異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん

文字の大きさ
27 / 70

27話 閉ざされた宿舎、獣衰病の恐怖

しおりを挟む
「フフフ、ハハハハハッ。これで、あの方々も終わりですね。本当に良い物を手に入れました」

 バジッ! ボワァァァッ!!

「これで良いでしょう。2日もあれば、あの宿舎にいた獣人たちはすべて……。ハハハハハ、ハハハハハハハっ!!」



        ************************



「あんどりゅーしゃん! もってきちゃ!!」

「リア、静かに」

「あ、ごめんしゃい」

「キーファン、イライアス。他の様子は?」

「皆、同じだよ」

「俺たちのところと、人間の方で何とか対応しているが、あまり良くないな」

「そうか。薬は足りているか?」

「今のところはある。だが、あと何日もつかは分からない」

「やはり、ここで作らなければダメか」

「作るにしても、材料を集めてこないといけない。冒険者ギルドと商業ギルドが、保管していた物をすべて持ってきてくれたけど、あの量じゃ足りないからね」

「依頼も出したようだが、それもどこまで集まるか。特殊な素材が必要だからな」

「ぴぃくん、みっけ。おもいきりしぼって。ぼたぼた、みじゅがたれるのはだめだよ」

『ぴぴっ!』

『分かってるんだじょ!!』

「せーの、ぎゅうぅぅぅ……」

『ぴぴ~』

『ぎゅう~じょ』

『ぴぴ?』

『どうだじょ?』

「……うん、だいじょぶ! あんどりゅーしゃん、たおる、かえましゅ」

「ゴホゴホッ、……悪いな、リア」

「おはなち、だめ! しじゅかにちてりゅ!」

 私は、アンドリューさんのおでこに乗せてあったタオルを取り、新しく、しっかりと絞ったタオルを乗せる。……取り替えたタオルは、ぬるいどころか、すっかりあったかくなっていたよ。

「……おみじゅ、のみたいとき、いっちぇくだしゃい」

「……ああ」

「……ぴぃくん、みっけ! ちゅぎは、ひるどれっどしゃんだよ!」

『ぴっ!!』

『分かったんだじょ!!』

「次は私がついて行こう。お前たちは、他の者の看病を」

「分かった」

「何かあれば、すぐに呼びに行くよ」

 アルバートさんとアンドリューさんの部屋を出て、ヒルドレッドさんの部屋へ向かう私たち。そうして静かにノックをして部屋に入ると、ヒルドレッドさんが床に倒れていたんだ。

「ひるどれっどしゃん!?」

『ぴぴぴ!?』

『大変なんだじょ!?』

「ヒルドレッド!!」

 急いでアルバートさんが、ヒルドレッドさんを起き上がらせる。私もすぐに、ヒルドレッドさんが使っていたタオルを回収。タオルは、アンドリューさんの時よりも、さらに熱くなっていたよ。

「あるばーとしゃん! おねちゅ、たいへん!!」

「ああ。今すぐ治療する!!」

 意識のないヒルドレッドさんをベッドに寝かせ、すぐに治癒魔法をかけるアルバートさん。それから私たちが、新しいタオルをヒルドレッドさんのおでこに乗せたところで、意識が回復したよ。

 どれくらい倒れていたのかは分からないけれど、治癒魔法ですぐに意識が戻って良かった。

「……アルバート、リア」

「はぁ……。お前は、悪化したらすぐに呼ぶように言ってあっただろう。そのために、呼び鈴も用意したんだ。どうせ、お前のことだ。心配をかけてはなどと、くだらない事を考えたのだろが」

「……今の状況、私だけではありませんからね。……少しくらいは、我慢しないと」

「それで倒れて、そのまま意識が戻らなかったらどうするつもりだ。最悪なことにもなりかねん。次は、すぐに呼ぶんだぞ。大体、リアとピィとミッケに、余計な心配をかけることになる」

「……そうですね。……リアたちに、これ以上心配をかけるわけにはいきませんから。……次は、ちゃんと呼ぶことにします」

「ひるどれっどしゃん! おみじゅ!!」

 私は、吸い口のついた入れ物で、ヒルドレッドさんに水を飲ませてあげる。

「……ふう。……少し、スッキリしました。……リア、ありがとうございます。……ピィも、ミッケも」

『ぴぴ!!』

『おいらたち、なんでもやるんだじょ! だから、なんでも言ってほしいんだじょ!!』

「……ふふ。ありがとうございます。……他は?」

「……お前と同じような感じだ。だが、はっきり言う。このままだと、医者が足りなくなる。それと、薬もだ。ここで一応、薬を作る予定ではいるが、そうなると材料が必要になるのでな。その対策を、これからするところだ」

