が終わっていた。すぐに俺達と一緒に避難していた子供達を、別のカウロウの荷台へ移し、すぐにまた出発して行く。みんな俺に手を振ってくれていたよ。

 もしかしたら俺が原因で、怖い思いをさせちゃったかもしれないのに。みんな本当ごめんな。もう俺は別の方角へ行くから安心してくれ。……俺の方へ来てくれれば良いけど。

 そして俺達もすぐにまた出発した。今度は大人エルフ達と共に。カウロウは残り5台。うち2つが、子供エルフと他に避難エルフ達について行った。残りは俺達と一緒に、オークジェネラルと戦う場所へ向かう。

 カウロウで進みながら、クランシーさんが、これからの事について説明する。そして俺のことも。この時俺はかなりビクビク、ドキドキしていた。
 みんな俺の話しを聞いて。なんて面倒な赤ん坊なんだ。俺が里に来なければ、こんな事にはならなかったじゃないか。って、文句を言われると思って。

 だってそうだろう? 俺は元々ここへくる人間じゃなかったはずなんだ。どう考えても神が俺を転生させる場所を間違っていたからな。しかもエルフじゃなくて人間だぞ? そんな種族の違う俺を、受け入れてくれてどんなに嬉しかったか。

 それなのに、今回俺が原因と決まったわけじゃないけれど。いや、ほぼほぼ決まったようなものなんだろうけど。助けた挙句、こんな迷惑をかけられるなんてって。なんて迷惑な奴なんだ。
 そう思われて、文句を言われてもおかしくない状況だったから。本当にビクビクとドキドキが止まらなかった。だけど、俺の考えはすぐに、間違いだったと、反省することに。

 みんなは俺の話しを聞くと、とっても俺の事を心配してくれて。絶対に守るからな。あいつに渡したりしないからな。全力であいつを倒すからな。そしてすぐに、元通りの生活が送れるようにしてやるからな。

 そう声をかけてくれたんだよ。誰1人として、俺に文句を言ってくるエルフはいなくて。

「まったく、こんな小さな赤ん坊まで狙ってくるなんて」

「あいつらは本当に、食糧と繁殖相手しか考えていないんだな。まぁ、今回は食する目的は違うかもしれないが」

「本当迷惑な奴らよね。大丈夫よ、必ず守ってあげるからね。こんな可愛い子、傷ひとつだって付けさせないわ」

「それでは、向こうに着くまでに、お前達には先に今回に作戦を話しておく。詳しくはもう1度向こうへ移動した後、全員が話すが。向こうで皆を集めるまでに、お前達には少しでも先に、色々と準備を済ませておいて貰いたいからな」

「はっ!!」

 ……なんて良い人達なんだろう。俺のことをそんなに思ってくれるなんて。

 やっぱり俺も何か考えなくちゃな。何もできないにしろ、何か、何か手伝いが出来れば。作戦……、は絶対に無理だな。うん。戦いなんて今までまったく関わらないで生きてきた俺に、戦いの作戦なんて考えられるわけがない。これについてはクランシーサン達に任せよう。
 
 他には? 俺がなんとか、奴に捕まらないように逃げるとか? でもそれだと結局は、誰かの手を借りないと無理だしな。家にい居た時にシャイン達が俺を籠ごと運んでくれたけど。それだってシャイン達は疲れるだろうし、俺があのスピードだと、そんなにもたないだろうし。

 う~ん、となると他に手伝える事は? 俺はカウロウを撫でながら考える。いや、なんかさ、シャイン達曰く、白いカウロウが俺に撫でてくれって言ってるって。そうすると早く走れるから? らしい。だから俺は、白いカウロウの事を撫でながら考えていたんだ。

 そうだ、後で白いカウロウにもお礼をしないと。俺達を連れて、かなりの距離を走ってくれているんだからな。はぁ、本当に俺に何かできる事はないのか?
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