「……そうですか。……街は?」

「街は、まだ何も起きていない。ここで発生しているだけだ」

「……なら良かった。……狙われましたかね」

「もしかしたらな。調べなければ分からないが、その可能性が高いだろう」

「……まったく。……ほぼなくなったと言われているものが、出てくるとは」

「マンレイ様にお聞きしたのだが」

「……さすがに、マンレイ様でも、これの対処法はご存知ありませんでしたか」

「……ああ。だが、完治した者がいないわけではない。今、その者たちの情報を集めている。どうにか解決策を見つけるから、お前たちはそれまで何としてでも持ちこたえろ」

「……ええ、皆さんが動いてくれているのですから。……そう簡単にはやられませんよ」

「よし。我々は、次の患者の元へ行く。いいか、次は絶対に、呼び鈴を鳴らすんだぞ」

「……ええ」

 さぁ、次はレーノルド先生の所へ行かないと。そう思いながら、先にヒルドレッドさんの部屋を出る私と、ピィ君とミッケ。

「……アルバート」

「何だ?」

「リアたちを、頼みます。……もしも私たちがいなくなった後のことも」

「……ああ、分かっている」

「あるばーとしゃん!!」

「今いく!!」

 呼ぶと、すぐにアルバートさんは部屋から出てきたよ。

「ひるどれっどしゃん、なにかいってちゃ?」

「いや 呼び鈴をならせと、もう1度注意していただけだ」

「しょか!」

「よし、レーノルドの所へ行こう」

「あい!!」

 一体、アルバートさんやヒルドレッドさんに、宿舎の中で何が起きているのか。それは一昨日、いきなり始まったんだ。

 その日、宿舎にいた獣人さんたちが、突然バタバタと倒れ初めてね。それはあっという間に宿舎の中で広まって、1時間もしないうちに、宿舎にいた獣人さんたち全員が倒れてしまったの。

 そう、アンドリューさんも、ヒルドレッドさんも、レーノルド先生も、総団長さんまで例外なく全員ね。

 何が起こったのか、まったく分からず、その場で固まってしまっていた私とピィ君とミッケ。でも、その時たまたま、装備品を届けにきてくれていた、人間のハーモンさんが、私たちを連れて冒険者ギルドまで行ってくれてね。

 それですぐに、宿舎に駆けつけてくれたギルドマスターたち。と、そこであることに気づいたギルドマスターは、直ちに宿舎を封鎖。
 獣人が誰も出入りできないようにした上で、街にいる治癒師を全員集め、さらに冒険者ギルドと商業ギルドからも人手を集めて、対応にあたってくれたんだ。

 それからアルバートさんにも連絡をしてくれて、アルバートさんと、たくさんのエルフさんたちも駆けつけてくれたの。

 そうして詳しく調べた結果、総団長さんを含め、獣人さんたち全員が、ある病気にかかってしまっていることが分かったんだ。

 病名は獣衰病。獣衰病は獣人だけがかかる病気で、急激な運動能力の低下、高熱、頭痛に、体全体が痛むこともあるし。他にも脱水症状や、幻覚を引き起こしことも。
 しかも、発症から1日で、ほぼ歩けなくなってしまって、獣人の力そのものが衰えていく、とても怖い病気なんだ。

 ……不治の病とも言われていて、死亡率がとても高いんだって。

 どうして発症するのかは、食べ物が悪いとか、自然に病気が発生するからどうしようもないとか。誰かが病気をばら撒いただの、いろいろ言われているけれど、ハッキリとは分かっていないみたい。

 それから獣人から獣人に移るっていう人もいるし、平気だっていう人もいるし、それも分かっていなくて。だから今、街にいる獣人さんたちは、家や宿から出ないように外出を控えるよう指示が出されているよ。

 対処法としては、治癒師に症状を抑えてもらったり、ポーションなんかで抑えたりするんだけど。効果は一時的で、すぐにまた具合が悪くなっちゃうんだ。しかも、だんだんと治癒魔法もポーションも効きにくくなっていって、最後には……。

 そんな恐ろしい病を、宿舎にいた全ての獣人が発症してしまったの。

 それで私は、総団長さんやアンドリューさんたちに、外にいて無事だったエディスンと一緒にいるように言われたけど。少しでも人員がいるっていうのを聞いて、みんなの看病をさせてほしいとお願いしてね。

 それで今は、アルバートさんや他のエルフさんたちと一緒に、みんなの使っているタオルを取り変えたり、飲み物を用意したりと。私にできることで、お手伝いしているところなんだ。

「リア、疲れたらすぐに言いなさい」

「あい!! でも。まだまだじぇんじぇん、だいじょぶ!!」

『ぴっ!!』

『おいらも大丈夫なんだじょ!!』

「そうか」

 みんなが大変なのに、疲れたなんて言っている暇はないよ。

 今回のために集められた、必要な物が置かれている部屋に入いると、すぐにタオルを入れ物に補充する私。

「……この者のためにも、どうにかできれば良いのだが」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆1/19〜1/27まで、予約投稿を1話ずつ行います。 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。  天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。  学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。

グラサン幼女の異世界とらべるっ! ~最強の【魔眼】を宿す転生幼女は、もふかわ神獣を連れてスローライフな旅路を楽しみます~

空戯ケイ
ファンタジー
社畜OL、水城愛璃(みずきあいり)は、女神のうっかりミスにより25歳の若さで死んだ。 お詫びとして女神が提案したのは、オッドアイの幼女ボディへの転生。 そうして幼女の姿で異世界転生を果たしたアイリだったが、 特異体質により『感情が高ぶると暴発する魔眼』が宿っていることが発覚! しかも両目!? それを封じるため、女神から与えられたユニークスキルは、『神のサングラス』。 このサングラスをかければ、魔眼の暴発を抑えられるらしいけど……常にグラサンかけてる幼女とか怪しすぎじゃない!? だけど、とある"激レア魔道具"があれば 、なんと魔眼を完治できるらしい。 ならばその魔道具を手に入れるため、異世界を巡るしかないっ! さらに旅の道すがら、もふもふフェンリルや忍者少女、特異スライムを仲間にし、珍道中はさらに加速していって――!! まったりのんびりをモットーに、たまに魔物や刺客に襲われちゃう。 【グラサン幼女】の破天荒な異世界旅が始まる! ※更新は不定期です。

【書籍化決定!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆皆様のおかげで、書籍化が決定致しました!3月中旬頃、発売予定です。よろしくお願い致します。 ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~

季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」 建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。 しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった! (激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!) 理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造! 隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。 辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。 さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。 「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」 冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!? 現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる! 爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

処理中です...